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2023年最初の札響定期演奏会に、首席指揮者のマティアス・バーメルトさんが登場です!メインプログラムはシューベルトの交響曲「ザ・グレイト」。また協奏曲は、ソリストにフルートのカール=ハインツ・シュッツさんとハープの吉野直子さんという豪華なお二人をお迎えしてのモーツァルト。そして年間テーマ「水」にちなんだ演目は、札響と縁が深い武満作品が取り上げられました。
なお同じ出演者と同じプログラムで2/9に東京公演が予定されています。
今回の「オンラインプレトーク」は、フルート副首席奏者の川口晃さんとホルン首席奏者の山田圭祐さんがご出演。お話が大いに盛り上がり、メインプログラムと同じく「グレートな長さ」の充実した内容で、見応えあります♪
札幌交響楽団 第650回定期演奏会(日曜昼公演)
2023年2月5日(日)13:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール
【指揮】
マティアス・バーメルト
【共演】
カール=ハインツ・シュッツ(フルート)
吉野 直子(ハープ)
【曲目】
武満 徹:雨ぞふる
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲
(ソリストアンコール)イベール:間奏曲
シューベルト:交響曲「ザ・グレイト」
(アンコール)シューベルト:「ロザムンデ」バレエ音楽1番より
2023年最初の札響定期は、プログラム内容も演奏自体も超グレート!めいいっぱい楽しめました!武満作品では奏者わずか15名で作る異次元の世界に触れ、モーツァルトの協奏曲ではお二人のソリストが生み出す音の美しさをたっぷり堪能できて天国的な響きを楽しめました。何よりメインプログラムのシューベルト「ザ・グレイト」がすごく良かったです。「天国的な長さ」という1時間超の演奏時間があっという間に感じられたほど、充実かつアツイ演奏!歌心は楽しく、命の鼓動を感じるリズムに気分が高揚し、自信に満ちた力強い堂々たる響きに圧倒されました。バーメルトさんの導きで、「ブレずに」信じる道をまっすぐに進む奏者お一人お一人の力が結実した演奏!最高です!私は専門的なことはわからず細かな部分に気づけないレベルのファンではありますが、開き直るなら、まっさらな人に響いてこそ本物だと思っています。私個人に限った話ではありません。たとえビギナー向けの会であっても地方の会場であっても、札響は常にベストを尽くす誠実な演奏をしていること。そんな会場のお客さん達がとても喜んでいらしたことを、私は何度も目の当たりにしてきました。芸術分野で活動するにはどうしても不利な地理的条件にもかかわらず、札響の皆様は地元に根ざし地元民にクオリティ高い本物の演奏を聴かせてくださっています。改めて感謝いたします。札響は地元北海道が誇れるオケです!そして同じプログラムと出演者による東京公演。耳の肥えた首都圏の聴衆にどう聴かれるかは私にはわかりませんが、団員の皆様はどうぞ胸を張っていつもと同じようにベストを尽くしてくださいませ。ご盛会をお祈りいたします。
はじめは、武満徹「雨ぞふる」。今回が札響初演とのことです。「室内オーケストラのための」作品で、奏者は管と弦がそれぞれお一人ずつ、ピアノとチェレスタは兼任でお一人、複数の打楽器をお一人という総勢15名でした。アルトフルートのほの暗い音に導かれ、弦も管もいつもの心地よい音とは違った個性豊かで神秘的な音を発していました。強弱の変化が波のよう。波の合間に入るアンティークシンバルやタムタムが印象的でした。深淵に引き込まれ一寸先すら見えない暗闇に包まれているような空気の中で、未知の音の波が来るのにはぞわっとして、私は異次元にいるような感覚に。時折入るピアノやヴィブラフォンなど鍵盤楽器の音(雨音?)に、ふと我に返る感じでした。武満作品は私には難しくて、その真意は掴めないですが(ごめんなさい!)、このような作品を見事に演奏するバーメルトさんと札響のお力を再認識しました。
ソリストのカール=ハインツ・シュッツさん(フルート)と吉野直子さん(ハープ)をお迎えして、モーツァルト「フルートとハープのための協奏曲」。第1楽章、オケによる前奏は明るく華やかで、聴いていて気持ちも晴れやかに。そしてフルートとハープが一緒に登場。その想像を遙かに超えたきらびやかで美しい音に、私は一瞬でとりこになりました。ハープはグリッサンドは行わずに音階を上り、一音一音に存在感があって、まるで輝く音の粒が次々とあふれ出ているよう。またフルートは明るく歌うときの爽快さはもちろんのこと、ふと寂しげな表情を見せる陰影がとても素敵で、華やかなだけじゃない魅力がありました。フルートとハープが重なったり交互に演奏したりする優雅な流れは、フルートにハープが合いの手を入れたり、ハープのターンでもフルートがずっと音をのばしていたりと、密に絡まり合う幸せな感じ!終盤のカデンツァでは、さらに華やかさと力強さを増したハープも素敵なら、それに乗って優美かつパワフルにメロディを歌ったフルートも素敵で、とても贅沢な響き!続いてゆったりした第2楽章。オケは弦のみとなりました。その弦アンサンブルによる序奏から美しい!札響の澄んだ弦の音色が素敵でした。程なく登場した独奏が素敵すぎ!フルートは高音を転がすようなやわらかな響きがこの上なく美しく、ハープは丁寧に紡ぐ一つ一つの音すべてが光り輝いているよう。聴いていてとても心地よく、心穏やかになれました。弦アンサンブルでは、高音メインの世界でアクセントになった低音が印象に残っています。第3楽章では、少し駆け足の舞曲のリズムが楽しく、ハープの響きにバロック音楽で耳にしたフランス風の音楽に近いものを感じました。フルートが音をのばして次第に盛り上がっていく流れに、重なったオーボエがとっても素敵!終盤にオケが沈黙し、一層音が増えた歌うフルートと華やかなハープの重なりが素晴らしい!幾重にも重なる音の層は、なんとも贅沢な響きでした。「天国的」とはまさにこの曲のこと!よどみなく湧き出る美しい音をたっぷり浴びることができて幸せです!
ソリストアンコールは、イベール「間奏曲」。同じフランス生まれの曲でも今度はぐっとモダンかつ異国風でした。速いテンポでやや哀しげに歌うフルートと、神秘的な響きのハープ。先ほどのモーツァルトとは違った魅力があふれる演奏に聴き入りました。シュッツさんと吉野さんデュオの演奏をもっと聴きたい!と私は素直に思い、首都圏でのデュオ・リサイタルに足を運びたいと思ってしまったほど(残念ながら叶いませんでしたが……)。シュッツさん、吉野さん、はるばる札幌までお越しくださり、札響との協奏曲に加えて素敵なアンコールまで、ありがとうございます!札響の東京公演もどうぞよろしくお願いいたします。
後半は、シューベルトの交響曲「ザ・グレイト」。バーメルトさんは暗譜で、指揮台には譜面がありませんでした。第1楽章、旅の始まりを思わせる冒頭ホルンの響きが素敵!木管群の温かな音色による歌に心温まり、全員参加による力強い響きがカッコイイ!バーメルトさん流の強弱の変化には、脈打つような生命力あるリズムが感じられ、クレッシェンドで浮かび上がるところでは気分が高揚しました。最初のホルンのメロディを全員参加でパワフルに演奏した、堂々たる楽章締めくくりが輝かしい!第2楽章、はじめのオーボエの歌がとっても素敵!弦のステップを踏むようなリズムに乗って歌う、木管群の哀しげな響きが印象的でした。ホルンがシーンを変えてからの穏やかな流れが美しい!弦と木管群の会話が良くて、再びホルンがシーンを変えてからの厳かで力強い響きもインパクトありました。またメロディを歌うチェロがすごく素敵で、しかも何度も登場したのが個人的にうれしかったです。第3楽章、最初のガツンと来る弦の低音が超カッコイイ!その一方で弦は、木管群と一緒にダンスするようなところでは、優雅な流れで木管群を支える紳士ぶりを発揮していました。札響の弦、やっぱり大好きです私!素朴な民謡風のメロディをもとに、カッコ良かったり可愛らしかったり華やかだったりと音楽が変化するのが楽しかったです。第4楽章、明るくパワフルな冒頭からの盛り上がりがすごい!この日の演奏はどの楽章も掴みがすごく良かったです。リズミカルで勢いある流れの中、盛り上がりの波が何度も来るのが気持ちイイ!低音が効いた金管群のパワフルさに圧倒されました。木管群が歌う穏やかところでも、弦がずっと音を刻んでリズムを作っていたのがすごい。フィナーレの低弦が効いた強奏と華やかなトランペットが超カッコイイ!まるで旅人の帰還を歓迎しているようでした。明るく自信に満ちたラストは圧巻!気分爽快になりました。天国的な長さをずっと楽しませてくださった、超グレートな演奏に感激です!ありがとうございます!
今回は東京公演を控えていることもあり、特別にオーケストラアンコールがありました。シューベルトの「ロザムンデ」バレエ音楽1番より。木管五重奏と弦楽合奏による演奏でした。先ほどまでの熱量の高さからガラリと変わり、牧歌的な雰囲気の曲。澄んだ弦の上で、クラリネットがメインで歌い、他の木管がユニゾンで歌ったりメロディを繰り返したり。まるでやさしい響きの歌曲を聴いているよう。しみじみ素敵な演奏に、心穏やかになれました。バラエティ豊かな演目をアンコール含め5つ、いずれも素晴らしい演奏でたっぷりと聴かせてくださり、ありがとうございます!東京公演は必ず喜ばれることと存じます。ご盛会をお祈りいたします!そして、2/14のふきのとうホール、楽しみにしています♪
※「札幌交響楽団 in ふきのとうホール」、詳細は以下のリンク先でご確認ください。
【定期演奏会】2月4・5日に開催しましたマティアス・バーメルト(指揮)、カール=ハインツ・シュッツ(Fl)、吉野直子(Hp)『第650回定期演奏会』にご来場いただきありがとうございました。#札響
— 札幌交響楽団(公式) (@sapporosymphony) 2023年2月5日
♪アンコール曲:https://t.co/7AhykodukJ pic.twitter.com/iD6y61rhfP
この日(2023/02/05)の一週間前に聴いた「新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第68回札幌」(2023/01/29)。札響からは、ヴァイオリンの赤間さゆらさん、フルートの福島さゆりさんがご出演。5名の若手演奏家の演奏はいずれも札響と対等に渡り合うハイレベルなもので、純粋に夢中になれました。さりげなくソリストを盛り立てたオケも素敵でした。
地方公演でも札響はアツい!昨年末に道南へ遠征して聴いた、「札響七飯公演」(2022/12/26)。生命力あふれるベト7、弦の本領発揮アイネ・クライネ・ナハトムジーク、首席チェロ奏者・石川さんソリストのハイドンは魅力あふれる独奏と密なアンサンブル。真冬の北海道で超アツイ演奏、最高の一年の締めくくりでした!
最後までおつきあい頂きありがとうございました。