自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

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ワールド・チャリティーコンサート ヴァイオリンの名手 大谷康子と札響3人の首席奏者たち&ピアノ佐藤卓史(2021/09) レポート

テレビでおなじみのヴァイオリニスト大谷康子さんとシューベルト弾きとして知られるピアニスト佐藤卓史さんが、我が町のオケ・札響の首席奏者の皆様と協演!平日昼間でも絶対に聴きたい!と、私は早い段階でチケットゲットし、とても楽しみにしていました。ワールド航空サービスがツアー参加者のために企画したチャリティーコンサートで、収益の一部は日本赤十字社へ寄付されるとのことです。


ワールド・チャリティーコンサート ヴァイオリンの名手 大谷康子と札響3人の首席奏者たち&ピアノ佐藤卓
2021年9月2日(木)13:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【出演】
大谷康子(ヴァイオリン)
佐藤卓史(ピアノ)
桐原宗生(ヴァイオリン)
廣狩亮(ヴィオラ
石川祐支(チェロ)
吉村怜子(オルガン)

【曲目】
パイプオルガンの演奏

第1部 ストラディヴァリウス『ウィルヘルミ』の調べ~感謝~

第2部 旅で人生を楽しもう

(アンコール)


親しみやすい曲の数々を、最高の演奏で、しかも最高のホールにて楽しめて超幸せです!我が町にkitaraと札響があってよかったと改めて思います。そして生演奏では初めてお目にかかった大谷康子さんは、とっても素敵なかたでした。演奏が一流なのはもちろんですが、曲の合間のお話も演出も楽しく、チャーミングなお人柄でお客さん達の気持ちを惹きつけて会場は終始和やかで楽しい雰囲気。大谷さんは、プロの司会ナシ、カンペなしで、いつも客席の方を見てご自分の言葉でにこやかにお話されました。素晴らしいです!また大谷さんは、共演を重ねてきたピアノの佐藤卓史さんだけでなく、おそらく初対面に近い札響3人の首席奏者の皆様ともまるで昔からの仲間のように自然なアンサンブルをつくりあげていらっしゃいました。大谷さんは、レギュラー出演されているBSテレ東『おんがく交差点』では毎回様々なジャンルのかたと共演なさっていますが、どんなかたとも自然にコラボできるってすごいことですよね。大スターの大谷さんが、札響メンバーおひとりおひとりを「スター」とご紹介くださったのが札幌市民としてとてもうれしかったです。そして大谷さんは毎回衣装が素敵な番組と同じように、今回の演奏会でも前半は白×ネイビーのドレス、後半は真っ赤なドレスと、華やかな装いで私達を目でも楽しませてくださいました。ちなみに今回共演した男性陣は全員黒いスーツに黒シャツを首元までボタンを閉じ、ノータイでした。

私はkitara大ホールで室内楽を聴くのは“お初”だったのですが、イイですね!オルガンの大音量も弦の繊細な音もキレイに響いて、kitara大ホールは大編成のオケだけじゃないんだとわかってうれしくなりました。今月はkitara小ホールでの室内楽(今回ご参加のヴィオラ・廣狩さんとチェロ・石川さんが出演予定)も聴ける予定なので、響きの違いを知るのも今から楽しみです。

客席は、P席全部とLA・RAブロックのうちP席寄りの半分は未使用。また私が見た限りの印象では、客席の1階にツアー参加の皆様、2階以上に招待客と一般客が入っていたようでした。1階はツアー参加単位(おそらくご夫婦やお友達グループ等)で着席してそれぞれの間は1,2席空けていましたが、2階席以上は座席間隔は空けずにぎっしり配置され、平日昼間にもかかわらず9割近い席が埋まっていました。


はじめは吉村怜子さんによるオルガンの演奏。私は改修後のkitaraのオルガンを聴くのはこれが初めてでした。懐かしい荘厳な音色!以前の私は、オルガンの大音量は耳に触って少し苦手でした。しかし改修工事の効果かあるいは私自身が変化したのか、今回は直に伝わってくる振動と大音量に包まれる感覚が心地よいと感じました。以前の刺さるよう音が、少し柔らかくなったかも(?私の素人感覚なのであてになりませんが)。kitara大ホールの紹介として、はじめにオルガンの演奏を組み込んだのはグッジョブでしたね!吉村怜子さん、トップバッターで素晴らしい演奏をありがとうございました!

第1部は、大谷康子さんの愛器「ストラディヴァリウス『ウィルヘルミ』」の調べをたっぷり楽しむ会です。ハイドンのみピアノトリオ(ピアノ×ヴァイオリン×チェロ)で、他はヴァイオリンとピアノによる演奏でした。大谷さんと佐藤さんが舞台に登場し、早速演奏開始です。『おんがく交差点』のBGMにもなっているエルガー「愛の挨拶」の甘く美しい響きに、あっという間にお客さん達は引き込まれ、掴みはバッチリOK。J.S.バッハG線上のアリアでは、編曲者のウィルヘルミが使用していた楽器を今まさに大谷さんが手にしている!と、その演奏にお客さん達の目と耳が釘付けに。私も、想像していたよりも低いヴァイオリンの深い音色を味わいつつ、これを弦1本(G線)で弾いている!?と2階席から大谷さんの手元に注目しました。元々はピアノ独奏曲というグリーグ「感謝」は、少し切なく優しい音色が胸にしみます。大谷さんは、昨年のSTAY HOME期間中に様々な思いを込めてこの「感謝」の演奏動画をネットに公開したところ、大きな反響があり、なんと上皇后美智子さまからお電話でお褒めの言葉を賜ったのだそうです。続くクライスラー「愛の喜び」は、うれしい気持ちがあふれる華やかな演奏に気分がアガります。マスネ「タイスの瞑想曲」は、低い音から高い音まで『ウィルヘルミ』の奏でる多彩な音にうっとりハイドン「ジプシー・トリオ」より第3楽章は、チェロ・石川さんが入場しトリオで演奏。私は以前、石川さんが参加するトリオ・ミーナの演奏会で全楽章の演奏を聴いたことがあります(2019/12/18)。今回は一番の聴かせどころである第3楽章を大ホールで聴ける!と心の中で大喜び。軽快なテンポのピアノとシンクロしながらのヴァイオリンとチェロによる掛け合いが見事で、もう超カッコイイ!やはりジプシー風の音楽ってイイ!そして第1部のラストを飾るのは、ジプシー音楽の定番であるサラサーテツィゴイネルワイゼン。私、一度生演奏で聴いてみたかったんです!先日のジプシー音楽をテーマにした札響名曲シリーズ(2021/08/21)では惜しくも取り上げられなかったので、今回の演奏になおさら期待が高まりました。大谷さんはこの曲を演奏会で4000回以上(!)演奏されているそうで、演奏する度に新たな発見があるのだとか。左手ピッチカート等、見た目で分かる超絶技巧は素人目にも圧倒されましたが、なんといってもヴァイオリンの音色が超素敵!貴婦人のような上品さだけでなく、こんなミステリアスで影を感じさせる音も奏でられるなんて!もちろんこのヴァイオリンと自然にとけあい一緒に音楽をつくりあげるピアノもまた素晴らしいです。

第2部は、「旅」をテーマにした室内楽の会です。ワルツにポルカギャロップと、まるでウィーンフィルニューイヤーコンサートのような演目がずらり。フルオケが必要?いえいえ、大谷康子さんと札響3人の首席奏者たちによる弦楽四重奏、最強でしたから……!このムダのない黄金比率で、奥行きも華やかさも出せてかつ音楽に命が宿るんですね。メロディもハーモニーも主役も下支えも各パートが際立つ分、オケとはまた違った良さを感じました。これにピアノが加わるピアノ五重奏になったらもう無敵!第2部の1曲目は、ワルツ王・J.シュトラウス2世のワルツ「人生を楽しめ」弦楽四重奏で。ウィーン楽友協会のこけら落としで初披露されたという華やかなワルツを聴くと、すっかりウイーンを旅している気分に。続いて「北国のヨハン・シュトラウス」と呼ばれるロンビの「シャンパン・ギャロップ弦楽四重奏に加えシャンパンのコルクが飛ぶ効果音を出す打楽器が入り、その打楽器担当がなんとピアノの佐藤さん!スピード感のある弦楽四重奏の演奏の合間に絶妙なタイミングでポン!と音が入るのが面白くて、私はつい佐藤さんばかりを追いかけてしまいました。ピアノとはまるで勝手が違うはずなのに、とってもお上手です。シャンパンとくれば、サッポロならビールでしょ!ということで、次はチェコの作曲家ヴェイヴォダの「ビヤ樽ポルカ弦楽四重奏で。こちらの明るい曲、私はなんとなくですがBGMで聞き覚えがあるような気がしました。その時はアコーディオンだったかも?

そして私的今回のハイライトは、ツィーラーオペレッタ「観光案内人」より「恋に落ちて」。おそらく原曲ではオケと声楽の組み合わせになるのでしょうが、ここではピアノトリオによる演奏でした。これがもう本当に素敵で素敵で……。ロマンティックなピアノを背景に、チェロとヴァイオリンのゆったりとした演奏ががまるでお互いを思う2人の会話のよう。こんな演奏が聴けるなんて、私、生きててよかった……!会場の空気が一変したのは、こちらを聴いてたちまち恋に落ちた女性(男性も?)が多数いたから思われます。だって、チェロ石川さんが静かに退場されたとき会場は拍手を忘れていたほどなんですよ。その余韻が残っている中、続く曲はヴァイオリンとピアノによる演奏でヘス「ラベンダーの咲く庭で」。ひとりになった女性が誰もいないラベンダー畑に佇み、哀しみを抱えながらも前を向くような(妄想炸裂)、ヴァイオリンが美しくて、溜息が出ます。

気持ちを切り替えて(?)、後半は明るい曲が並びました。行進するように舞台へ登場した皆様のうち、大谷さんと佐藤さんともうお一方(選曲担当のかただそう)が駅員さんの帽子を被っていました。ロンビ「コペンハーゲン蒸気機関車ギャロップは、弦楽四重奏に加え、汽笛や発車合図の鐘を思わせる打楽器が入る演奏。出発進行!のかけ声で演奏開始、導入部分がヴィオラから穏やかに始まったのが印象的でした。しだいに演奏が速くなり、機関車がスピードをあげているなとわかります。時折カンカンという鐘の音や汽笛の音が入るのも楽しい。なおこの曲は、鉄道をテーマにした次回の札響名曲シリーズ(2021/09/26)でも取り上げられる予定と、大谷さんからアナウンスがありました。私、室内楽の編成でいち早く聴けちゃいましたよ!きっとお親しいのでしょう、大谷さんは指揮の秋山和慶さんのことを「鉄ちゃん(鉄道マニアのこと)」とお呼びになっていましたね。J.シュトラウス2世のポルカ「明るく行こう」弦楽四重奏による演奏で明るく盛り上がり、ピアノが加わったピアノ五重奏でプログラム最後の曲であるJ.シュトラウス2世のワルツ「美しく青きドナウの演奏に。発表当初ウィーンで不評だった曲が、パリ万博でウケて、逆輸入のような形でウィーンでも定番曲となったとのお話がありました。日本でもおそらく知らない人はほとんどいない「美しく青きドナウ」、そんないきさつがあったのですね。出演者5名が初めて本来の形で揃った演奏でもあり、呼吸が合った素晴らしい演奏でよく知る曲を楽しませて頂きました。

アンコールは定番のJ.シュトラウス1世「ラデツキー行進曲。ピアノ五重奏による演奏は、オケに負けない華やかさです!大谷さんはご自身も演奏しながら客席に手拍子の合図。聴き手としては手拍子で演奏に参加できるのは楽しいです。しかし、奏者の皆様は慣れておられるのかもしれませんが、このテンポが安定しない微妙な手拍子に合わせて演奏するって大変ですよね。手拍子が一旦おさまる中間部は、これぞウィンナ・ワルツの神髄!と感じられる心地よいリズムで演奏を聴けました。ラストは客席が手拍子で全員参加し、大盛り上がりで締めくくり。楽しかったです!最初から最後までめいいっぱい楽しませてくださり、ありがとうございました!


カーテンコールの後に、出演者の皆様への花束贈呈がありました。ひまわりをメインにした夏らしい爽やかな花束が素敵。終演後の分散退場は、まずツアー参加者の乗車バスの番号順に呼ばれ、最後に「それ以外のお客様」と、今回ならではだったのも印象的でした。座席はエリア別にきっちり分けられていましたが(感染症拡大リスクを考慮したのかも?)、遠方よりいらした皆様と楽しい時間と空気を共有できて私はうれしかったです。ワクチン接種済みと思われる世代のかたたちが、添乗員付きでクラシック音楽鑑賞のようなクローズド&感染症拡大リスクが低いメニューで組まれたツアーに参加されたことを、私は素敵だと思います。私だって、このご時世に後ろめたい気持ちを抱えながらもコンサート三昧の日々を送っています。しかしイベントがオンライン開催ばかりになっている今、その場にいなければ味わえないものが確かにあると、私は心からそう思っているのです。演奏会も旅もきっと同じ。もちろん今はそれどころじゃない人が大勢いらっしゃるのも理解しています。それでも、上から目線のつもりも開き直るわけでもなくて、自分の楽しみがせめて経済を回すことで世の中への小さな支援になればいいな、とおこがましくも考えています。まだ先が見えない状況ではありますが、可能なかたは感染症対策をきちんとした上でコンサートも旅行も楽しんで、免疫力UP&経済を回していきましょう!今回ツアーでお越し下さった皆様、今の状況が落ち着いた暁にはどうぞまたkitaraにいらして、次は札響オールスタープレーヤーたちによるフルオーケストラの演奏会をぜひ聴いてくださいね。


この2日前(2021/08/31)に聴いた「ほくでんグループ創立70周年記念 第530回ほくでんファミリーコンサート」のレポートは以下のリンクからどうぞ。北海道電力さんが無料招待くださった演奏会で、kitara大ホールにて札幌交響楽団の演奏をたっぷり楽しませて頂きました。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

YouTubeチャンネル『歌うヴァイオリン大谷康子の「やっこチャンネル」』では、大谷康子さんのヴァイオリン演奏とお話を楽しめますよ。ネット環境さえあればいつでもどこでも楽しめるのが動画配信の良いところ。今回の第1部で演奏された曲もたくさんUPされています。

www.youtube.com


アンコール定番曲の「ラデツキー行進曲」、なんと札幌交響楽団による演奏を無料公開動画で聴けちゃいます!無観客収録のため客席からの手拍子ナシですが、その分いつもは聴けない純粋なオケの響きで演奏を楽しめますよ。オンライン開催となった音楽宅急便「クロネコファミリーコンサート」2021の最後に収録されています。もちろん他の演奏もすべて素敵なので、動画は最初から最後までぜひ聴いてくださいね。その動画へのリンクと簡単な感想も書いた弊ブログの記事「2020年 札幌交響楽団 動画配信および非売品CDについてのまとめ」も、よろしければご一読ください。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。

ほくでんグループ創立70周年記念 第530回ほくでんファミリーコンサート(2021/08) レポート

www.sso.or.jp


www.hepco.co.jp

歴史あるほくでんファミリーコンサート。第530回となる今回はほくでんグループ創立70周年記念でした。北海道電力さん、創立70周年おめでとうございます。そして緊急事態宣言下で様々な困難を乗り越え、演奏会開催くださり感謝いたします。ほくでんファミリーコンサートは毎回応募が殺到する上、今回は収容率50%以下での開催。その限られた席に、今回私は当選いたしました。ありがとうございます!

ほくでんグループ創立70周年記念 第530回ほくでんファミリーコンサート
2021年8月31日(火)18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
太田弦

【歌唱】
大平リリー

管弦楽
札幌交響楽団(ゲストコンサートミストレス:松浦奈々)

【曲目】


パワフルでテンション上がる演奏、超楽しかったです!指揮・太田弦さんと歌唱・大平リリーさんは札幌ご出身。そしてゲストコンミスは日本センチュリー交響楽団の松浦奈々さん(ツイッターで相互さんに教えて頂きました。ありがとうございます)。いずれもお若い方で、若さのオーラが感じられる演奏に、こちらも元気を頂きました。さらに人が少ないkitaraの響きは素晴らしく、大音量の金管打楽器も繊細な弦の美しい響きも堪能でき、私は会場に入れた約800人の中の一人で本当に運が良かったと思います。重ねてありがとうございます!

座席はP席全部と舞台の前の数列を空けた上での一席飛ばしで、さらに3階後方の席は空いていました。当日会場の受付順で席が決まるシステムで、私はRAブロックの比較的舞台がよく見える席になりました。また前半はHBCアナウンサーの司会進行が入りました。


はじめは、ほくでんグループCMソング「365日の明日」管弦楽版はこの日が初演だったそうです。壮大なイントロが始まってから大平リリーさんが静かに入場し、演奏中にパラパラ拍手が起きることに。そしてマイクとカンペ(モニター)が用意された上での歌唱でした。それを見てあららと思ってしまった私は、歌をまともに聴くことが出来なかったためコメントは控えます。せっかくの記念すべき演奏だったにもかかわらず、申し訳ありません。

メンデルスゾーン真夏の夜の夢」序曲。冒頭、高音の木管と高音弦のザワザワに早速引き込まれます。変化が多く楽しい演奏の中でも、私はティンパニの鼓動に合わせた華やかなところがツボ。なお私は以前、改装前のkitara(2020年10月 名曲シリーズ)にて生演奏を聴いたことがあり、その時は序曲だけでなく有名な「結婚行進曲」を含むいくつかの曲のピックアップ形式でした。その時ももちろん素敵でしたが、今回は会場の人が少ないおかげもあったのかとても響きが澄んでいて、さらにその美しさを楽しむことができました。

チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」。私は以前hitaru(2021年7月 第639回定期)にて実演を聴いたことがあります。もちろん前回も素敵でしたが、今回はさらに勢いが感じられ、聴いていて清々しい気持ちになれました。先ほどのメンデルスゾーンとは対照的に、こちらの冒頭は低音の木管と続く低弦が素敵です。ハープも効果的に入ってきて、やはりチャイコフスキー管弦楽の魔術師だと私は改めて思いました。パワフル金管打楽器の戦闘モードがキレッキレ、ジェットコースターのような高速の弦(チャイコちゃんも弦への要求がハイレベルでエグいですね!?)に夢中に。のぼりつめたときティンパニ会心の一撃がキマりましたね!そしてクライマックス直前の木管の美しさが印象的でした。大盛り上がりのフィナーレを存分に楽しませて頂きながら、やはりチャイコフスキーはこんな締めくくり方が好きなのでは?とチャイ5のラストを思い出したりもしました。

後半はチャイコフスキー交響曲第4番」。冒頭のホルンとファゴットインパクト大かつカッコ良くて、初めから心掴まれ、おかげで続く大音量の金管群(個人的に、日によっては無理なときもありますが)も自然に受け止められました。民謡のような木管のメロディと大都会の華やかさを思わせる金管の盛り上がりのどちらも楽しめる演奏で、最初からテンションあがります。第2楽章は、オーボエソロに続いてチェロから入る弦アンサンブルがもう私好みで、今までチャイコフスキー交響曲をほぼ知らずにいたのがもったいなかったなと。この弦をバックにした木管も素敵。第3楽章、弦はとことんピッチカートで面白いです!楽しそうな雰囲気の木管金管の中でも、一瞬華やかに響いたピッコロが印象的でした。第4楽章はオールスターキャストの大盛り上がりがもう楽しい!高速の弦がすごい!また休止では皆さんビシッと揃って音を止め、再び揃って始まる切り替えが素晴らしいです。メリハリ大事!リミッター振り切ってガンガン来るフィナーレまで、聴いていてとても気持ちが良かったです。チャイコちゃん男前!私的チャイコフスキーの男前列伝にまた新たな1ページが加わりました。チャイ4、最高です!

アンコールはグリーグ「2つの悲しい旋律」から 過ぎにし春。弦のみの編成で、パワフルなチャイ4からがらりと雰囲気が変わり、澄んだ美しい響きをkitaraの音響で楽しむことが出来てうれしかったです。弦の皆様は今までのお疲れを見せず(今回は弦への要求がエグい演目続きだったと思います)、最後まで丁寧な演奏を私達に聴かせてくださいました。アンコールに至るまで素晴らしい演奏をありがとうございました!


この日の2日前(2021/8/29)にウィステリアホールで聴いたチェロアンサンブルの演奏会も大変素晴らしかったです!レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。仙台フィル&札響のチェリスト4名の協演!札響からご参加の武田芽衣さんと小野木遼さんは、今回のほくでんファミリーコンサートにも出演されていました。

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回数を重ねてきたほくでんファミリーコンサート。昨年度(2020年度)はスペシャル企画として「ほくでんアンサンブルコンサート」CD(非売品)の作成と、「ほくでん音楽クリニック」として吹奏楽部の中高生向けに演奏指導動画の配信がありました。それらの情報を含む弊ブログの記事「2020年 札幌交響楽団 動画配信および非売品CDについてのまとめ」も、よろしければご一読ください。

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チャイコフスキーの男前列伝としては、「交響曲第5番」も忘れられません。私はソリストの佐藤晴真さんがお目当てで行ったhitaruシリーズ新・定期(2021/2/25)にて、初めて聴いたチャイ5のことを一瞬で好きになりました。守備範囲がごく狭い私の新たな扉を次々と開けてくださる我が町のオケ、愛しています!

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

WISTERIA HALL PREMUM CLASSIC Ⅺ チェロアンサンブル&ピアノ(2021/08) レポート

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ウィステリアホールでの演奏会、今回はチェロアンサンブル&ピアノです。チェロ1つだけでもうれしいのに4つも!?と低弦好きな私は企画発表当初から楽しみにしていました。緊急事態宣言が出ている中で、様々な困難を乗り越え開催くださり感謝です(公演開催・当日券販売・払戻しについて)。収容率50%を上限・定員90席の会場は、ほぼ定員近くの人で埋まっていました。


WISTERIA HALL PREMUM CLASSIC チェロアンサンブル&ピアノ
2021年8月29日(日)14:00~ ウィステリアホール

【演奏】
三宅 進(仙台フィルソロ首席チェロ奏者)
吉岡 知広(仙台フィル首席チェロ奏者)
武田 芽衣(札響チェロ奏者)
小野木 遼(札響チェロ奏者)

新堀聡子(ピアノ)

【曲目】

  • ブラームス
    “愛の歌” op.71-5
    “メロディのように” op.105-1
    “まどろみはますます浅く” op.105-2
    “教会墓地にて” op.105-4
  • ヴィヴァルディ 2つのチェロのための協奏曲
  • バッハ (ヴァルガ編) シャコンヌ
  • ドローヌ アンダンテとスケルツォ
  • レンゲル
    主題と変奏 op.28
    即興曲 op.30
  • ポッパー レクイエム op.66

(アンコール)


ピアノはベーゼンドルファーでした。


仙台フィル&札響のチェリスト4名の協演!この豪華メンバーによる演奏で大好きなチェロをたっぷり聴けて、もう幸せです!一般的な室内楽ではついチェロばかりを追いかけてしまう私ですが、今回は全員チェロなので(笑)、選べない!なんて贅沢な悩み!おかげで本来は2ndヴァイオリンやヴィオラの役目になる演奏も主旋律と同じウエイトで聞けました。そのアンサンブルも素人目にはまったく無理がないように見えて、普段別々に活動している皆様にもかかわらず驚きの一体感。実際、全員揃ってのリハは本番直前の限られた時間しかなかったのでは?それでもお互いを信頼しておられるようで、皆様ご自身の演奏にためらいがなくかつ全員で呼吸を合わせて……素晴らしいです!「チェリスト同士はみんな仲が良い」はきっと真実ですね。そして仙台からはるばるお越し下さった三宅さんと吉岡さんは、アウェイの舞台にもかかわらず、その演奏であっという間に会場にいる人達をとりこにしてくださいました。ありがとうございます!こんな素晴らしいチェリスト仙台フィルのソロ首席と首席でいらっしゃるんですね。私、演奏を聴きにお2人のホームの仙台まで飛んでいきたいです!今は難しいですが、感染症拡大が落ち着いた暁には必ず!

開演前に新堀さんと武田さんによるお話がありました。今回の企画は、まずチェロアンサンブルをしたいと新堀さんが武田さんに相談→武田さんが「基礎をたたき込んでくれた」師の三宅さんにお声がけ→三宅さんが吉岡さんを、武田さんが小野木さんを誘ってチェリスト4名揃った、という流れだったそうです。そして曲の合間のトークは三宅さんがメインで、必要に応じて他のかたにマイクを向けるスタイルでした。そのトークも楽しく、トークの最中は時折笑いが起きて会場は和やかな雰囲気に。あんなに心の奥深くに響くチェロをお弾きになる三宅さんのお話ぶりが、例えばだじゃれを言おうとしてやっぱりやめたり「タンホイザー」の男女の話を具体的にできずちょっと詰まったりと、なんだかかわいらしくて(大人の男性に向かってごめんなさい!)、客席にはそのギャップにやられてしまった女性(男性も?)が多数いたようです。三宅さんは、片足でチェロを支えて(!)立ったままでちょこっと演奏(パッヘルベルのカノンをさわりだけ)する離れ業までさらっと披露。なお、4名のチェリストの皆様はそれぞれ最適なイス・譜面台の高さが違っていて、曲の演奏が終わる度に次の曲の席順に合わせて配置換えがありました。頑張ってくださったステージスタッフのかたにも感謝です。


演目に入ります。いつもはトリをつとめることが多いブラームスですが、今回は前座です。ブラームスの歌曲を4つ、いずれもピアノ伴奏とチェロ1つによる演奏でした。小野木さんによる「愛の歌」と「メロディのように」は、愛を語るような甘い音色のチェロが心に染み入ります。こんなラブソングの演奏を聴くと、ブラームスってほんっとピュア!と改めて思います。続いて武田さんの「まどろみはますます浅く」は今際の際にある人のはっとするような美しさを、「教会墓地にて」は死を見つめる生きた人の強さを感じました。「まどろみはますます浅く」はブラームスピアノ協奏曲第2番第3楽章の独奏チェロと似ていて、私はますますピアノ協奏曲第2番を生オケで聴いてみたいと思うように。また「教会墓地にて」を聴くと、ついドイツレクイエムを連想してしまいました。ドイツレクイエムもいつか必ず実演を聴きたいです!そして、歌の感情を体現したドラマチックなザ・ブラームスのピアノが素敵すぎました。ブラームスはこうでなくっちゃ!私達札幌市民にとっても、なじみのある札響のチェリストと新堀さんのピアノによる演奏を安心して聴くことができ、掴みはバッチリOKでした。

ヴィヴァルディ「2つのチェロのための協奏曲」は、チェロ2つとピアノによる演奏。チェロは武田さん(1st)と三宅さん(2nd)の師弟デュオです。こちらの演奏が想像を超えた良さで、私はぐいぐい引き込まれてしまいました。2つのチェロが丁々発止のやり取りをしているような、またあるときは協力し合っているような。演奏はお互い遠慮していないにもかかわらず呼吸はバッチリ揃っていて、もうすごいものを聴きました……。弦楽器は演奏する人によって音が違うと私は思っているのですが、それぞれの個性がぶつかったり重なったりすることでお互い高め合うのですね。バロック期の音楽に特徴的な同じ旋律の繰り返しを「素敵」と感じたの、初めてかもしれません私……。今回のヴィヴァルディがとても良かったので、私はチェロが複数いる協奏曲を他にももっと知りたくなりました。

バッハ(ヴァルガ編)「シャコンヌ。原曲は無伴奏ヴァイオリンの有名な曲ですね。今回はチェロ四重奏による演奏。4人揃っての冒頭からガツンとやられて、私は思わず背筋がのびました。原曲ではヴァイオリンが表現する悲壮感だけでなく、チェロの重量感や奥深さや切なさ等が全部一度に来たようなとんでもない衝撃。原曲は「ソロヴァイオリンで表現できる限界に挑戦」ではあるのでしょうが、もし楽器を増やしたならバッハ自身もこうしたかったのでは?と思えるような、原曲にない支える旋律がものすごくマッチしていたのも印象的でした。ちなみにメイン担当は次々と入れ替わる演奏で、「カノン」のような追いかけっこも見事でした。三宅さんは「手前味噌ではありますが」と前置きした上で、「同族アンサンブルによる『シャコンヌ』の演奏はチェロが一番良いと思う」と仰っていました。おそらくそうなのでしょうね、と他のアンサンブルを聴いたことがない私でもそう思います。チェロアンサンブルはある意味で原曲の無伴奏ヴァイオリンを超えているかも!


後半最初のドローヌ「アンダンテとスケルツォはチェロ3つとピアノによる演奏。ドローヌはラヴェルと同時代のフランスの作曲家だそうです。チェロは吉岡さん(1st)、武田さん、小野木さん。はじめのアンダンテに、私は不覚にもハートをがしっと鷲掴みにされました。上手く言えないですが、いやらしくない色気と優しさが感じられるチェロの音色がとっても素敵!生きてて良かった!直前に聴いたシャコンヌは確かに素晴らしく、聴けて良かったと思っています。しかしとても厳格で、演奏が良かったからこそその厳しさに直面したことを、個人的に少ししんどく感じたのは否めません。そんなときに、アンダンテのあたたかでまるいチェロの音色が身も心も丸ごと包み込んでくれて、とてもとてもありがたかったです。続くスケルツォはジェットコースターのようなスリリングなスピード感のある演奏にドキドキ。チェロは優等生路線から少し外れた音色も超素敵です!トークで「(シーズンテーマの)ブラームスと関係ないけど、さし色として選曲」との解説がありましたが、こんな鮮やかな「さし色」は大歓迎です!普段ブラームスばかり聴いている私の死角になっていた部分にすっと入ってきました。

レンゲルの2曲はいずれもチェロ四重奏でした。三宅さんのお話によると、現在日本で活躍するチェリストは皆、師匠の師匠……と辿っていくと齋藤秀雄さんが教えを受けたクレンゲルに繋がるのだそう。クレンゲルの2曲は弦楽四重奏のような役割分担があるアンサンブルで、チェロの音域と表現力の幅広さには改めて驚かされました。とはいえ、高音域担当の奏者がいきなり低音で演奏することもあり、役割分担はフレキシブルでした。「主題と変奏」は舞台向かって左から武田さん(1st)、三宅さん、吉岡さん、小野木さんの席順。はじめに提示される穏やかな主題が、どんどん形を変えて変奏されていくのを楽しく聴きました。ブラームスも変奏を大事にしている人ですし、このジャンルは個人的に開拓の余地があるなと改めて。続いて「即興曲」は舞台向かって左から小野木さん(1st)、武田さん、吉岡さん、三宅さんの席順。四者四様の音域が違うチェロが重なるのはとても素敵です。曲の後半には有名なメンデルスゾーン「結婚行進曲」のメロディが現れました。チェロ四重奏だとメロディも下支えする演奏も落ち着いていて、大人の結婚式なイメージ。聴いているこちらもじんわり気持ちが高揚します。三宅さんは、メインを演奏した小野木さんのことを「さらっと演奏なさっていますが、超絶技巧なんですよ。上手い人が弾くと難しそうに聞こえない」と仰っていました。そうですよね。この日の出演者の皆様は演奏姿がとてもクールで、水面上の白鳥のようにビジュアル面でも美しく、チェロの優雅な音を聴かせてくださいました。もちろん水面下では表には見えない大変な思いをなさっていることと存じます。

ポッパー「レクイエム」はチェロ3つとピアノによる演奏。チェロは武田さん(1st)、吉岡さん、三宅さんでした。高・中・低の3つのパートのチェロはすべてが魅力的!穏やかで美しい音楽に心洗われます。また、ここのピアノに私はとてもブラームス的なものを感じました(素人の勝手な思いつきです)。しかし私はただ「美しい」と感じるだけで、「レクイエム」の本質的な部分はわかっていないのだと思います。ドイツレクイエムの実演に触れる前に、私はまだまだやることが色々とありそうです。

アンコールは2曲。まずはワーグナ「タンホイザー」より巡礼の合唱(うろ覚えです。間違っていましたらごめんなさい)をチェロ四重奏で。ワーグナーは勇ましい管弦楽だけでなく、室内楽にも合うしっとりした曲も書いているんですね。編曲者がわからないのですが、この日の演奏は弦楽四重奏のようなスタイルでした。四者四様の演奏、美しいメロディと支える対旋律が重なる良さにうっとり。続いてマスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲は、チェロ四重奏とピアノの編成で、この日初めて出演者5名全員そろっての演奏でした。この編成は珍しいらしく(ですよね!)、三宅さんが楽譜を探し出してくださったのだそう。クライマックスの、4つのチェロがユニゾンで奏でるところがとにかく素晴らしかったです!この日の演奏会はここを目指していたのではないかと思えるほど、皆が同列でお互いに高めあうチェロ・アンサンブルの良さを肌で感じられる演奏。私は胸がいっぱいになりました。やっぱり私はチェロが好き!素晴らしい企画と最高の演奏を本当にありがとうございました!


WISTERIAHALL WEBCAST では、武田芽衣さん、小野木遼さん(ピアノはいずれももちろん新堀聡子さん)の演奏動画が数多く公開されています。また、今回はチェロが歌ったブラームス「教会墓地にて」op.105-4は、バリトン駒田敏章さんによる演奏が解説・対訳歌詞付きで聴けますよ。

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ウィステリアホールのプレミアムクラシック、前回2021/07/22は2台のピアノのためのソナタでした。「のだめ」でおなじみのMozartの華やかさと、ピアノ五重奏曲2台ピアノ版のBrahmsの内に秘めた情熱や力強さ、鎌倉亮太さんと新堀聡子さんによる最高の演奏で聴けて本当によかったです!

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少し前の演奏会になりますが、2020/02/17のウィステリアホール ふれあいコンサート Vol.3 の過去記事紹介もさせてください。コントラバスとピアノのコンサートで、コントラバスは札響首席奏者の吉田聖也さん!いつもは下支えのコントラバスが主役の1時間強。小さな会場でお客さん達と一体感を味わいながらお腹に響く重低音を堪能でき、とても幸せな時間を過ごすことができました。

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札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~ジプシー音楽に魅せられて(2021/08) レポート

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2021-2022シーズン最初の札響名曲シリーズです。今までと同じく、土曜の14時にkitaraで開催。私は「ハンガリー舞曲」だけじゃなく他の演目にも興味があって、演奏会当日を楽しみにしていました。なおこの日は聴きやすい短めの演目が揃っていたためか、会場には親子連れも多かったです。

森の響フレンド名曲コンサート~ジプシー音楽に魅せられて
2021年8月21日(土)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
円光寺雅彦

【ヴァイオリン】
松田理奈

管弦楽
札幌交響楽団(ゲストコンサートマスター森岡聡)

【曲目】


ツィゴイネルワイゼンやチャールダッシュ等と呼ばれる、親しみやすいジプシー音楽の数々。とっても楽しかったです!元の素材は近いものでも作曲家によって切り取り方や料理の仕方が違うのが面白くて、このジャンルは私的に開拓の余地があるなと認識。また普段ピアノ曲やピアノとヴァイオリンの二重奏でなじんでいた曲を管弦楽で聴くのはとても新鮮でした。管弦楽は、重なることでスケールが倍増しお互いに高めあいさらに各パートの個性が際立つのがすごく良いです!私、この生き生きとした「オーケストラの森(byアキラさん)」に浸れる幸せをしみじみと実感しました。また、「カルメン幻想曲」と「ツィガーヌ」そしてアンコールでソリストをつとめられた松田理奈さんの独奏ヴァイオリンがとっても素敵でした。素人の私が大変勝手な思いつきを述べると、この日の演奏は確かな技術と表現力がありながらも優等生路線をあえてほんの少し外すような個性と、重くなりすぎない踊れるような軽やかさもあるように感じました(的外れでしたらごめんなさい)。松田さんの他の演奏(協奏曲でも室内楽でも)もぜひ聴いてみたいです。


1曲目はおなじみビゼーの歌劇「カルメン」第1幕への前奏曲。初めから全力投球のテンションあがる演奏、掴みはバッチリ!また、1曲目の演奏でこの日のテンポが大体わかった気がしました。続いてソリストの松田理奈さんが舞台へ。衣装は背中が大きくあいた鮮やかなピンクのドレスでした。プログラムノートによると、サラサーテカルメン幻想曲」は、オペラ『カルメン』の実演を見て感激したサラサーテがその様々な旋律を小協奏曲のようにまとめた作品なのだそう。はじめのほうで原曲では木管が担当するメロディを独奏ヴァイオリンが演奏し、その超絶技巧と妖艶な音色に魅了されました。低弦の序奏から入る「ハバネラ」の、独奏ヴァイオリンが高音から低音に瞬時に変わるところが印象的。またフルートから入る「セギディーリャ」では、独奏ヴァイオリンに「影のある女性」のようなミステリアスな雰囲気を感じました。クライマックスに向かってだんだんテンポが早くなって、独奏ヴァイオリンはもちろんすごいですが、呼吸を合わせるオケも素晴らしいです。タンバリンがカッコイイ!演奏に引き込まれ、あっという間の約12分でした。

バルトークルーマニア民俗舞曲」。原曲はピアノ組曲で、管弦楽版の編曲はバルトーク自身によるもの。金管オーボエ、一部の打楽器の皆様が退出し、小規模編成による演奏でした。ちなみにこの曲、私はピアノとヴァイオリンの二重奏による演奏に普段なじんでいます。今回の管弦楽版、もう超良かったです!もちろんこの日の演奏は全部良かったのですが、マイベストはこのバルトークにさせてください!まず、冒頭の中低弦の序奏にヴァイオリンが高音のメロディで重なったときの良さ!しびれました。そしてクラリネットソロとピッコロソロそしてコンマスソロの、個性的な踊りのような演奏もインパクト大でした。各パートの個性が生きる管弦楽には、ヴァイオリン独奏とはまた違った良さがありますね。全員参加のラストは、大勢の人が一緒に踊っているような生き生きとした演奏。聴いているこちらの気持ちも高揚しました。そして曲がまだまだ続きそうな感じだった締めくくりが忘れられません。

リスト「ハンガリー狂詩曲 第2番」。原曲はピアノ独奏で、アニメ「トムとジェリー」でも使われた有名な曲ですね。管弦楽版は、実家で父がよくレコードで聴いていた記憶があります。今回の演奏が始まってしばらくして、ん?知っているのとちょっと違う?……休憩時間にプログラムノートで確認したところ、今回は演奏機会が多いドップラー編曲版ではなくミュラー=ベルクハウス編曲版だったようです。ハープが入り、木管金管打楽器が大活躍するミュラー=ベルクハウス編曲版もとっても素敵です。また重厚な前半とにぎやかな後半の大きな変化も楽しめました。


後半最初はJ.シュトラウスⅡ「ジプシー男爵」序曲。明るさにワルツ王「らしさ」を感じました。低めの音の弦をベースに木管大活躍。後半は違和感なくウィンナ・ワルツになっていました。一方、次のJ.シュトラウスⅡ「騎士パズマン」~チャールダーシュは、思いっきりジプシー風。哀愁ただようアンサンブルの中で木管がアクセントに。後半テンポが早くなったところは、少し「ハンガリー舞曲」に似ているかも?と思いました。

続いてワルツ王のお友達の登場です。ブラームスハンガリー舞曲」より第5番、第6番、第3番、第1番の4曲。編曲は5と6がシュメリング、3と1がブラームス自身によるものだそうです。強弱や緩急にメリハリのある演奏で、聴きやすいメロディをより楽しめました。第3番の冒頭の木管、第1番の冒頭の弦が個人的にツボ。ちなみに私は21曲すべて好きですが、中でも特に11番・14番・17番が好きなので、いつか生演奏で聴ける機会があるといいなと思います。もちろん全曲演奏ならもっと大歓迎です!希望は言ってみる!

ラストはソリストの松田理奈さんが再登場。松田さんは黒を基調としたベアトップドレスに衣装替え。ラヴェル「ツィガーヌ」は本来ヴァイオリンとピアノの曲で、ピアノ伴奏をラヴェル自身が管弦楽版に編曲したのだそうです。冒頭は独奏ヴァイオリンの演奏をたっぷりと。音に厚みがあっても重すぎない独奏ヴァイオリンに引き込まれました。ラヴェルパガニーニ「24のカプリース」に刺激を受けてこの曲をブラッシュアップしたそうですから、独奏ヴァイオリンは絶対に難しいと思われますが、そうとは感じさせない見事な演奏でした。やがて美しいハープがシンクロし、オケも参戦。ここからしばらくは個人的に何となく東洋的な雰囲気を感じ(理由はよくわからないのですが)、私が今までなじんでいたハンガリー風の曲とは違っていたのがとても印象に残っています。後半はだんだんテンポが早くなり、チャールダッシュらしい情熱的な演奏で独奏ヴァイオリンとオケが一緒に駆け抜けました。素晴らしいです!

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アンコール
は、モンティ「チャルダッシュ。これも有名な曲ですね。独奏ヴァイオリンの超絶技巧と、包み込むオケのスケールの大きさを堪能。最後の最後までめいいっぱい楽しませて頂きました。アンコールにいたるまで素晴らしい演奏をありがとうございます!



この演奏会の6日前に親子で聴いた「札響夏休みスペシャル2021『アキラさん×札幌交響楽団』」。子供も大人も楽しめる、アキラさんの多彩な作曲・編曲の数々を札響の演奏でめいいっぱい楽しめた、最高の一時間でした!レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。 

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札響夏休みスペシャル2021『アキラさん×札幌交響楽団』(2021/08) レポート

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夏休み恒例のアキラさん×札響のコンサート。昨年親子で初参加してとても楽しかったので、今年も娘と一緒に参戦しました!同日2回公演のうち、私達が聴いたのは午後の部です。

また、この前日(2021/8/14)には「『さっぽろオンライン夏まつり2021』~札幌交響楽団スペシャル」が開催されました。札響は世界レベルのハイクオリティな演奏もできれば、うんとはっちゃけることもできちゃう、すごいかたたちが集まっています!


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札響夏休みスペシャル2021『アキラさん×札幌交響楽団』(午後の部)
2021年8月15日(日)14:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮・ピアノ・お話・作曲・編曲】
宮川彬良

【出演】
ピエロ/妖精:宮川安利

【構成】
新井鴎子

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】


子供も大人も楽しめる、アキラさんの多彩な作曲・編曲の数々。それらを我が町のオケの演奏でめいいっぱい楽しめた、最高の一時間でした!アキラさんの素敵な作品は、最近にわかに注目を集めたマツケンサンバだけじゃないんです!昨年のオケパンはショーの要素が強いかつ選曲は有名クラシックが中心でしたが、今回はちょっとイメチェンして、音楽そのものをメインに、新曲含めアキラさんの作品がてんこ盛り。昨年よりは成長したうちの小3娘だって彼女なりに楽しく聴けたようですし、もちろん宮川安利さんのパフォーマンスには大喜びしていました。私、札幌で子育てしていて本当によかった!なによりこの状況で演奏会を開催し、楽しく素敵な演奏を聴かせてくださったアキラさんと札響に大感謝です。なお客席は昨年とは異なり全席使用。家族みんなで来場していたかたも大勢いらして、定期ならSSやS席に相当する席はほぼ埋まっていました。やはりお客さんが多い方が盛り上がりますよね。感染症拡大は昨年より深刻な状況ではありますが、公営プールやバーベキュー場が閉鎖されている今、夏の思い出作りにと考えたご家族が多かったのかも。子供達とその親はもう長い間あらゆることを我慢し続けているのですから、対策をきちんとした上でなら、家族で音楽を楽しむ非日常体験はアリですよアリ!アキラさんが仰った通り、「水と空気と太陽と音楽」は同じように大事だと私も思います。会場で楽しい時間をご一緒できた皆様、夏休み最後の週末にとっても素敵な思い出ができましたよね!

開演前に舞台に目を向けると、いつものように自主練をされている団員のかたがちらほら。その舞台を見て娘が「リンボーダンスの人!」……昨年のアキラさんコンサートの運動会企画で頑張ってくださった奏者のかたを、娘はしっかり覚えていたようです。それだけインパクト大だったのだと思います。でもなんだかごめんなさい!

団員の皆様は白いジャケット、指揮の宮川彬良さんはトレードマークのおしゃれなベストと蝶ネクタイ姿でステージに登場。会場は拍手でお迎えしました。すぐに演奏開始。「はじまりはキラキラ、ノリノリに」、最初の曲は新曲「TICK, TUCK, TOCK!」です。最初から全員参加の大迫力の音がバーンと来て、娘も私もビクッとしました。しかしこんなフルスロットルの演奏がキレイに響き渡るのは、さすがkitaraです。演奏途中で指揮のアキラさんが客席のほうを向いて、手拍子の仕草。客席も手拍子で演奏に参加しました。続いて、昨年のアンコール曲だった「シンフォニック・マンボNo.5」。深刻なジャジャジャジャーンから始まった曲が陽気なマンボに早変わりし、「アーウ!」のかけ声があがったとき会場は爆笑。昨年よりコントラストがはっきりした演奏で、「運命」の厳粛な弦と、マンボのキレッキレ金管打楽器のギャップが際立っていました。このノリノリのボンゴをいつかマツケンサンバでも聴いてみたいです。

アキラさんがマイクを持ってお話されました。札響は「皆さんの宝」!はいその通りです!ありがとうございます!「音楽は大人も子供も楽しめる」というディズニーの言葉を紹介しながら、アキラさんがご出演・数多くの名曲を世に送り出したEテレの番組『クインテット』のお話になり、番組キャラクター達とアキラさんが一緒に写った大きな写真が掲げられました。私、現在高1の息子が赤ちゃんの頃に番組を見てましたよ!なんといっても音楽が素敵で、子供番組でも変に子供にこびてない感じがすごく新鮮だった記憶があります。「クインテット名曲集」、はじめは「ゆうがたクインテットテーマ」。フルオケ&ピアノによるスケールの大きな演奏に、私はリアルに鳥肌がたちました。テレビで何回も聴いた曲を、こんな素晴らしいアレンジで聴けるなんて感激!続いて、オケから5名の「札響“クインテット”メンバー」がピアノの前に集合。メンバーは、クラリネット:三瓶佳紀さん、トランペット:福田善亮さん、ヴァイオリン:田島高宏さん、チェロ:石川祐支さん、コントラバス:飯田啓典さん(演奏後には5名のお名前の紹介もありました)。加えてアキラさんのピアノと歌(!)による演奏で、番組での基本編成にコントラバスが加わったスタイルでした。曲は、番組にもよく登場していた人気の2曲「目はおこってる」と「ただいま考え中」。私は、懐かしい!というのと、こんな贅沢な演奏&アキラさんの歌で聴けて最高!とで、とても幸せな気持ちに。ちなみに小3の娘は初聴きだったのですが、帰宅後もずっと歌っていたので、クインテットの曲は気に入ったようです。私は娘の前で歌ってみて、3曲ともメロディと歌詞を覚えていて歌えたのに自分でもビックリ。他の曲もイモヅル式に次々と思い出して、自分が思っていた以上にクインテットの曲は私の血肉になっていたようです。『クインテット』、ぜひEテレで再放送を!でも欲を言えば新作を観たいです!

「アキラさんのピアノコーナー」は、ピアノ独奏の有名な曲を3つ、すべてアキラさん神アレンジ版のフルオケ&ピアノによる演奏でした。ブルグミュラー「貴婦人の乗馬」は、ピアノの練習がキライだったアキラ少年が心から楽しめた曲なのだそう。トランペットによるカッコイイ馬のいななきや、打楽器のムチがパーンのキマる等、この貴婦人はなかなか活発な印象。トランペットの福田さんは、礼をする際にスカートを軽く持ち上げて膝を少し曲げる、まるで貴婦人な仕草をさらっとキメてくださいました。サティ「ジュ・トゥ・ヴ」では、美しいオケのイントロから入り、艶っぽいピアノが始まると、舞台袖から台車で静止したピエロが登場(台車を押していたのはステージマネージャー!)。少しずつピエロが動き出し、演奏の間は舞台の上をパントマイムやバレエのような動きで華やかに踊って、会場を目で楽しませてくださいました。そしてベートーヴェンエリーゼのためにが素晴らしかったです!あの「皇帝」にも匹敵する、ピアノ協奏曲のような壮大さ。パワフル金管で派手な盛り上げ方をするだけでなく、弦のキーンという音があったり、トライアングルやカスタネットがアクセントになっていたりと様々な表情が楽しめ、ティンパニが効いたクライマックスはグリーグのピアノ協奏曲を連想させる響きでした。

イントロ的ににぎやかな管弦楽が演奏され(「TICK, TUCK, TOCK!」のさわり?ごめんなさい断言できません)、さあ体操の時間だよ!昨年も演奏された「ラジオ体操第一」、今年はよりダイナミックになりました。舞台の左右には赤白帽を被ったステージスタッフのかたが登場して(「体操のお兄さん」by娘)、全身全霊で本気ラジオ体操。奏者の皆様もご自分のパート以外では楽器を置いて大きく肩を回す等、体操に演奏にと大忙しです。客席もお隣にぶつからないように、着席のままラジオ体操を豪華なフルオケ伴奏で楽しみました。身体を動かしてリフレッシュ♪最後は「体操のお兄さん」が大きな声で「今日も一日元気に過ごしましょう!」楽しすぎます♪

今回のハイライトは、やはり最後の「オーケストラの森」です。まず照明が暗くなり、BGMとライトで雷鳴の演出。妖精さんがおびえてピアノの下に隠れると、「どうしたんだい?」とアキラさんが声をかけました。妖精さんへの語りかけが解説になっていて、声かけのたびに妖精さんはリスや鳥のぬいぐるみを取り出す等でリアクション。「ここはオーケストラの森」と、はじめにハープ+鉄琴が。鳥の声は木管、嵐は金管、雷は打楽器……といった感じで各パートが独立した演奏とセットで紹介されました。「森の木々」は弦楽器で、根はコントラバス、幹はチェロ、枝はヴィオラ、葉はヴァイオリン(1stと2ndは別々の旋律を同時に演奏)。「命がつまったオーケストラの森。弦楽器は木で出来ています」とのお話を受け、弦楽器の皆様が楽器を上に持ち上げました。こんなふうに各パートを紹介してもらえるのは、鑑賞ビギナーにはありがたいです。私はつい最近までオケの音を塊でしか聴けていなかったので……。そして演奏に。鳥たちが楽しく歌っている時もあれば嵐の時もあり、嵐の時は妖精さんがミステリアスな装いで登場して見た目の変化もあって、小さな子供達も自然にこの世界観に入り込んでいたようでした。コントラバスから始まり、チェロ、ヴィオラ、1st・2ndヴァイオリンが順番に加わり重なっていく様子は、まるで木々の生長を目の当たりにしているようで、もうとっても素敵でした。各パートはもちろん素敵だけど、重なることで掛け算の良さになるのがオケの醍醐味!ラストにP席から妖精さんがキラキラした紙吹雪をまいてくれましたが、聴いていた私達も心の中でキラキラを舞台に送っていましたよ。カーテンコールではチューバとトロンボーンに始まり、オケ全員が順番に拍手で讃えられました。素晴らしい楽曲と演奏をありがとうございます!

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アンコールの演奏はマイ・フェア・レディ」より「運がよけりゃ」。華やかな演奏が始まると、客席から自然に手拍子が始まって、とてもあたたかな雰囲気になりました。こんな感じで音楽を楽しめるのって、イイですね!私は理屈抜きに、音楽っていいなと改めて思えました。アキラさん、札響の皆様、最高に楽しい時間をありがとうございました!


私が最近聴いた札響の演奏会のうち、今回と関連するもののレビュー記事を3つご紹介します。

今回の演奏会のちょうど1年前(2020/08)に聴いた、アキラさんによる「札響夏休みスペシャルコンサート~オケパンV『ショウほど素敵な商売はニャー!!』」。音楽も演出も最高で、親子で超満喫しました!この札響の音を当たり前と思って育つ札幌の子供達がうらやましいです。 

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夏の恒例となっている札響の特別演奏会としては、「札響ポップスコンサート」もあります。私が聴いたのは今回の演奏会の1ヶ月ほど前(2021/07)に開催されたvol.18です。平成ヒットメドレーはヒット企画!札響は全員がスタープレイヤーです!後半の島津亜矢さんとオケの共演も素敵でした。 

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特別演奏会をもう一つ。今年3月に開催された「北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー」、中学校の卒業式を終えたばかりの息子と一緒に行ってきました。有名なバレエ音楽の「いいとこ取り」、親子でずっと夢中になれた演奏会でした。 

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WISTERIA HALL PREMUM CLASSIC Ⅹ 2台のピアノによる2つのソナタ(2021/07) レポート

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ウィステリアホールでの演奏会は半年ぶりです。この間2つの公演が中止・延期され、今回は待ちに待った再開でした。また今回は昨年2020年11月に中止となった公演が、演目・出演者はそのままに再企画されたもの。私は昨年から楽しみにしていた演奏会で、今回改めて聴けるとわかったときはとてもうれしかったです。早い段階でチケットゲットし、今度こそは無事に開催されますようにと祈りつつ、この日を迎えました。収容率50%以下の90席限定での開催。様々なハードルを乗り越えて開催くださり、ありがとうございます。


WISTERIA HALL PREMUM CLASSIC Ⅹ 2台のピアノによる2つのソナタ
2021年7月22日(木)14:00~ ウィステリアホール

【演奏】
鎌倉亮太(ピアノ)
新堀聡子(ピアノ)

【曲目】

ピアノは奥がベーゼンドルファー、手前がスタインウェイで、向かい合わせに配置。また手前のピアノはフタが完全に取り外されていました。


もう最高です……!コンパクトなホールで、しかもピアノ2台でこのスケールの大きさ!すごいものを聴かせて頂きました。ありがとうございます!新堀聡子さんは、この日の約1ヶ月前(2021/6/25)にオールブラームスのピアノリサイタルで素晴らしい演奏を聴かせてくださったばかり。今回の鎌倉亮太さんとの2台ピアノでは、お二方とも骨太な演奏をした上でさらに息を合わせてリズムやテンポを揃え、生き生きした音楽を生み出してくださいました。連弾とは違いピアニスト同士の距離が離れていますから、2台のピアノによる演奏はたとえ常に一緒のデュオであっても難しい気がします。普段は別々に活動されているお2人がここに至るまでには、相当入念なすりあわせと練習を重ねてこられたのでは?そして今回の「2台のピアノのためのソナタ」、超有名なモーツァルトはもちろんのこと、ややマイナーなブラームスを素晴らしい演奏で聴けたことが私は何よりうれしかったです。演奏機会が多い姉妹曲のピアノ五重奏曲(Op.34)の影に隠れてしまっている、「2台のピアノのためのソナタ(Op.34b)」。何度かお話していますが、ピアノ五重奏曲ブラームス大好きな私があえて1つだけ選ぶならこれにするくらい好きな曲です。ブラームス全集で初めて出会った時に「違う作曲家のCDが混ざっている?」と思ったほど、「らしくない」取り乱した感じに衝撃を受け、一瞬でとりこになりました。しかし今回2台ピアノによる演奏を聴いて、いやこの曲はむしろものすごくブラームス「らしい」と考えるように。確かに感情のゆらぎはあっても、時に感情的になりすぎる弦と違って、ピアノは地に足をつけている印象。さらに内に秘めた情熱や若さゆえのパワフルさを、分厚くて骨太な「ザ・ブラームス」のピアノから感じ取れました。弦がいなくて物足りないどころか、2台ピアノだからこそ、若き日のブラームスの本質が浮かび上がったと思えるほど。ブラームスは少しでも難アリと自己判断した曲は徹底的に処分した人です。そんな彼が、ピアノ五重奏曲が世に出た後でも、先に出した「2台のピアノのためのソナタ」を破棄せず残した(出版社への手紙でもそのようにお願いしています)のは、それだけ作曲家本人も気に入っていたからだと思います。そんな作曲家の思いが込められた「2台のピアノのためのソナタ」を、今回新堀さんと鎌倉さんの最高の演奏で聴けて本当によかったです。ありがとうございます!2021-2022シーズン最終公演での、新堀さんと弦のゲスト奏者4名による「ピアノ五重奏曲」の演奏(2021年2月に予定)もとても楽しみにしています!


新堀聡子さんはエメラルドグリーンのノースリーブドレス姿。鎌倉亮太さんはチャコールグレーのスーツに白いシャツ、ノータイでした。演奏を始める前に、出演者お2人によるトークがありました。お2人は大学の先輩後輩(新堀さんが4年生のとき鎌倉さんが1年生)の関係なのだそう。鎌倉さんによると、「2台ピアノ」の演奏機会が少ない理由の一つは、ピアニストに「自分が!」と主張する人が多いから(※明るくお話されていました)。また、今回演奏するモーツァルトはアニメやドラマにもなったマンガ『のだめカンタービレ』に登場した有名な曲で、聴けば「あー!」となりますとか、大学で教鞭をとる鎌倉さんがまさに今学生さん達と取り組んでいる曲、といったお話がありました。続いて新堀さんがブラームスについてのお話をされました。ブラームスは先人達へのリスペクトが強い作曲家で、モーツァルトもその一人であること。今回の演目は、弦楽五重奏曲(破棄)→(今回の)2台のピアノのためのソナタ(Op.34b)→ピアノ五重奏曲(Op.34)と作曲過程に紆余曲折があったこと。2台のピアノのためのソナタを献呈された王女が、お礼にモーツァルト交響曲第40番』の自筆譜をブラームスにプレゼントしたエピソードの紹介もありました。


「2台のピアノのためのソナタ」、前半はモーツァルトです。奥のピアノに新堀さん、手前のほうに鎌倉さんが着席して演奏が始まりました。第1楽章、最初からバーンと発せられる堂々とした音に気分があがります。明るく華やかなメロディが次々と歌うように流れてくるのはまさしくモーツァルト!高音のキラキラした美しさだけでなく、低音の下支えが効いているのが印象的でした。少しゆったりする第2楽章は、ずっと聴いていたいような心地よさ。また、お2人のピアニストのメインとサブがいつ交代したか素人目ではわからないほど自然だったのにも驚きました。第3楽章では再びスピード感ある演奏に。軽やかなメロディと、ここでもまた対する低音の下支えが素敵でした。中盤で一瞬短調に?少し哀しげな雰囲気があったところが印象に残っています。音楽の流れは最後まで止まることなく、ピアノはお2人が見事にシンクロした上で駆け抜けていきました。素晴らしい!のだめちゃんが千秋先輩とレッスンで初共演したこの曲。私はアニメを一気見したとき、連弾ではなく2台ピアノだったこともあり「まだ2人の間にはかなり距離があるな」なんて思った記憶があります。しかしこの曲は、ピアニスト2人の気持ちがバラバラならおそらく演奏が成立しない気がするので、出会って間もない時からのだめちゃんと千秋先輩は波長が合っていたのかも?そんな妄想が炸裂した、息の合った素晴らしい演奏でした!それにしても、モーツァルトは当時の音域が狭く表現できることも限られていたフォルテピアノで、ここまでスケールの大きいかつ華やかな音楽が書けちゃうんですね。後に続いた作曲家たちの多くがモーツァルトを敬愛したのも頷けます。偉大な「神様」モーツァルト先生が前座だなんて、ブラームスご本人は恐縮しちゃうかもしれませんね。


後半はブラームスです。前半とは逆に、奥のピアノに鎌倉さん、手前のほうに新堀さんが着席されました。第1楽章。冒頭の少し不穏な空気から一気に駆け上るところからもう最高です!力強い演奏には内に秘めた力を、また何層にも重なった音には複雑に絡み合った感情を感じることができ、私は最初からテンションMAXに。弦がいるとつい弦ばかりを追いかけてしまう私ですが、2台のピアノによる演奏だとメインとサブを両方同じウェイトで聴くことができました。そして同じメロディでも、やはりピアノ五重奏曲と2台ピアノでは違う印象で聞こえます。例えばチェロがどこかへ行ってしまいそうな不安定さを出すところは、クールな人が冷静さを装いつつもやや動揺しているような感じに。終盤のヴァイオリンが悲鳴をあげるようなところは、がっちりと地に足をつけた上での力強い感情の発露に。最初の楽章からブラームス「らしい」抑えきれない情熱がある上で、「らしくない」ゆらぎが同居しているのが2台のピアノで見事に表現されていました。素晴らしいです!私は第1楽章が終わったタイミングでもう大拍手を送りたい衝動にかられましたが、曲の途中ですからぐっと堪えました。続いて第2楽章。ピアノ五重奏曲だと、弦が甘くまるい音色でピアノに甘えている印象できこえたり(あくまで私見です)するのに、2台のピアノだと対等で知的な会話にきこえ新鮮でした。これは素敵!穏やかで心地よい響きを楽しみながらも、一瞬だけ少し不安な様子を垣間見せるところが印象的で、ここはピアノ五重奏曲でもピアノが演奏していたなと思ったり。そして第3楽章の良さといったら!心臓の鼓動のような冒頭からドキドキ。バーンと若き情熱が爆発し、「運命が扉を叩く音」も全力なら、それに対峙するのも全力で、演奏に圧倒され夢中になりました。2台のピアノはどちらもリミッターを振り切り全力で演奏しているにもかかわらず、リズムやテンポの変化は見事にシンクロ。中盤少し穏やかになるところは歌っているようで心に染み入ります。そして最終楽章である第4楽章へ。序奏から始まりドラマチックに表情が目まぐるしく変化していくこの楽章は、リズムとテンポがとりわけ大事。お2人は強弱や速さや間合いに細かい変化をつけながら、メリハリある演奏で聴かせてくださいました。ソロによる演奏でもおそらく難しいのに、デュオでこの一体感!素晴らしいです!聴いている私達はためらわずに音楽の流れに乗ることが出来ました。そしてクライマックスがさらに素晴らしかったです!弦に比べて落ち着いていると私が勝手に思い込んでいたピアノが、これほどまで情熱的にきこえるなんて!私は自席で震えるほど感激していました。今回の演奏を聴いて、ブラームスの「2台のピアノのためのソナタ(Op.34b)」は、たとえ「ピアノ五重奏曲(Op.34)」がなくても2台ピアノの傑作として聴いていきたい作品だと、私はそう思うようになりました。素晴らしい演奏をありがとうございます!


アンコールブラームスの16のワルツから第15番。元々は連弾の曲ですが、ブラームス自身の編曲によるピアノ独奏版(難易度が異なるバージョンが複数あり)と、2台ピアノ版(16曲の中から5つ選んで編曲、調性も変更)が存在します。特に15番は有名ですよね。私はすごく好きな曲ですし、「2台ピアノ版」は録音が少なく聴く機会がまれなこともあって心の中で大喜び。ブラームスのワルツは、彼らしい音の厚みはあっても可憐な感じ。お2人の演奏は、先ほどまでのガッチリ骨太なものとは違い、まるで小さな存在を慈しむかのようなやさしさを感じました。テンポも速すぎたり遅すぎたりせず、心地よかったです。ああブラームスってこんな人なんですよね……!アンコールの演奏を聴きながら、私はしみじみとその良さをかみしめていました。新堀さん、鎌倉さん、アンコールまで素敵な演奏をありがとうございました!


WISTERIAHALL WEBCAST では、アンコールで演奏されたブラームス 16のワルツ Op.39-第15番 変イ長調(2台ピアノ版)を鎌倉亮太さんと新堀聡子さんの演奏で聴けちゃいます!他にもブラームス ハンガリー舞曲集 WoO 1 - 第5番 、J.S.バッハ 主よ、人の望みの喜びよ BWV 147 の動画も公開されています。超おすすめです!

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2021/6/25に聴いた、新堀聡子さんのピアノリサイタルのレビュー記事は以下のリンクからどうぞ。ブラームス最晩年の小品、変奏曲、ソナタ第3番、アンコールに至るまで、私が思う「ザ・ブラームス」な演奏に胸がいっぱいになりました。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札響ポップスコンサート Vol.18(昼公演)(2021/07) レポート

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いつも「札幌交響楽団」三昧の私でも、「札響ポップスオーケストラ」は今回が初。そしてKitaraは2021年7月にリニューアルオープンしたばかりで、そのKitaraに私が足を踏み入れた最初の演奏会でもあります。昼夜2回公演のうち、私が聴いたのは昼公演です。


札響ポップスコンサート Vol.18(昼公演)
2021年7月14日(水)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮・編曲・お話】
藤野浩一

【ゲスト(歌)】
島津亜矢

管弦楽
札響ポップスオーケストラ(コンサートマスター:田島高宏)

ピアノ:青柳誠
ギター:小堀浩
エレキベースChris Silverstein
ドラムス:Scott Latham

【曲目】
第1部 札響ポップスオーケストラ

  • 平成ヒットメドレー

第2部 島津亜矢を迎えて

  • アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN
  • 大空と大地の中で
  • 時代
  • 帰らんちゃよか
  • Pretender
  • This is Me(映画「グレイテスト・ショーマン」より)
  • (アンコール)I Will Always Love You


たまにはクラシックとは違うオケも良いですね。楽しかったです!ポップスといっても新しすぎる曲はなく、映画音楽や既に懐メロになっている曲が中心で、普段150年前の曲ばかり聴いている私でもハマれました。クラシックとは勝手が違うため、演奏はおそらく大変なことと存じます。しかし当たり前ですがオケに不安要素は皆無!安心して音楽に身を任せられました。また編曲が良かったです!各楽器の見せ場を作ってくれたり、盛り上がるところと控えめなところのメリハリがあったり、ポピュラーな曲をオーケストラ演奏で聴く良さを十分に味わえました。。そしてベースやドラムといった客演の皆様がごく自然にオケとなじんでいて、いつものオケの音色がよりポップスらしくなっていました。ありがとうございます!今回「Vol.18」と、回数を重ねてきたポップスコンサート、今後も良い形で継続されるといいなと思います。

第2部に登場した島津亜矢さんの歌も素敵でした。演歌歌手とはいっても、常時こぶしを効かせた歌い方をするのではなく、曲に応じて透明感だったり語るようにだったりと表情を変えていらしたようでした。今までクラシックとはなじみがなかったと仰る島津さん、「歌と同じで喜んだり悲しんだり」と形容したオケにも心遣いしてくださっていました。心を込めた歌からも誠実なお人柄がうかがえましたし、ファンのかたが多いのも頷けます。ただ個人的には、生音の響きが楽しめるkitaraの利点を活かして、できればマイクは通さない生の声での歌を聴きたかったです。声量はおありなのでイケるのでは?しかしクラシックの声楽家とは声の出し方が異なると思われますから、ノドを守るため等の理由があるのでしたらごめんなさい。

そして今回は客席が本当に素晴らしかったです!平日昼間の開催にもかかわらずほぼ満席で、P席や3階席までお客さんでいっぱいでした。関係者・招待客だけではこうはならないはず。毎年参加するかた、そしてもちろん島津亜矢さんのファンの皆様が、心待ちにしていらしたコンサートなのですよねきっと。またざっと見渡した限り、いつもの札響定期演奏会でお見かけする会員のかたたちとは客層が違う印象でした。挨拶の肘タッチやカーテンコールで何度も舞台に出たり入ったりする様子に笑いが起きたのは、きっとそんなふるまいを初めてご覧になったお客さんが多かったためと思われます。しかしマナーはとても良く、演奏中に手混ぜでガサゴソしたり声を出したりする人は私の席周辺にはいませんでしたし、拍手するタイミングでは皆さん全力の拍手をされていました。終演後の分散退場では、フライング退場した人はごく一部で、ほとんどの人がアナウンスを待って静かに退場。こんなふうにコンサートを聴けるかたが札幌に大勢いらっしゃるとわかり、私は静かに感激しました。今回のコンサートで札響の音をステキと感じてくださった皆様、今度は主催公演にもぜひいらしてください!クラシックを「老舗のブランド品」なんて、そんな堅苦しいことは考えなくていいですから!私みたいに楽譜さえ読めない素人だって、大好きな低音の響きをお腹で感じるのが快感!とか、推しの奏者がソロを弾くのを見届けたい!とかそんな感じで自分なりに思いっきり楽しんでいますよ。ちなみに今回と同じ会場のkitaraで来月8月から始まる「名曲シリーズ」は、どこかで聴いたことがある有名で短めな作品をたくさん聴ける、楽しい演奏会です。どうぞお気軽にぜひ!


団員の皆様は白いジャケット、指揮の藤野浩一さんは赤いジャケット姿でステージに登場。最初の曲は「シャングリ・ラ」。オケの美しい音がKitaraに広がった瞬間、一気に空白期間を縮め、Kitaraに帰ってきた!とうれしくなりました。「晴れた日に永遠が見える」でも透明感のある響きを楽しめて、「炎のストリングス」ではジェットコースターのような弦のうねりに管楽器打楽器も全力で盛り上げてくれました。素晴らしい!しかし例えばシベリウスのエグい弦(語弊)だって難なく弾きこなしてしまう奏者の皆様のことですから、これくらいは序の口ですよねきっと!曲の合間のトークで、指揮の藤野さんは「本当に幸せ」と仰っていました。昨年は中止となり、2年ぶりの開催だったとのこと。万感の思いを込めての演奏、会場にいたすべての人達に響いたと思います。聴いている私達も気分があがりました。

お待ちかね!札響のスタープレイヤーたちのコーナーです。はじめはクラリネットの白子正樹さんが「天文台ロゼッタ」(ゲーム「スーパーマリオギャラクシー」のBGMで今回はジャズ風のアレンジ)、続いてチェロの石川祐支さんが「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」(こちらもジャズ風の曲でした)を演奏。この演奏をその場で聴けた人達は超ラッキーでしたよね!もう素敵すぎます!生きてて良かった……!いつものクラシックとはカラーが違う曲だって、こんなにムードたっぷりに見事な演奏で聴かせてくださるソリストのお二人と、もちろんオケの皆様に大感謝です。指揮の藤野さんは、白子さんにソロを依頼するのは今回で3回目で「どんどん要求が難しくなっている」と仰っていました。そして、石川さんのことは「ビロードのような」「セクシー」といった形容に加え「生臭い(!)」とも。石川さんが釣りを趣味にされているからだそうですが、言い方(笑)!まあ、大勢の注目を集めている中で「セクシー」なんて言われたらご本人は赤面しちゃうでしょうから、少し和ませてくださったのかも。なお今回ソリストを務めた白子さん・石川さんは室内楽でも引く手あまたで、今年度はお二人がそれぞれ出演する室内楽コンサートがいくつも予定されています。私、いずれも必ず聴きにうかがいます!

絶対に編曲も演奏も大変と思われる、平成ヒットメドレー。これはヒット企画でしたね!私、叶うことならもう一度聴きたい!指揮の藤野さんは「平成時代は色々ありました」と、震災のお話などをなさいました。少し場がしんみりしたところ、「あの頃お母ちゃんはキレイだった」等、きみまろ的なくだけたお話で空気を和ませる方向に。また「クイズです。何曲登場するか数えてください」とのお声がけもありました。私は数えたわけではないですが、全部聞き覚えがある曲で「♪つーけまつーけまつけまわすー♪」なんて脳内再生しながら楽しく聴きました。きっとご年配のかたでも置いてけぼりにならない、紅白登場曲など超有名曲を中心に構成されていて選曲が絶妙だと思います。アムロちゃんもモー娘もAKBも出てきて、あとは平成の曲だけでなく、荻野目ちゃんの「ダンシングヒーロー」やプリプリの「ダイヤモンド」は昭和では?とか、クラリネットソロがステキだった「大きな古時計」は100年以上前のアメリカの曲でもはやクラシックでは?とか。でも、楽しかったので何でもアリですアリ!ちなみに登場した曲は全部で31曲だったそうです。

演奏内容を少しだけ詳しく。最初は不朽の名作「川の流れのように」で流れるような弦の後のトランペットソロがカッコイイ!次々と曲が入れ替わりその度にソロを担当する奏者も交代しましたが、その時の主役にはスポットライトがあたるので、今どなたがメインで演奏しているかは一目でぱっとわかる仕様です。面白かったのは「だんご三兄弟」のチューバ!大きなチューバを抱え立ち上がっての演奏、見た目のインパクトも強烈でした。そして私は主役はもちろんのこと、支えるバイプレーヤーにも注目。コントラバスのピッチカートが控えめに入ったり、オーボエソロのメロディに独奏チェロが寄り添ってくれたり。そして特筆すべきは打楽器の皆様の活躍です。「新世界より」の一度きりのシンバルとは訳が違う(それだって難しいと思いますが)、例えばシャカシャカとマラカス振った次の瞬間ボンゴをパンパカ叩き間髪入れずシンバル持ち替え……とずっと何かしらの楽器を鳴らしている超多忙ぶり(腱鞘炎が心配……余計なお世話ですねっ)。しかも激ウマです!テイストの違う曲がどんどん来る中で、楽器持ち替えもテンポの変化も当たり前のように対応して音楽の鼓動をつくるなんて、すごすぎます。もちろん特定の奏者に限らず全員が一丸となって、テンポはバッチリ揃って流れを止めること無くこの難曲(と言っていいと思います)を見事なアンサンブルで聴かせてくださいました。素晴らしいです!目立つソロを演奏した人だけじゃなく、札響は全員がスタープレイヤーなんですよ!


後半は島津亜矢さんが登場。会場はひときわ大きな拍手でお迎えしました。白を基調とした夏らしい柄の振り袖姿。歌の合間には島津さんのトークがありました。また指揮の藤野さんは、後半では黒いジャケットにお着替えして指揮に徹しておられました。最初の曲「アイノカタチ」が思いっきりJ-POPで、和装姿の島津さんがのびやかに歌われるのに素直にビックリ。大きな帯でお腹を締めていてもこの声量で歌えちゃうんですね。さすがです。道民にはおなじみの「大空と大地の中で」は、私はオケだけバージョンを以前やはり札響の演奏で聴いたことがあるのですが、歌とオケのコラボも素敵です。中島みゆき節ではない「時代」は、透明感のある歌声が新鮮。「帰らんちゃよか」は、私も九州出身なので訛りを懐かしく聴きました。みかん、わかる!「Pretender」は素敵な歌はもちろん、オケの演奏の壮大さもツボで、いつも鼻歌で歌っているうちの子供達にも聴かせてあげたかった、なんて思ったり。「This is Me」は、歌が英語!とまず驚き、しかしすぐに声量がある歌声を楽しめました。

アンコールは、「I Will Always Love You」。歌が始まったとき、私は「映画『ボディーガード』!ホイットニー・ヒューストン!」とピンときました。島津亜矢さんがカバーして歌っていらしたのですね。はじめのうちはほぼアカペラで歌声を堪能するスタイルで、オケは後から参戦。島津さんはまっすぐパワフルに歌い上げて、オケに負けない迫力でした。これはマイクないほうがより響きを堪能できたのでは(まだ言う)?なおネット情報によると、この「I Will Always Love You」は島津さんが「演歌」の枠を超えブレイクスルーのきっかけとなった曲だそう。大切な曲を最後に披露くださりありがとうございます!

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夏の恒例&親子で楽しめるコンサートとしては、テレビでおなじみアキラさんによる「札響夏休みスペシャルコンサート」もあります。私は昨年(2020年8月)初めて親子で聴き、超満喫しました!今年も娘と一緒に参戦しますよ!昨年のコンサートのレビュー記事は以下のリンクからどうぞ。 

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札響公式YouTubeチャンネルでは、定期演奏会の数日前から「オンラインロビーコンサート」が無料公開されてます。オケとはまた違った良さが味わえて、超おすすめです!昨年のステイホーム期間中に始まった「札響映像配信プロジェクト」もあわせてお楽しみください。

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今回の札響ポップスコンサートの4日前(2021/7/10)に聴いた札響定期演奏会では、ジャズピアニストの小曽根真さんによるラフマニノフピアノ協奏曲第2番」がとにかく素晴らしかったです!小曽根真さんが掲げる「ボーダーレス(=音楽という言語にジャンルは必要ない)」は、本当にその通りだと私は肌で感じました。弊ブログのレビュー記事は以下のリンクにあります。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。