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クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

森の響フレンドコンサート 札響名曲シリーズ「モーツァルト×ワーグナー」演奏会および「バーメルトの四季」交流会(2019/10) レポート

「バーメルトの四季」の「秋」は札響名曲シリーズ「モーツァルト×ワーグナー」。私は名曲シリーズは初めてです。演奏会当日、Kitara隣接の公園はすっかり秋の風景。紅葉や黄色い葉っぱがとても美しく、しきりに写真を撮っているかたや、銀杏を拾っているかたがいました。

正直に言うと、私、今回は一回券では選びません(ごめんなさい)。セット券があって、しかも演奏会後にセット券購入者対象のバーメルトさんを囲む会があるのが楽しみで、足を運びました。それでも札響の生演奏はやはり素敵で「行って良かった!」と心から思えましたし、交流会もとても楽しかったです。たまには守備範囲外にチャレンジするのも大事!今回の感想はいつもよりさらにフワフワしたものになりそうですが、自分の感激を少しでも覚えておきたいがためにレビューを書きました。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


森の響フレンドコンサート/札響名曲シリーズ「モーツァルト×ワーグナー
2019年10月26日(土) 14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト
【独奏】
田島高宏(札響コンサートマスター)(ヴァイオリン)
廣狩亮(札響首席奏者)(ヴィオラ

管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】

今回のコンサートマスターは大平まゆみさんでした。

ツイッターでの速報は以下。

 

まーいつもにもまして内容が無いフワフワコメント…。でも私、楽しかったですよ!実は私、別の演奏会で「よく知っている曲」の演奏が思っていたのと違って戸惑う経験をしたばかりです。今回のようにむしろ何も知らないまっさらな状態で聴くと、色々な思い込みに邪魔されず純粋に楽しめた気がします。もちろん私は知識がないため演奏内容まで深くは理解できていません。しかし食わず嫌いだった作曲家とその作品を「意外と美味しい」と思えたのが今回の収穫です。そしてこんなの当たり前すぎて言うとお叱りを受けるかもしれませんが、なんといっても「Kitaraで聴く札響は最高!」だとしみじみ思ったんですよね。私が札響の演奏会を聴くのは8月以来なので2ヶ月ぶりでした。その間に別の演奏会をいくつか聴き、Kitara大ホールにも数回足を運んでいます。どの演奏会も素敵でしたし他意は無いのですが、今回演奏が始まってすぐに「ああこの感じ!」と全身がゾクッとしたんですよ。そしてアンコールに至るまでずっと気持ちいい!安心して自分を丸ごと委ねられるって幸せです。私やっぱり札響を愛しています!

ちなみに今回は3階席が割り当てられました。CCブロック中央あたりです。私は初めて座りましたが、全体を俯瞰できますし音は良かったです。少し舞台が遠いので、酔わない程度に時々は双眼鏡を使いました。今回は作曲家人気のおかげか、客入りは上々で9割近くの席が埋まっていました。また今回はプログラムノートがとても面白かったです。札響定期のプログラムよりボリュームは少なく1曲1曲の解説は短いものの、音楽ジャーナリスト池田卓夫さん独自の視点が大変興味深いものでした。映画監督ルッキーノ・ヴィスコンティとあのヒトラーをあげて今回の選曲を紐解いています。音楽には力があるだけに、ヒトラーのような独裁者に利用されてしまったのは悲劇です。しかしその悲しい過去はしっかりと認識した上で、私達はクラシック音楽と向き合っていく必要があるのかもと私はぼんやりと思いました。

演目に入ります。前半はモーツァルトです。1曲目は「劇場支配人」序曲。5分弱の短い曲で、モーツァルトらしい華やかな印象の曲でした。高音の弦の美しさと木管の温かみのある音色に癒やされます。2曲目は「協奏交響曲 変ホ長調。独奏ヴァイオリンと独奏ヴィオラがオケと協奏する曲です。私、以前ブラームスの二重協奏曲のレポートで「弦の独奏2人体制の協奏曲はめずらしいのでは?」といった趣旨のことを述べましたが、なんとモーツァルト大先輩も作曲しておられたのですね。大変失礼しました。しかもプログラムによると、モーツァルトはヴァイオリン教本を書いたお父さんの影響で弦楽器でも神童であり、特にヴィオラの腕前は確かなのだそう。様々なことを知る度に、自分の無知を思い知らされます…。話を戻すと、今回のソリストはいずれも札響メンバーからで、独奏ヴァイオリンがコンサートマスターの田島さん、独奏ヴィオラが首席奏者の廣狩さんでした。1月の定期で聴いたマルタンの曲でもそう感じたのですが、客演でスター的なソリストを迎えなくても札響には既に実力があるソリストが揃っているというのは本当に素晴らしいと思います。演奏の話に移ります。私が聴いた印象では、独奏ヴァイオリンと独奏ヴィオラは同じメロディを交互または同時に演奏しているところが多い印象で、その点はブラームスの二重協奏曲とは違うなと思いました。独奏はお二方ともさすがの安定感で、安心して美メロを楽しめるのがよかったです。独奏ヴァイオリンはもちろん素晴らしかったですが、私が特に心奪われたのは独奏ヴィオラです。ヴィオラってこんなに雄弁だったんですね。今までノーマークで本当にごめんなさい!プログラムによると、この曲では独奏ヴィオラは通常より半音高い特殊調弦をしているそうなので、これがそのまま通常のヴィオラの音色では無いことは念頭に置かなくてはいけません。それでも、いつも主旋律を担うヴァイオリンより少し低い音で、ヴィオラが同じメロディを奏でたときの良さといったら!低音とは言い切れない、少し影がある高音が何ともいえず素敵で新鮮でした。ドラマに例えたら名バイプレーヤーとも言えるヴィオラの実力、おそれいりました。良いものを聴かせてくださり感謝です。そして独奏を包み込むオケも高音から低音まで弦がととにかく美しく、やっぱり札響の弦は最高だなとしみじみ。そこにホルンはじめ管楽器の音色がふくらみを持たせてくれるのがまた良くて、やはりモーツァルトは天才なのでは?と、子供の作文レベルの感想で申し訳ありません。

休憩をはさみ後半はワーグナーです。前半モーツァルトより編成が大きくなっていて、私が好きなコントラバスは7台もいました。チューバはじめピカピカの金管楽器も揃っています。といっても、私の印象は「思ったよりは編成大きくはないな」でした。同じ札響・同じkitaraで聴いたベルリオーズ幻想交響曲サン=サーンス交響曲第3番オルガン付きはかなり編成が大きかったので、それらと比べたら編成は小さい方とさえ思います。この編成であんなにスケールの大きな曲を表現できるワーグナーって只者じゃ無いです。後半1曲目は「リエンツィ」序曲。オペラのお話を含めヒトラーが好んだそうなので、どんなに勇ましい曲なんだろうと私は聴く前から身構えていました。しかし実際の演奏を聴いて私は良い意味で驚くことに。なにこの壮大さと奥行きは!打楽器と金管が活躍する曲はドンチャカするのが相場だと思い込んでいたのに、私は派手さよりもスケールの大きさを感じました。さらに美しい弦と木管とも調和している味わい深さ。やりますねワーグナー!今まで食わず嫌いでごめんなさい。ワグネリアンと呼ばれる熱狂的なファンがいるのも頷けるなと、私は1曲目を聴いてそう思いました。

2曲目はトリスタンとイゾルデ前奏曲と愛の死。プログラムによると、コンサートでは楽劇に登場する「前奏曲」および「愛の死」の別々の2曲を切れ目なしでつなげて演奏することが多いのだそう。今回もそのスタイルでした。冒頭はとても繊細で小さな音から。ごくごく小さな音でも3階席まで十分に届きました。こんな小さな音なのに強烈なインパクト。さすが札響の演奏、さすがkitaraの音響です。強弱にこだわるバーメルトさんのことですから、リハーサルの時は何度も「ピアニッシモピアニッシモ!」と強調されたんですよねきっと。曲の中盤にもピアニッシモの部分がありましたが、もちろんバッチリ。そして私の大好きな札響の弦がとにかく美しくて、ワーグナー金管という私の勝手な思い込みはどこかへ吹き飛びました。しかし金管は放置プレイされているわけではなく、木管と同じくらい活躍しているようでした。やはりブラームスとは違います(笑)。

3曲目はおなじみニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲。私でもさすがに知っている曲です。出ましたこれぞまさにワーグナー!低音が効いた重厚感、堂々とした風格。ワグネリアンでなくとも気分が高揚します。こんな曲を、最高の音響のkitaraで、札響による最高の演奏を聴けるのは大変贅沢で恵まれているなと改めて。もちろん今回の3階席でも私は十分に堪能できましたし音に不満はありませんが、2階最前列等のSS席だとどのように聞こえたんだろうと少しだけ思いました。

名曲シリーズはロビーコンサートがないかわりにアンコールがありました。ワーグナーローエングリン」第3幕への前奏曲。私は演奏が始まってすぐ「ローエングリンだ!」とわかりました。ワーグナーは守備範囲外の私にもすぐわかる、ザ・ワーグナーの戦闘力高そうな曲。フォルテッシモフォルテッシモ!愛がすべてさ!低音の金管がパワフルで超カッコイイです。最近金管楽器の音色に惚れた息子にも聴かせてあげたかった…と、彼を連れてこなかったのを少しだけ後悔。大盛り上がりのフィナーレを迎え、会場は拍手喝采となりました。楽しかったです!バーメルトさん、札響の皆様、ありがとうございました!


私が名曲シリーズを聴いたのは今回が初めてでしたが、とても良かったです。1曲1曲が短めなので、たとえ守備範囲外の曲であってもチャレンジしやすいスタイルになっていますし、クラシック音楽の演奏会にあまり慣れていない人にも聴きやすそうです。私、今までなぜかスルーしていたのが残念でなりません。今後は名曲シリーズにも積極的に足を運びたいと思います。

 

そして今回は終演後に「バーメルトの四季」購入者対象の交流会がありました。今回はこちらについてもレポートします(※掲載許可は頂いています)。なおメモが追いつきませんでしたので、内容に一部抜けがある点はご容赦願います。もちろん間違い等がありましたらお知らせください。

参加者は10名強。普段は一般の人は入ることが出来ないバックヤードに入れてもらい、自販機がある部屋でテーブルを囲んで約30分ほどの会でした。さらっと書きましたが、冷静に考えると世界的な指揮者とすごく近い距離でおしゃべりできるなんて、すごすぎますよね(※語彙力がお留守)。司会進行と通訳は以前5月の練習見学会でも通訳をしてくださった女性でした。お着替えを済ませたバーメルトさんが入室すると皆で拍手でお出迎え。バーメルトさんは開口一番「演奏はいかがでしたか?私は何も音を出していませんが」とおっしゃって、その場にいた全員が拍手でこたえました。

まずは事前に回収された、参加者からバーメルトさんへの質問が順番に読み上げられ、それらにバーメルトさんがコメントしていきました。

  • 札幌の人達に知って欲しい曲があれば → 8月の定期演奏会の「ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽版)」のような曲はぜひ紹介したかった。あとは日本人作曲家の作品。音楽は生きている芸術で、演奏しないと作品は「死ぬ」。
  • 札響に似合う作曲家は? → フレキシブルなオケで、(本日の)モーツァルトワーグナーの両極端でも良い演奏をした。スペシャリストにはなりたくない。すべてをうまくやりたい。
  • (学校の先生から)子供達へ音楽を教えることについて → 以前5-6才の幼稚園児を対象に音楽会をしたことがある。子供は短い時間に集中するので30分ちょっと。小さな子に言いたいのは、音楽は聴くだけでない「世界」であるということ。音楽は何だって表現できると小さいうちからわかってもらいたい。
  • バーメルトさんが札幌をテーマに作曲するとしたら? → もう作曲家ではないので(一同笑い)。作曲はもうできない。作っていたときは自分が考えた曲で夜中に目が覚めていた。指揮者は自分では無い人の作品で目が覚める。札幌をテーマに作曲は、今は考えられない。
  • これから札響とどんなことがしたい? → より良くなりたい。広がっていきたい。もっと色々なことがしたい。定期のテーマは今年度が「What composers do to other composers...(作曲家が作曲家に出会うとき…何を感じ、何を与えただろう?)」、そして次年度は「Fairy Tale(おとぎ話)」。(テーマに沿って)「つながる」定期演奏会(を目指している)。


次はバーメルトさんから参加者へ「札響のどこが一番好き?」という質問があり、参加者が順番にこたえていきました。「札幌に楽団があるのがありがたい」「身近な楽団で一人一人の奏者のことがわかる」「弦がとても綺麗」「素晴らしいホールとそれに見合ったサウンド」等、様々なことがあげられました。中には英語でお話していたかたも。ちなみに私は堂々と日本語です(笑)。マエストロは頷きながらニコニコと聴いてくださっていました。目立ったコメントを返してくださったものについては以下の通り。

  • 気持ちをクリアにしてくれる → よかったです。
  • 色々なキャラクターのプレーヤーがいる → あなたのオーケストラです。
  • 楽しくても哀しくても心を癒やしてくれる、聴くとほっとできる → それが音楽です。
  • 初めの頃と比べると、世界に通じるオケになっている → その通りです。これからも(進歩を)続けていきたい。

そして参加者が順番にサインを頂いたり写真撮影をしたり。私は「バーメルトの四季」のチケット冊子の表紙にサインを頂き、バーメルトさんと並んで写真を撮って頂きました。肩に手を回してくださり、ドキドキです(笑)。冊子も写真も家宝にします!全員分が済んだところで、搭乗する飛行機の時間が迫っているとのことで、「また冬に来ます」とおっしゃりバーメルトさんが退出。拍手でお見送りしました。

バーメルトさんがお話しした内容は、以前テレビ番組でおっしゃっていたこともあれば、ここで初めて聞いたこともあり、とても興味深かったです。バーメルトさんは「私は何も音を出していない」とどこまでも謙虚でありながら、音楽の力を信じていらして、これから札響と一緒にさらに高みを目指したいとの熱い想いがある、素晴らしいかたです。私、ますますバーメルトさんのことが好きになりました!そしてスタッフの皆様、今回が初めてという交流会の企画を本当にありがとうございます。大変貴重な経験ができました。「バーメルトの四季」、来年度も必ず購入します!


バーメルトさんが「ぜひ紹介したかった」とおっしゃった「ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽版)」は2019年8月の第621回定期演奏会で演奏され、その様子がEテレクラシック音楽館」で放送されました。その番組レビュー記事は弊ブログにあります。以下のリンクからどうぞ。レビュー記事では、バーメルトさんがテレビのインタビューで語った内容はすべて書き起こしています。また、演奏会そのもののレポート記事や過去のHTBドキュメンタリー番組レビュー記事へのリンクも掲載しています。 

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私の金管楽器へのアレルギーが完全に無くなり、むしろとても好きになったのは、少し前に聴いた金管五重奏の影響もあるかもしれません。ドラクエの音楽が好きな息子の付き添いで行ったこのコンサート、すぎやまこういちさんと東京都交響楽団トッププレーヤーの皆様のトークもあり、とても楽しかったです。よろしければそのレビュー記事もお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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札響首席奏者のソリストといえば、札響首席チェロ奏者の石川さんがソリストとして札幌室内管弦楽団と共演したコンサートが同じ2019年10月にあり、私はそちらも聴きました。石川さんのチェロ独奏、痺れましたよ!何度でも聴きたい!よろしければそのレビュー記事もお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

第16回東京メトロポリタン・ブラス・クインテット 札幌公演 「すぎやま こういちとブラスの響き」(2019/10) レポート

今年の10月はおかげさまで演奏会三昧で、芸術の秋、音楽鑑賞の秋を満喫しました。今回レポートするのは金管五重奏のコンサートです。中2の息子が行きたいというので、私は付き添いの名目でついていくことに。演目はドラゴンクエストの音楽が中心で、作曲者すぎやまこういちさんがゲスト出演してのトークあり。また奏者はいずれも東京都交響楽団のトッププレーヤーの皆様でした。これだけ豪華なのに、前売り券が一般3000円、高校生以下1500円とリーズナブルな価格設定。ちなみにチケットは前日までに完売して当日券はナシでした。

www.just-arts.net

東京都交響楽団のトッププレーヤー5名で構成される東京メトロポリタン・ブラス・クインテット。公式サイトを拝見すると、札幌公演は毎年開催されていて今年は16回目になるそうです。毎年東京からはるばるお越しださり、札幌のファンの期待に応えてくださることに感謝です。ちなみに私達親子は今回が初めての参加でした。

全席自由席のため私達は少し早めに家を出たのですが、Kitaraへ着くと小ホールへ続くエスカレーター前には既に行列ができていました。ざっと顔ぶれを拝見したところ、やはり普段のクラシック音楽のコンサートとは客層が違います。大人がほとんどで私と同年代と思われるファミコン世代が比較的多く、加えて現在リアルタイムでゲームを楽しんでいる小中学生の子供達が親と一緒に。もちろんゲームに親しんでいる若い世代もいて、あとは吹奏楽部と思われる中高生が先生の引率で来ていました。エスカレーターを登ったところにはゲーム制作会社スクウェア・エニックスからの立派なフラワースタンドがあり、キャラクター要素はまったくない普通のものにもかかわらず息子は大喜び。会場入りして、私達親子はちょうど空いていた1階前方の中央寄りの2席を確保しました。


では感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


第16回東京メトロポリタン・ブラス・クインテット 札幌公演 「すぎやま こういちとブラスの響き」
2019年10月8日(火) 18:30~ 札幌コンサートホールKitara 小ホール

【演奏】
東京メトロポリタン・ブラス・クインテット

  • 高橋敦(トランペット)
  • 中山隆崇(トランペット)
  • 西條貴人(ホルン)
  • 小田桐寛之トロンボーン
  • 佐藤潔(チューバ)

【曲目・第1部】

【曲目・第2部】
映画「ドラゴンクエスト ユアストーリ」の音楽から 作曲・お話 すぎやまこういち 編曲 高橋敦

(アンコール)


ツイッターでの速報は以下。

 

いやあ楽しかったです!金管楽器にさほど興味が無くゲームの知識は無いに等しい私がこんなに楽しめるなんて、嬉しすぎる誤算でした。私が金管楽器の音色を心から素敵だと思えたのは初めてかもしれません。ただけたたましいと思い込んでいたものが、繊細で深みのある音だってお手の物(もちろん奏者の皆様のお力によるものです)だとわかりましたし、間近でじっくり聴けてミュートの付け外しや小刻みな口元の動きまで拝見できたためか、すっかり金管楽器のことが好きになりました。トランペットは通常よりさらに小さなトランペットがあってその持ち替えもありましたし、打楽器の代わりに小さな積み木のようなものを譜面台に打ち付けて音を出す等、ユニークな演奏方法もあって楽しかったです。また、ゲーム音楽の奥深さも知りました。私は「ゲーム音楽はただうるさいだけ」とのひどい偏見しか持っていなかったのを猛省した次第です。ちなみに息子はこの年代の男子相応にゲームをたしなみますが、私はゲームをまったくしない人です。子供の頃に同級生のお宅で遊んだスーパーマリオの最初の敵に勝てず挫折して以来、ゲームとは無縁の人生を送っています。そんな私はドラクエのストーリーも曲もほぼ知りません。にもかかわらず、曲名を確認して実演を聴くとまるで物語のシーンが目の前に現れたかのような錯覚を覚えたんです。音楽の力ってすごい!客席にいた皆様の気持ちも高揚しているのがわかり、会場全体が楽しい空気に満ちていました。また密かに心配していたマナー違反をする人はまったくおらず、大変気持ちの良い演奏会でした。こんな素敵な演奏会なら本当に毎年来たくなりますね。この演奏会は末永く続いてほしいです。東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの皆様、きっとまた来年も札幌のファンに音楽を聴かせてください!

配布されたプログラムには演目の一覧と出演者のプロフィールが書かれており、曲の解説はありませんでした。出演者のトークでも曲やゲームのシーンの解説は無く、ちょっとだけ肩すかしな感がありましたが、たまには「考えるな感じろ」の精神で音楽と向き合うのも良いですね。音楽は誰もがそのままの形で受け取ることができるわけですし、場合によっては変に色眼鏡をかけないほうがフラットな気持ちで聴けて良いのかもしれません。

拍手で迎えられた東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの皆様。全員が黒い長袖シャツと黒いスラックスでキメていてカッコイイです!舞台に向かって左からトランペット1、トランペット2、ホルン、トロンボーン、チューバが扇状に並びます。腰掛ける椅子は、それぞれの奏者のかたの背丈に合わせて高さが違うものが用意されていました。特にお話は無く、奏者の皆様の準備が整い会場が静まりかえったとき演奏開始となりました。

演目に入ります。第1部クラシック音楽金管五重奏アレンジ。最初のバッハのオルガン曲はしみじみ聴き入ってしまいました。パイプオルガンを金管楽器に置き換えても違和感ないどころか、とても素敵で新鮮でした。案外親和性があるのですね。続くブルックナーのエクアーレ第1番ハ短調は、ネット情報によると3本のトロンボーンのための曲だそうですが、今回はトロンボーンは1つの金管五重奏で。教会音楽のような厳かな雰囲気がこれまた新鮮。ブルックナーアヴェ・マリアはまさに教会のパイプオルガンがハマりそうな曲で、これを金管五重奏で見事に奏でてくださいました。ずぶの素人である私がこんなことを言うとお叱りを受けるかもしれませんが、東京都交響楽団のトッププレーヤーの皆様は格が違います。ただ、息子は隣でこっそりあくびをしていて我が子ながらちょっとがっかり(笑)。彼はワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガーが来る!と背筋を伸ばしたのですが、よく知っている第1幕への前奏曲ではなく第3幕への前奏曲が演奏されたので、コレジャナイという顔をしていました。こちら、私は初めて聴きましたが、ワーグナーが戦闘力高そうな曲だけでなくこんな曲も書くのだということに驚きましたし、素直に素敵な曲でした。ワーグナーは、食わず嫌いで終わらせるにはもったいない作曲家なのかも。アイリーン・クルーズのブラス・クラッカーズは、曲名の通り金管楽器が活躍する曲でした。トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバにそれぞれ見せ場があり、その時活躍している「主役」に注目して聴くのが楽しかったです。

休憩をはさみ第2部はいよいよドラクエの音楽です。すぎやまこういちさんはここからの登場。拍手で迎えられ、舞台に出て開口一番「すぎやまこういち、レベル88です」。会場にどっと笑いが起きました。御年88才のすぎやまさんは、背筋がしゃんと伸びていて足取りもお話しする口調もしっかりとしておられ、失礼ながら大変驚きました。今も現役で作曲を続けておられること、こういった演奏会にも出演してファンの前でトークをしてくださることに頭が下がります。今回のトークのテーマは「音楽との出会い」とのことで、まずはすぎやまさんご自身のお話から。4,5才の頃に出会った流行歌がはっきりと覚えている出会いだそうです。曲名紹介とサビの部分の歌まで披露くださったのですが、私は全く知らない曲で失念してしまいました。申し訳ありません。その間奏部分が子供心に強く印象に残ったそうで、後に音楽の道を志すきっかけになったのかも、というお話でした。後はクインテットドラクエの曲を数曲演奏してはすぎやまさんが舞台に戻ってこられて、5名の奏者のかたにお一人ずつ順番に「音楽との出会い」をインタビューしていくスタイルでした。やはり管楽器の場合は体格や肺活量の問題があるので、本格的に始めるのは10才以降なんですね。それでも1才で「さくらさくら」を耳コピしてトイピアノで弾いてしまった神童がいたり、管楽器を始める前はピアノを習っていたり、家に大きなオーディオ機器とレコードが揃っていたりと、幼い頃から音楽に親しんできたかたがほとんどでした。その中で異色の存在だったのがトロンボーンの小田桐さんです。トロンボーンに出会う中1の時までは野球少年で、それまで音楽経験はなかったそう。それが今や東京都交響楽団の首席トロンボーン奏者としてご活躍されているわけですから、会場にいた子供達にとってはまさに希望の星ですよね。プログラムによると、小田桐さんは札幌ご出身。この日会場にいた子供達の中にも、将来広い世界で活躍しながら故郷のコンサートホールで演奏をする奏者がいるかもしれませんね。そして将来の札響の奏者もきっといてほしいです!演奏のほうは、私が子供の頃の初代ドラクエとは音楽もかなり違っていましたが、前述した通り音楽で物語の世界に自然といざなわれました。壮大で、まるでオペラのようです。一方映画まで見に行った息子にとっては、まさにリアルタイムにハマっている世界の音楽なわけで、隣ですごくテンションあがっているのがわかりました。彼は大人しく座って聴いてはいたのですが、のめり込みすぎたせいか小声でルルルーと歌い出してしまうことがしばしばあって、その度に私が膝をポンと軽く叩き注意していました。でも歌い出したくなるくらい楽しんでいるのは私にもよくわかって、こんなふうに音楽を楽しめるっていいな、私もかくありたいなとも思いました。

拍手が鳴り止まない会場に、クインテットの皆様は何度も戻ってきてカーテンコールに応えてくださり、何度目かのときに椅子に腰掛けアンコールの準備。トランペットの高橋さん(東京都交響楽団の首席トランペット奏者で、このかたがトイピアノの神童です)がマイクを持ってお話されて、お客さんに呼びかけ手拍子を3回する練習が始まりました。パンパンパンと最初から揃って「完璧です」と高橋さん。続いて膝または肩を3回叩く練習。トントントンとこちらも一度で揃ってまたまた「完璧です」と高橋さん。褒めて伸ばしていくタイプ。そして膝2回手1回の「トントンパン」をエンドレスで繰り返し、そのリズムに乗ってそのままアンコール1曲目の演奏が始まりました。おなじみブライアン・メイWe Will Rock You金管が本領発揮する超絶カッコイイ演奏で、加えてそれに自分たちも参加できるのがすごく楽しい。第2部のドラクエ音楽で十分すぎるほど温まった会場の温度はさらに上昇しました。1曲目が終わると高橋さんはトランペットに口をつけたまま、片手をパーからグーにするジェスチャーをして、会場のトントンパンは止まりました。そのまま続けて2曲目はこれまた耳なじみのある曲でした。終演後のアンコールボードにはフレディ・マーキュリーボヘミアン・ラプソディとありましたが、実際に演奏された曲は We Are The Champions だったと思います。徐々に盛り上がってきて We are the champions の高らかに長く音を伸ばす所なんて鳥肌モノでした。ここまでずっと演奏を続けてこられているにもかかわらず、息切れはまったく感じさせないどころかハイレベルの演奏を聴かせてくださる奏者の皆様、すごすぎます!会場は割れんばかりの拍手。こんな一体感、私は久しぶりに体験しました。そんな拍手喝采の会場に、舞台袖から音楽が聞こえてきました。なんと奏者の皆様がトロンボーンを先頭に演奏しながら歩いて舞台に戻ってきてくださったのです!拍手は自然と手拍子になって、アンコール3曲目はジョン・フィリップ・スーザワシントンポスト。特に大きなチューバなんて抱えて歩きながら演奏するのはすごく大変だと思うのに音量もしっかりあって、もちろん他の楽器のかたたちも音量保ったまましかも演奏自体が素晴らしいというミラクルが目の前で繰り広げられていました。床を一斉にドンと足踏みして鳴らす演出もあってノリノリです。演奏が終わるとすぎやまさんが拍手しながら舞台に戻ってこられて、「ドン」と床を足踏み。会場に笑いが起きました。超絶楽しかったです!ありがとうございました!


お開きの後はホワイエでCD購入者対象のサイン会です。今回は息子がサインを頂き、私は後ろから見守っていました。CDのライナーノーツの裏表紙余白に、5名の奏者の皆様がそれぞれ小さくサインを書いてくださり、息子は握手までして頂いてとても喜んでいました。始まりからアンコール3曲に至るまで全力投球の演奏の後でお疲れのところ、本当にありがとうございます。

 

サインを頂いたCDはこちら。ドラクエ11管弦楽版、すぎやまこういちさん指揮で東京都交響楽団による演奏です。まさに壮大!ワーグナーの楽劇にだって負けてないと思います。金管楽器が活躍するところでは、今回お目にかかった奏者の皆様のお顔が浮かびます。今回の金管五重奏はもちろん最高でしたが、いつかフルオーケストラの生演奏でも聴いてみたいです。またライナーノーツには曲目一覧と独奏用の楽譜が載っていて、楽器をたしなむかたなら自分で演奏しても楽しめる仕様です。そのかわり曲の解説は一切ナシ。演奏会と同様、先入観なしで楽しむのは大いにアリだと私は思います。ただ私の場合は、黙っていても息子がどのシーンで流れるどんな曲かというのを逐一教えてくれましたが(笑)。


息子と2人きりでのコンサートデート、楽しかったです!ただ家を出るときに小1娘(パパとお留守番)に「私も行きたい」と泣かれてしまったので、今度は彼女と楽しめるコンサートに一緒に出かけようと思います。


最後に。少し前にツイッターで見かけた「クラシック音楽は格式高くあるべきで、砕けた広報や茶化した司会進行、ポップス風味クラシックをやる等のハードルを下げる動きには反対(※意訳)」という一つの意見について。私はまだまだ新参者ですから、生意気を言っているのは重々承知の上で、私見を書きます。よろしければ、以下おつきあいください。

ツイッター上で色々と思いの丈を述べましたが、まとめると私の考えは「格式高いクラシック音楽はそれはそれとしてあってほしい。しかし一方でクラシック音楽の門戸は広くあってほしい」ということです。個人的には、例えばポップス風味クラシックのせいで本格的なものが滅びるなんてありえないと考えます。そもそも今現在の「クラシック音楽」は、何百年も前に生まれた曲が時代や文化の変化さらに政治的思惑に翻弄されながらもなお残っているものですから、いわば歴史が浅いものに簡単に乗っ取られるとは考えにくいです。むしろ本家本元が堅牢だからこそ、様々な遊び心が生まれるとの見方だってあると思います。また、本格的なクラシック音楽がもし消えるとすれば聴く人が誰もいなくなったときでしょうが、それはシンプルにガチな愛好家が減るせいであって、別の何かのせいにはできないのでは?愛好家の年齢層は比較的高めのジャンルですから、このままでは先細りになるのは誰の目にも明らかです。だからこそ新規の人達が入りやすい工夫は必要だと私は考えます。もちろん新規の人に初めから格式高い演奏会に来てもらえればよいのですが、私は経験上それは難しいとはっきり言えます。まず、普段クラシック音楽に親しんでいない人にとっては、敷居が高いうんぬん言う以前に「興味が無い」のです。そんな人達に興味を持ってもらえるきっかけがまず必要ですし、入り口は色々あったほうがよいというのが私の考えです。ですから私は、ツイッター上で個性的で楽しいPRを展開する各オケの公式アカウントの皆様には頭が下がりますし、札幌市が市内の全小学6年生を招待する「kitaraファーストコンサート」のような取り組みは大変素晴らしいと思っています。ファーストコンサート、私も行きたかった(笑)。そして私の場合は「クラシカロイド」というアニメがきっかけでしたが、いざクラシック音楽の演奏会に行ってみよう!と考えたときに、いきなり本格的な演奏会は選べませんでした。よく知らないものはシンプルにコワイのです。そんな私が最初の頃に選んだのは、短めの曲を数曲演奏するミニコンサートやポップスの有名曲も入った演奏会でした。料金も無料や格安のものが多く、失敗が怖くないという意味で本当に助かりました。私は今でこそ本格的な演奏会にも足を運ぶようになりましたが、もしこれらの「ハードルが低め」の演奏会がなければ、今でも入り口の前で立ち止まったままだったかもしれません。そして今回息子と聴いたドラクエ音楽中心の演奏会の場合、もちろんほとんどのお客さんがドラクエ音楽が目当てだったと思われます。しかし目の前でジャンルの分け隔て無く演奏される音楽の数々に誰もが魅了されていましたし、それこそ電子音があふれる日常から離れ、楽器が奏でる生の音に触れるスペシャルな体験ができたわけです。これって素晴らしいことだと、私は打算的な考えは一切なくそう思います。うちの息子の話になりますが、開演前は「すぎやまこういちさんがサイン会に出ないならサインは要らないかな?」と言っていました。ところが終演後には買い求めたばかりのCDを抱え、奏者の皆様によるサイン会の列に走って行き並んだのです。金管楽器の音がカッコイイと言って(特にチューバがお気に入り)、奏者のかたに握手までして頂けて、本気で感激していました。私は何も誘導していません、念のため。彼の場合きっかけはゲームでしたが、一流奏者の皆様による生演奏に触れたことで、新たな音楽ファンの一人になったのですよ。改めて、息子の心を動かしてくださった奏者の皆様にお礼申し上げたいです。本当にありがとうございます。そうなんです、奏者の皆様はゲーム音楽のアレンジだってクラシック音楽の名曲と同じように真剣に心を込めて演奏してくださっています。それは聴けば誰もがわかります。「参加するハードルは低く」とも「演奏は上質で本物」、そうでなければむしろ知識が無い初心者にこそそっぽ向かれてしまうと私は思います。日本を代表するオーケストラの一つである東京都交響楽団。その首席奏者のかたを中心に結成した東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの皆様は、おそらくオケのお仕事だけでも大変なはずです。にもかかわらずオケのお仕事の合間を縫って金管五重奏用の編曲をし、リハーサルを重ね、東京から離れた札幌まで毎年演奏に来てくださっているのです。たとえ本格的なクラシック音楽の枠から外れている音楽であっても、一流奏者の皆様はそれを演奏する価値があると認識しておられるのですよ。格式高いクラシック音楽の演奏会、私は初めはコワイとさえ思っていたのに今では大好きになっています。最初からいきなり本格的な演奏会にチャレンジはできませんでしたが、「これなら行けそう」と思えた演奏会で少しずつステップを進むことができたからです。ハードルが低くとも上質で本物の音楽に触れられる素晴らしい機会に恵まれたことに、心から感謝しています。ここに至るまで自分が通ってきた道だからこそ、門戸を広く開けたハードル低めの演奏会や、初心者の興味を惹くしかけが、今後も色々な形で出てきてほしいと私は願うのです。門戸はできるだけ広く開け、様々な人に聴いてもらえることこそが、きっとクラシック音楽ファン全体の層の厚さにつながり、ひいてはクラシック音楽の未来を明るくしてくれると私は信じています。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

札幌室内管弦楽団 第14回 演奏会(2019/10) レポート

2019年10月、私は初めて札幌室内管弦楽団の演奏会にうかがいました。きっかけはKitaraでたまたま見つけたチラシです。札響首席チェロ奏者・石川さんがソリストのドヴォコン!カップリングはブラ2!私、狙い撃ちにされています(笑)。これは絶対に聴きたい!と、すぐに留守番を頼む家族の予定を確認し、前売り券を購入しました。前売り1500円。こんなにお安くて良いんでしょうか…と少し気後れしながらも、私は当日を楽しみに待っていました。

sapporokangenm.web.fc2.com

札幌室内管弦楽団について詳しくは上の公式サイトを参照ください。「もっとクラシックを楽しく」のスローガン、良い生演奏を気軽に聴ける機会を増やしたいとの思い、共感いたします。プロ・アマ混成のオーケストラで、ステージ上の奏者の皆様を拝見すると、札響の大編成の演目でお見かけした顔がちらほら。言うまでもなく北海道唯一のプロオーケストラである札響は最高峰であり、比べてはいけません。しかし、私は今回初めて札幌室内管弦楽団の実演に触れ、その質の高さに失礼ながら驚きました。そして札幌の演奏家の層の厚さを実感し、聴き手としては大変恵まれている環境にあるなとも感じました。

では感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。

札幌室内管弦楽団 第14回 演奏会
2019年10月13日(日) 18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
松本寛之
【独奏】
石川祐支(札響首席奏者)(チェロ)
管弦楽
札幌室内管弦楽団

【曲目】

 

ツイッターでの速報は以下。


聴いた直後の興奮冷めやらぬ中でテンションおかしいツイートをしてますね…。こっそり告白しますが、実は私、札響首席チェロ奏者・石川さんの隠れファンです。あくまでひっそりと応援しています。石川さんの独奏をたっぷり聴けるなんて、夢のようでした。本当にありがとうございます。そしてブラ2が解説を含めとても良かったです。私にとってブラ2は、札響定期演奏会デビューのときにバーメルトさん指揮で聴いた思い出の曲です。今回はオケも指揮者も違いますが、良い席でリラックスして聴けたのもあり、素直に「楽しむ」ことができた気がします。

全席自由席で、私は2階前列のSS席にあたる席を確保。しかし大変もったいないことに会場はガラガラでした。これではソリストへの謝礼と会場費を支払った時点で赤字なのでは?と、失礼ながら心配になりました。お客さんが少ないため皮肉にも音がものすごく良くて、聴き手としては贅沢な時間を過ごすことができたのですが…。チケットは低価格で用意し、小ホールではなく大ホールで演奏会を開催する心意気は大変素晴らしいです。それでも、チケット代はもう少しお高くてもバチはあたらないと個人的には考えます。そして、やはりできるだけ多くのお客さんに入って頂きたいですよね。弱小個人ブロガーの私ですが、微力ながらここで大声で叫びます。「札幌室内管弦楽団の演奏会、良いですよ!次の演奏会には皆様ぜひ足を運んでください!」

オケの配置は、見慣れた札響のオーソドックスな配置と比べチェロとヴィオラの位置が逆で、舞台向かって右側の前列はチェロでした。そういえばPMFのGARAコンサートもそうなっていました。大きなオケであればステージマネージャーがいますが、配置は最終的には指揮者が決めるのかな?と少しだけ思いました。

演目に入ります。前半はドヴォルザークのチェロ協奏曲ロ短調。演奏前に指揮の松本さんからお話がありました。まずは台風19号の被害へのお見舞いから。こんな気配りができるかたは素敵です。前半の曲名紹介と「皆様ご存じ」の枕詞でソリストのお名前紹介がありました。石川さんとリハーサルを重ねたことでオケが刺激を受けた旨のお話の後、石川さんをお呼びし、会場は拍手でお迎えしました。石川さんは片手でチェロを抱え颯爽と登場。きゃあああ石川さんんんん!!!私は心の中で大声援を送りました。特にお話はなく、石川さんはソリスト用に少し高くなった台の上の椅子に腰掛け、演奏準備。譜面台はありませんでしたので、暗譜です!もう完全にご自分のものにしていらっしゃるんですね。期待し過ぎちゃいけないと思いつつ、いやでも期待が高まります。第1楽章は、始まってしばらくはオケのターンです。メロディメーカーのドヴォルザークですから、聴きやすいメロディが次々と。そして満を持してチェロ独奏が登場。この感じキター!一音目からぐっと迫るチェロの音色!そこからチェロ独奏は忙しく、主旋律を奏でているときも、オケの木管の裏で伴奏のような形で演奏していても、とにかくずっと素晴らしい。低めの音で演奏するときの艶めかしさも、高いヴァイオリンのような音で奏でるときも、すべて。私の素人の耳で申し訳ないのですが、高音のときはむしろヴァイオリンより深みのある音で聞こえ新鮮でした。第2楽章、全体的に何となくさびしい感じがするこの楽章で(解釈が間違っていたらごめんなさい)、チェロ独奏は血の通った人間がそこにいるかのように感じられ、どんな時も寄り添ってくれるような良さがありました。第3楽章、まずはオケが盛り上げてくれた後にチェロ独奏が入ってきます。私、個人的にこの第3楽章のチェロ独奏がすごく好きです。最初の歌うようなところはもちろん、一旦オケのターンでコントラバスが低音を効かせるところから戻ってきてからの独奏チェロがまた良いんですよ。コントラバスとの対比になっているのがニクイ。細かすぎて伝わっている気がしない。楽章最初のメロディを、独奏チェロが哀しげに演奏した直後にオケが全員参加で派手に演奏する対比も好き。歌曲を独奏チェロが歌うようなところもあって聴かせどころしかないです。様々な盛り上がりの後、一旦ゆったりなペースになりますが、このゆったりしたところでこそ独奏チェロをしっかり味わえるのかもと、私は実演を聴きながらそう思いました。石川さんは独奏チェロの最後の一音まで超人的な集中力で奏でてくださり、最後はオケが全員参加の合奏で盛り上げて締めくくり。素晴らしい!チェロ独奏、痺れました!ソリスト石川さんと札幌室内管弦楽団の皆様の演奏、そして独奏チェロの見せ場てんこ盛りの曲を書いてくださったドヴォルザークさんに感謝です!

演奏が終わると、舞台袖から花束を持った女性が登場し、石川さんに花束が贈呈されました。石川さんはまずチェロを片手で抱え、花束を受け取った後はチェロと同じ腕で花束とチェロを抱きかかえるようにして、空いた片方の手で花束贈呈した女性と握手。いいなあ(←)。奏者のかたのこんなふるまいも観客はよく見ているので、こんなふうに自然に動ける奏者のかたはやはり株が爆上がりします。石川さん、これからもこっそり応援させてください!

ソリストアンコールJ.S.バッハ無伴奏組曲 第6番より「サラバンド。いつも思うのですが、なぜチェロ1つ弾く人1人なのに同時にたくさんの音が聞こえるんでしょう?素人丸出しで申し訳ないですし、一度にたくさんの音が聞こえるという例えが正しいかどうかもわかりません。しかし単純じゃないチェロの音色が私は大好きだと改めて思いました。そしてチェロの音の重なりは奏者によっても違っていて、私はやはり石川さんのチェロの演奏が好きなのだと再認識。大熱演のドヴォコンの後にソリストアンコールまで、ありがとうございました!

前半が終わってから気付きましたが、私ソリストしか観ていなかったです。オケあっての協奏曲なのにごめんなさい!ソリストのターンはもちろんのこと、オケのターンになっても汗を拭ったり次の演奏に入る前の瞑想をしたりといったところ、全部凝視していました。超絶重くてスミマセン。私、実は席を選ぶとき最前列に座ってガン見しようかと一瞬思ったんですよね。でもそれでは演奏しづらいかもと思い直し、これでも遠慮して2階席に座ったんですよ。SS席だけあって音も視界も良かったですが、奏者の表情まではよく見ることが出来なかったので、1階の5列目あたりにすればよかったかなと後で少しだけ思いました。どうかしている自覚はあります。こんなことは置いておいて、何より石川さんのチェロ独奏によるドヴォコンの実演が聴けたのが本当にうれしかったです。石川さん、札幌室内管弦楽団の皆様、重ねてありがとうございました!

後半はブラームス交響曲第2番ニ長調です。こちらも演奏前に指揮の松本さんからお話がありました。ブラ2についての松本さんの解釈は、「『ブラームスの田園交響曲』との形容があるけれど、自然を描いているというよりは自分の内面を見つめているように思える」。うおー同志よ!!!私は心の中で松本さんとがっちり握手しました。私は同じ事をもう5億年前から言ってますから!私、松本さんとは気が合いそうですし、これは絶対に演奏にも期待できると確信しました。また松本さんはご自身の身の上話を少し交えながら、ブラ2の「物語」を提案してくださいました。初老の男性を主人公に、第1楽章は少年時代の「回想」、第2楽章は今自分が直面している「現実」、第3楽章は「冒険」、そして第4楽章は「人生賛歌」。当然ながらブラームス標題音楽のつもりで書いたわけではないので、この物語はブラームス自身が意図するものではありません。しかしせっかくなので、私はご提案頂いた物語に丸ごと乗っかって鑑賞することにしました。主人公は、ブラ2を作曲した当時のブラームスで。第1楽章、思慮深い母の愛や素晴らしい音楽の先生に恵まれた子供時代ではありますが、貧しい家系を支えるためローティーンの頃から売春宿でピアノを弾いたブラームス。そのことについて彼自身は多くは語らないのですが、徹夜続きでフラフラになっていた彼を見かねた知人が田舎に招待することが時折ありました。その田舎での暮らしが彼を救ってくれて、生涯田舎をこよなく愛する人物に。私は、曲が始まってしばらくして登場する、ヴィオラが中心となって奏でる静かな美メロに泣けて仕方がありませんでした。彼自身大はしゃぎはしないけど、田舎の涼しい風は優しくて、彼のささくれた心を癒やしてくれたのだろうと思うともう無理です。しかし、なんとか気を取り直して曲に集中するようにしました。第2楽章は穏やかな美メロが次々と。しかしふいに向かい風が吹いたり雷雨に見舞われたりすることも。ブラ2作曲当時のブラームスは、ブラ1成功の直後で比較的落ち着いていた時期ではあります。しかし誰しもがそうであるように、ままならぬ現実に直面することはあったわけで。第3楽章。そうですよね、枯れるにはまだ早すぎる。若者のようなガツガツした感じはないものの、それなりの人生経験を踏まえた上で、新しいことにも目を向けて冒険する心は忘れていないのは素敵。第4楽章は、まさに「自分で自分を褒めてあげたい」なのだと思うのですが、それでもブラームスは最初のうちは遠慮がちですよね(笑)。自分に厳しすぎる人であっても、もうここまで頑張って結果を出してきたことは讃えられて然るべきです。早い段階からベートーヴェンの後継者と見られたため、生半可な作品は発表できず、自作品をどれだけ暖炉の火にくべてきたことか。そうして頑張って頑張って構築したブラ1の成功は、間違いなく彼自身がつかみ取ったもの。それは誰もがそう思っていますよ。吹っ切れたように曲が明るく盛り上がるのを聴くと、私はまるで自分のことのように嬉しくなりました。最後のクライマックスでティンパニの鼓動に乗って高らかに鳴るトランペットが、ブラームスを祝福してくれているようで、私はここでも涙が。嬉し泣きです。よかった、本当によかった。私、やっぱりブラ2は「愛しい」という形容がぴったりきます。ブラームスの他の作品も色々聴いてきましたし、4つの交響曲はそれぞれの良さがあってすべて好きです。しかし他の3つの交響曲にはない素直さが2番には感じられて、まるでお母さんになったかのような気持ちでとても愛しいと思うのです。素晴らしい演奏を聴かせてくださりありがとうございました。

カーテンコールのとき、控えていた打楽器奏者のかたお二人も舞台へ。指揮の松本さんは舞台袖から猛ダッシュしてきて指揮台に飛び乗りました。恰幅の良い松本さんが意外にも身軽でビックリ(失礼)。アンコールドヴォルジャークのスラブ舞曲第8番。賑やかに盛り上げてくださいました。全力投球の演奏が終わり、会場は拍手喝采。指揮の松本さんは次回演奏会の案内をした後、「これで本当に終わりです!」とおっしゃって会場に笑いが起きました。楽しかったです!ありがとうございました!


終演後のロビーでは、石川さんがソリストとして札響と共演したCDの販売がありました。が、サイン会はありませんでした(涙)。私、サイン会があると期待して家からこっそりCD持参していたのですよ(笑)。また次の機会にぜひお願いします!

 

札響首席チェロ奏者・石川さんがソリストのドヴォコンについては、エリシュカさん指揮で札幌交響楽団演奏によるCDがあります。カップリングはブラ3です。私は既にエリシュカさんのブラームス交響曲全集を持っていたにもかかわらず、石川さんの独奏が聴きたくて購入しました。2曲とももうめちゃくちゃ良いですのでオススメします。ライブ録音です。実演が聴きたかったです私…。ちなみに今回の演奏会ロビーで販売されていたのはこちらのCDでした。 

 

ブラームス チェロ・ソナタ(全2曲)

ブラームス チェロ・ソナタ(全2曲)

 

 なんと石川さんにはブラームスチェロソナタのCDもあります!うれしすぎです!私は見つけたときに即買いしました。シューマンドヴォルザークの曲も入っていてオトク感があります。ブラームスチェロソナタ、1番の若き日の苦悩も、2番の大人の余裕も、石川さんのチェロにかかると陳腐な言葉では言い表せない深みが感じられます。カップリング曲もすべて素敵で、私は特にシューマンの幻想小曲集op.73の第3曲がツボです。なんというか、石川さんらしいなと感じました。石川さんがオケのお仕事だけでもご多忙なのは存じておりますが、できればこちらのCDに収録された曲でリサイタルをして頂けたらうれしいです。ピアノ伴奏はもちろんCDと同じ大平由美子さんで。サイン会もぜひ!


私が石川さんのお名前をはっきりと認識したのは、江別での札響の演奏会でした。1曲目のロッシーニはそれが目当てで行ったわけではないのに、チェロ独奏に不意打ちされたのです。それはもうズキューンと。これは事故です(笑)。ソリスト成田達輝さん(ヴァイオリン)によるパガニーニ、そして後半メインのブラ1もとても良くて、遠征して本当によかったと思いました。その演奏会のレポートは以下のリンクにありますので、よろしければお読みください。 

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バーメルトさん指揮のブラ2は、私が札響定期演奏会デビューした記念すべき演奏会で聴きました。その演奏会のレポートも弊ブログにありますので、よろしければそちらもお読みください。私が5億年前から言っている「ブラ2は内面を見つめている」についても軽く触れています。以下のリンクからどうぞ。 

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ブラームスドヴォルザークのチェロ協奏曲におおいに嫉妬したそうですが、ブラームスの二重協奏曲だって負けていないと私は思います。ブラームスの二重協奏曲は2019年8月の札響定期演奏会で演奏され、その様子がEテレクラシック音楽館」で放送されました。その番組レビュー記事は弊ブログにあり、演奏会そのもののレポート記事へのリンクも掲載しています。以下のリンクからどうぞ。NHKのカメラさんは、オケのチェロパート全体を映してから石川さんの手元にズームするというのを、番組内で少なくとも2回やってくださったので大好きです(←録画リピート再生しすぎだし変なところに着目しすぎ)。二重協奏曲、いつか石川さんのチェロ独奏で聴きたいです! 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


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第477回 市民ロビーコンサート(2019/10) ミニレポート

www.city.sapporo.jp


札幌市の市民ロビーコンサートは、ちょうどお昼休みの時間帯に開催される約25分間のミニコンサートです。誰でも参加無料、予約不要で聴くことができます。第477回という数字が物語る通り、歴史ある演奏会です。札幌は音楽を聴く環境に恵まれているなと改めて思います。私は2019年10月に、チェロとピアノの演奏会を聴いてきました。
今回は短めのミニレポートです。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。

第477回 市民ロビーコンサート
2019年10月25日(金)12:25~ 札幌市役所1階ロビー

【出演】
山田慶一(チェロ)
神原希未(ピアノ)

【曲目】


ツイッターでの速報は以下。

 

予定外でしたが、ふらっと立ち寄ったコンサートです。あの日あのタイミングで地上に出なければ気がつかなかったので、「呼ばれた」としか言いようがないです(笑)。偶然なのか必然なのか、こんなことってあるんですね。チェロ好きな私としては、期せずして素敵な演奏を聴けてうれしかったです。

壁際での立ち見を自ら選んだかたもいらっしゃいましたが、用意されたイスの数と観客の数は大体同じくらいでした。客層はお年寄りが比較的多く、赤ちゃんや未就学児を連れたお母さんもちらほら。様々な事情で一般的なコンサートにチケットを買って行くのは難しい人にも、こうして生演奏を聴ける機会があるのは素晴らしいことだと思います。あとは、周辺オフィスで働く人達にももっと来て頂けるといいなと個人的には感じました。大通にお勤めの皆様、職場によるかもしれませんが、少し昼休みに融通が利くかたであれば早めに昼食を済ませて、いかがでしょう?

開演まで時間があったので、私は配布されたプログラムを熟読。曲目解説はこの日のチェリストである山田さんによる執筆でした。出演者紹介を拝読すると、山田さんは演奏家としてご活躍なされている一方で、スズキ・メソードの指導者としてのお仕事のほか後進の育成にもご尽力されているとのこと。ピアニストの神原さんは主に札幌でご活躍のようです。当日はちょっと風が冷たい日で、ベアトップのドレスをお召しになっていた神原さんのそばには電気ストーブがありました。


演目に入ります。1曲目はシューベルトの万霊節のための連祷。歌曲をチェロが歌う演奏でした。歌で言うところの3番まであるのですが、同じメロディでも2番は1番より1オクターブ低い音で演奏していて、3番ではまた戻るという変化が楽しめました。歌曲だと音域は決まっている一人の声楽家が歌うわけですから、もしかするとチェロならではの工夫なのかも?とちらっと思いました。

2曲目はピアソラのル・グラン・タンゴ。今回の演目の中で一番演奏時間が長い曲です。私は9月に聴いた日露交歓コンサート2019でこの曲の実演を聴いたばかりで、今回別の奏者で改めて聴くことが出来てとてもうれしかったです。今回は9月の大ホールとは違い、至近距離で演奏の手元を見ることができました。弓をひく手も弦を押さえる手も忙しいんですね…。タンゴ独特のリズムは、細かく弓を弦から離すようにして演奏。ピアノとリズムを揃えるのもおそらく難しいと思われますが、息ぴったりでした。また、本来チェロのために書かれた曲のためか、途中でレガートで演奏される部分もあって変化が楽しめました。ああやっぱりイイ曲!春夏の明るい季節ではなく、秋冬のさびしい季節にこそ似合う曲です。プログラムによると、ヴァイオリンでの演奏機会も多い曲だそうですが、個人的にはヴァイオリンよりはチェロで聴きたいと思いました。あとはやはりタンゴなのでバンドネオンでも聴いてみたいです。

3曲目はポッパーの紡ぎ歌。当然ながらタンゴとはまったくリズムが違っていて、糸車が高速回転しているかのような印象でした。弦を押さえる手が上から下へ滑らせるように動くと音もそれに合わせてどんどん高くなるし、演奏の手元もまるで糸を紡いでいるよう。聴いているほうは楽しいですが、おそらく演奏はものすごく大変だと思います。3分ほどの短い曲で、超絶技巧を披露くださいました。

会場は拍手喝采。楽しかったです!ありがとうございました!今度は予定を立てて「市民ロビーコンサートを聴くために」街に出ようと思います。


市民ロビーコンサート、毎年7月はPMF教授陣が出演するのがお決まりのようです。今年7月に聴いたヴァイオリンとピアノの演奏会について弊ブログでレポートしています。以下のリンクにありますので、よろしければお読みください。市民ロビーコンサートのミニレポートは記事の末尾の方にあります。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

日露交歓コンサートは事前応募制で、入場無料です。今年9月の札幌公演にて、私はピアソラのル・グラン・タンゴを初めて聴きました。他も多彩な奏者と演目が盛りだくさんの演奏会でした。こちらも弊ブログでレポートを書いていますので、よろしければお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

昼休みの時間帯に聴ける予約不要のコンサートといえば、六花亭本店のふきのとうホールで行われるランチタイムミニコンサートもあります。参加費は六花亭のお買い物ポイント10ポイント。私が今年7月に聴いたチェロとピアノの演奏会について、弊ブログでレポートしています。チャイコフスキー国際コンクール他、多くの国内外のコンクールに出場し次々と記録を打ち立てている若手チェリスト・佐藤晴真さんの大熱演が聴けました。よろしければお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

「クラシック音楽館 札幌交響楽団演奏会」(NHK制作・2019年10月6日放送) レビュー

2019年8月23日に行われた札幌交響楽団第621回定期演奏会(金曜夜公演)の様子がテレビの地上波で全国放送されました!Eテレの番組「クラシック音楽館 札幌交響楽団演奏会」(2019年10月6日(日)21時放送)です。今回はこちらのレビューを書きます。

www4.nhk.or.jp

放送内容の概要につきましては上のリンクを参照願います。番組宣伝用の短い動画に、ブラームスの二重協奏曲が使われているのがとっても嬉しいです。

なお、私はこの放送で取り上げられた演奏会の生演奏を実際に聴いており、演奏会直後のレビュー記事は既に弊ブログにアップしています。放送では取り上げられませんでしたが、重厚な本プログラムの前には超楽しいロビーコンサートがあったんですよ。そのロビーコンサートについてもレポートしていますので、よろしければ以下のリンクからどうぞ。愛が重くて恐縮です。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

私はこの演奏会が全国放送されると知ったとき、もう小躍りしたくなるほどうれしかったです。我が街のオーケストラ札響を全国の皆様に知って頂ける!しかも個人的に好きなブラームス中心の演目が揃ったイチオシの演奏会!8月の公演が終わってからもずっと放送日が待ち遠しくて待ち遠しくて。そして放送当日、少し遅刻しましたがリアルタイム視聴しながらツイッターで実況しました。アニメレビューをやっていた頃のノリでポンポン連続ツイートしたものの、なんだか私は激しく浮いていましたね。大変失礼しました。

そして放送が終わってからもずっと録画をエンドレスリピートしてニヤニヤしています(笑)。まるで身内がテレビに出たかのような気分(※図々しい)。バーメルトさんへのインタビューにいちいちうなずき、すっかりお顔を覚えている奏者のかたが大写しになって大はしゃぎして、個人的にツボなポイントは何度も巻き戻して観ているほど(※ほとんど病気)。さすがのカメラワーク、わかってくださっているなという映像ばかりでありがたかったです。演奏会だと自席から見える部分は限られているため、正面から指揮者の表情を拝見でき、各パートを様々な角度から見ることが出来るなんて夢のよう。録画はもちろん永久保存版です!

私はこの感激を少しでも皆さんと共有したくて、番組の感想を書くことにしました。残念ながら本放送を見逃してしまったかたや録画がないかたにも、記録としてご活用頂けましたらうれしいです。クラシック音楽館の再放送は滅多にないようですが、もし叶うことなら再放送を希望します!できれば円盤化もお願いしたいです。

演奏内容の感想については繰り返しません。あくまでも番組オリジナルのインタビュー内容や練習風景等のドキュメンタリー要素について、私が感じたことを書きます。ちなみにバーメルトさんがインタビューで語った内容はすべて書き起こしています。私自身がバーメルトさんの言葉を余すところなく記録したいと考えたからです。そして私の実況ツイートについては…本記事で引用するのはやめておきます。なんというか、私って色々とアレだなって(汗)。「ああここ好き」とか「手元アップ!」とか、一体何の実況かと…どうかしている自覚はあります。

では本題に入ります。私の感想はあくまで個人的な考えですので、参考程度に留めて頂きたくお願いいたします。また、記事の内容に間違いを見つけた場合はおそれいりますが指摘くださいませ。


番組冒頭いきなり北海度の大自然の風景とキタキツネが映り、いつもの放送とは違う雰囲気。「透明感と壮大さを併せ持つ、この楽団ならではのサウンド」というナレーションが入って、プログラム紹介続いて札響とバーメルトさんの簡単な紹介がありました。


1961年、札幌市民交響楽団として発足。以来北海道唯一のプロオーケストラとして活動してきました。
2018年、マティアス・バーメルト首席指揮者就任。スイス出身の77歳。オーボエ奏者から指揮者になりました。ブーレーズシュトックハウゼンに学んだ現代音楽の作曲家としても活躍しています。

バーメルトさんは作曲家としてもご活躍だったとは、失礼ながら私は初めて知りました。マエストロ、いつかぜひ自作品を演奏会で取り上げて、私達に聴かせてください。
コンサートから作曲まで、様々な経験を積み重ねてきたバーメルト。札響には初共演のときから何か特別なことを感じてきました」とのナレーションに続き、バーメルトさんのインタビュー映像へ。

最初に指揮をしたときから、とても相性がよかったのです。お互い音楽が好きで、うまくいきました。
オーケストラというのは難しい組織です。毎日100人ほどで集まって前に立つ。たった1人の指示に従う。このような職業はほとんどないでしょう。
自然な状況ではありません。ですから相性が大事なのです。指揮者とオケの間に、良い化学反応があるということです。

「相性がいい」なんて、すごくうれしいことを言ってくださる!人と人との相性は頭で考えてどうこうできるものではないので、バーメルトさんと札響はまさに幸せな出会いをしたのだと思いますし、このご縁に改めて感謝したいです。

ナレーション「2018年9月6日 北海道胆振東部地震。直後に予定されていた演奏会も取りやめになりました」。

ああ、函館の夜景が一斉停電で真っ暗に…。この映像は胸が締め付けられました。地震発生直後の名曲シリーズが中止されたのも記憶に新しいです。ちなみに今年9月に同じプログラムによる演奏会が開かれて、関係者およびファンの一年越しの想いが昇華したんですよ。

そして再びバーメルトさんのインタビューへ。

日本の皆さんに何かが起きると、人間として強く心が動かされます。アニメスタジオの事件も地震も、どのようなことでもです。日本でそのようなことが起きると心が痛むのです。
ある国のある楽団の首席指揮者になるのは、敬意や愛情のような特別な思いがあるからです。そうでなければ、私はここにいないでしょう。

バーメルトさん、こんなにも日本のことを思ってくださり本当にありがとうございます。こんなかたが我が街のオケ・札響の首席指揮者だなんて、私達は幸せ者です。

続いて、「札響メンバーによる被災地慰問」としてコンミス大平まゆみさんが被災地で演奏している写真が映され、続いて大平さんのお話がありました。が、演奏会メインの番組だから仕方が無いとはいえ尺が足りません(涙)。大平さんの被災地慰問については、HTB制作ドキュメンタリーで詳しく放送された内容が大変良かったです。参考までに、弊ブログの感想記事へのリンクを以下に置きます。ローカル放送でしたが、ぜひとも全国放送してほしい内容です。限られた尺の中でも札響の良さが余すところなく表現されていますし、地方の民放放送局でもここまで優れた番組が作れるということを、日本全国の皆様に知って頂きたいです。 

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ナレーション「地震からおよそ1年たって開かれる今回の公演。1曲目には武満徹作曲の『死と再生』が選ばれました。元は原爆をテーマにした映画のために書き下ろされた作品。地元の人に捧げる、バーメルトと楽団員からのメッセージです」。

私はてっきり原爆投下と終戦があった8月だからこの演目が選ばれたのだと思っていたのですが、地震からおよそ1年という意味もあったのですね。それを知ってから録画で聴くと、生演奏を聴いたときとはまた違う感じ方ができそうです。

“音楽の力”というのは人によって異なるでしょう。
しかし誰にでも理解できる、非常に強い力であることは間違いありません。
絶対的な力です。言葉では不可能な表現が、音楽にはできるのです。

バーメルトさんのこの言葉は、今の私にとってタイムリーでした。私はまさに今「言葉」についてあれこれ考えて堂々巡りになっているところです。言葉って結局受け手の捉え方次第なところがあって誤解が多いし、また発信した人自身もその言葉が最適だとは思えなくても使っている場合があるなと。それはたとえ母国語の語彙力が高くても、外国語の場合はたとえその言語に精通していても関係なく、頑張っても超えられない「壁」が存在するのかなとぼんやり考えています。一方、言葉だと超えられない「壁」は、音楽の場合は無い気がするんですよ。「気がする」としか言えないのがもどかしいですが。もちろん音楽の感じ方は十人十色で、またその人の素養によって解釈は違ってくるとは思います。それでも知識や語彙力や言語に左右されず、聞く力と意思さえあれば誰もがそのままの形で受け取ることができます。そしてもし作曲者や演奏者に迷いがあれば単なる音の並びにしかならず、人の心に響かないはず。なので音楽が成立している時点で、届ける側の考えや想いは完成しているのではないかと。まとまりませんがこの辺で。素人が生意気なことを書きました。


いよいよ演奏会の映像へ。プログラム前半の2曲とソリストアンコールまでが続けて放送されました。何度聴いても良いです!ソリストの郷古さんと横坂さんについては、私はサイン会で少しお話しただけにも関わらずすっかり親近感を抱いてしまい、まるで親戚のおばちゃんが甥っ子たちを応援しているような気持ちになります(←)。ちなみに私は二重協奏曲は最初から最後まで大好きですが、一番のツボは放送開始から37分10秒くらい、第1楽章クライマックス直前の独奏ヴァイオリンと独奏チェロが重なるところです。細かすぎて伝わらないけど伝えたいです。

後半のブラシェンに入る前に、曲の解説やバーメルトさんへのインタビューそして札響との練習風景がたっぷり放送されました。ありがとうございます!

ナレーション「ピアノ四重奏曲第1番は、ブラームス1861年に作曲した名曲です。その76年後、ナチス迫害を逃れアメリカに渡ったシェーンベルクが、オーケストラのために編曲しなおしたものが今日お聞き頂く作品です」。

原曲の演奏と札響の本番演奏の映像が交互に流れました。原曲のほうはおそらく「クラシック倶楽部」のアーカイブだと思います。こんなコンテンツの蓄積があるのがNHKの強みですよね。

作曲家はなぜ他の作曲家の作品に手を加えるのでしょうか?
その作品が大好きだからという場合、あるいはより良くしたいから変えたいからという場合もあります。
シェーンベルクは編曲の理由として、「ピアノ四重奏曲ではいつもピアノの音が大きすぎるからだ」と言っています。

バーメルトさんの発言を裏付ける、シェーンベルクが出版社へあてた手紙の一部が映像で紹介されました。

すぐれたピアニストほど大きな音で演奏して、聴衆に弦がまったく聞き取れない、(中略)私は一度すべてを聞きたいと望んでおりました。
シェーンベルク評伝 保守的革命家」ヴィリー・ライヒ (著), 松原 茂 (翻訳), 佐藤 牧夫 (翻訳) 音楽之友社 (1974)

ナレーション「ブラームスが目指した音楽とは、一体何か?そう考えたシェーンベルクは、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの音を、大編成のオーケストラに置き換えました。ブラームスの時代にはまだ珍しかったシロフォンを使ったり、トランペットに弱音器をつけて演奏させるなど、ありとあらゆる楽器と奏法を駆使。ブラームスの音楽の全容を明らかにしようとしたのです」。またまた重ねる映像が札響での演奏会本番の映像で、各パートのアップがうれしいです!

この曲を聴いた人の多くが、あまりブラームスらしくないと言います。
でも「いかにもブラームス」という編曲をシェーンベルクがするわけがない。
ブラームスが1937年に作曲していたらこうしていただろう、そういう編曲をしたとシェーンベルクは言っています。
ご存じのようにシロフォンをはじめ、ブラームスも知らなかったいろいろな楽器を用いています。

バーメルトさんは、多くの人が疑問に思っていることについてお話してくださいました。「シェーンベルクは言っています」がミソなのかも。ちなみにブラームスが仮にシェーンベルクと同時代に生きた場合こんな編曲をしたかどうかと問われると、私は違うと考えます。しかし、ブラームス本人ではなく後の時代のシェーンベルクが編曲したことに意味があるとも思っています。

続いて芸術の森での練習風景をじっくりと。私はただの一聴衆にすぎませんが、それでも全国の皆様に、このあたたかな陽光がさす素敵なリハーサル会場を自慢したいです。芸術の森は札幌市内とは思えないほど自然豊かな場所で、毎年夏に行われるPMFのピクニックコンサート会場となる野外ステージもあります。同じ敷地内の札幌芸術の森美術館ではアートに触れることができ、少し足をのばせば、大規模な国営滝野すずらん丘陵公園大自然にどっぷり浸ることもできます。こんな恵まれた環境で、札響の皆様は音楽に磨きをかけているんですよ!ただし熊出没注意です。余談失礼。

この作品のため、3日間念入りにリハーサルを重ねた札幌交響楽団」とナレーションが入りました。私がいつも思うのは、指揮者と合わせるのがたった3日間であのクオリティに仕上げてくるのが本当にすごいなと。マイクを向けられたティンパニ・打楽器首席奏者の入川奨さんが「リハーサルでは整理整頓をしていく」とおっしゃっていましたが、まず各奏者のかたがご自分のパートを完璧にしてきた上で(!)、全体で合わせ指揮者の指示でブラッシュアップかけていくのでしょうか?さらっとおっしゃってましたが、普通に考えてこのかた達は只者ではないです…。それも次から次へとやってくる本番のたびにやっているというのは、プロ集団とはいえやはり大変だと思います。頭が下がります。

また入川さんは「バーメルトさんほど強弱にこだわる方は見たことがない」とも。確かに練習の映像でも、ピアニッシモ、フォルテ、クレッシェンド(だんだん強く)、ディミヌエンド(だんだん弱く)…と強弱に関する指示が多いように感じられました。バーメルトさんが強弱にこだわることに関しては、またもやHTB制作ドキュメンタリーで詳しく放送されています。先に紹介した番組とは別の番組で、こちらはローカル放送の後にBSで全国放送されました。参考までに、弊ブログの感想記事へのリンクを以下に置きます。HTB制作の札響ドキュメンタリー2本につきましては、できれば2つとも全国放送で再放送して頂きたいですし、手元にずっと持っていたいので円盤化を希望します!

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そして練習風景に被せる形で「バーメルトは楽譜に対し、徹底して忠実であるべきと考えました」のナレーションが入りましたが、ここはおそらくマエストロへのインタビューが割愛されたのだと思います。尺の関係であれば仕方が無いとはいえ、できればマエストロ自身が語る言葉で知りたかったです。

マイクを向けられたファゴット首席奏者の坂口聡さんは「今回のプログラムはすごく難しい曲(ですけども)、彼がどのように作り上げていくか、(一種の)造形物みたいな形を(どのような)指揮の仕方で提示してくるのか。楽しみですね」とおっしゃっていました。バーメルトさんもブラシェンが難曲であることをわかったうえで、このようにインタビューでお話されていました。

難しいですが、オーケストラにはそれが必要なのです。
難しい曲に取り組むことで、どんどん上達しますからね。

エストロは意外にスパルタ気質があるのかも(嘘ですごめんなさいごめんなさい)。でももちろん、札響が高レベルの要求を乗り越えられるオケだからこその言葉ですよね!

そして本番の映像へ。前半2曲は編成が小さかったため、大活躍の金管や打楽器、低い音の木管も加わったオールスターキャストがうれしい!カメラも各パートの奏者の皆様を丁寧に追いかけてくださりありがとうございます。そしてバーメルトさんが暗譜だったことがはっきりとわかりました。

拍手喝采のカーテンコールの中、テロップが順番に出て番組終了。全国放送ありがとうございました!札響の皆様、愛しています!バーメルトさん、きっといつまでもお元気で、札響を末永くお願いします!

カメラ越しではありますが、番組をご覧になった全国の皆様にもきっと札響の魅力が伝わったと思います。そして札幌コンサートホールkitaraが大変良いホールだというのも感じて頂けたかなと。ここで札響の生演奏を聴くのは最高ですので、未体験のかたはぜひいらしてくださいね!隣接する中島公園も四季の移ろいが楽しめる素敵なところなんですよ。ちなみにkitaraは来年度の後半に改修工事に入るのですが、工事期間中は昨年竣工した札幌文化芸術劇場hitaruが札響定期の会場となります。都会のど真ん中にあり地下鉄駅直結のため便利で、オペラができるこちらも良いホールです。


最後に。2020年度の札響定期演奏会の速報が出ました。大変魅力的なプログラムが揃っています♪

www.sso.or.jp

どの回も垂涎モノではありますが、個人的に絶対外せないのはG.オピッツさんによるブラームスのピアノ協奏曲第1番です。彼の弾くブラームスピアノ曲が大好きなんです私。そしてまだ自分の中で苦手意識があるドイツレクイエムは頑張って勉強します!札響がある人生は素敵です♪


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

チョン・キョンファ ヴァイオリンリサイタル2019 北広島公演 (2019/10) レポート

ヴァイオリン界のレジェンド、チョン・キョンファのヴァイオリンリサイタル2019(北広島公演)を聴きに北広島までプチ遠征してきました。今回はこちらのコンサートの感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。もちろんひどい間違いはこっそりと教えてくださいませ。


チョン・キョンファ ヴァイオリンリサイタル2019 北広島公演
2019年10月6日(日) 14:00~ 北広島市芸術文化ホール(花ホール)

【出演】

【プログラム】

(アンコール)


ツイッターでの速報は以下。


私がチョン・キョンファさんのお名前をはっきりと認識したのはBSP「クラシック倶楽部」を観てからです。2018年のヴァイオリンリサイタルの様子とインタビューが2回にわたって放送されたのを観て感激し、以来一度は実演を拝聴したいとずっと願っていました。彼女が来日して、しかもブラームスのヴァイオリンソナタ全曲演奏をするとなれば、行くに決まっています!場所も札幌のお隣の市で日帰りが可能ですし、私は早い段階でチケットを手に入れ、当日を楽しみに待っていました。

その「クラシック倶楽部」のインタビューの中で、私が特に印象に残ったのは次の発言です。

昔は一音でも間違えると落ち込んだものです。できない自分をどうしても許せなかった。
もはや技術的に完璧な演奏はできません。肉体的な限界を感じます。
しかし今の私が求めるのは心に残る音が響く、特別な瞬間を聴衆と分かち合うことです。
若い時は「無の境地」なんて馬鹿にして、常に何かを得ようとして突き進んでいました。
今は「無」こそが自由だと思うのです。

10代の頃からずっと世界のトップに立って演奏してこられたチョン・キョンファさんの言葉の重み…放送を観た当時の私は大変感銘を受けた反面、正直「『無』こそが自由」がピンときませんでした。もちろんキョンファさんと私とでは、生きてきた世界も重ねた年輪も異なりますから、今の私がわからないのはある意味当然かもしれません。しかし実演を聴くことで少しはその本質に近づけるかもしれないと、そんな期待を抱いて私は演奏会にのぞみました。

また、今回ピアノ伴奏はケヴィン・ケナーさん。当初は別のピアニストが予定されておりチラシも当日の案内看板もそのままになっていました。しかし配布されたプログラムにはケヴィン・ケナーさんのお名前が!どんな経緯があったのか存じませんので、あまり騒ぐのは不謹慎かもしれませんが、個人的にはケヴィン・ケナーさんがピアノ伴奏でうれしかったです。というのも、私が観た「クラシック倶楽部」でも伴奏はケヴィン・ケナーさんで、キョンファさんが彼のことを「もっとも信頼するパートナー」とおっしゃっていたからです。演奏が始まる前から私の期待値はゲージMAXまであがりました。なお会場のピアノはスタインウェイでした。

開演時間となり、拍手で迎えられたお2人。ケヴィン・ケナーさんはとても背が高く、またチョン・キョンファさんをエスコートする振る舞いも自然体な紳士で、テレビで拝見したお姿よりずっと男前でした。そして主役のチョン・キョンファさんは落ち着いた紫色のドレスをお召しになっていました。右袖は肩までで短く、左袖が振り袖のように長いアンシンメトリーなデザインでとっても素敵。演奏でも長い袖が揺れて美しかったです。演奏の途中で袖をまくったのですが、そうするとスカートのスリットがあらわになり、時々ちらっと見える白い脚線美にドキッとさせられました。御年70歳を超え、私の母とちょうど同じ世代の女性がこんなにお美しいとは、失礼ながら大変驚きました。子供の頃から周囲に期待され続け、ずっと人前に立ち続けてこられたかたはやはり一般人とは違いますね。素敵です!

演目に入ります。1曲目は3曲の中で私が一番好きな第1番。冒頭はピアノの2音、続けてヴァイオリンが入ります…が、ここでほんの少し演奏しただけでキョンファさんは演奏をやめてしまい私は驚きました。おそらくキョンファさんが違和感を覚えたのでしょう。そのまま演奏を続けなかったところはさすがです。ケヴィン・ケナーさんと小声で打ち合わせをしてから、仕切り直しです。演奏が始まると、奇をてらった演奏ではないにもかかわらず初めて聴く曲のように思えました。うまく言えないのですが、精神力に圧倒されたのかもしれません。ピチカートで弦をはじくところではコワイとまで思ってしまいました。キョンファさんのCDで予習してきたにもかかわらず、実演となるとまるで違います。最初に驚いてしまって、その後も凄みに圧倒されてしまい、熱心に聴いていたにもかかわらずうまく消化出来なかったのが心残りです。しかし第1番に勝手に癒やしを求めていたのは私。つまらない先入観や甘っちょろい固定観念は捨てた方がいいとわかる、そんな衝撃的な体験でした。

2曲目は第2番。個人的にこの日の演奏の中ではこの第2番が最も良いなと感じました。第2番はブラームスに結婚まで考えていた女性(クララ・シューマンではないです)がいた頃の作品で、穏やかな美メロを楽しめる曲です。もちろん美しい旋律にうっとりとしましたが、この日の演奏にはそれだけではない良さがありました。第1楽章は穏やかなだけではない力強さを感じて新鮮。そして第2楽章のピアノとヴァイオリンとの掛け合いが良かったです。細かくテンポも音色も変化するにもかかわらず、チョン・キョンファさんとケヴィン・ケナーさんの息はぴったり。第3楽章は美しいだけでなく艶めかしさも感じました。ブラームスが愛した年下の彼女は、カワイイけれどそれだけじゃない一筋縄ではいかない女性だったのかも、と妄想がはかどります。なおツイッター情報によると、この北広島の後に開催された東京文化会館(予定ではブラームスは第1番と第3番)の公演では、当日に会場で第1番のかわりに第2番を演奏すると発表されたそうです。もしかすると北広島での演奏の手応えでそんな判断になったのかもしれませんね。そして私は東京文化会館の演目にあったバッハの無伴奏も聴いてみたいと思いました。

休憩後は、3曲の中でもっとも完成度の高い第3番。「クラシック倶楽部」で放送された2018年の演奏会でもトリだった曲です。テレビで観たチョン・キョンファさんとケヴィン・ケナーさんの実演が聴ける!と私は前のめりに。第1楽章の悲痛な叫びには、なんというか「死」が垣間見えたような気がしました。もちろんキョンファさんは現役でご活躍の演奏家ですし、演奏姿を拝見する限りはお若い人にも負けないパワフルなかたです。それでも健康上の不安がまるでなく未来は無限大という10代20代の若者とは異なり、否が応でも命は有限であることを意識せざるをえなくなっている年代のかただと思います。そんな彼女だからこそ説得力があるのかもしれません。大本番の第4楽章の前に挿入された、短い第3楽章が私は好きなのですが、あうんの呼吸でケヴィン・ケナーさんと展開する緊迫感のある演奏が素晴らしかったです。私は第2楽章の終わりから終楽章へそのまま行く流れは想像できません。終楽章の前にこの第3楽章はやはり必要。ブラームスは無茶をしないところも好きです。第3楽章からそのまま続けて第4楽章へ。すっごい!ピアノとヴァイオリン双方が譲らないガチンコ勝負、小柄なキョンファさんのどこにそんなパワーがあるのかと思うほどエネルギッシュな演奏で、こちらもイスにかしこまって座っているのが惜しいほど。また「クラシック倶楽部」の話になりますが、2018年当時キョンファさんは第3番を「ハンガリーらしさを全面に出すことにした」とおっしゃっていました。この日の演奏がその時と同じ解釈だったかどうかは私にはわかりません。それでも、ただ楽譜に忠実に音をなぞるだけではこんな演奏にはならないのではないかとは思いました。素晴らしい!ありがとうございます!

ブラームスのヴァイオリンソナタ全曲演奏会の企画は多いようで、まだ演奏会デビューして日が浅い私でも全曲演奏を聴くのは今回で3回目です。しかし同じ曲でも毎回違う印象できこえるので、私は何度でも聴きたいです。休憩時間にどなたかが「ブラームスは地味」とおっしゃっていたのを耳にしたのですが、だからこそ良いんですよと私は声を大にして言いたいです。派手さが無いからこそ感情が浮き彫りになり、奏者が違えば、また同じ奏者でもその時々の演奏によってまるで違ってきこえる、とても贅沢で自由な音楽だと思います。ただのっぺりと演奏しただけでは退屈になるかもしれない音楽を、音が無い休符の部分や細かく変化するテンポ(ブラームスは楽譜に速度指定を書かなかったそうですが)を含む全体の流れを作ってこそ、人の心の奥底に響く音楽になるのでは?それも小手先の演奏技術や派手な演出ではなく、奏者のかたが曲に込められた想いを飲み込み全身全霊で表現してこそ可能なのだと思います。もとよりブラームスの曲に過剰な装飾は似合いません。そんなブラームスのヴァイオリンソナタを、今のチョン・キョンファさんの演奏で聴けて本当によかったです。私が「『無』こそが自由」の本当の意味を理解するのはまだ先かもしれません。それでも今のチョン・キョンファさんが若い人にありがちな「音を外さない」ことを目指しているのではなく、そしてつまらない見栄など一切無く、かといって諦めている訳では決して無く、仏教で言うところの「悟りの境地」に到達したかのような音楽を奏でたのではないかと感じました。いえ今の私がきちんとわかったはずはないのですが、そんな唯一無二の音楽を奏者のかたおよび会場の皆様と共有できたことをとても幸せに思います。

お2人は何度もカーテンコールに戻ってきてくださり、チョン・キョンファさんが「シューベルトソナチネ」とおっしゃってアンコールの演奏が始まりました。シューベルト、素敵です…。私は特に音楽の偏食がひどいので、普段あまり聴かない作曲家の曲は新鮮です。第2楽章が終わってお2人は一度退場したものの、拍手が鳴り止まない会場に戻ってこられて第3楽章も演奏。2回もアンコールにこたえてくださりありがとうございます!本プログラムが終わってからのキョンファさんは少しリラックスした表情で、客席の何名かとアイコンタクトや身振りでコミュニケーションをとって、会場に笑いが起きていました。


お開きの後はホワイエでサイン会です。CD購入者に限らなかったため、プログラムの余白を出していたかたもちらほら。中にはLPレコードを抱えてきたかたもおられて、ちらっと見えたジャケット写真のチョン・キョンファさんがあどけない少女の面影で、私は思わず見とれてしまいました。10代の頃から第一線で活躍し続けてこられたかたですから、昔のレコードがありもちろんその当時からのファンもいるわけで。その歴史の重みを改めて感じました。そして私の番が回ってきて、普段着にお着替えしたチョン・キョンファさんがとても小柄でビックリ。ステージ上ではオーラがものすごかったですし、雲の上の存在のように感じていた人に急に親近感がわきました。私はサイン頂くときもサンキューしか言えませんでしたが…。そしてケヴィン・ケナーさんはやはり長身で男前でした。thank you! とスマイルで返してくださり、うれしかったです。改めて、お2人の演奏が聴けてよかったです。ありがとうございました!


サインを頂いたCDはこちらの2枚。家宝がどんどん増えます(笑)。 

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)

 

 チョン・キョンファさんにサイン頂いたのはブラームスのヴァイオリンソナタ全曲のCD。私は既に持っていたCDを家から持参しました。1995年の録音。こちらも素敵ですが、技術を極めたその先が感じられる今回のリサイタルでの演奏はもっと好きです。

 

 ケヴィン・ケナーさんにサイン頂いたのはフォーレとフランクのヴァイオリンソナタが収録されたCD。会場で購入しました。2017年の録音。フォーレとフランクのソナタは、「クラシック倶楽部」でチョン・キョンファさんとケヴィン・ケナーさんの演奏を聴き、私はぜひCDが欲しいと思っていたのです。次にお目にかかる機会には、きっとフォーレとフランクのソナタの演奏をお願いします!


最後に、会場の花ホールについて。kitara小ホールと同じくらいの広さで、とても良いホールでした。今回の日本ツアーの予定を拝見すると、他はすべて大きなホール。ツイッターでさっぽろ劇場ジャーナルさん( @Sap_theater_J )も似た趣旨のことをおっしゃってましたが、今回の演目でのチョン・キョンファさんの演奏を堪能するには、この北広島の花ホールがベストなのではないかと私も思います。また、JRの駅前という立地もよくて、同じ建物内には図書館もあります。こちら蔵書が大変充実しており、ゆったり腰掛けられるソファもたくさんあって、一日いても飽きない図書館だと思います。私は少し早めに到着したのですが、図書館にいたらあっという間に開場時間が来てしまいました。コンサート中は図書館で待っていてくれた家族も気に入った様子で、北広島に住もうかと言い出したほど(笑)。ファイターズの次の本拠地に北広島市が選ばれた理由の一つには、このように芸術文化を大切にしているお土地柄があるのかもしれません。花ホール、機会を見つけてまたうかがいたいです。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


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日露交歓コンサート2019 札幌公演(2019/09) ざっくりレポート

日露交歓コンサートは、ネットで申し込んだ先着順で参加できる無料のコンサートです。私は今回初めて参加しました。様々な編成の室内楽がたっぷり聴けて、またロシアご出身のかたが多い出演者の皆様もユーモアたっぷりのかたたちで、とても楽しい時間を過ごすことができました。レポートを書くのが遅くなってしまいましたが、せっかくですので特に印象に残った点だけでもざっくりと書き残しておきます。

いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


日露交歓コンサート2019 札幌公演
2019年09月10日(日) 18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール


演目および出演者は添付画像を参照ください。

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日露交歓コンサート2019 札幌公演 演目

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日露交歓コンサート2019 札幌公演 出演者


ツイッターでの速報ツイートは以下。


プログラムによると、どうやら全国各地を回っているらしく、各地で演目は少しずつ異なっているようです。札幌公演では地元の奏者のかたが参加しての演目もありました。ヴィオラには札響副首席奏者の青木晃一さんが。そして第2ヴァイオリンは7月のPMFマスタークラスでライナー・キュッヒルさんに指導を受けた学生さんでした。演目はおなじみシューベルトの「鱒」と、トランペットが華やかなサン=サーンスの七重奏曲。特に後者はめずらしい編成ですし、初めて聴く曲で様々な楽器が活躍する様子を見るのも楽しかったです。あわせる時間は限られていたでしょうに、とても素敵な演奏でした。素晴らしい!

ロシアの薫りが色濃かったのは最初のバラライカとドムラによる演奏。バラライカは三角、ドムラは丸い形をした弦楽器で、いずれもギターのように弦をはじいて音を奏でます。私は実物を見たのは初めてでしたし、当然実演に触れたのも初めてでした。ロシア民謡メドレーでは、よく耳にする旋律がいくつも出てきましたが、私がはっきりわかったのはトロイカくらいでした。

声楽の伴奏(日本人の若い男性奏者)以外のピアノ奏者(いずれも男性)は、個人的な印象ではかなり力強い演奏をなさるかたたちでした。あんなマッチョなショパン、私は初めてだったのでとても新鮮でした。パワフルさはラフマニノフだとむしろハマる印象。司会者が話したわけでもプログラムに書いていたわけでもないので定かではありませんが、これが上半身の体重をかけて演奏するというロシアピアニズムなのかな?とちらっと思ったりもしました。私は専門家ではないため間違っていたら申し訳ありません。

ヴァイオリンのお若い女性奏者は出番が多く、しかも曲ごとに衣装を着替える徹底ぶり。大変美しい音色を奏でるかたで、その演奏にうっとりしました。ただ、おなじみハンガリー舞曲第5番の演奏を拝聴したとき、個人的に「これはきれいに演奏する曲ではないのかも?」と正直思ってしまいました。雑にと言うと語弊がありますが、もっとハッタリかます勢いで弾くほうが乗れる曲なのかもと。もちろんこれは個人的な好みに過ぎませんし、美しい演奏も素敵でした。

ヴァイオリン・チェロ・ピアノによる三重奏曲のワレリー・キクタ「エレジー・トリオ“ある建築家の思い出”」は、この日露交歓コンサートのために作曲された曲のようです。詳細はここでは割愛しますが、プログラムに掲載されたワレリー・キクタさんのメッセージにこの曲が生まれた経緯が書かれてありました。ベースはロシアの教会音楽でありながら日本の「赤とんぼ」のメロディが随所に出てくる曲で、まさに「日露交歓」にぴったり。ここでしか聴けない曲を素敵な演奏で聴かせて頂きました。プログラムの解説によると、元はヴァイオリンではなくオーボエが入る三重奏曲のようです。そういえば今回の出演者には木管奏者がいないことに気付きました。管楽器を弦楽器に置き換えるのは、おそらく原曲アレンジが必要でしょうし、他の曲の準備もある中、大変だったことと思います。ありがとうございます。

そしてチェロ奏者は第8回チャイコフスキー国際コンクールで第1位に輝いた実績があり、現在はモスクワ音楽院で後進の指導にあたっているかたです。演奏はすべて素敵でしたが、私が最も良いなと感じたのは本プログラム最後の曲であるピアソラ「ル・グランタンゴ」です。タンゴ独特のリズムでチェロの低音がぐっと来るのがすごく好き。私はてっきりバンドネオンのための曲をチェロで演奏したのだと思っていたのですが、プログラムの解説によると、チェリストロストロポーヴィチ(!)のために書かれたそうで、最初からチェロでの演奏を想定した曲でした。

私が一番印象に残ったのはソプラノ歌手のかたです。ぱっと見はお人形さんみたいなかわいらしいかたで、淡いピンクのドレスがお似合いのお若い女性。それが1曲目レハール「ジュディエッタより“熱き口づけ”」が始まると、官能的な恋する人妻が瞬時にそこに現れたんです!その妖艶さにゾクッとしました。歌声ひとつでここまでできる表現力にただただ敬服します。さっと黒い扇子を広げて軽く振り付けしながら歌う姿に騙されたわけではないと私は思っています。テノール歌手のかたと共演したヴェルディ「椿姫より“乾杯”」では、間奏の間にお二人でダンス。ダンスの後にテノール歌手のかたが「ありがとうございます」と日本語でおっしゃっておじぎをして、客席から笑いが起きていました。テノール歌手のかたは後進の指導もされておられるようで、そんなかたが若い女性に振り回されているという演出が楽しかったです。テノール歌手のかたは声量があり、ソロでの歌も大変聴きごたえがありました。

アンコールは日本の歌「ふるさと」。ソプラノとテノールのお二人が日本語で歌い、客席にも「ご一緒に」と呼びかけて全員合唱となりました。演奏もピアノ以外は全員参加、ピアノは代表して札幌の谷本聡子さんが演奏されました。カーテンコールではソプラノ歌手のかたのコミカルなふるまいがとにかく楽しくて、会場はとても和やかな雰囲気に。思えばロシアからいらした奏者の皆様は、演奏の合間等で隙あらば笑いを取ろうとしていました。もしかすると日本の聴衆はおとなしすぎるのかもしれませんね。

とにかく盛りだくさんで楽しいコンサートでした。ありがとうございました!曲はいずれも短めで、奏者の皆様もユーモアたっぷりのかたたちばかり。誰もが楽しめる内容だと思います。しかし先着順で無料にもかかわらず、会場は5割ほどの客入りだったのがもったいない。企業主催の無料コンサートには熾烈な抽選があるくらいなので、札幌市民のクラシック音楽への関心は低くないはず。日露交歓コンサートについては、もしかすると宣伝が足りないのかも?ちなみに私は今年たまたまチラシを見つけて知ったのですが、昨年までこのようなコンサートがあることさえ知りませんでした。そして、プログラムと一緒に配布されたクラシック音楽に関するパンフレットの内容も、特に小学生や初心者に向けて書かれた入門書で内容大変充実していました。時間帯を昼間にして、市内の小中学校に声をかけて子供達を招待するテもあるのではないかと少し思いました。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


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