自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

コメント・ご連絡はすべてツイッターにお願いします。ツイッターID:@faf40085924 ※アカウント変更しました。
※無断転載を禁じます。

あいプランPRESENTS ラブ&サンクスコンサート(2024/09) レポート

www.sso.or.jp

www.apg-aiplan.com

冠婚葬祭の「あいプラン」グループによる主催で、今年も札響のコンサートが開催されました。今回の協奏曲のソリストは、ヴァイオリニストの小野寺百音さん。地元北海道で活躍する音楽家を対象としたオーディションにて選ばれた、期待の若手音楽家さんです!交響曲ブラームスの1番で、指揮はおなじみ藤岡幸夫さん!私は早い段階でチケット入手し、楽しみにこの日を迎えました。また当日の会場はほぼ満席の盛況ぶりでした。


あいプランPRESENTS ラブ&サンクスコンサート
2024年09月19日(木)19:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
藤岡 幸夫

【ヴァイオリン】
小野寺 百音(2024年ラブ&サンクスコンサートソリスト

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島 高宏)

【曲目】
モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64

ブラームス交響曲第1番ハ短調 op.68
(アンコール)エルガー:夕べの歌


札幌に住んでいてよかった!この日私は心底そう実感しました。愛する札響によるクオリティ高い演奏で大好きな演目を聴けて、会場は地元が誇るkitara大ホール。それをリーズナブルなチケット料金で聴けるなんて!加えて地元で活躍する若手音楽家との素敵な出会いまで!主催のあいプラン様に心から御礼申し上げたいです。北海道でのスポーツ・文化活動への長期にわたる支援と素晴らしい企画を、本当にありがとうございます!

今回のソリストである小野寺百音さんは、この大舞台にて堂々たる独奏を聴かせてくださいました!きっと想像を絶する緊張があったと存じますが、そんな事は一切表には出さず、丁寧で美しくかつ安定した演奏を披露。聴き手は大船に乗った気持ちで音楽に浸ることができました。そして個人的に愛してやまないブラ1の超充実した演奏に大感激!ブラームス流の情熱と力強さ、加えて歌心と繊細な美も、うねる波やさざ波になって迫り来るのが快感!弦ピッチカートやティンパニが作るリズムはまさに生きた音楽の鼓動そのもの!ブラ1の演奏は、札響でも他のオケでも繰り返し聴いてきた私。もちろんそれぞれの良さがありましたが、今回の演奏では特に「波」と「鼓動」がグイグイ迫り来て、自分の感情の波や胸の高まりが連動し音楽と一体化できたのがすごくうれしかったです!生きた音楽と共に「生きる」、その場でしか得られない体感があるからこそ、やっぱり演奏会通いは止められない!昨年12月のシベ2でも札響からものすごい力を引き出してくださった、指揮の藤岡幸夫さん。今回ブラ1でさらなる高みへ連れて行ってくださり、ありがとうございます!「日本で一番シベリウスを得意とするオケ」は、ブラームスだってすごい♪


開演前に、「あいプラン」グループの代表のかたからごあいさつがありました。事業内容の紹介に続き、北海道でのスポーツ・文化活動の支援についてのお話に。札響への支援だけでなく、地元北海道で活動するフリーランスの音楽家への支援も行っているとのことです。今回のソリストである小野寺百音さんもオーディションにて選ばれたと説明されてから、「趣旨をご理解頂き、一緒に演奏を楽しみましょう」と客席に呼びかけ。「皆様のご健康、ご多幸をお祈りし」、「あいプラングループをよろしくお願いいたします」と結ばれました。


前半1曲目は、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲。オケは12型で、管楽器はそれぞれ2管、そしてティンパニの編成でした。札響でもよく演奏される定番曲です。ファゴットと弦による出だしからワクワク。伸びやかホルン、幸せな木管、華やかな盛り上がりでの威勢の良いリズム!勢いがあり、高音弦が美しくて、追いかける低弦が渋い!フィナーレのパンパカ鳴る金管が楽しい!オープニングにふさわしい、軽快かつパワフルに駆け抜けていく楽しい音楽。札響の響きの紹介にもなる、ごあいさつにぴったりな1曲目でした!

ソリストの小野寺百音さん(衣装はシャンパンベージュ色のドレス)をお迎えして、2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64」。オケは弦の人数が少し減って10型に。作曲家の指示通り、すべての楽章を続けての演奏でした。第1楽章 そっと始まる序奏のティンパニの鼓動がイイ!ヴァイオリン独奏が登場するとそっと静まったのもニクイです。ヴァイオリン独奏の柔らかな美音!ゆったりなところも音が多く速いところも丁寧に音を紡いで、かつ流麗な独奏がとっても素敵でした。独奏にオケは自然と寄り添い、強弱やテンポをピタッと揃えていたのはさすがです。重音を繰り返しながら音階を上る独奏の凄み、引き継いだオケの壮大さ!比較的小さな編成でも、弦の重低音の厚みに管の華やかさがしっかりあり、迫力充分でした。再び登場した独奏の儚げな美しさ!オケの弦による、独奏と一緒に音をのばしたりリズムを刻んだりするアシストはさすが!そして高音で寂しげに歌うフルートが、遠くに聞こえるのに存在感抜群でした!オケのパワフルなトリルと対話した後、独奏がぐっと深い低音でじっくり歌ったところが印象深かったです。カデンツァは低音から消えゆく高音まで、トリルで揺らぐ音もくっきり聞こえる、堂々たる演奏でした!音階の上下を繰り返す演奏のキレ味!独奏がじっくりのばす音の上で、木管群が歌うのが天国的な響きで心洗われました。そのメロディを引き継いだ独奏が、美しさに加え哀しみを秘めた感じになるのがまたニクイ!楽章終盤でどんどん加速していくのがすごい!第2楽章 前の楽章からそのまま続けての、ファゴットののばす音の温かみ!オケの澄み渡る弦楽合奏に乗って歌う独奏は、まるでソプラノが穏やかに歌曲を歌っているような美しさ!ふと寂しげな表情を垣間見せる繊細さも素敵で、独奏のフレーズをオケの弦がリフレインするそのさりげない優しさがまた素敵。オケの悲劇的な響きに続き、来ました独奏がメロディと伴奏を一人で演奏する流れ!ベースのタラタラタラ……♪も、その上で歌う高音域もしっかりとした、素晴らしい演奏でした!明るい光が見えるように変化してからは、中でもオケのオーボエの美しさが染み入りました。いったんフェードアウトしてから、一呼吸置いて始まった独奏と弦楽合奏が、なんて繊細で美しいこと!第3楽章 金管群の華やかなファンファーレのインパクト!オケと呼応しながら軽快に駆け抜ける独奏が華やかかつカッコイイ!驚くほど速い流れでも、音はしっかりしていて、聴いていてとても気持ちがよかったです。独奏が一気に音階駆け上って、引き継いだオケがガツンと華やかに盛り上げてくれたのも気持ちイイ!ティンパニのドンドン鳴り響くリズムはイケイケドンドンな感じ!終盤の幸せな流れでは、コロコロ歌うクラリネットが可憐で印象的でした。トレモロも重音も盛り盛りな独奏は、最後の最後まで勢いと力を保ったまま駆け抜け、オケの一緒に華やかに締めくくり。素晴らしいです!個人的に(聴く専門ですが)慣れ親しんできたメンコンで、こんなに清々しい気持ちになれるなんて、すごくうれしい!ソリストの小野寺さんと指揮の藤岡さん、そして札響の皆様、ありがとうございます!

後半は、ブラームス交響曲第1番ハ短調 op.68」。オケは12型で、木管は基本の2管に加えてコントラファゴット1。金管はホルン4、トランペット2、トロンボーン3。そしてティンパニの編成でした。第1楽章 ティンパニの力強い鼓動!深刻な弦!はじめから重厚なブラームスがガツンときて、しびれました!木管群を支える弦ピッチカート、何度も来るクレッシェンドでぐーっと盛り上がる波、魅惑的なオーボエ&チェロパートなど、個人的な好きポイントが次々と来るのがうれしい。休符がビシッと揃って、各シーンの切り替わりでは阿吽の呼吸で無理なく展開するのが快感でした。エネルギッシュな全員合奏でのホルン&トランペットの骨太な響きがカッコイイ!少し穏やかになるところでは、フルートの透明感ある響きに吸い込まれそうでした。地を這うような低音から次第に盛り上がり、重厚パワフルな全員合奏につながる流れの良さ!12型の比較的コンパクトな編成で、この厚みと迫力が来るのはうれしすぎるオドロキでした。クラリネットとホルンの掛け合いが良い!この後の予告のような、弦の爽やかさ壮大さもぐっと来ました。雄大な楽章締めくくりはじっくりと進み、第4楽章でのメロディを先取りした弦の美しさと木管群の幸せな響きに、聴いている方もとても幸せな気持ちになれました。第2楽章 先ほどまで大波だった音楽は、凪のように変化。弦楽合奏が美しい!高音弦の澄んだ音色、追いかける低弦の重低音、どっちも好き!すごくうれしい!オーボエ独奏が、1回目は幸せな感じで、やや哀しげになった弦楽合奏を経て、2回目はやや陰りのある響きに。色合いの変化が繊細!さざ波を起こした弦のタタータ タタータ♪に、音階を上るピッチカート、その音色もリズムもとても心に染み入りました。来ましたコンマス独奏!ああなんて素敵なの!美しくて大らかで、あらゆるものを包み込んでくれそうな包容力。オケはコンマスに全幅の信頼を寄せて、併走したり交互に演奏したりがとても自然!ティンパニの鼓動に乗って、弦が低音から高音へピッチカートをリレーして最終的にコンマス独奏につなげる、この流れの滑らかさはきっと田島コンマスと札響メンバーだからこその一体感ですよね。うちのオケ、最高かよ!第3楽章 温かみのあるクラリネットと低弦ピッチカートのリズムがすっと心に入ってきました。少し足早になった展開に心がざわめき、管と弦が対話するところに癒やされました。この愛を感じる対話が少しずつ盛り上がっていく、その壮大な広がりが超素敵!はじめと似たメロディが戻ってきてからは、先ほどより幸せな感じに変化。中でもクラリネットの草木の芽吹きのような響きが印象深かったです。そして第4楽章へ。 最終楽章の充実ぶりは半端なくすごかったです!ティンパニのクレッシェンドと一緒に浮かび上がってきた、重厚なオケにゾクゾク。研ぎ澄まされたピッチカートにドキドキ。深刻な音楽を最終的に一手に引き受けたティンパニの連打のド迫力!続く雄大なホルン(クララへのメッセージ)、木管群の歌からの、ようやく登場したトロンボーン!崇高で温かくて、ジーンと来ました。低めの落ち着いた音で歌う弦はまるで雪解けのようで、苦悩を経てここに至るまでのことを思うと私は胸が熱くなりました。ヴァイオリンの対旋律を伸び伸び弾くヴィオラは気持ち良さそう!歌う木管は幸せそうで、支える弦ピッチカートが愛らしい。全員合奏の華やかな盛り上がりがうれしくて、個人的にはやはり重低音で支え音階駆け上る低弦が好き!やや穏やかなところからヴィオラが先陣切って駆け足になったり、全員合奏の盛り上がりでティンパニが堂々と鳴ったり、ノリノリな演奏に聴いている方も気分あがりました。爽やかなところから、ガツンと強奏でヴァイオリンと中低弦が鏡映しに演奏するところ、キター!弦だけでこの大迫力、しびれる!大波になったり凪になったりする流れが気持ちよく、こんなにも喜びに満ちあふれた演奏にて、ブラームス流の歓喜を全身全霊で浴びる喜び!永遠に続いてほしい時間でした。そして終盤、トロンボーンのコラールを金管群すべてで奏でたところの神々しさ!それを待ち、ティンパニがダン ダン と力強く2回鳴り、ティンパニの自信に満ちた響きをベースに華々しく駆け抜けるラストが最高でした!こんなにも音楽の鼓動と熱量を肌で感じられて、ブラームスと一緒に「生きた」、最高に贅沢な体験!この演奏に出会えてよかった!本当にありがとうございます!


カーテンコールで舞台へ戻ってきてくださった指揮の藤岡さん。「ありがとうございます」と簡単にごあいさつされてから、口頭で「イギリスの作曲家の……」とアンコールの曲名が伝えられ、演奏へ。アンコールは、エルガー「夕べの歌」。藤岡サッチーといえばこの曲!待ってました!2024年2月に急遽代役で指揮くださった札響定期(オール・エルガーのプログラム、残念ながら私はうかがう事が叶いませんでした)の演目にもあったはずです。温かみのある管の響き、弦による艶っぽい歌、低弦ピッチカートの優しさ!美しいメロディとゆりかごのようなリズムは心地よく、聴き手の高ぶった気持ちをゆっくり静めてくれました。少し切ないメロディに変化したところの盛り上がり!そのまま眠りに誘ってくれそうな、ゆったり穏やかな締めくくりがまた素敵でした。大熱演の後、心穏やかになれるアンコールまで、ありがとうございます!藤岡さんと札響の共演をこれからも楽しみにしています!


藤岡幸夫さんが指揮した札響の地方公演。私は岩見沢までプチ遠征して聴きにうかがいました!「まなみーるDEクラシック 2023」(2023/12/03)。シベリウスに造詣と愛が深い指揮者の藤岡幸夫さんと「日本で一番シベリウスを得意とするオケ」によるシベ2は、心揺さぶる大熱演!親しみやすいトークを交えながらのオペラ序曲の華やかな演奏も楽しかったです。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

この日の4日前に聴いた札響定期公演です。「札幌交響楽団 第663回定期演奏会」(日曜昼公演は2024/09/15)。札響名誉音楽監督尾高忠明さん指揮による「2人のリヒャルト」。協奏曲は、ヴラトコヴィチさんのホルンの豊潤で温かな響きと札響との優しく幸せな共演!ワーグナーでは「交響的選曲」の良さと、大編成によるサウンドの厚みと壮大さを十二分に楽しむことができました。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。