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札幌交響楽団 第636回定期演奏会(土曜夜公演)(2021/4)レポート

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2021-2022シーズン最初の定期演奏会は、当初の予定から演目はそのままにソリストおよび指揮者の変更がありました。詳細は上の演奏会詳細ページを参照ください。なお、札響首席指揮者のマティアス・バーメルトさんのビデオメッセージが公開されています。会えない時間はつらいですが、バーメルトさんのお元気な様子を拝見できてほっとしました。9月にはきっと来札が叶いますように。


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また、2021年度は『札響オンラインロビーコンサート』が開催されるそうです!ありがとうございます!初回は2つのフルートとチェロによるトリオ。うれしくて私は本番前に繰り返し聴きました。どなたでも下のリンク先から視聴できますよ。

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札幌交響楽団 第636回定期演奏会(土曜夜公演)

2021年4月24日(金)17:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
秋山和慶

【独奏】
小菅優(ピアノ)

管弦楽
札幌交響楽団(ゲスト・コンサートマスター:会田莉凡)

【曲目】


3つの演目それぞれの個性と、何より独特のリズムが新鮮で、今まで意識してこなかった作曲家の作品ばかりでも楽しく聴けました。秋山和慶さん×札響を私は信頼しています。今回も期待以上!またもや新たな扉が開かれました!また小菅優さんのダイナミックなピアノには圧倒され、初めて聴く曲でも夢中になれました。依然続く出入国制限のため、恐ろしいことに私達は出演者変更に慣れつつあります。しかし突然の代役を依頼されるソリストと指揮者のかたは大変ですよね。限られた準備期間にもかかわらず、そうとは感じさせない素晴らしい演奏をありがとうございます!

バーメルトさんが掲げた2021年度のテーマは「愛と死」。プログラムには、それぞれの演目を選んだバーメルトさんの思いが綴られていました。今回に関しては前半2曲が「愛」で、「死」は次回以降のようです。いつもながらプログラム冊子は読み応えありますね。私は今までの分もすべて、演奏会後も大切に保管しています。またネット情報によると、今回登場したストラヴィンスキーは次回5月の第637回定期演奏会で取り上げられるリムスキー=コルサコフグラズノフ、そして武満徹との関連があるようですし、まさに「1年を通してひとつのプログラム」なんですね。私、次回の定期も聴きにうかがいます!

なお今回はゲスト・コンサートマスターとして会田莉凡さんがオケを牽引してくださいました。田島さんはそのお隣で演奏。ありがとうございました。会田さん、今後コンマスでもソリストでも時折札響にいらしてくださいね。そして今の田島さんお一人体勢のままだとご負担が大きいと思われますので、できれば早いうちに常任のコンマスが増えますように。


1曲目はフォーレ組曲ペレアスとメリザンド。多くの作曲家が同じ物語を題材にした作品を手がけているようですが、今回はフォーレの作品です。過去の札響演奏歴は13回で、ほか「シシリエンヌ」のみなら22回。冒頭の弦の美しさに、ああ今回も来て良かったと思い、物語をよく知らない私でも演奏そのものを楽しめました。そして超有名な「シシリエンヌ」がやはりハイライトですよね。美しいハープ、そしてメインのフルートがとっても素敵!心に染み入る音楽。メロディを鼻歌レベルで知ってはいても、生演奏を聴くと「こんなに良い曲だったんだ」とまるで別物に聞こえます。他にも木管が印象的シーンはあってそれぞれ素敵だったのですが、シシリエンヌのフルートのインパクトは絶大でした。3月の定期のラヴェルに引き続きフルート大活躍!また意外にもチェロが良い仕事していて(フランス人作曲家の管弦楽作品にそんなイメージなかったので)、今後フォーレ室内楽だけでなく管弦楽にも目を向けようと思いました。


2曲目はバルトーク「ピアノ協奏曲第3番」です。過去の札響演奏歴は2回で、前回1992年9月(ソリストは若林顕さん)の指揮も秋山和慶さん。私は小菅優さんの生演奏を聴くのは今回が初めてでした。以前ふきのとうホールでのリサイタルのチケットを取れず、今後もレジデントアーティストとして定期的にいらっしゃるから大丈夫とその時はあっさりそう思っていたんです。結果としてこの日までチャンスは訪れず……。この日ソリスト小菅優さんの衣装は濃いボルドーのドレスでした。私は初めて聴く曲でしたが、素敵ですね!バルトークは亡くなる直前の体調が思わしくない時期にこの生命力を感じさせる曲を書いたなんて、本当にすごいです。第1楽章、個人的には新緑の中を駆け抜けるような爽快さを感じました。ピアノが主役のところはもちろん素敵でしたが、オケのターンで伴奏にまわるピアノがツボ。すごい存在感!続く第2楽章の前半は晩秋の美しさかも?ピアノとオケが穏やかに語りあうのがイイですね。あと後半で個人的にとても印象に残っているのが、ピアノと見事に合った大太鼓の会心の一撃!一度きりなのにぴたっと合うのが気持ちよかったです。第3楽章、最初からピアノがカッコイイ!独特のリズムにドキドキして、オケはティンパニが印象的。そして高速かつ華やかなピアノ!小菅さんの貫禄ある演奏に引き込まれました。

 

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ソリストアンコールはバルトーク「10のやさしいピアノ小品第5曲<セーケイ人たちとの夕べ>」。私はこちらも初めて聴く曲で、時折聞こえてくる祭り囃子のような音に日本的なものを連想しました。なぜかハンガリー風のリズムは私達になじみやすいと感じます。今回の演奏を聴いて、私は今までノーマークだったバルトークに興味がわいてきました。小菅さん、素晴らしい演奏をありがとうございました!今度はふきのとうホールでのリサイタルや室内楽を拝聴したいです。


後半はストラヴィンスキー交響曲第1番」。プログラムには「ストラヴィンスキー没後50年記念」とあり、また交響曲第1番は今回が札響初演だそうです。作曲家若き日の意欲作は、生きる喜びが感じられるようで、私は自分なりに楽しく聴けました。冒頭、中低弦から静かに始まるもすぐに全員参加となり、壮大な世界が広がりました。慣れ親しんできた交響曲のスタイルと似ていたため、最初身構えていた私はすぐに安心して聴ける体勢に。「たーらららーらーらーらーらー」の主題が明るく繰り返される度に気分もアガりました。楽章の終わりではこの主題をこれでもかと引っ張ったので、ストラヴィンスキーさんはここのメロディを気に入っていたんだろうなと。第2楽章もひき続き明るく、今度は楽章の締めくくりで余韻を残さずぴたっと音が止まったのが印象的でした。徐々にフェードアウトするスタイルに私が慣れていたせいかも。第3楽章は一転して物悲しい雰囲気で、こちらも素敵。木管がメロディをリレーし、美しい弦が寄り添ってくれました。そして独奏フルートと独奏チェロが会話するようなところがあって、今回のオンラインロビコンがフルートとチェロになった理由はこれかも?と勝手に推測。第4楽章は最初から遠慮なく明るく大盛り上がり。お祭りのようでも行進曲のようでもあるユニークなリズムが楽しかったです。ストラヴィンスキーは「春の祭典」で大胆な舞踏のリズムを発表する前に、「作品1」で既に個性を発揮していたのですね。私、演奏機会が少ない曲を、最高の演奏で聴けてよかったです。ストラヴィンスキーを演奏会で取り上げるとなると、やはり有名なバレエ音楽のほうが喜ばれるのかもしれません。しかしストラヴィンスキー交響曲第1番、良い曲なのでもっと知られてもよいはず。いずれにせよ今回は札響初演でしたから、オケのメンバーには初めて演奏したかたが多かったのでは?限られた準備期間でこのハイクオリティな演奏、素晴らしいです。ありがとうございます!そして指揮の秋山和慶さん、やっぱりすごいお方です!御年80歳にしてあの見事なキレッキレの指揮。音が鳴っているときはもちろん良いのですが、私が密かに驚いたのは意味ある間合いや一瞬沈黙するところがビシッと気持ちよくキマること。指揮の動きで演奏がきっちり変化するのを目の当たりにして、私には指揮棒が魔法のステッキに見えてしまいました。素人丸出しでごめんなさい。言うまでもなく魔法なんかじゃなくて、オケと心通じ合い的確な指示が出せる秋山さんと、指揮について行ける奏者の皆様のお力があるからこそです。秋山さん、今回も札響を導いてくださりありがとうございました!


なお今シーズンから定期演奏会の開催日時は土曜17時と日曜13時に変更になり、私は今回土曜17時を選びました。個人的にはよかったと思います。私が見た限りでは、昨年度までの金曜19時は割と空席が目立つ印象でした。一方、今回の土曜17時は9割以上の席が埋まっていましたし、終演後(時計を見ると19時前!今までなら開始時刻!)に慌てて席を立つ人は少なく、分散退場がスムーズだった印象です。個人的にも帰宅後は家事諸々があるので、夜の時間に余裕があるのは助かります。もしかすると初回の今回は開始時刻を勘違いして遅刻した人がいたかも?でもこれは慣れるしかないと思います。ちなみに主催公演のうち新・定期は平日19時、名曲シリーズは土曜14時開演と、これらは変更ナシなので、従来のスケジュールの方が都合が良いかたにも配慮されています。

ちなみに私は今回1階の後方寄りのSS席を選びました。オケ全体が見渡せて、大きな音が響くときも素直に聴けるのはよかったです。ただ奏者の手元の細かな動きまでは見えなかったため、これならS席でも2階の前方のほうがもっとよいかも?とも。あとはA席になりますが、2階R1やL1の舞台に近い席にもいつか座ってみたいです。hiraruは上の階の後方は急勾配がコワく、また端のほうの席だと舞台が見えないところがあるようなので、それら以外なら色々と試せたらいいなと思っています。


ピアノの小菅優さんがクラリネットの吉田誠さんと組んだCD「ブラームスクラリネットソナタ(全曲)、シューマン:幻想小曲集ほか」、私はヘビロテしています。他のCDを含む感想記事を弊ブログにアップしていますので、よろしければ以下のリンクからどうぞ。今後ふきのとうホールで予定されている演奏会の数々、きっと開催実現しますように。 

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私が秋山和慶さんと出会ったのは、2020年10月のNHK主催「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」。初めて聴いた演奏会で私は秋山さんの大ファンになりました。以降、2020年10月の名曲シリーズ、2020年12月の第九、そして今回2021年4月の定期と、3度も代役として札響を指揮してくださり、私はすべて聴いています。そして今後秋山さんが札響を指揮するのが決まっているのは2021年9月の名曲シリーズ。筋金入りの鉄道マニアという秋山さんが、「鉄道」がテーマの演奏会でどんな演奏を聴かせてくださるのか、今から楽しみです! 

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そしてマティアス・バーメルトさんとの出会いは2019年1月の定期演奏会で、これが私の記念すべき定期演奏会デビューでした。私にとって札幌交響楽団=バーメルトさんなのです。私は2019年度にはセット券「バーメルトの四季」を購入し、特典の交流会ではサインを頂いて厚かましくも2ショット写真まであります。いつでも会える感覚でいたのに、まさか2020年1月の定期を最後に今日まで会えない日が続いているなんて……。様々なハードルがあることは承知していますが、2021年9月の札響60周年記念となる演奏会では、きっとバーメルトさん指揮の「ドイツレクイエム」が聴けることを願っています。 

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クラウドファンディングのリターン「札響1961-2020特別CD」には、秋山さん、バーメルトさんの演奏録音も収録されています。札響の年輪となっている演奏録音の数々、私は何度も繰り返し聴いています!弊ブログに「札響1961-2020特別CD」を含む「2020年 札幌交響楽団 動画配信および非売品CDについてのまとめ」の記事もありますので、よろしければお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第5回 (2021/4)レポート

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今回2021年4月の新・定期は、2020年3月に公演中止となった定期演奏会が再企画されたものでした。しかし残念ながらピアノ・指揮のオリ・ムストネンさんの来日が叶わず、演目と出演者を変更しての開催。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はピアノ編曲版ではなく原曲に変更され、しかもソリスト竹澤恭子さん!彼女のライブ演奏に触れて大袈裟じゃ無く人生変わった私ですから、行くに決まってます!

また、今回の公演前に札響動画配信プロジェクト第18弾として、『札幌文化芸術劇場hitaru』での楽器搬入の様子を紹介した動画が公開されました。一般人が入れないバックヤードでの作業、舞台裏を拝見できてうれしかったです。ありがとうございます!


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札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第5回 (2021/4)
2021年4月14日(水)19:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
高関健

【独奏】
竹澤恭子(ヴァイオリン)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】


今回もすごかったです竹澤恭子さん!その演奏を目の当たりにした人なら誰もが圧倒されるはず。実際、平日夜にもかかわらずほぼ満席だった会場は拍手の嵐でした。また帰り道「あのドレスのヴァイオリニストさん、すごかったね!」との会話が耳に入ってきて(立ち聞きごめんなさい)、竹澤恭子さんを知らないかたにも演奏の素晴らしさ響いたとわかり私はひとりでうれしくなりました。竹澤恭子さんと同じ時代に生きてそのライブ演奏に触れられる私達は幸せです。前回竹澤さんと札響が協演したkitaraでのプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」(2019年6月)も素晴らしかったですが、個人的に今回は前回より少しは落ち着いて聴けたおかげでより楽しめました。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は目を引く派手さはないのに、竹澤さんの意思ある独奏ヴァイオリンに引き込まれ、夢中になって約45分があっという間。ある意味平坦な曲(演奏は難しいはずですが)なので、ただ弾きこなすだけなら「聴ける」演奏にはならない気がします。ちなみにベートーヴェンの協奏曲は、ブラームスの朋友で名ヴァイオリニストであるヨアヒムが好んで演奏したのだそうです。またヨアヒムの全面協力のもとで作曲されたブラームスのヴァイオリン協奏曲は、ベートーヴェンと同じニ長調で、楽器編成は完全に一致(おそらくあえてそうしたのかと)。竹澤恭子さん、ブラームスのヴァイオリン協奏曲もいつか必ず聴かせてください!そしてベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲については、ベートーヴェン自身がカデンツァを書いたというピアノ編曲版もいつかきっと生演奏で聴きたいです。

札響とは密接なつながりがある指揮の高関健さん、私はお初にお目にかかりました。テレビでは「指揮者のシゴト」特集でオケのメンバーおひとりおひとりと誠実に向き合っていらした様子や、トークでは低めの良いお声で面白いことをボソっと仰っていらしたのがとても印象に残っています。きっと札響とも良い関係なのだと、演奏から伝わってきました。なお今回はオケの弦の配置がいつもと違っていて、舞台向かって左から第1ヴァイオリン、チェロ(その後方にコントラバス)、ヴィオラ、第2ヴァイオリン。この配置は高関さんのご意向なのでしょうか?中低弦の近くのつもりでR側の席を確保した私はちょっと当てが外れました(笑)しかし視線のまっすぐ先にチェロとコントラバスがいるのも良いですね。また私は今回かぶりつき席より気持ち後ろに下がった席にしたので(分散退場では2番目に呼ばれるエリアです)、オケ全体を見渡せましたし、パワフルな金管も素直に楽しめました。

そしてシベリウス交響曲第2番、超イイですね!私、こんな良い曲を今まで知らずに生きてきたのがもったいなかったです。ちなみにプログラムにあった札響指揮者の松本宗利音さんのコラムには、「札響によるシベリウスには、北国ならではの『抑制された内向的なアプローチの蓄積』があることを感じます」と書かれていました。やはり札響はシベリウス!私は本質的なことはわかっておらず、それこそ作曲家が「浅薄な理解に嫌気がさす」レベルの聴き手かもしれません。しかしたとえ私がきちんと理解できていないとしても、これを素敵!と感じられるのは幸せですし、また聴きたい!と思えるうちは何度でも演奏会に足を運びたいです。それにしても、札響奏者の皆様はタダモノじゃないなと改めて感じました。オケの奏者はソリストとは違う難しさがあるのだと思います。おひとりおひとりが素晴らしい演奏家でありながら、指揮者についていき周りと調和しながら自身はベストな演奏をするって、並大抵のことではないはず。プロのお仕事とはいえ、頭が下がります。協奏曲だってソリストのみでは成立しないわけで、私達がソリストに夢中になれるのはオケが信頼できるからこそでもあるんですよね。地元にこんな素晴らしいオケがいて、その演奏をご近所の良いホールで聴けるなんて、本当にありがたいです。


前半1曲目はペルト「カントゥス」です。私は作曲家の名前からして初耳でした。札響の過去の演奏歴は1回のみ。その2003年7月kitaraの演奏会での指揮も高関さんとのことで、高関さんの隠れた十八番とお見受けしました。編成は鐘(!)と弦。鐘はハンマーで叩いて音を出すものでしたが、「のど自慢」で見るような音が多いものとは違う、音が一つのシンプルなもの。その鐘のカーンという音が冒頭の一打から曲全体を通して絶妙なタイミングで入ってきて、存在感すごかったです。10分に満たない短い曲、しかも変に凝ってないつくりで、存分に札響の弦を堪能できました!最後に弦の奏者の皆様が全員同じように弓を上げた姿勢で止まっていらしたのが印象に残っています。この後に控える2つの大作の前に、純粋に弦の美しさを楽しめる曲が聴けてよかったです。


2曲目はいよいよベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」。プログラムによると今回のカデンツァはクライスラー作だそうです。竹澤恭子さん登場、待っていました!フリルの袖に胸元と背中が大きく開いたコーラルピンクのドレス、お姉様カッコイイ!はじめはオケのターン。最初にティンパニの小さな音から入るとか木管と高音弦の美しさを下支えする中低弦の存在感とか、録音でぼんやり聴いていた時は気付けなかった良さを知り、良い曲だなと今更ながら実感。私は今まで何を聴いてきたのかと……。しかしやはりソリストが登場してからが本番です。ゴメンナサイここからはソリストに全集中。高音で流れるようにメロディを奏でるときも、オケの伴奏にまわるときも素晴らしく、弱い音での演奏もインパクト大。そして長いソリストの独奏へ。竹澤さんの演奏はいつもながら期待以上、さすがです!おひとりでの演奏なのにいくつもの音が重なるふくよかな響き。二重どころかそれ以上の音が重なっているように聞こえましたが、どうやって演奏しているんでしょう?私はまた呼吸を忘れる勢いでのめり込みました。第2楽章、冒頭のオケの美しい響きで視界が開けたような感じに。穏やかに響くホルンや木管が印象的。独奏ヴァイオリンは、木管と会話するようなところも単独での高音の演奏も繊細で優雅で、私が勝手に抱いていた竹澤さんの強いイメージとは違っていたのが個人的には新鮮でした。オケががらっと雰囲気を変えてくれてそのまま第3楽章へ。民謡風のあたたかな響きが沁みます。おそらく演奏は難しいのでしょうが、そうとは感じさせない、踊ったり歌ったりしているような独奏ヴァイオリンに引き込まれます。ただひとりで突っ走るのではなく、オケと自然に呼応しながらの演奏はまるで音楽に意思があるようです。ラストはオケと一緒に締めくくり。素晴らしい!ありがとうございます!私は専門的なことはわからないですし、好きな演奏家をひいき目に見ていることは自覚しています。しかし私は、今回の生演奏を聴いて初めてベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を「また聴きたい」と思えるほど好きになりました。平坦だなんてとんでもない思い違いで、音楽に生命を吹き込むのは演奏次第。あのヨアヒムがこだわり続けた理由がほんの少しわかった気がします。私、今回はソリストに夢中になっただけで曲そのものを深く味わうまではできなかったのが悔しいです。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、次に生演奏を聴けるときには少しでも本質的な良さを捉えられるよう、私は今後ピアノ編曲版も含め様々な録音を聴いていこうと思います。

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ソリストアンコールは、バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番 BWV1004 サラバンドカデンツァでも見せてくださった音の重なりを、今度はバッハで。超有名曲ですから、演奏が始まってすぐ私は「バッハだ」と気付きました。しかしよく知る曲でも初めて聴いたような鮮烈なインパクトで聞こえる、これぞ竹澤恭子マジック!目の前の演奏を堪能しつつ、私はなぜ新定期は1日だけ?2日あるなら次の日も聴きに来るのに!とか、もう一度ふきのとうホールでリサイタルを聴きたい!とか、そんなことを思ったりもしました。会場はまたまた拍手の嵐!竹澤恭子さん、突然の出演依頼にもかかわらず、今回も最高の演奏をありがとうございます!これからもオケとの協演でもリサイタルでも、何度でも札幌にいらしてください。私は万難を排して聴きにうかがいます!


休憩後の後半はシベリウス交響曲第2番」。楽器編成はブラームス交響曲第2番とほぼ同じで、違いはシベリウスのほうがトランペットが1つ多い3つになっていること。また偶然どちらの曲もニ長調でした。なお今回チューバはおひとりの奏者がシーンに応じて2つの楽器を持ち替えて演奏されていました。第1楽章、長調の曲でもどこか哀しげな雰囲気があるのは私好み。第1・第2ヴァイオリンが同じメロディを大変美しく演奏した際、舞台の左右からステレオで響いてきて、今回の配置が活きているなと感じました。そして第2楽章で私は完落ちです。ティンパニから始まり、低弦のピッチカートが印象的。そこにファゴットの低い音が重なるとぞわぞわしました。パワフル金管のド迫力すっごい!男前!ほれてまうやろー!トランペットのソロもとても素敵でした。また弦が蜂の大軍みたいなうねる音を奏でたり超高速で演奏したりと、お若いかたもベテランのかたもこのハイレベルな演奏を難なくやってしまうのですからすごすぎます。シベリウスさん、特に弦への要求が難易度高くてエグいですね(褒めてます)。第3楽章では木管が主役のターンでチェロが重なるところ(1度目は首席のみ、2度目はチェロパート全員で)があって、このさりげない登場にやられました。ほんの短い演奏でも素敵すぎ!ここ何度も繰り返し聴きたい……。シベリウスさん、ニクイ演出をありがとうございます!少しゆったりしたところからだんだんと駆け上ってそのままフィナーレの第4楽章へ。超気持ちいい!こんな身体感覚があるから生演奏はやめられない!オケ全員がフルスロットルの演奏で、しかも見事に一つの音楽になるんですね。ホレボレします。圧巻の第4楽章は、曲自体が良いだけでなく、やはり演奏が素晴らしいからこそ。ありがとうございます!シベリウス交響曲第2番」、札響の過去の演奏歴は56回。意外に少ないと思いますので、今後も積極的に演奏して頂けたらうれしいです。

カーテンコールで何度もステージに戻ってきてくださった高関さん。最後はコンマスのほうを向いて、ご自分の腕時計を指さす仕草(平日夜の遅い時間でしたものね)をして、会場に笑いが起きました。高関さん、突然の代役をお引き受けくださりかつ最高の演奏をありがとうございます!オケの皆様も夜遅くまで全力投球の素晴らしい演奏ありがとうございました。すごく楽しかったです!


シベリウスといえば、私は今年2021年3月に札響による「カレリア組曲」と「ヴァイオリン協奏曲」を聴きました。ソリスト金川真弓さん。私が知らないだけで世の中には素晴らしい演奏家がいらっしゃるのだと痛感しましたし、これからもそんな出会いが待っていると思うとワクワクします。「音楽日和 札幌公演 in hitaru~JAF会員のための音楽会」のレビュー記事は以下のリンクからどうぞ。 

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今回からプログラムで札響指揮者の松本宗利音さんによる「宗利音's Diary」の連載が始まりました。今回の記事では、高関健さんとの関わりや札響との出会い、初リハの際にコンサートマスター(当時)の大平まゆみさんに励まされたこと等、興味深いお話が盛りだくさん。その松本さんが指揮された2021年3月「北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー」のレビュー記事もアップしています。以下のリンクからどうぞ。 

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何事も熱しやすく冷めやすい私が今なおコンサート通いを続けているのは、2019年3月にふきのとうホールで「竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタル」を聴いたのが大きいと思います。超ビギナーの私が「ライブでしか体感できないものが確かにある」とすり込まれた、とんでもない体験でした。これを超える生演奏に出会えたら、その時はコンサート通いをやめてもいいとさえ当時は思っていたほど。しかしどの演奏もそれぞれの良さがあるので、この時の再現を求めるのではなく、一期一会の出会いすべてを楽しんでいきたいと今はそう考えています。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー@市民ホール(2021/3)レポート

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当日券で平日昼間の演奏会を聴いてきました。なんと先日卒業式を終えたばかりの中3の息子とコンサートデートです。この日は高校の指定品を揃えに親子で大通に出てきていました。首尾良く片付き、昼食後に時間が間に合いそうだったため、コンサートに行くことに。息子には先に帰宅してもいいよとも言いましたが、彼は聴いてみると自分で決めてついてきました。おかげさまで第一志望に進学が決まった息子は、期間限定かもしれませんが最近いつもより母親とコミュニケーションとってくれるのが、私はちょっとだけうれしいです。


北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー@市民ホール
2021年3月19日(金)13:30~ カナモトホール(札幌市民ホール

【指揮とおはなし】
松本宗利音

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】
チャイコフスキー

  • バレエ「眠りの森の美女」より
     序奏とリラの精、ワルツ
  • バレエ「白鳥の湖」より
     情景、ワルツ、4羽の白鳥の踊り、ナポリの踊り
  • バレエ「くるみ割り人形」より
     行進曲、金平糖の踊り、アラビアの踊り、中国の踊り、あし笛の踊り、花のワルツ
  • (アンコール)バレエ「くるみ割り人形」より トレパック


休憩なしの約60分間、親子でずっと夢中になれた演奏会でした。チャイコちゃんのバレエ音楽、やっぱりステキですね!2/13の北広島でのオールチャイコフスキーに行けなかった私としては、メロディメーカー・チャイコフスキーの本領発揮の音楽が聴けてとてもうれしかったです。ちなみに息子は多くは語りませんでしたが、キャッチーなメロディの数々を帰宅後も鼻歌で歌っていたくらいですから、きっと彼なりに楽しんだのだと思います。今我が家は進学に関わるやるべきことが目白押しでバタバタしています。そんな中で、この先「大変だった」だけでなく「コンサートデート楽しかった!」と良い思い出が出来たのがよかったです。少なくとも私はそう思っています(笑)。この時期に、親子で気軽に参加できる演奏会を開催してくださったことに感謝です。

私は「お初」のカナモトホール、音の響きはキレイだと感じました。今回は後ろの方の席になりましたが、お隣のhitaruより小さなホールなので舞台は遠くなくて、オペラグラスがなくても演奏の様子はそこそこ見えました。そもそもの席数が少ない上に1席飛ばしでの配席。それを大人1000円・高校生以下500円のリーズナブル価格で、しかも札響の演奏を聴けるなんて!ありがたいやら申し訳ないやら。しかしこの親しみやすい演奏会で、ファン層の裾野が広がったのは確かだと思います。惜しかったのは、「親子で」と銘打っていながら普通に学校がある平日昼間の開催だったこと。春分の日の祝日にあてたつもりがズレたのかも?結果としてお客さんは大人が多かったようでした。しかし小学生くらいの子も何人かはいましたし、卒業式が済んだと思われる大きい子もちらほらいました。

指揮とおはなしは札響指揮者の松本宗利音さん。指揮のときは素顔で、客席を向いてトークする時はマスク着用でした。曲の合間にバレエの歴史や各作品のあらすじ等の様々なお話がありましたが、個人的には「チャイコフスキーワーグナーから影響を受けている」といった趣旨のお話が印象に残っています。また松本さんのお人柄の良さがお話ぶりににじみ出ていたためか、トークのときは客席はリラックスモードでした。また演奏中に変なところで拍手が起きてしまったときには、松本さんは客席に振り返り一礼をしてから演奏に戻るスマートな振る舞いをされました。松本さん、すっかり札響の顔ですね!今月末には怒濤の地方公演ツアーがありますが、各地でもきっと音楽を身近に感じられる演奏を披露してくださることと存じます。ご武運を!雪解けの時期でもありますし、団員の皆様もどうぞ道中お気を付けていってらっしゃいませ。


指揮者が舞台に立つとすぐに演奏開始されました。はじめは「眠りの森の美女」より。「序奏とリラの精」は最初から全員参加のフルスロットル演奏で、聴いているこちらは一気に気分が高揚。続く有名な「ワルツ」はもう豪華で華やかで、私は心の中でペンラ振って声援を送っていました。私はバレエ鑑賞は未経験ですが、こんな贅沢な音楽をバックに華やかなダンスが繰り広げられるのって素敵なんでしょうね。ちょっと見てみたい気持ちにもなりました。演奏の手元が見たい派ではあるので、オーケストラピットも少しは見える席なら両方楽しめるかも?

白鳥の湖」より、まずはこれを知らない人はおそらくいない「情景」。生演奏で聴くと、やはり素晴らしい曲だからこそ超有名になったんだなと実感しました。冒頭の弦のザワザワにまず心を掴まれ、メロディを歌うオーボエ独奏にうっとり。チャイコフスキーはメロディメーカーというだけでなく、各楽器の活かし方もうまいなと思います。そう感じられるのは、もちろん素晴らしい演奏があればこそです。こちらの「ワルツ」も美しく華やかで、緩急や強弱のメリハリがきいた演奏に引き込まれました。トランペットが主役のところが印象的。木管大活躍の「4羽の白鳥の踊り」も素敵でした。そして私は初めて聴いた「ナポリの踊り」が今回のハイライトです。コルネット(小ぶりなトランペット)の独奏がめちゃくちゃカッコイイ!首席トランペット奏者のかたの独奏に全集中して聞き惚れてしまいました。トークで松本さんが「コルネットオーボエも本当に素晴らしい。一緒に演奏出来て幸せ」といった趣旨のことをおっしゃっておられましたが、本当に、奏者の皆様はすごい演奏家ばかりなのだと思います。そして奏者のかたをこのように賞賛できる指揮の松本さんも素晴らしいです。

最後は「くるみ割り人形」より。「行進曲」はメロディ部分の演奏はもちろん良くて、さらに下支えする低弦と金管が個人的にツボです。「金平糖の踊り」はチェレスタのキラキラした音色がとてもキレイ。息子は舞台をきょろきょろ見渡し、舞台の左側に配置されていたチェレスタを見つけて注目していました。この美しい音を奏でる楽器が、鍵盤楽器だとは思っていなかったようです。チェレスタと呼応するクラリネットも、弦のピッチカートも素敵でした。「アラビアの踊り」は他の曲とはちょっと毛色が違う雰囲気。同じ編成・同じ楽器でしかも他の曲と続けて演奏しているにもかかわらず、一瞬で違う世界を作る演奏が素晴らしいです。「中国の踊り」と「あし笛の踊り」は主役のフルートが素敵!後から息子が「フルートのところをファゴットに演奏させてみたい」と変なことを言ってましたが、それは演奏がインパクト大だったからだと思います。超有名な「花のワルツ」は、美しいハープの響きをたっぷり聴けて、その後のホルン→クラリネット→弦の流れが超ステキ。何度でも言いますが、この音を当たり前と思って育つ札幌の子供達がうらやましいです。そして中低弦が少し切ないメロディを奏でたり金管打楽器が華やかに盛り上げたりと、もう聴き所しかない演奏にホレボレ。チャイコフスキー管弦楽の魔術師ですね!

アンコールはバレエ「くるみ割り人形」よりもう1曲「トレパック」、これも超有名ですね。勢いのあるパワフルな演奏。華やかな高音が主役でも、一瞬バスがきいているところが個人的にはツボだったり。そしてタンバリンが激ウマです。最初から最後まで超楽しかったです!「いいとこ取り」の演奏会で、すべての曲を本気モードでの素晴らしい演奏をありがとうございます!


この演奏会の3日前にhitaruで聴いた「音楽日和 札幌公演 in hitaru~JAF会員のための音楽会」のレポートは以下のリンクからどうぞ。聴きたかったシベリウスのカレリア組曲も、ソリスト金川真弓さんの演奏に圧倒されたヴァイオリン協奏曲も、後半のオペラ序曲シリーズも最高でした! 

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小2の娘とkitaraで聴いた「札響夏休みスペシャルコンサート」のレポートは以下のリンクからどうぞ。アキラさんのエンターテイナーぶりが光るショーの楽しさに加え、トランペットのカッコ良さやクラリネットのステキな響き等、我が町のオケによる本物の演奏を親子で楽しみました。 

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チャイコフスキーは華やかでかわいらしいバレエ音楽だけでなく、骨太で男前な交響曲も書いています。2021年2月の「札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第4回」で演奏された交響曲第5番、私は一度聴いただけで好きになりました。チェリスト佐藤晴真さんがお目当てで足を運んだ演奏会でしたが、ノーマークだった他の演目にも夢中になれたのはうれしい誤算でした。レポートへのリンクは以下にあります。 

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2020年12月に無観客で開催された「第21回北洋銀行presentsクラシックコンサート~聖夜の響き~」の無料配信動画でも、札響の「くるみ割り人形」の抜粋演奏が聴けますよ。動画はメインのベト7ほか、たっぷり1時間15分超!動画を以下に貼っておきます。


第21回北洋銀行presentsクラシックコンサート~聖夜の響き~


最後までおつきあい頂きありがとうございました。

音楽日和 札幌公演 in hitaru~JAF会員のための音楽会 (2021/3)レポート

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シベリウスの演目2つが聴きたくて申し込んだ演奏会です。カレリア組曲は「音楽宅急便2020の動画」、ヴァイオリン協奏曲は昨年購入した「ジネット・ヌヴーのCD」がきっかけで好きになりました。いずれも出会ったばかりにもかかわらず私はすっかり魅了されてしまい、録音を繰り返し聴いては「いつか生演奏で聴きたい」と願ってきました。その「いつか」がうんと早くに実現してうれしいです。

なお今回の演奏会は、2020年2月に予定され中止となった企画から、指揮者および1曲目の演目を変更した形での開催だったようです。

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指揮・飯森範親さんは「音楽宅急便2020」では全国各地のオケを指揮されていらっしゃいました。その動画で好きになったカレリア組曲、まさか同じ飯森範親さん×札響 in hitaruで生演奏を聴けるなんて!またソリスト金川真弓さんは1年越しで札響との協演が実現したのですね。当初の想いをそのままに演目はシベリウスにしてくださり、ありがとうございます!


音楽日和 札幌公演 in hitaru~JAF会員のための音楽会
2021年3月16日(火)19:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
飯森範親

【独奏】
金川真弓(ヴァイオリン)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】


お目当ての曲だけでなく、最初から最後までとても楽しかったです!ロードサービスのみで年会費の元は取れている私ではありますが(それは自分でもどうなのと思ってはいます)、初めてロードサービス以外で「JAF会員でよかった」と心から思えました。個人的にちょうど今は家のことでバタバタしているとはいえ、いやだからこそ慌ただしい現実世界から離れて音楽の世界に浸れるほんの数時間はとても大事。私には音楽があってよかった!また、ソリスト金川真弓さんの演奏の凄みには圧倒されました。素晴らしいヴァイオリニストとの出会いに感謝します。過去の名演を録音で聴くのも良いけれど、今まさにその生演奏に触れることができる現役の演奏家のかたにもっと目を向けようと、私は心からそう思いました。過去の名演奏家と比べてどうこう考えるのはナンセンスで、おひとりおひとりの個性と熱量に直接触れる瞬間は唯一無二のもの。やはり私はライブが好きですし、これからも生演奏を聴ける機会を大切にしていきたいです。そして今後も、私がまだ知らずにいる素晴らしい演奏家との出会いがあることをとても楽しみにしています。

なお事前に席は割り振られ、私は期せずしてまたもやソリストかぶりつき席に。自分で選ぶときは中低弦の近くのR側にするのですが、今回は第1ヴァイオリンに近いL側になりました。会場収容率は50%以下の、前数列を空けた上で座席は1席飛ばし。人が少ないおかげでhitaruの音の響きは大変素晴らしく、とても贅沢な時間を過ごせました。興行的には厳しい条件にもかかわらず、リーズナブルなチケット料金で聴かせてくださりありがとうございます!なにより、このご時世に演奏会開催くださり感謝です。

前半はシベリウス。1曲目は「カレリア」組曲です。冒頭、ごく小さな音から始まるティンパニと弦にぞわぞわ。ホルンの響きで視界が開けた感じがしました。特定の情景を描いたわけではないのでしょうが、私には雪解け時期のまだ風が冷たい大地が思い浮かびます。トランペットがカッコイイ!続くもの悲しい「バラード」が個人的に大好きで、ひたすら聴くのに没頭しゾクゾクしていました。「行進曲風に」は一転して明るい雰囲気。しかし大喜びしているのではなく幸せを噛みしめているように感じられるのが好きです。どの楽器も見せ場があるので、私は自席から見える範囲でそれを追いかけました。動画で繰り返し聴いたけれど、生演奏はやはり良いですね。空気を肌で感じられ、同じ会場で同じ時間を共有する喜びは格別です。今後動画を視聴するときは、きっとこの日の生演奏を思い出すことになると思います。

2曲目はお待ちかね「ヴァイオリン協奏曲」。ソリスト金川真弓さんの衣装はベージュのノースリーブドレスでした。冒頭は哀しげな独奏ヴァイオリンから。もうここで私は心掴まれ、ずっとソリストに全集中する体勢に。そしてこの曲のキモとも言える、独奏ヴァイオリンが高音で奏でるところ。私は勝手に「女性が泣き崩れるイメージ」で捉えているのですが、例えば悲鳴を上げて感情を露わにするとか、あるいは演歌のような情念込めた感じ(それらも素敵だとは思いますが)ではなく、なんというか純粋な泣き方だと私は感じ、はっとさせられました。ストレートに胸に刺さり、思わず涙が。そして同じ旋律がもう一度出てきたときは、支えてくれるオケも一緒に聴くことができて、ああ一人じゃなかったのねとまた涙。長い独奏と、楽章終わりの方の超高速の演奏もお見事でした。木管から始まる第2楽章、絶対にシベリウスブラームスを意識してるなといつも思います。しかしブラームスとは違い早々に独奏ヴァイオリンが登場。ソリストはあまり休む時間がなくて大変かも?この楽章の独奏ヴァイオリンはゆったりした大人っぽい雰囲気で、たっぷり素敵な演奏を聴かせてくださいました。オケのターンでは金川さんはスマイルを見せ、余裕すら感じさせられました。第3楽章は、独特のリズムがたまらなく好きです。はじめから独奏ヴァイオリンが駆け抜けていきます。素人目から見ても、細かな技巧を難なくクリアしつつ細かくテンポを変えながらかつ歌うヴァイオリンってすごすぎます。独奏が少しでも乱れたらおそらくリズムが台無しになってしまうと思われますが、そんな心配はご無用で、重厚なオケと見事にシンクロしていました。オケが重低音で演奏したメロディを、引き継いだ独奏ヴァイオリンが高音で演奏するところ、超素敵でした!オケに負けない存在感!もう第1楽章とは違って「泣いてない」、強い意志でぐいぐい突き進む独奏ヴァイオリンの力強さ。全体的に哀しげな曲が、最後は希望が垣間見える締めくくりをするんですね。聴いていてとても気持ちが良かったです。素晴らしい!

ソリストアンコールは、金川さん自ら「シューベルト、魔王」とおっしゃって演奏開始。編曲はエルンストでしょうか?有名な歌曲をヴァイオリン一つでの演奏です。目の前で繰り広げられる超絶技巧に圧倒されました。私はテレビでは別の演奏家による演奏を何度か聴いたことがありますが、やはり演奏家と同じ空間にいてその生演奏を聴くと迫力が違います。シベリウスの大熱演の後にお疲れを見せず、アンコールまで全力投球の演奏をありがとうございます!


休憩後の後半はオペラの序曲シリーズです。これから始まる物語への期待がふくらむ、いいとこ取りで印象的な要素が盛りだくさんの序曲が3つもあり、オペラ未経験の私でも音楽そのものを楽しむことが出来ました。はじめはモーツアルト魔笛」序曲。私でも部分的には聴いたことがある曲です。物語そのものはよく知らないのですが、序曲だけ聴くとモーツアルトらしい美しく心地よい音楽だなと素直に聴き入っていました。ヴァイオリンが弾くメロディに、夜の女王のアリアの超高音で歌う部分や、パパゲーノ?の「パ・パ・パ・パー」と似ているところが入っているのかも?と勝手に推測。こんなレベルで申し訳ないです。

続いてヴェルディシチリア島の夕べの祈り」序曲。短い曲の中で雰囲気が目まぐるしく変化し、不穏な空気だったり穏やかでありながらどこか哀しげだったり戦闘モードだったりと印象的なシーンが次々と。全員で強奏するパワフルなところは圧倒されつつも、ここはもう少し後ろの方の席で聴きたかったななんてわがままなことを思ったりもしました。そしてこの曲のハイライトはチェロです。チェロが全員で主役のところがあって、高めの少し甘い歌声がもう素敵すぎ!かぶりつき席で良かった!プログラムの解説を読むと、オペラ自体は結構血なまぐさいお話だったので驚きました。あのチェロパートは一体どんなシーンを想定されているのかが少し気になります。少しだけ。

プログラム最後の曲は、ワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲ワーグナーを自分ではほぼ聴かない私でも知っている有名曲です。重厚・壮大な音楽を素晴らしい演奏と音響で楽しませて頂きました。パワフルな曲を堂々とした演奏で聴いていると、気分があがります!これを聴いただけでワーグナーを知った気になってはいけないのですが、ワーグナーは現代の特撮やRPG等とも通じる「男の子の夢」なのかも?と個人的には思います。

カーテンコールの後、控えていらした打楽器奏者の皆様が舞台へ。アンコールはエルガー「威風堂々」。曲名紹介がなくてもすぐにわかる超有名曲!私事ですが、息子の卒業式での卒業生入場BGMが「威風堂々」で、私はこの派手な曲を聴いて泣いた激レア経験をしたばかりでした(苦笑)。しかし改めて生演奏を聴くと、当然ながらこの大盛り上がりする曲に湿っぽい要素は皆無です。この日の演奏は、前へ進むすべての人達への熱烈応援として聴けました。ただ、もしこれが最初の演奏だったら、個人的には無理だったかもしれません。しかしこの時は前半から素晴らしい演奏をたっぷり楽しんできて、極めつけワーグナーを聴いた直後で気分が高揚して十分にあたたまっていましたから、思いっきり乗れました。演奏自体もリミッターを振り切ってガンガンくるスタイル、聴いているこちらも超楽しかったです!最後の最後まで気合いの入った最高の演奏をありがとうございました!


「音楽宅急便2020の動画」を含む、「2020年 札幌交響楽団 動画配信および非売品CDについてのまとめ」記事は以下のリンクからどうぞ。ロッシーニシベリウスも、私はノーマークからの不意打ちで好きになった曲です。そんな演奏を聴かせてくださる我が町のオケ・札幌交響楽団の皆様、愛しています! 

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ジネット・ヌヴーの録音は、CDであれば新品が1000円程度で手に入ります(元のLPレコードはプレミア価格がついているそうですが)。私はオンラインショップのポイント消化のために購入。そんな軽い気持ちで手にしたCDに、ここまで夢中になれるとは嬉しい誤算でした。シベリウスはもちろん、ブラームスの演奏も超ステキです!そしてシベリウスについては、図書館で借りたカミラ・ウィックスの演奏も気に入ったので、こちらは見つけ次第購入予定です。

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そしてブラームスのヴァイオリン協奏曲も、私は今年2月に素晴らしい生演奏を体験したばかりです。ソリストは札響ヴァイオリン奏者の鶴野紘之さん。この時の演奏はこの先ずっと忘れることはないと思います。「新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第58回札幌」レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 第635回定期演奏会(金曜夜公演)(2021/3)レポート

プログラム発表当初から気になっていた公演です。しかし一次販売では望む席が取れず、私は二次販売を待ってチケットゲット。札響の定期公演が金曜夜&土曜昼で開催される最後の演奏会でもあり、また尾高惇忠「チェロ協奏曲」が正真正銘の「世界初演」となる金曜夜を選びました。

ちなみに私が聴いた2021年3月5日の金曜夜公演は3月28日にNHK-FMで放送されるそうです。皆様ぜひお聴きください!

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なお、この日が世界初演となった「チェロ協奏曲」の作曲者・尾高惇忠さんが2021年2月16日に逝去され、その訃報が札響から発信されました。演奏会の前には舞台でも札響のかたからお話がありました。

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はじめから公演は2021年3月と決まっていたものの、尾高惇忠さん存命中に演奏されたうえでせめて中継か録音でもご本人に聴いて頂けたら……とつい思ってしまった私。とはいえ感染症拡大の影響で演奏会の中止が相次いだ今シーズン、もし早い時期に開催予定されていたら演奏機会自体がなくなっていた可能性もありますから、結果として予定通りに演奏会開催されて良かったと捉えたほうがよいのかもしれません。今回、お兄様をなくされたばかりの尾高忠明さんは、いつものようににこやかに当たり前のように見事な演奏を聴かせてくださいました。ありがとうございます。作曲家ご逝去から日が浅い今言うことではないかもしれませんが、命に限りはあっても作品は生き続けるという「クラシック音楽」の本質を、この定期公演に居合わせたすべての人が感じ取れたと思います。生前の希望が叶った尾高惇忠さんも天国で喜んでいらっしゃるに違いありません。


札幌交響楽団 第635回定期演奏会(金曜夜公演)
2021年3月5日(金)19:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
尾高忠明

【独奏】
宮田大(チェロ)

管弦楽
札幌交響楽団(ゲスト・コンサートマスター:小林壱成)

【曲目】


「新・定期」とは違って容赦ない「定期」。しかし私は自分なりに聴いた上で、やはり聴いてよかったと思います。お目当てのチェロ協奏曲は、自分が耳慣れたスタイルとは違っていましたが、演奏の凄みと人間の内面をえぐるようなただならぬ雰囲気に引き込まれました。世界初演の瞬間に立ち会える機会は二度と無いわけですから、聴きたいのであればその時の自分で聴くしかありません。とはいえ我慢してお勉強のように聴いたわけではなく、いつの間にか演奏に没頭していましたし、たとえその本質的な良さまで完全にはわからなかったとしても、今の自分のレベルで感じ取れるものは確かにありました。また守備範囲外(私の場合全体の9割5分までがそうなのですが)の作曲家の曲でも、その美しさを素直に味わいリラックスして聴けました。管弦楽の魔術師ラヴェル、素敵ですね!木管金管打楽器の活かし方が上手いだけでなく、弦もピッチカートだけでない個性的な奏法が色々とあって、個人的にはとても新鮮でした。なお私は今回も知らない曲ばかりを予習なしの丸腰で臨みました。

今回はゲスト・コンサートマスターとして小林壱成さんがオケを牽引してくださいました。田島さんはそのお隣で演奏。協奏曲以外ではコンマスのソロパートが多く、小林さんは観客にも目に見える形でその素晴らしい演奏を披露してくださいました。ありがとうございます!今後も時々は札響にいらしてくださいね。


1曲目はリャードフ「魔法にかけられた湖」。札響演奏歴は過去3回。そのうち2回までもが尾高忠明さんによる指揮で、尾高忠明さんの隠れた十八番とお見受けしました。プログラムノートによると、リャードフ自身が「おとぎ話的な絵画」という副題をつけているそうです。本シーズンのテーマ「Fairy Tale フェアリーテール~おとぎ話」にぴったりの選曲。木管のゆったりした響きにハープやチェレスタも加わり、さらに高音の弦がとてもキレイでした。下支えしている低弦が奥行きを出してくれて、まさに「絵画」のよう。8分ほどの短い曲に、私は聴き入りました。この後に控える世界初演の協奏曲の前に、美しい曲を聴いてリラックスできてよかったです。


2曲目はいよいよ世界初演となる尾高惇忠「チェロ協奏曲」です。プログラムノートはなんと作曲家ご本人によるものでした。それによると、尾高惇忠さんは自身の作品「独奏チェロのための瞑想」を宮田大さんがコンサートで演奏したのを聴いて、協奏曲の独奏チェロを宮田大さんに、指揮は弟さんの尾高忠明さんにと心に決めたのだそう。初演のソリストと指揮者は作曲者である尾高惇忠さんの希望通りとなったのですね。さらに縁あってオケが札響となったことに感謝です。ソリストの宮田大さんは黒シャツをラフな着こなし。30代前半のお若い宮田さんですが、第一印象ではその佇まいから余裕と貫禄が感じられました。オケの編成は大きく、金管・打楽器も多彩でした。曲の冒頭は独奏チェロのごく小さな音から入り、私は1週間前に聴いたハイドンの協奏曲のような美しさを一瞬期待したものの、甘かったです。心地よい美メロとは違う、妖しげな雰囲気。チェロのことを私はまだまだ知らないと痛感しました。しかしこんな曲を見事に弾きこなし、大編成のオケと対等に渡り合える宮田さんは、やはり素晴らしいチェリストなのだと実感。よくテレビでお見かけして、流行の曲のアレンジでもジャンル違いの楽器とのコラボでも何でも演奏されていらっしゃいますが、それだけで彼の演奏を知った気になるのは大間違いですね。私はきちんと受け止められなかったにせよ、この日の演奏を目の当たりにできたのをありがたく思います。オケから入った第2楽章もまた「楽しい」わけではない独特な雰囲気。プログラムノートによると、第1楽章は「独奏チェロのための瞑想」からの発展、第2楽章は「12のピアノ作品」から「レクイエム」の編曲と、いずれも尾高惇忠さんの過去作品がベースなのだそうです。個人的に、少し慣れてきたのか、第3楽章は比較的聴けたように思います。はじめ短めの演奏を独奏チェロ→ヴィオラティンパニ→(鐘のような打楽器)とリレー、これが形を変えて何度か出てきました。独奏チェロがクラシックギターを弾くように弦をかきならす演奏もあり、目と耳は演奏に釘付けに。宮田さん、最近はクラシックギターとの協演も多いようですね。圧巻はラストの独奏チェロです。オケは沈黙する中、独奏チェロの高音がだんだんと小さくなっていって、ついには消えてしまう(でもいつ消えたのかははっきりとしない)ような終わり方。曲の始まりと終わりが対称になっている?私は演奏を聴いたその時、本当に不謹慎なのですが、自分が人生を終えるときはこんなふうに消え入りたいなと思ってしまいました。たとえば一定の明るさで燃えていたろうそくが消える直前に一瞬輝くのではなく、炎がやがて小さな火種となりいつの間にか消えていたような。できれば長くくすぶっていたくはなくて、でも最期くらいはひとり静かに少しずつ消えていきたいなと。勝手な妄想に発展させてごめんなさい!しかし私ははじめのうちは少し戸惑ってしまった曲でも、だんだんと演奏に引き込まれて最後の方は全集中していました。作品自体の素晴らしさはもちろん、作曲家の意思を受け止め演奏に昇華した指揮の尾高忠明さん、ソリストの宮田大さん、そして札響のお力によるものです。唯一無二の演奏をありがとうございました!

ソリストアンコールはJ.S.バッハ無伴奏チェロ組曲第1番」よりメヌエットジー。先ほどの協奏曲とはまるで違う表情、チェロって奥が深い!なじみのある舞曲のリズムと歌うようなメロディを素敵な演奏で楽しませてくださって、私はやっぱりチェロが好き!と再確認。推しのチェリストがまたおひとり増えました。宮田大さん、オケとの協演でも室内楽でも、今後何度でも演奏会でお目にかかれるのを楽しみにしています!テレビでも追いかけますよ!


後半はラヴェルの「おとぎ話」のような演目が2つ続き、私はリラックスして楽しみました。はじめはマ・メール・ロワ組曲。最初の曲から木管大活躍でヴァイオリンがキレイだったので、前半のリャードフ「魔法にかけられた湖」をつい思い出しました。コンマスのヴァイオリンが超高音で♪キュイキュイ♪と鳥の鳴き声のような音を鳴らしフルートと会話していたのがツボ。華やかな終曲まで、予備知識なしの私でも楽しく聴くことができました。尾高さんはカーテンコールの際、フルートから始まりオケ後方の皆様、続いて弦はソロパートがあったコンマスヴィオラ・チェロの首席のかたに順番に起立を促され、讃えられました。


トリを飾るのは「ダフニスとクロエ」第2組曲。先ほどよりも金管打楽器が増え、オケは大所帯となりました。はじめハープと木管と弦の美しさに感激。スケールの大きさで、まるで視界が開けたように感じました。ここでもフルートが大活躍。金管打楽器も入って大迫力のところには圧倒され、バレエ音楽らしいけどこれなら踊りよりも音楽の方が目立つのでは?と変なことを思ったり(失礼)。しかしこんなに楽器の種類が多いのに、カオスにならず一つの美しい音楽になるのには素直に驚きました。スイーツに例えるなら、様々な素材を集めて一つの芸術品に仕上げる、名前の通り完璧なパルフェなのかも。普段はザッハトルテのような、えり抜きの素材をガッツリ固めたドイツ系の音楽ばかり好んで聴く私にはとても新鮮でした。私はこの日の演奏を拝聴し、ラヴェルボレロだけじゃないんだ、今後他の曲も聴いてみたい、と思うように。素晴らしい演奏をありがとうございました!


ちなみに私、例によってソリスト宮田大さんをかぶりつきでガン見しようと(←)今回もかなり前の方の席をとっていました。大好きな弦の演奏を間近に見ることが出来るのは良いとしても、金管打楽器のパワフルな音がダイレクトに来てビックリ。聴けなくなる程ではなかったですが、音の響きに関しては席はもう少し後ろの方がより楽しめたかもしれません。今後は少しは予習をして、演目次第では舞台に近すぎない席を選ぼうと思いました。しかし個人的に「低音がよく響く」と勝手に思っていたhitaruが、実は高音も得意なんじゃないかと感じたのは今回の収穫でした。座る席を色々と試して、hitaruをもっと楽しみたいです。


この定期演奏会の約1週間前に聴いた「札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第4回」のレポートは以下のリンクからどうぞ。佐藤晴真さんのチェロに夢中になれただけでなく、日本人の血が騒ぐ伊福部昭、一度聴いただけで好きになったチャイ5。最初から最後まで楽しかったです! 

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希望は言ってみる!私、尾高忠明さん×札響によるシベリウスフィンランディア」をぜひとも生演奏で拝聴したいです。クラウドファンディングのリターン「札響1961-2020特別CD」に収録された2013年3月の演奏録音に私は衝撃を受けました。一般販売されているCD「グリーグシベリウス 北欧音楽の新伝説」収録の2009年3月の演奏録音も素敵ですが、非売品CDの2013年3月の演奏は以前よりさらに磨きがかかって素晴らしいと感じます。なお弊ブログに「札響1961-2020特別CD」を含む「2020年 札幌交響楽団 動画配信および非売品CDについてのまとめ」の記事もありますので、よろしければお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第4回 (2021/2)レポート

当初出演を予定していたホルンのラドヴァン・ヴラトコヴィチさんの来日が叶わず、急遽演目とソリストが変更された演奏会です。協奏曲はホルンではなくチェロの曲に変更され、しかもソリストは佐藤晴真さん!彼が演奏する協奏曲をこんなに早く札幌で聴けるなんて!私は2次販売でチケットゲット。チケットセンターに置かれたチラシは片面カラーコピーの急ごしらえでした。また演奏会の当日は、当日券売り場に列が出来ていました。

楽器は異なりますが、ラドヴァン・ヴラトコヴィチさんも佐藤晴真さんもミュンヘン国際音楽コンクールで第1位を獲得していらっしゃると後から知りました。それにしても、本来は1年ほど前にプログラムが決まり、時間をかけて心の準備をしてから演奏会当日を迎えるのだと思います。突然の決定にもかかわらず、大役をお引き受けくださった佐藤晴真さんには大感謝です。個人的には「いつか佐藤晴真さんと我が町のオケの協演を聴きたい」と願っていた「いつか」が思いの外早くに来てしまいましたが、もちろん聴きたいに決まっています!チケット2段階販売のおかげで直前でも良い席が取れるのはありがたいです。

なお、同じ日のお昼休みの時間帯に、「第48回北海道議会議場コンサート」が開催され、札響メンバーによる弦楽四重奏の演奏がありました。

www.gikai.pref.hokkaido.lg.jp


私は残念ながら会場には行けませんでしたが、ネットのライブ中継で拝聴。ハイドン弦楽四重奏曲「皇帝」に始まり、アンコールの「虹と雪のバラード」まで、とっても素敵でした!曲の合間には、夜の演奏会の宣伝も。演奏会前のロビーコンサートが取りやめになっている今、夜の演奏会の前にオケ精鋭メンバーによる室内楽が聴けてうれしかったです。しかも普段のロビコン5回分くらいのボリュームたっぷり!4名の奏者の皆様、夜の大本番が控えているにもかかわらず、素晴らしい演奏をありがとうございました。多くのかたに聴いて頂きたいので、録画の配信をぜひお願いします道議会さん!


札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第4回
2021年2月25日(木)19:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
広上淳一

【独奏】
佐藤晴真(チェロ)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】


佐藤晴真さんが演奏する協奏曲がお目当てだった私。しかし佐藤さんのチェロに夢中になれただけでなく、ノーマークの曲でも最初から最後まで楽しかったです!私は音楽を聴き始めてまだ数年ですが、最初の頃よりも興味や許容範囲が広がり、聴いて楽しめる演奏が増えたのは自分でも本当にうれしくて。またhitaruシリーズ新・定期はプログラムが気が利いているんですよね。定番の交響曲を後半に置き、前半は注目のソリストを迎えての協奏曲と普段聴く機会が少ない日本人作曲家の曲。一度で3通りの楽しみがあって、私自身はまだ2回目の参加でもすっかり新・定期が好きになりました。ちなみに、私は思い入れが強すぎるとむしろきちんと聴けない経験をしているので(2020年12月の定期は指揮の広上さんにも奏者の皆様にも大変申し訳なかったです)、今回は知らない曲ばかりでもあえて予習なしで臨みました。


1曲目は伊福部昭「交響譚詩」。打楽器はティンパニのみで、管楽器と弦楽器の人数は多く、ハープが入った編成でした。1月に聴いた早坂文雄「左方の舞と右方の舞」のやんごとなき殿上人の世界とは違って、こちらは裸足で土の上に立っているイメージ。前半は「お祭り騒ぎ」のようで、後半は「祭りの後」のようでした。和楽器はいないのに、日本人の血が騒ぐ独特のリズムが心地よく、楽しかったです!ヴィオラが主役になるところも素敵でした。普段自分ではなかなか聴こうとしない日本人作曲家の管弦楽作品。生演奏で聴く機会があるのは良いですね。たとえこの後の協奏曲や交響曲がお目当てだったとしても、こんな機会に聴ければ、自分のルーツに思いをはせることができます。日本人作曲家を積極的に取り上げたいと考え、それを実現してくださっているバーメルトさんに感謝です。


2曲目はお待ちかね佐藤晴真さんの登場。ハイドン「チェロ協奏曲第1番」ソリストは暗譜での演奏でした。チェロを抱えて颯爽と登場した佐藤晴真さんは、指揮者やコンマスとは手を直接触れないエア握手。衣装は黒いスーツに白いシャツを首元まできちっとボタンを閉じ、ノータイでした。オケは1曲目よりずっとコンパクトな編成で、少数精鋭の弦にオーボエとホルンのみ。曲の冒頭はオケの演奏です。昼間に生配信で聴いた弦楽四重奏を思い出しながら、ハイドンって弦の活かし方がうまいなと聴き入りました。そして独奏チェロ登場。キタコレ!この「佐藤晴真さんのチェロの音色」を待っていたんです私。2019年7月にふきのとうホールで拝聴したときよりグレードアップした味わい深い音色に、一瞬でハートを鷲掴みにされ、もうここからはソリストだけに全集中。独奏チェロはとても優雅な響きでも、高音域を高速で演奏するのはきっと難しいのだと思います。それでも佐藤さんの演奏姿はクールで美しかったです。オケのターンでソリスト小休止のときに、hitaruの高い天井を見上げたその表情には既に大演奏家の風格すら感じられました。この演奏を目の当たりにしたら、「お若いのに」なんて色眼鏡は瞬時に消え去ります。第2楽章で、独奏チェロがごくごく小さな音からだんだん大きな音になって登場する(何度もありました)のがツボ。私は、ソリストの演奏姿をよーく見て耳をそばだてて、オケの音の中からグラデーションで現れる独奏チェロを追いかけました。独奏チェロは、前の楽章では低い音を重ねてバーンとインパクトを与える登場をした(これも好きです)のに、この楽章ではじわじわ来るスタイル。ハイドンさん、やりますね!曲の良さに夢中になれるのは、もちろん素晴らしい演奏があればこそです。第3楽章は、独奏チェロが高音域を超高速で演奏するのに圧倒されました。ただ、演奏の手元はあんなに忙しそうなのに、奏でる音色が滑らかで美しかったためか、聴く側はゆったりとした気持ちで音楽に浸れました。佐藤さんが十八番にされているブラームスのチェロ・ソナタとはまた違ったチェロの魅力満載。今の佐藤さんの演奏を目の前で聴けて、私はとてもうれしかったです。佐藤晴真さん、突然の抜擢にもかかわらず、はるばる札幌までいらしてくださり、素晴らしい演奏を聴かせてくださってありがとうございます!

ソリストアンコールはバッハ「無伴奏チェロ組曲第1番より サラバンド。たったお一人での演奏で、大きなhitaruを別世界にしてしまう力量。素晴らしいです!私、佐藤さんには室内楽を極めてほしいななんて勝手な願望を持っていたのですが、やはり室内楽だけではもったいない。大ホールでの演奏もどんどんお願いします!佐藤さんには、これからドヴォルザークシューマンほかチェロ協奏曲は何でも演奏して頂きたいです。あとは独奏チェロの高音が美しいベートーヴェンの三重協奏曲もぜひ!そしていつか必ずブラームスの二重協奏曲を聴かせてくださいね。私、佐藤晴真さんの演奏を一生追いかけます!


後半はチャイコフスキー交響曲第5番。私は第4楽章を部分的に知っていたものの、通しで聴くのはこの時が初めてでした。休憩時間中に読んだプログラムノートには「運命」のモチーフとあり、ん?ジャジャジャジャーンがどこかに仕込まれているの?なんて貧弱な想像をした始末。しかし演奏の冒頭、クラリネットの旋律を聴き、これは第4楽章にも形を変えて出てくるし重要なモチーフなのねと認識しました。その後も、全部ではないかもしれませんが、このモチーフが様々な形で登場するのに気づけたのはうれしかったです。第1楽章は、なんといっても冒頭クラリネットとそれに寄り添う中低弦がすてき!掴みって大事。また木管とシンクロする弦の美しさが個人的にツボでした。やっぱり先日の北広島でのオール・チャイコフスキー、特に「弦楽セレナーデ」は聴きたかったなと心の中で蒸し返してしまったほど。時折パンチの効いた金管ティンパニが入ってくるのも良くて、メリハリがあって退屈させない展開でしたが、やはりそこはビシッとキメてくれる演奏があるからこそですよね。コントラバスの重低音で静かに締めくくるところはぐっと来ました。しかもコントラバスは7台もいてうれしい!続く第2楽章も中低弦で始まるんですね。そこにホルンソロが加わるなんて、ブラームスのお得意分野じゃないですか。リアルで会う以前はブラームスの音楽をディスっていたらしいチャイコフスキーですが、実際はブラームスのこと好きだったのでは?なんて妄想したり。木管のリレーが美しく、それをいったんコントラバスが受け取ってからチェロのターンに。もう、もう大好きです。前半のチェロ協奏曲ではソリストしか見てなくてごめんなさい!そして曲が盛り上がってもどこか哀しげな雰囲気なのが心に染み入りました。第3楽章、ワルツはチャイコフスキーの本領発揮ですよね。耳慣れた白鳥の湖くるみ割り人形のワルツよりはおとなしめな印象で、それでもメロディメーカー・チャイコフスキーの美しいメロディを楽しませて頂きました。第4楽章の始まり、超イイです。これも運命のモチーフだったなんて!その弦が主役のところはもちろんイイのですが、木管のターンでのピッチカートや金管が主役のときの強奏も印象的でした。そしてクライマックスの盛り上がりが超絶すごくて、こちらのテンションもMAXに。チャイコフスキーさん、あなたはお強い!私、チャイコフスキーのことを何も知らなかったみたいです。某音楽アニメでは北国訛りの美少女設定にされたチャイコちゃん。そんなイメージとは裏腹に、こんなに骨太で男前な交響曲を書いていたんですね!例えばベートーヴェンの生命力爆発とは違うけれど、繊細な人イコール弱い人ではないと思える、芯の強さ。私は一度聴いただけでチャイ5のことを好きになりました。札響演奏歴は98回という定番曲。私は何度でも聴きたいので、これからもぜひ積極的に演奏をお願いします!

ところで、疑問がひとつだけ。チャイコフスキー交響曲第5番について、ブラームスは「4楽章の最後以外は素晴らしい」とチャイコフスキー本人に話し、チャイコフスキー自身もそう思っていたのだそうですね。なぜ?とっても素敵なフィナーレですよ!?当時は第6番悲愴が世に出る前だったから、チャイ5の華やかな締めくくりが浮いているように感じた?あるいはもっと単純な話で、本当は弱っているのに空元気だったとか?いえどうもピンとこないです。素晴らしい演奏を聴いた後だけに、私は以前から気になっていたこの逸話の真相がかえってわからなくなりました(苦笑)。なお、この有名なエピソードについては、指揮者・藤岡幸夫さんのオフィシャルファンサイトでも紹介されていましたので参考までに。リンク失礼します。

www.fujioka-sachio.com


カーテンコールでは、指揮の広上さんがオケの中のほうに入っていき、ホルン首席奏者のかたから始まり、順番に木管金管ティンパニの奏者のかたに起立を促されました。その度に会場からは大きな拍手が。私、今回は佐藤晴真さんをかぶりつきでガン見しようと(←)かなり前の方の席をとったせいで、演奏中はオケの後ろの方は見えなかったんですよね。最後に奏者の皆様のお顔を拝見できたのがよかったです。客演のかたも大活躍、ありがとうございます!広上さんは、オケ後方のメンバーを一通り讃えた後、弦は最前列の首席・副首席のかたたちと順番に肘タッチ。演奏中、広上さんは指揮台の上を所狭しと動き回り、踊るように楽しそうに全身全霊で指揮されていました。オケもノリノリでしたよね。特に今回は舞台に近い席だったため、熱気がダイレクトに伝わってきて、音楽ってこんなに楽しいんだ!と、私も肌で感じました。録音や動画配信ではこうはいかない、時間と空間と空気を共有するこの快感。やっぱりライブは最高です!素晴らしい演奏をありがとうございました!


佐藤晴真さんのデビュー・アルバム『The Senses ~ブラームス作品集~』。私は発売日当日に入手し、以来ヘビロテしています。いま現在の佐藤さんの演奏、必聴ですよ!弊ブログに他のCDを含む感想文をアップしていますので、よろしければお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

hitaruで平日夜に開催される札響の新・定期。第3回(2021年1月)のレポートは以下のリンクからどうぞ。最高のベートーヴェン「三重協奏曲」を聴かせてくださった葵トリオ。彼らもまたミュンヘン国際音楽コンクールで第1位を獲得しているのですね。世界の大舞台で実力を認められた日本人の若手演奏家の演奏を、地元オケで聴けるのは大変ありがたいです。 

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新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第58回札幌(2021年2月)のレポートも弊ブログにアップしています。札響からはコントラバス下川朗さんとヴァイオリン鶴野紘之さんがソリストとしてご出演。大舞台で素晴らしい演奏を披露してくださいました!私はその演奏を拝聴し、お一人お一人が特別な演奏家でいらっしゃることを今更ながら強く認識。今回の演奏会ではもちろんオケの一員として演奏されていた下川さんと鶴野さん。オーケストラは、そんなすごい演奏家たちが大勢集まって一つの音楽を創りあげているんですね! 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第58回札幌 (2021/2)レポート

www.jfm.or.jp


オーディションで選ばれた若手演奏家がプロのオーケストラと協演する「新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ」。2021年2月に開催された今回(第58回)のオケは我らが札幌交響楽団です。その札響からもコントラバス下川朗さんとヴァイオリン鶴野紘之さんがソリストとして大舞台に立たれました。なお4名の若手演奏家の詳しいプロフィールは以下の演奏会詳細ページ、本番の様子は札響公式ツイッターの写真を参照ください。

www.sso.or.jp



私はいつも衣装のことを細かく書いちゃうのですが、百聞は一見にしかずですから、今回は公式ツイッターの写真でご確認頂ければと思います。皆様とってもお似合いでしたよ。そして4名とも暗譜での演奏、お見事でした。

出演者のかたならびに関係者の皆様におことわりです。私は音楽に関しては楽譜も読めないほどの素人で、弊ブログには思いつきしか書いていません。今回のレポートもおそらく勘違いや大事なところの見逃し等が多々あるかと思われます。大変申し訳ありませんが、私の勝手な感想についてはどうか真に受けずに受け流して頂けましたら幸いです。


新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第58回札幌
2021年2月11日(木)15:00~ 札幌市教育文化会館大ホール

【指揮】
現田茂夫

【独奏】
下川朗(コントラバス
三上結衣(ピアノ)
月下愛実(ソプラノ)
鶴野紘之(ヴァイオリン)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】


最初から最後まで期待以上!これからの飛躍が楽しみな若手演奏家の皆様の大舞台、いずれも素晴らしい演奏でした。今の状況にもかかわらず、例年通りにプロジェクトを遂行してくださったことに感謝いたします。プログラム冊子には、今回の第58回札幌だけでなく令和2年度の各地での演奏会(第55回から第60回まで)すべての演目と出演者紹介、曲目解説が掲載されていました。また第1回からの出演者が一覧で載っていて、そこには現在プロとしてご活躍されている演奏家のお名前がずらり。札響奏者のお名前もたくさん見つけました。まさに若手演奏家の登竜門なのですね。文化庁委託の新進演奏家育成プロジェクト、今後も末永く続いてほしいです。

札幌市教育文化会館大ホール。私は以前一度だけ別のイベントで来たことがあるものの、管弦楽は今回が初。金管打楽器がうるさくなかったですし、木管や弦の響きもキレイで、音響は良いと私は感じました。無論kitaraやhitaruと比べてはいけません。なおチケットは完売。定員1100席のホールは1席飛ばしでの配席で、この演奏を聴けた観客は単純計算で550名のみです。今はkitaraが改修工事中ですし、感染症対策もあってのことなのは承知しています。しかしこの日の素晴らしい演奏をより多くの人と共有できたらよかったのにと、ついわがままなことを思ったりもしました。せめて私はその場にいたラッキーな聴衆のひとりとして、この日の感激を自分目線ではありますが文章で書き残したいと思います。

開演前に舞台では自主練をしているオケのメンバーがちらほら。この日の演目に混ざって、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番のメロディも聞こえてきました。本番が詰まったハードスケジュールですものね……。ご多忙な中いつもハイクオリティな演奏をありがとうございます。13日の北広島でのオールチャイコフスキー、叶うことなら聴きたかったです……特に協奏曲!そして開始時刻になり、まずはオケのメンバーが舞台へ。首席が降り番だったパートや客演が入ったパートもありましたが、言うまでも無く安定の演奏で若い演奏家のかたたちを支えてくださいました。手加減はしないけど、さりげなく寄り添うのが素晴らしいです。ありがとうございます!


トップバッターはコントラバス下川朗さんで、曲はクーセヴィツキー「コントラバス協奏曲」コントラバスが主役の協奏曲があるんですね。オケの編成はコンパクトでしたが、ハープが入っていました。オケのコントラバスパートはわずか2人で、首席と副首席が入って下川さんをベースで支える体制に。下川さんは大きなコントラバスを抱えて登場。指揮者の横にでんと構えるコントラバス、まず目に訴えてくるインパクトがすごいです。ホルンの第一声から勇ましく始まったオケ演奏、しかし続く独奏コントラバスは意外にもロマンティックな音色を奏でました。音域的にはチェロでもいけるかも?と一瞬思いましたが、むしろ雄弁なチェロよりも朴訥なコントラバスだからこそ響く美しさなのかもしれないと、演奏を聴きながら思い直しました。ハープが良い仕事をしています。コントラバスの場合、高い音を出すときは前屈みの無理な姿勢にならざるをえず、しかも基本的にメロディは高音の曲だったので、見た目ではソリストはかなりキツイ体勢をとり続けながらの演奏でした。また演奏姿を拝見していると、コントラバスで高い音を響かせるには、弓を動かすのに強い力が必要なのかも?と感じました(※実情を知らずに想像で言っています)。曲の終わりに近づくと少しお疲れが出たのか、下川さんは肩で大きく息をして渾身の力を込めて演奏されている感じに。しかし演奏自体は乱れずにきっちり聴かせてくださったのはさすがです。フィニッシュのオケの演奏では、オケのコントラバスパートを先輩達と一緒に演奏し、最後の最後まで全力で駆け抜けた下川さん。コントラバスの隠れた魅力満載の演奏をありがとうございます!


続いて、ピアノ三上結衣さんによるラフマニノフピアノ協奏曲第2番フィギュアスケート浅田真央選手がBGMに採用したり「のだめカンタービレ」でも使われたりした有名な楽曲ですが、私は部分的にしか知らず、通しで聴くのはこの日が初めてでした。ピアノ独奏から入るも、すぐにオケが参戦し最初からクライマックスのような壮大さに鳥肌が。素直にオケがすごいと思いつつ、まってピアノがのまれちゃうかも?と余計な心配をしてしまったことを白状します。ごめんなさい、ピアノは全然負けていませんでしたね。厳しいオーディションを勝ち抜いてこられたかたですから当然とはいえ、三上さんの堂々とした演奏に「肝が据わっていらっしゃるな」と感心しました。第1楽章のオケとのガチンコ勝負も良かったですし、第2楽章の語るようなピアノもとっても素敵でした。そして高速のピアノから始まる第3楽章、私は一度聴いただけで好きになってしまいました!オケは個人的に好きな中低弦がゾクゾクさせてくれて、大事なところでビシッと決めてくれる金管打楽器の使い方がツボ。そして華やかなピアノは絶対に外せません!素人目から見ても、低音と高音を高速で行き来したり、ゆったりかつ壮大に響かせたりと、ピアノは相当難しそうです。それでもピアノ演奏に危なっかしいところは皆無で、それどころか強弱やテンポがめまぐるしく変化するオケと一体化しているよう。私は演奏に感嘆しながら、ああイイ曲!と安心して音楽の流れに身を任せられました。ピアノ一台だけでもあるいはオケだけでもおそらくこの良さは味わえない、掛け算の良さ。私、今回の三上結衣さん×札響がラフマニノフピアノ協奏曲第2番」の生演奏初体験で本当によかったです。素晴らしい演奏をありがとうございます!


休憩後、後半のはじめはソプラノ月下愛実さん。曲はベッリーニ「歌劇『夢遊病の女』から、“ああ、信じられない”」。月下さんは表情と身振り手振りで完全に役になりきった歌い方をされました。美しいお声を、キラキラして美しいけど儚げだなと、私ははじめのうちはイメージだけでそう感じました。きっとそんな曲なのだと思いますが、オケは比較的小さい音、木管を中心としたあたたかな音色で「夢見がちな女性」に寄り添うような演奏をしていたのが印象的(でも場面展開で一度大音量になったところはビックリしました……)。個人的にツボだったのは、独奏チェロがソプラノと会話しているようなところです。男性が地声より少し高めのやさしい声で女性に語りかけているようなのがステキ。妄想失礼。歌詞の意味はわからないにもかかわらず私がその世界に引き込まれたのは、なにより月下さんの歌声が「女性の揺れる気持ち」を直接ハートに訴えてきたからです。クライマックスの高くて長くのばす歌声には、この大声量が月下さんのぺたんこのお腹から発せられているなんて!とまず驚かされ、そして圧倒されました。素晴らしい!ありがとうございます!お声のキラキラは薄氷やガラスではなく硬度の高い宝石の輝きです!今回は「夢子ちゃん」を演じきった月下さんですが、この美しくかつ底力のあるお声ならきっと強い女性も見事に演じてくださるのでは?


トリはいよいよヴァイオリン鶴野紘之さんによるブラームス「ヴァイオリン協奏曲」。お若いソリストであればチャイコフスキーメンデルスゾーンあたりを選びそうなところを、あえてのブラームス!期待しちゃうに決まってます!私はチケット購入後、この曲の手持ちのCDを全部封印し、先入観をできるだけ消す努力をしてからこの日を迎えました。我ながら重いです。中低弦とホルンから始まる最初からブラームス節全開で、この重厚なオケだけで既に大満足な私(苦笑)。しかし独奏ヴァイオリンが登場して空気が一変、ここからが本番です。パガニーニの左手ピッチカートのような派手な超絶技巧は出てこなくても、例えば同時に複数の音を重ねて鳴らす等があるブラームスだって絶対に難しいはず。私、はじめのうちは、ヨシここは難なくクリア、ここは綱渡りだったかも、なんて変な聴き方をしてしまったことを申し訳なく思います。先入観は持つなとあれほど!しかしこの難曲を見事に弾きこなした鶴野さん、タダモノじゃないです。札響はこんなにすごいヴァイオリニストを秘密兵器に隠し持っていたんですね。またティンパニが小さめの音で併走してくれた、ソリストの見せ場がとっても素敵でした。ところで、カデンツァは誰の作品だったのでしょう?勉強不足で申し訳ありません。もしご存じのかたがいらっしゃいましたら教えてください。「オーボエの弱々しいアダージョ」で始まる第2楽章は、まずはオーボエのソロの美しさにうっとり。この部分はサラサーテにディスられたそうですが、そんな、とっても素敵じゃないですか!それに前の楽章で全力疾走した独奏ヴァイオリンもちょっと一息つかなきゃ、たぶんこの後がもちません。満を持して独奏ヴァイオリンの再登場。オーボエに負けない美しさに、大丈夫これなら最後まで素晴らしい音楽を聴かせてくださるはずと期待が膨らみます。そして聴き所しかない第3楽章へ。流れるような高速だったり逆にぐっと気を溜めたりとテンポが細かく変化する、情熱的な独奏ヴァイオリンが素晴らしい……これは私の頼りない耳で聴いた限りですが、この時のテンポの変化は、私が今まで聴いてきた数多くの録音のどれとも一致しない、鶴野さんオリジナルのテンポのように感じました。奇をてらっているわけではなく、一般的な(と思われる)演奏とは本当に微妙な違いではあっても、鶴野さんが大事にしていらっしゃるものが感じ取れる演奏。ブラームス好きな私はとてもうれしかったです。まってオケがズレちゃうのでは?と一瞬余計な心配が頭をよぎりましたが、まったくの杞憂でしたね大変失礼しました。我らが札響、ズレるわけがないって!コンマスは前後に小さく頭を振りながらテンポを掴んでいたようにお見受けしました。それでも無理をしている様子は微塵も感じさせず、驚くほど自然にソリストとシンクロするオケがすごいです。なによりも、いつもはオケの一員として全体の流れに合わせるのがお仕事の鶴野さんが、ソリストとして個性を発揮されたことに大拍手をおくります。しかも派手さでごまかせない上に、のっぺりと演奏した途端に退屈になるブラームスで!またソリストの個性をあたたかく受け止め、壮大な演奏で包みこむオケが素敵すぎました。これって愛ですよね愛!私が愛してやまないブラームス「ヴァイオリン協奏曲」、この日の演奏はこの先ずっと忘れることはないと思います。良いものを聴かせて頂きました。ありがとうございます!

カーテンコールでは、鶴野さんは指揮の現田さんとお互いに腕を回して胸を付けないハグ。きっと様々なものを背負い、ものすごいプレッシャーを感じながら大舞台に立たれたのですよね。そんな中でただ「こなす」のではなくご自身の芸術性を追求した演奏、お見事でした。そして先に演奏した下川さん、三上さん、月下さんも舞台に登場し、盛大な拍手が贈られました。この舞台に立てるだけでもすごいことなのに、4名全員がプロオケ札響と互角に渡り合って素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。何度でも拍手喝采したいです!皆様大変お疲れ様でした。これからますますご活躍の場を広げていってくださいね。応援しています!


コントラバスは主役にもなれる!札響首席コントラバス奏者・吉田聖也さんご出演「ウィステリアホール ふれあいコンサートVol.3」のレポートは以下のリンクからどうぞ。いつもは縁の下の力持ちのコントラバスですが、時々はセンターになってお腹の下の方にくる重低音の主旋律を響かせてください! 

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冠婚葬祭の「あいプラン」さんも毎年「ラブ&サンクスコンサート」を開催(管弦楽はもちろん札響)し、「道内在住の音楽家応援企画」として若手演奏家の大舞台を用意してくださっています。私が聴いたのは2018年9月、この時の指揮も現田茂夫さんでした。ソリストはヴァイオリンの板倉竹香さんで、演目はチャイコフスキー。カーテンコールの際、コンサートマスター(当時)の大平まゆみさんが横でさりげなくアドバイスして板倉さんをサポートなさっていたのが印象的でした。その時のミニレポートは以下にあります。 

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健康上の理由で2019年11月末日に退団された大平まゆみさん。その著書『100歳まで弾くからね!』の、愛が重い読書感想文のリンクも以下に置いておきます。私のまとめかたではその魅力が伝わらないのがもったいない。ですから私の記事を読んでくださるかたは、必ず大平まゆみさんの著書そのものをお読みになってからにしてくださいね。 

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数多のエピソードの中から一つだけネタバレ。アメリカで活動されていた若き日のまゆみさんは、演奏家として思い悩み行き詰まったことがありました。しかし偶然ラジオから流れてきたヴァイオリンの音色に涙があふれ、「こういう演奏をしたい」と強く心に決めて、再起を果たしたのだそうです。その時の演奏は、ダヴィット・オイストラフによるブラームスのヴァイオリン協奏曲!魂に響く演奏は、誰かの人生を変えちゃうことだってあるんです!


最後までおつきあい頂きありがとうございました。