自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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札幌交響楽団 第660回定期演奏会(土曜夕公演)(2024/04) レポート

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2024-2025シーズンの札響定期は、正指揮者・川瀬賢太郎さんによる「2つの交響曲」で開幕です!今年(2024年)生誕150年のアメリカの作曲家・アイヴズが20代の若さで書いた交響曲第2番と、チャイコフスキー交響曲第4番。私はカワケンさんのチャイ4をとても楽しみに、作曲家の名前から初耳だったアイヴズにも期待して、この日を迎えました。

札響公式youtubeの新企画「札響プレイヤーズトーク」。初回となる今回(2024年4月)は、ヴィオラ奏者の櫨本朱音さんと原香奈恵さんが出演され、ヴィオラ愛あふれるトークを展開しています。すごく面白かったです!若いって素晴らしい!

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札幌交響楽団 第660回定期演奏会(土曜夕公演)
2024年04月20日(土)17:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
川瀬 賢太郎<正指揮者>

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:会田 莉凡)

【曲目】
(ロビーコンサート)J.ハイドン:3本のチェロのためのディヴェルティメント ニ長調
(出演:石川祐支、横山 桂、荒木 均)

アイヴズ:交響曲第2番 ~生誕150年記念~
チャイコフスキー交響曲第4番


信頼の川瀬賢太郎さん×札響による「お初」と「定番」の2種類の交響曲を、それぞれの楽しみ方で思いっきり楽しめました!前半のアイヴス2番については、結局予習なしで丸腰のまま当日を迎えた私。いざ実演に触れると、重厚だったりド派手だったり親しみやすい民謡が登場したりと、様々な要素が次々と来てとても面白かったです!次に何が来るかわからないまま演奏を聴くのは、例えがあれですが、闇鍋をドキドキしながら頂いているような。それも「おっかなびっくり」ではなく、「ワクワク」!「カワケンさんと札響についていけば大丈夫、何でもどんと来い!」という姿勢で聴けたのは自分でもうれしかったです。何と言っても川瀬さん×札響は、個人的に正直「無理!」と思っていたベルリオーズ幻想交響曲」にドハマリさせてくれたので(2022/04/14、こちらも新年度初回の定期でした)、私はとても信頼しています。今回も新たな扉を開いてくださりありがとうございます!また、後半チャイ4では天井知らずなド迫力に圧倒され、胸がすく快演に気分があがりました!加えて、陰と陽のコントラストや奥行き、シリアスな面の良さも知れたのがうれしかったです。定番曲とはいえ、チャイ4を実演で聴いたのは今回が2回目だった私。今後再び聴ける機会(何度もあるはず!)には、また別の気付きがあるかも!そう思うとワクワクします!

そして、Kitaraで聴く大迫力の札響サウンド、めっちゃ最高!金管打楽器は、遠慮無く大音量で鳴らして半端なく男前かつとても美しい響き!男性的な力強さと好対比の、木管群のまるい音色は艶っぽくなんとも魅力的!大人数で来る弦は、澄んだ音色の美がさらに強化され、大きなうねりを作る底力が半端ない!この大所帯だからこそ出せる分厚い音が、Kitaraにキレイに響く。それを全身全霊で体感できるのは幸せです。どちらかと言うと小編成・小ホールを好む私ですが、Kitaraで聴く大迫力の札響サウンドは別腹!この響きを体感するために、Kitaraでの札響の演奏会に今後もずっと通い続けたいです。定番料理でも闇鍋でも、何でもどんと来い!これからもお世話になります!


開演前のロビーコンサート。今回の演目はJ.ハイドン「3本のチェロのためのディヴェルティメント ニ長調で、4楽章構成の曲をぎゅっと10分程度に圧縮したものでした。演奏は、チェロの石川祐支さん、横山桂さん、荒木均さん。はじめはゆったりと。穏やかに呼応し合うところの品の良さ!メロディの優雅さに、支える2つのチェロの温かな鼓動が心地良い!続いて快活に。明るくスピード感あり、聴いている方はウキウキした気持ちに。しかし演奏する手元はとても忙しそう。時折ふと陰りを見せることもあり、短いながらも変化に富んだ音楽が素敵でした。メヌエットでは、1対2になって呼応し合うのが、まるで男女2人がお互いの気持ちをさりげなく確かめ合っているようで素敵。中間部で少しシリアスになったのが印象的でした。そして最後は、明るく生き生きとした音楽が楽しい!演奏は3人が追いかけっこしたりメロディとベースに分業したりと、短い中でも目まぐるしく担当交代。それでも聴き手としては一気に駆け抜けているように感じられ、切れ目をまったく意識させないのはさすがです。こんなにハイクオリティな演奏を至近距離で聴けちゃうなんて、感激です!開演前のガヤガヤしたロビーにて、しばし俗世界のことを忘れて、3つのチェロの響きにうっとり聴き入った約10分間のショートトリップ。なんとも贅沢でした!心癒やされ満たされた私は、ここで帰っても悔いは無いと、聴き終えたばかりの時はそう思ったほど(※だめです)。


前半は、アイヴズ「交響曲第2番」。演奏機会が少ない作品で、プログラムによると、札響演奏歴は過去に1回(2000年1月21日、指揮:井上道義)。オケの編成は14型(コントラバスは7)の大所帯でした!木管は基本の2管編成に加えてピッコロとコントラファゴット金管はホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ。打楽器はティンパニ、大太鼓、小太鼓、トライアングルと、登場する楽器はオーソドックスなもの(と私は思いました)。5楽章構成のようですが、楽章間を繋げて演奏(アタッカ)したところ(1&2、4&5楽章それぞれの間?)があって、私は全体で3部構成のように感じました。以下レポートに書いた楽章の区切りは、間違いがあるかもしれません。お許しください。第1楽章 低弦から入り、ヴィオラ、ヴァイオリンが順に重なって作る弦の良さ!このスケールによる重厚な、やや深刻で美しい響きにぐっと引き込まれました。kitaraで聴く弦楽アンサンブル最高!ホルンを皮切りに、時折木管が重なってのニュアンスの変化が素敵。第2楽章 木管群が軽やかに歌い出し、金管群も顔を出して賑やかに。ただ、プログラムの解説にあったブラームス「大学祝典序曲」の感じは私には掴めなかったです(ごめんなさい!)。行進曲風のメロディが繰り返され、ノリノリなのが楽しい!木管群が温かに歌うところで、ヴィオラがベースを作っていたのが印象に残っています。また、この楽章だったと思うのですが、2ndヴァイオリントップから入り、それぞれの弦の2トップを中心とした室内楽的なところが一瞬あったような?私が気付いた瞬間に終わってしまい、味わう余裕はなかったのですが……。勘違いでしたらごめんなさい。勇ましい盛り上がりでの、パンチの効いたスネアドラムと大太鼓がカッコイイ!終盤はさらにパワフルになり、低音金管群のド迫力にガツンとやられました!第3楽章 ホルンから入った、木管群と弦が中心のゆったりとした優美な音楽が超素敵!少し切ない感じもあり、演奏が進むにつれ弦が力強く変化。幸せに歌う木管群と、包容力あるチェロソロがなんて美しいこと!温かでどこか懐かしくて心癒やされました。第4楽章 はじめ、孤高のホルンに続いて悲劇的な弦と木管。厳かで重厚な響きで、むしろここがブラームスっぽいと個人的には思いました。そして衝撃的だったのは、オケ全体のクレッシェンドでのティンパニ連打!ごく小さな音からダダダダ……と連打しながら次第に大音量になり浮かび上がってくるのがすごいことすごいこと!思わず私は「ワー!」と仰け反りました(※演奏中なので、叫んだのは心の中でだけです)。書いた作曲家以上に、これを実現できるプレイヤーがすごすぎます!第5楽章 明るくリズミカルな音楽が楽しい!アメリカの懐かしい民謡のメロディ(私でもわかる程の有名なメロディ)が登場し、それを各パートでリレーしていくのを楽しく追いかけました。行進曲風のところでは打楽器陣が生き生き!ここでも幸せな木管と包容力あるチェロソロが!ありがとうございます!ヴィオラパートがさりげなく寄り添ってくれたのがニクイ!クライマックスは、金管打楽器が勇ましく、全員参加でガンガン盛り上げるスタイルに。指揮の川瀬さんは指揮台の上を何度もジャンプ(靴底の赤が鮮やか!)。最後はすごい音を大音量で(!?)、あれ?ここで終わり?という感じでした。何でもアリな交響曲、超楽しかったです!演奏後、指揮の川瀬さんは、順にチェロ首席、チェロ副首席、ヴィオラ首席、2ndヴァイオリン首席、ホルントップに起立を促し、讃えました。

後半は、チャイコフスキー交響曲第4番」。プログラムによると、札響での前回の演奏は2021年8月31日(指揮:太田弦)のようです(ちなみに私も聴いています)。オケは前半と同じ14型。木管は基本の2管編成に加えてピッコロ。金管はホルン5、トランペット3、トロンボーン3、チューバ。打楽器はティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングルでした。第1楽章 冒頭のホルンとファゴットのパンチ力!続いた金管群のド迫力!この時、私は金管群の音の切れ味と洗練された響きに目が覚める思いでした。札響の金管、美しすぎる(何を今更、ですね……大変失礼しました)。全員一斉にジャン!と強奏するのがキレッキレで気持ちイイ!大迫力からの、クラリネットファゴットの二重奏のもの悲しさにハッとさせられました。このコントラスト、すごい!また、悲劇的な弦が素敵すぎました。今まで私は、チャイ4の賑やかな面にばかり気を取られていたようで、今回はシリアスな面の良さも知れたのがうれしかったです。まるでダンスをしながらくるっと裾を翻すかのような、木管群が繰り返すタララララ~♪が艶っぽい!このプライベートな感じから、盛り上がっていく流れでの弦がすごい!大人数だからこその音の厚みで、押し寄せてくるうねりに聴いている方のボルテージもぐーっと上がりました。金管打楽器が大活躍の、大都会を思わせる華やかさが気分爽快!楽章終盤で弦がずっと音を震わせながら(トリル?)悲劇的なメロディを歌っていたのが超カッコ良かったです!第2楽章 弦のピッチカートに乗って歌うオーボエの崇高な美しさ!メロディを引き継いだチェロの優美さに、私はふと「白鳥の湖」のオデットと王子を連想しました。孤高のファゴットの存在感!木管群が繰り返すタララララ~♪は、深淵のさらに奥深くから聞こえてくるよう。木管と弦が作る、哀しげで美しい音楽に聴き入りました。第3楽章 はじめ弦の皆様は弓を手放し(床に置いたり膝に乗せたり)、ピッチカートの構えに。来ましたピッチカート祭り!速いテンポで小粋に奏でられる音楽が楽しい!一辺倒ではなく、細かく強弱を変化させたり掛け合いがあったりと、リズミカルで小粋な音楽はずっと聴いていたい面白さでした。オーボエの第一声(鮮烈!)を皮切りに、木管群によるダンスのような音楽になり、こちらも楽しい!ピッコロが可憐!ここでもまた私はチャイコフスキーバレエ音楽を連想しました。ピッチカート祭り再び。木管との掛け合いが素敵!ただ聴いている方は楽しくても、弾く方は痛手を負う大変な演奏と拝察します。いつもありがとうございます!第4楽章 ジャーン!の出だしが強烈なインパクト!シンバルと大太鼓が存在感抜群!弦の高速演奏の気迫!おなじみの民謡のメロディ(私は「小さな白樺」のタイトルで記憶しています)を各パートでリレーするのに、前半のアイヴスを思い出しました。天井知らずなド迫力の盛り上がりが清々しい!民謡の牧歌的な雰囲気から、大都会の摩天楼まで縦横無尽。この勢いが快感でした。金管打楽器がパワフルな思いっきり華やかなところで、合間に入る休符がバシッと揃うのが気持ちイイ!超スピードで駆け抜けるラストは突き抜けたカッコ良さ!めちゃくちゃ気分があがりました!

客席からは大きなブラボーのかけ声が。演奏後、指揮の川瀬さんは、オーボエファゴットクラリネット、ピッコロ、フルート、とまずは木管の皆様。続けてホルン、トランペット、トロンボーン&チューバの金管の皆様。ティンパニ、打楽器陣の順に起立を促し讃えました。そして弦5部の各トップと握手。カーテンコールで何度も戻ってきてくださった指揮の川瀬さん。最後に小さく手を振るバイバイの仕草をして、客席に温かな笑いが起き、会はお開きとなりました。今年で札響正指揮者は3年目という川瀬さん、既にオケとも札幌市民とも相思相愛の関係ですね!これからも末永く、どうぞよろしくお願いいたします。


昨年度(2023年度)、川瀬賢太郎さん指揮×札響でチャイ5を聴いた公演はこちら。終楽章にシンバルが入るバージョンでした。「PMFホストシティ・オーケストラ演奏会」(2023/07/23)。アカデミー生との合同演奏に、存在感抜群な独奏と愛あるオケとの幸せな協演の協奏曲。そしてメインのチャイ5の素晴らしさ!正指揮者カワケンさんによる大熱演に心揺さぶられました。

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先月(2024年3月)、札響友情指揮者・広上淳一さん(川瀬さんの師匠!)指揮による札響の地方公演でチャイ5を聴きました。「札幌交響楽団 苫小牧公演2024」(2024/03/23)。オケは我らが札響、ソリストコンマス&首席の最強デュオによる、密で壮大で愛と情熱あふれるブラームスの二重協奏曲!想像をはるかに超える最高の出会いでした。また後半チャイ5は素直に聴けて胸打たれ、気分爽快になれました。

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先月(2024年3月)には、小編成・小ホールならではの良さが味わえた公演も。「札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.5」(2024/03/30)。最初の企画から4年以上の年月を経て実現した演奏会は、小さな空間からどこまでも広がる小宇宙。悲劇から魂の浄化へ。アンコールも含めたプログラム全体で1つの物語のような流れは、聴く人すべてにとって救いとなりました。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.5(2024/03) レポート

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↑今回の演奏会チラシです。 ※pdfファイルです。


コロナ禍で何度も延期と中止を繰り返した企画が、今回ようやく実現しました。佐藤俊太郎さん指揮による、モーツァルト交響曲第40番とシェーンベルク浄夜」。私は早い段階でチケット入手し、当日を楽しみにしていました。また地元ファンの期待は大きく、当日は満員での開催だったようです。


札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.5
2024年03月30(土)16:00~ ふきのとうホール

【指揮】
佐藤 俊太郎

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:会田 莉凡)

【曲目】
モーツァルト交響曲第40番 ト短調 K.550(第1稿)
シェーンベルク浄夜 op.4(弦楽合奏版)

(アンコール)
モーツァルト(佐藤 俊太郎 編):アヴェ・ヴェルム・コルプス


小さな空間からどこまでも広がる小宇宙。響きの良いホールにて、奏者お一人お一人の音が聴き取れる中、室内楽的な密なやりとりとオーケストラの壮大さを同時に味わえるなんて、とても贅沢!モーツァルト交響曲第40番については、大ホール・大編成とはまた違った、(作曲家が想定していた編成による)本来の姿の良さを知ることができました。ゴリゴリ力業で進むのではない、あくまで軽やかでしなやかなステップがなんとも良かったです。少数精鋭メンバーが思いを1つにして音楽を奏でるのは素敵!やはりふきのとうホールで聴く札響は最高です!

個人的には、何と言っても後半のシェーンベルクがすごく面白かったです!難解な印象の「シェーンベルク」というのと、元となった詩の内容に最初は共感できなかった事で、聴く前は自分が受け止められるかどうか少し不安だった私。いざ実演に触れると、ドハマリしてしまったのは嬉しすぎる誤算でした!まず、この小さな会場で、各パート内での分業が多い細やかな作りの音楽をじっくり味わえたのが良かったです。さらにそこから、表面的な語り口からはわからない隠された本心や単純には割り切れない感情の機微があると感じられ、演奏を通じて人間の奥深さを意識するように。夫婦間のやりとりというプライベートな状況が題材でも、どこまでも奥行きと広がりがある!今回の演奏に出会えてよかった!そしてアンコールがとても気が利いていました。悲劇から魂の浄化へ。アンコールも含めたプログラム全体で1つの物語のような流れは、聴く人すべてにとって救いとなったはず。最初の企画から4年以上の年月を経て、今回演奏会を実現くださったこと。なにより素晴らしい演奏を聴かせてくださったことに感謝です。


開演前に指揮の佐藤俊太郎さんによるプレトークがありました。まず、今回の企画は当初2020年3月の公演予定だったものが2回延期され、4年後の今回実現したことに触れ、「他では聞いたことがない、粘り強い企画力」と、多方面への感謝の気持ちを表明。舞台には22個のイス。少ない?否「これでいい」と、「ドン・ジョバンニの初演はこの編成だった」事を紹介くださり、今回は当時のスタイルで演奏すると仰いました。今回の演目について、モーツァルト交響曲第40番は「ト短調で始まりト短調で終わる悲劇」。シェーンベルク浄夜」は「始めは悲劇」で、元となった詩の内容(夫とは違う人の子を宿した妻の告白から、夫がその子を夫婦2人の子として育てて行こうと決めるまでのお話)を紹介くださいました。なお、当初の企画とは前半と後半を入れ替えて、今回シェーンベルクの方を後に持ってきたそうです。「今日の流れはまるでこの4年を表しているよう」「(「浄夜」で月の光が魂を浄化してくれるように)コンサートの後にきれいな月が出るといいな」と仰って、「それでは開演です」でトークは締めくくられました。待ちに待った企画、いよいよです!


前半は、モーツァルト交響曲第40番 ト短調 K.550」(第1稿)。第1稿はクラリネットなしで、管はホルン2、オーボエ2、ファゴット2、フルート1。弦は4-4-4-2-1の編成でした。第1楽章 弦楽合奏でそっと入った冒頭の美しさ!早速心掴まれました。木管群が呼応し合ったり弦が胸騒ぎのようにザワザワしたりと、それらすべてが奏者お一人お一人の音がわかる形で聴けるのがうれしい!しかし親密さのみならず、クレッシェンドで盛り上がってからのダイナミックさや、奥行き広がりを感じさせるホルンの存在感で、この少人数でも壮大な交響曲の響きを味わうことができました。また基本深刻な中で、ふと光が差すような明るいところの輝かしさが個人的には特に印象深かったです。第2楽章 ゆったりと振り子時計のようなテンポでの穏やかな音楽が心地よかったです。繰り返し登場した明るくスキップするような音が親しみやすく、足並み揃えて力強く音をのばすところでハッとさせられたりも。第3楽章 前の楽章から一転、力強い舞曲が色気があって超素敵!トリオでの木管群の柔らかさ美しさ!また、力強い低音が一瞬沈黙して、1つしかないフルートが寂しげにメロディを歌うところがとても印象的でした。第4楽章 さらに速くなり、強弱やリズムを変化させながら、前のめりに展開する音楽にゾクゾク。シャープな弦のカッコ良さ!時折低弦がリードするところがあったのが印象に残っています。またこの悲劇的な流れの中で、木管群が朗らかに歌うところにほっとさせられ心温まりました。力強い締めくくりまで、迷いなく駆け抜けた演奏が清々しい!音楽自体は悲劇でも、明快でクリアな演奏!私は胸がすく思いでした。素材そのものの良さを堪能できたのは、曲を生み出した作曲家と、札響の少数精鋭メンバーによる演奏のおかげです。ありがとうございます!

後半は、シェーンベルク浄夜 op.4」(弦楽合奏版)。単一楽章の曲のようです。弦のメンバーは前半と同じで、ヴィオラの席替え(前列にいた青木さんと後列にいた鈴木さんが前後交代)がありました。冒頭、ごく小さな音から入ったチェロ&ヴィオラ(いずれも第2奏者)の重低音にゾクッとしました。続くチェロ&ヴィオラ(いずれも第1奏者)のメロディが重々しい。掴みから思いっきり暗い感じに、私は思わず「怖い」と身構えました。全員合奏になってからも各パート内で分業があり、複雑に絡み合う響きは暗澹たる思いを表しているよう。強弱の波がおどろおどろしく、ガガガ……と不穏なざわつき(トレモロ?)のインパクト!悲鳴のようなヴァイオリンの後の、バン!と全員一緒のピッチカートの一打にビクッとしました。そこからは厳しい一辺倒ではなく、心境の変化やゆらぎも感じられるように。ヴィオラのソロとコンマスソロは少し落ち着いた夫婦の会話でしょうか?再び厳しい感情の波が来てからの、ヴィオラ(2プルト目)の連続ピッチカートは激しい鼓動のよう。強い感情の波があっても、ヴィオラソロやチェロソロに少し優しさが垣間見えるようになったと個人的には感じました。そして沈黙の力!ここで月の光が差したのでしょうか?沈黙の後に続いた中低弦の包容力!澄んだ空気のような合奏の上で、コンマスソロとチェロソロが語らうのが美しくて素敵すぎて!ただ「お花畑」なおめでたさではなく、大きな感情のうねりが合奏に現れているように感じました。終盤で2ndヴァイオリンとヴィオラが弓を上下させながら音の波を作っていたのが印象的で、精神性の高まりを感じました。合奏のうねうねした音の上で、コンマスソロが超高音でフェードアウトしたラストがきれい!なんてドラマチックな音楽!言葉で単純化などとてもできない、音楽が語る人間の奥深さ!私は引き込まれのめり込みました。すごいものを聴かせて頂きました。ありがとうございます!

アンコールは、モーツァルト(佐藤 俊太郎 編)「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。ゆったり穏やかで、澄み切った音楽が何とも美しく、心洗われました。終盤でのコンマスによるビブラートは今この時を慈しむよう!モーツァルトの悲劇から始まり、魂を浄化したシェーンベルクを経て、最後の最後にこの曲を持ってくる演出がニクイです!終演後、外は夕暮れ時であいにく月は見えませんでしたが、冷たく澄んだ空気が心地よかったです。素晴らしい演奏に触れ、私の心も洗われました。ありがとうございます!札響ふきのとうホール公演、末永く続きますように。


この日の1週間前の聴いた札響の公演です。「札幌交響楽団 苫小牧公演2024」(2024/03/23)。オケは我らが札響、ソリストコンマス&首席の最強デュオによる、密で壮大で愛と情熱あふれるブラームスの二重協奏曲!想像をはるかに超える最高の出会いでした。また後半チャイ5は素直に聴けて胸打たれ、気分爽快になれました。

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昨年度の札響ふきのとうホール公演です。「札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.4」(2023/02/14)。バーメルトさんと札響によるハイドン交響曲の朝昼晩。独奏たっぷりで各パートの見せ場も多く、物語のような展開もある、小編成ならではの魅力満載!親密で心温まる演奏会でした。

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第21回 楽興の時 青木晃一×石田敏明 ~ロベルトとクララ、そしてヨハネスの愛~(2024/03) レポート

Studio26のシリーズ「楽興の時」。第21回となる今回は、札響副首席ヴィオラ奏者の青木晃一さんとピアニストの石田敏明さんのデュオによる、シューマン夫妻とブラームスを取り上げる演奏会です。しかもブラームスソナタはレクチャー付き!絶対に聴きたい!と、私は企画発表当初から楽しみにしていました。ちなみに私が聴いたのは、同一内容での昼・夜2回公演のうち、昼の第1公演です。


第21回 楽興の時 青木晃一×石田敏明 ~ロベルトとクララ、そしてヨハネスの愛~ (第1公演)
2024年03月24日(日)14:00~ Studio26

【演奏】
青木 晃一(ヴィオラ) ※札幌交響楽団副首席ヴィオラ奏者
石田 敏明(ピアノ)

【曲目】
ロベルト・シューマン:まどろみの歌 op.124-16
ロベルト・シューマン:ヘ長のロマンス op.28-2
クララ・シューマン:3つのロマンス op.22
ロベルト・シューマン:3つのロマンス op.94

ヨハネス・ブラームス:永遠の愛 op.43-1
ヨハネス・ブラームス:ピアノとクラリネット(もしくはヴィオラ)のためのソナタ 第2番 op.120-2

(アンコール)
ロベルト・シューマン:夕べの歌
ロベルト・シューマントロイメライ


小さな空間で心温まる時間。まるでシューマン家の居間で音楽とお話を楽しんでいるような、幸せなひとときを過ごすことができました。聴き手の心が温まり癒やされるのは、演奏する青木さんと石田さんのお2人に作品への深い「愛」があるからこそですよね!青木さんがトークの中で「作曲家によって色々な愛の形がある」といった事を仰っていましたが、それぞれの「愛」を私達聴き手に届けてくださるのは、やはり作品と真摯に向き合い表現する音楽家です。今回取り上げられた作品たちは、編曲にしても置き換えにしても本来ヴィオラとは別の楽器を想定して書かれたもので、ブラームスソナタに至っては作曲家自身の編曲が「微妙」(!)。そんなスタートラインから、まるで最初からその形であったかのように自然な、聴き手の心にすっと染み入る演奏で私たちに「愛」を届けてくださいました。もちろん解説で紹介頂いた事柄はほんの一部であり、見えない部分での無数の積み重ねがあってこその結果と拝察します。いつも本当にありがとうございます!

今回の注目は、レクチャー付きのブラームスソナタop.120-2。私は前回お2人の演奏で拝聴した時(2023/11/26)、あまりにも自然で通常のヴィオラ版との違いに気付けなかったのですが(ごめんなさい!)、今回いくつか具体例を紹介くださった事でようやく(ほんの一部を)理解しました。手の内を明かすなんて「特別」な事をあえてやってくださり、恐縮です。また個人的には、ヴィオラ版が「微妙」な仕上がりだということに、完璧主義のブラームスでもこんなことがあるんだ!と少しほっとしたりも。なお今回の解説では触れられませんでしたが、ブラームスソナタop.120のヴィオラ版に納得していなかったからか、後日ピアノパートにも大きく手を入れた上でヴァイオリン向けの編曲をしています。今回のレクチャー付きの演奏を聴いて、私はそのヴァイオリン版にも興味が沸きました。(楽器の音域的に出せない)低い音を一体どのように表現しているの?とか、高音域はさらに華やかになっているの?とか、とても気になります!演奏機会が極めて少ないというヴァイオリン版、聴ける機会があれば聴いてみたいです。


出演者のお2人が会場へ。拍手で迎えられ、すぐに演奏開始です。1曲目は、ロベルト・シューマン「まどろみの歌 op.124-16」。穏やかなピアノに乗って、まるく揺らぐ音色で歌うヴィオラの優しさが心に染み入り、初めて聴くのにとても懐かしい感じがしました。重音が素敵すぎ!中盤シリアスになるところの、ヴィオラの少し影のある音色と胸の鼓動のようなピアノのリズムが印象的でした。演奏後の解説によると、元々はピアノ曲(!)なのだそう。「歌のようですよね」との青木さんの言葉に、会場はうんうんとうなづいていました。

ロベルト・シューマン「ヘ長のロマンス op.28-2」。こちらも元々はピアノ曲だそうです。原曲は「嬰ヘ長調」だったのが、編曲で「ヘ長調」に(ピアノの実演付きで解説がありました)。今回の編曲版は、石田さんによると「ヴィオラが美味しいところを持って行く(!)」。それを受けて青木さんは「それはライオネル・ターティスの編曲によるものなので」と静かに反論(笑)。ヴィオラがはじめ低い音でしっとり歌い、続いて高音で美しく歌ったのは、男女の会話のよう。感極まったところの力強さ。ふくよかな重音が優しく美しい!表情が次々と変化し、まるで短編映画を見ているような気持ちになりました。ちなみに編曲者の紹介があったのはこの作品のみでしたが、もしかすると1曲目の「まどろみの歌 op.124-16」と、この後に登場するブラームスの歌曲「永遠の愛 op.43-1」も、ライオネル・ターティスの編曲だったのでは?と個人的には感じました。華やかなところと影のあるところのメリハリやビブラートの効かせ方が「らしい」ような?とはいえヴィオラ向けの編曲者、他はプリムローズしか私は思い浮かばないのですが(恥)。

クララ・シューマン「3つのロマンス op.22」。ヴァイオリンのための作品を、今回はヴィオラによる演奏で。ロベルト・シューマンの9歳年下の妻であるクララ・シューマンは、ピアニストとして有名で、数は少ないながら作曲もしたそう。ピアニストの「暗譜による演奏」は、クララやリストが始めたことで、現代ではスタンダードになってしまったとか(石田さんは「なんてことを!」と仰っていました・笑)。かつてドイツの100マルク紙幣の肖像に採用されていて(石田さんがドイツで学ばれていた時は通貨がユーロになる前だったそうです)、ドイツではとても有名な人物、といった紹介がありました。第1曲 大きな愛で包むピアノと滑らかに美しく歌うヴィオラが素敵!一瞬深刻さを垣間見せたヴィオラの重音が印象的でした。第2曲 深刻さと明るさを行ったり来たりするのは夫のロベルトのカラーに近い?と感じました。ヴィオラが音を震わせたのが印象的で、ピアノとヴィオラのテンポ良い掛け合いが良かったです。締めくくりの控えめなピッチカートが愛らしい!第3曲 ブラームスの雰囲気があって、個人的に好きな曲です。厚みあるピアノは大樹のよう。伸びやかに歌うヴィオラは幸せそう。ヴァイオリンよりも落ち着いた「大人の愛」を感じました。ピアノが主役になった時、ヴィオラが伴奏にスイッチするのが自然で、泉が湧き出るように流麗な演奏が素晴らしい!静かな締めくくりの余韻も良かったです。しみじみ素敵な演奏でした!

ロベルト・シューマン「3つのロマンス op.94」オーボエのための作品でも、クラリネット等の管楽器や弦楽器での演奏も広く行われているそうです。しかしヴィオラでの演奏機会は少ないとか。「(ヴィオラでの演奏は)大人っぽい。オリジナルと聴き比べるのも面白いのでは?」と青木さん。第1曲 寂しげな響きにぐっと来て、高音のはかなさも低音の深さもヴィオラの音色ならではの良さを感じました。第2曲 優しく美しくもどこか切なく、中盤のシリアスなところのぐっと低い音に惹きつけられました。本心はシリアスな部分にあるのかも?第3曲 個人的にこちらが一番印象深かったです。深刻なところとスキップするようなところが交互に来て、それらが地続きだと感じられたのが大収穫!スキップといっても脳天気な感じではなく、哀しみをぐっと堪えた上で口角を上げるような。そんなニュアンスがヴィオラの音色にあったと思いました。個人的に今までピンとこなかったこの曲が、ようやくしっくり来た気がします。ありがとうございます!

ヨハネス・ブラームス「永遠の愛 op.43-1」。若い頃にロベルト・シューマンに才能を見出されたブラームスについては、シューマン夫妻との密な交流があったことや、歌曲をたくさん書いたこと等が紹介されました。今回取り上げる歌曲の歌詞(内容は男女カップルの会話です)について、青木さんが大掴みな解説をしてくださったのですが、それが面白すぎて私は笑いを堪えるのに一苦労。的確だけど、なんて大胆なまとめ方(笑)。演奏は、重々しいピアノと深刻なヴィオラから始まり、感情が高ぶるところではヴィオラの叫び声のような高音とピアノのダイナミックさがインパクト大!明るい未来を信じるラストは、ヴィオラの希望に満ちた輝かしさとピアノの明るさ力強さ(鋼の意志!)が清々しい!シーンの移り変わりがはっきりとわかる、ドラマチックな演奏にとても引き込まれました。愛を信じられる力は強い!

ヨハネス・ブラームス「ピアノとクラリネット(もしくはヴィオラ)のためのソナタ 第2番 op.120-2」ブラームスクラリネット奏者(ミュールフェルト)のために書いた作品。ただブラームスは作曲と並行してヴィオラ向けの編曲をしており、クラリネット版とヴィオラ版は同時に出版されたそうです。青木さんによると、当時ヴィオラの名手がいなかったこともあって、ブラームスによるヴィオラ向け編曲は(ヴィオラが弾きやすいよう、必要以上に音を低くしている等)「微妙」。クラリネット版とヴィオラ版の違いについて、「特別ですよ」と、実演付きでのレクチャーをしてくださいました。ありがとうございます!違いは多岐にわたるものの、この日は大きく2つ例をあげての解説。まず、「ヴィオラ向けに音を低くしたために微妙になってしまった」ところとして、第1楽章15小節を取り上げて実演くださいました。はじめにクラリネット版を高音で明るく歌い、続けてヴィオラ版を落ち着いた低音で歌い、両者の違いは一目瞭然。クラリネット版は力強く跳ねるようなピアノも相まってとても華やか!しかし、ヴィオラ版の低音も柔らかさ温かさがあって心にすっと入ってくる良さ。ヴィオラ版も絶対に素敵ですよ!「低い音だと楽譜に書かれたamabile(アマービレ)=愛らしい、にはならない」と青木さん。一方「ヴィオラ向け編曲の方が良い」ところもあり、第2楽章109小節を取り上げての実演に。クラリネット版では、メロディが低い音になっていく過程でヴィオラからピアノにメロディが移りました(スイッチが滑らかで自然!さすがです!)。「ピアノが美味しいところを持っていく(!)」のには理由があって、ここまで低い音はクラリネットには出せないからだそう。しかしヴィオラなら出せる(!)ため、メロディはずっとヴィオラが担当できるそうです。ヴィオラ版の実演では、ぐっと深い低音と贅沢な重音の魅力が盛り盛りで、ここはヴィオラ版の方に軍配が上がると私は感じました。こういった点を踏まえ、青木さんと石田さんは「クラリネット版をメインに、重音奏法等のヴィオラ版の良いところは取り入れる」スタイルでブラームスソナタを演奏するとのことです。こんなに手の内を明かしてくださって、いいのでしょうか……!?大変興味深い解説を聴き、聴き手の期待が一層高まったところで、いよいよ演奏開始です。第1楽章 そっと入った冒頭部分の心地良さ!聴き手にぱっと「愛らしさ」が伝わる掴みから素晴らしい!解説で触れられた高音部分の華やかさ!ここはヴィオラもピアノもまっすく力強く弾いたのが清々しかったです。また穏やかなところでは、優しく大きな愛で包むピアノと愛らしいヴィオラとの細やかなやりとりが自然体で心地よく、私は陽だまりで静かに語らう老夫婦(夫婦ではないけど、クララとブラームスかも?)をイメージ。そして、ピアノのターンでのヴィオラが丁寧に音を紡ぐところでは、流れが途切れず気持ちがずっと続いていると感じました。もしかすると、クラリネット版では息継ぎの都合で休符になっている部分も休みなく繋げて演奏していたかも?(勘違いでしたらごめんなさい)。締めくくりの優しさ心地良さ!第2楽章 前の楽章から一転、ここでの掴みはシリアスな感じで、瞬時に空気を変えたのはさすがです。思いっきり来るピアノの激情の素晴らしさ!ヴィオラは内に秘めた情熱を隠しきれない感じで、運命の荒波を思わせるピアノに乗って思いを吐露するように歌うのがとてもドラマチック!互いに高め合う、このデュオならではの良さを感じました。解説で紹介されたコラール風のところでは、はじめの厳かなピアノにドキドキし、満を持してヴィオラの登場。高音域と低音域それぞれの味わいがあり、人の体温を感じる祈りが心に染み入りました。やっぱり重音が良すぎます!そして楽章の締めくくりに向かう流れがとても良かったです。ヴィオラもピアノも少しずつ音量を下げていき、緩やかに眠りにつくような流れに引き込まれました。ラストのピアノの低音の一打は、控えめなのにインパクト大!第3楽章 いくつもの変奏が続くこの楽章はとても楽しくて、青木さんと石田さんの息の合ったやりとりをずっと聴いていたいほどでした。はじめの方は穏やかな流れで、変奏によって変化していくリズムの違いを楽しみ、心地よい響きにうっとり聴き入りました。ヴィオラとピアノが交互にメロディを受け渡すのが滑らかでエレガント!終盤に登場する力強くドラマチックなところの盛り上がりから、フィナーレへの流れの良さ!華やかなシーンをつなぐ中間の部分での確かな足取りから、ブラームスってこんな人(すべてに意味のあるつながりを持たせる人)なんだと私は再確認しました。明るく輝かしい締めくくりが最高!ブラームスが最後に残してくれたソナタ。それをより完成度の高さを追求した再アレンジと演奏で聴けて幸せです!改めてありがとうございます!

カーテンコール、ごあいさつに続いてアンコールへ。ロベルト・シューマン「夕べの歌」。石田さんの解説によると、元々はピアノ連弾曲で、初心者である子供が(比較的弾きやすい)メロディを弾き、年長者(年上の子だったり親だったり先生だったり)が伴奏を弾く形式なのだそう。「ヴィオラは初心者パートを弾くんですね」と青木さんがボソッと仰って、会場が和みました。青木さん、面白いです(笑)。ゆったりとしたピアノに乗って歌うヴィオラは、しっとり美しく大人っぽい印象。夕暮れ時に、寂しさよりもしみじみと今この時を慈しんでいるような、そんな温かさを感じました。この曲もまるで歌曲のよう!と、個人的には思ったりも。

青木さんが耳を澄ます仕草をして、熱い拍手に応える形でアンコール2曲目へ(ありがとうございます!)。最後はおなじみの作品を取り上げてくださいました。ロベルト・シューマントロイメライ。ゆっくりたっぷり、優しい歌がとっても素敵!「クララ~♪」のところでふと響きがまるくなるのが印象深く、温かな愛を感じました。休憩なしで演奏とお話をたっぷり約90分の公演!しかし楽しい時間はあっという間で、叶うならずっとここにいたいと思ったほどでした。青木さん、石田さん、夜の公演も控えているにもかかわらず、演奏もトークも盛り盛りで愛あふれる演奏会をありがとうございました!またお目にかかれる機会を楽しみにしています。


青木晃一×石田敏明デュオの演奏会。こちらもメインプログラムはブラームスソナタ第2番でした。「青木晃一&石田敏明 ビオラ&ピアノ デュオコンサート」(2023/11/26)。野幌までプチ遠征。メインのブラームスに加え、小品をアンコール含め10曲と盛りだくさん!魅力あふれる演奏で、耳慣れたブラームスソナタが一層愛しくなりました。

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Studio26で開催され、ヴィオラの青木晃一さんが出演された演奏会です。「シリーズ イギリス音楽 Vol.1 ヴィオラとピアノで奏でるイギリス音楽の花束」(2023/12/28)。レベッカ・クラークのソナタをはじめ、親しみやすい個性と独奏楽器としてのヴィオラの魅力をたっぷり堪能。オンリーワンの魅力にたくさん出会えた、心温まる演奏会でした。トークも楽しかったです。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 苫小牧公演2024(2024/03) レポート

www.sso.or.jp


札幌交響楽団 苫小牧公演2024。しばらくお休みしていた私のコンサート通いは、地元オケの地方公演から再開です。大注目はブラームスの二重協奏曲!オケは我らが札響、ソリストコンマス&首席の最強デュオ!行くに決まっています!七飯にも蘭越にも名古屋にも遠征した私にとって、苫小牧はご近所です。当日はJRで移動し、会場に入ると全席自由席の前の方に陣取って、ドキドキワクワクしながら開演を待ちました。

 

札幌交響楽団 苫小牧公演2024
2024年03月23日(土)14:00~ 苫小牧市民会館

【指揮】
広上 淳一(札響友情指揮者)

【独奏】
会田 莉凡(ヴァイオリン) ※札響コンサートマスター
石川 祐支(チェロ)    ※札響首席チェロ奏者

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島 高宏)

【曲目】
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
チャイコフスキー交響曲第5番

(アンコール)グリーグ:過ぎにし春


ブラームスの二重協奏曲。個人的に愛してやまない作品の1つに最高の形で出会うことができました!ブラームス「らしい」骨太の管弦楽をベースにした上で、こちらもブラームス「らしい」内に秘めた感情の室内楽的なやりとり。一見相反する2つの要素が両立する、奇跡的な演奏!しかし、おそらくブラームスってそんな人(矛盾するものをいくつも抱えた人)なんですよね。深刻さがベースにあっても感情には波があり、また単純に割り切れない感情の機微もある。様々な思惑を抱えながらも、最後は力強く希望へ向かう。それらがすべて1つの流れとしてぐいぐい迫り来て、その勢いに身を任せるのは快感でした。脈打つ音楽の息づかいと鼓動から、ブラームス自身の体温が伝わってくるよう!「これこそブラームス!」と、ブラームス推しの私はとてもうれしかったです。ありがとうございます!もちろんこの布陣ですから、間違いないとは信じていました。それでも自分の事前予想をはるかに超えた演奏を前に、自分の認識はまだまだ甘かったなと痛感。もう、絶対に敵いません!最高にうれしい!いつの頃からか「ブラームスの二重協奏曲を、会田さんと石川さんがソリスト&オケは札響で聴きたい」と夢見ていた私。その望みが思いの外早くに叶ってしまいましたが、「これで終わり」ではなく、「ここからまた始まる!」と、今の私の気持ちは前を向いています。これからも必ず別のステージで、私達の想像をはるかに超える新たな夢を何度でも見せてください!演目はブラームスに限らず、オケでも室内楽でも。

また後半チャイ5は素直に聴けて胸打たれ、気分爽快になれました。たとえチャイ5のフィナーレが繊細な人の「カラ元気」であっても、少々塞いでいた今の私にとっては大変共感できるもので、むしろありがたかったです。この日私は、生演奏から数ヶ月離れていたのがウソみたいに、札響の響きに自然となじみ思いっきり楽しむことができました。その懐の深さに感謝です。帰れる場所があるって幸せ!これからも末長くお世話になります!


前半は、ブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」。オケの編成は8型でしょうか?演奏前にソリストのお2人は、マエストロ広上、田島コンマス、そしてお互いに握手し合いました。会田さんは鮮やかな赤のドレス!指揮の広上さん、おヒゲお似合いです♪第1楽章 オケのパワフルな序奏に続いた、独奏チェロの重低音の鳴り!ああ何度聴いてもすごい!底知れぬエネルギーで、運命の重たい歯車をぐーっと回すような、じっくりたっぷりのチェロに身も心も全部持って行かれました。ギターをかき鳴らすようなピッチカートの凄み!木管に続いて、独奏ヴァイオリンが登場。はじめの柔らかな美音にうっとりしたのも束の間、独奏チェロと呼応し始めると切れ味抜群のシャープな音に。2つの独奏の絡み合って異なる個性が一心同体となり、加速し力強く音階を駆け上る気迫!一気に運命が回り出すこの瞬間に痺れる!オケのターンでは、こちらも高音弦と低弦ががっちり絡むスタイルでその重なりゾクゾクさせられ、ティンパニの力強さ、金管の壮大さ、トリルが華やかな木管の存在感!と、ブラームス流の骨太な管弦楽に、私は最初からどっぷりハマりました。独奏2つはこれ以上無いほどの一体感!ぴたっと寄り添い歩みを進める独奏2つの、高音も低音もビリビリ来る!後から楽譜を見ると、ここは鏡映しだとか交互にリレー形式になっているとかの確認はできるのですが、目の前で繰り広げられた演奏はあまりにも自然で、重なりや繋ぎ目がある事を聴き手にまるで意識させないほどでした。その上で独奏ヴァイオリンが感情を高ぶらせたり、独奏チェロが丸みのある音色で優しさを垣間見せたりと、ふと現れる感情のゆらぎがたまらなく素敵!この真剣勝負の中、ソリストのお2人は常にアイコンタクトをしながらお互いの呼吸を確認しつつ、笑顔を見せる余裕まで!演奏を心から楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきました。また独奏2つと気持ちを共有するオケの仕事ぶりが素晴らしい!壮大で力強いところも、少し穏やかになるところも、様々な感情が違和感なく一続きになっていて、とても説得力があると感じました。独奏を支える、ピッチカートや弦を細かく擦る演奏はまさに音楽自体の鼓動のよう!また細かい部分では、余韻を残したクラリネットの温かみや、独奏2つをヴィオラがリードしたところが印象的でした。終盤、一呼吸置いてからの二重奏キター!この風格この貫禄に震える!合流したオケの重厚さが超男前!第1楽章が終わったところで客席の一部から拍手が起きました。今すぐに感激を伝えたい、わかります!第2楽章 前の楽章の厳しさから一転、落ち着いた音色でゆったり歌う独奏2つがすごく素敵!唯一無二の音をお持ちのソリストお2人が、今回もまた素晴らしい音で私たちを魅了してくださいました。オケの優しく温かな管に澄んだ弦は、空と大地の広がりのよう。高音での独奏2つの語らいがなんて美しい!また個人的には、比較的チェロの見せ場が多いこの曲において、こと今回の第2楽章に関して言えばヴァイオリンのターンだったと感じました。ヴァイオリンのこの上なく美しい高音を、優美なチェロが寄り添い支える。これは愛ですね!独奏チェロが(演出として)ためらう感じの演奏の時に、オケの弦のピッチカートが良いタイミングで入るのがツボ。オケのピッチカートは、後半の盛り上がりでは明るい未来を予感させる響きになったのが素敵でした。独奏2つが一緒に幸せいっぱいに歌い、オケの管の余韻が温かなラストの多幸感!そしてここで独奏チェロがじっくり調弦をしてから、第3楽章へ。舞曲風の独奏チェロの艶っぽさ!並走するオケも同じ鼓動を共有して、このリズムにドキドキ。独奏2つが一緒に力一杯駆け抜け、パワフルなオケへつながる流れが超カッコいい!2つの重音の重なりがキレッキレ!丁々発止のやりとりの気迫!堂々と歌う独奏チェロの貫禄!オケの中低弦とホルンが重なったことで、独奏チェロは一層輝きが増していたと感じました。全体合奏の壮大なところもあれば、弦楽合奏室内楽的なところ、さらに親密な二重奏と、シーンが次々と変化。それらすべてが一つのつながりで、かつどのシーンも素晴らしくて、札響のお力を再確認。改めて、札響の皆様すごいです!楽章のはじめの方で独奏チェロが歌ったメロディを、終盤に独奏ヴァイオリンとのデュオで歌ったのには胸が熱くなりました。クライマックスでの、独奏ヴァイオリンと独奏チェロが交互に主役になり支あうのがすごく素敵!ソリストお2人の信頼関係、ヨアヒムとブラームスのそれ以上かも!ティンパニに導かれ、オケの堂々たる強奏の締めくくりが輝かしい!演奏後、ソリストのお2人がハグ。客席は拍手喝采!なんて密で壮大で愛と情熱あふれる、ブラームスの二重協奏曲!この場にいられた私達は幸せです。最高の演奏をありがとうございました!

後半は、チャイコフスキー交響曲第5番。ちなみに私は、広上さん指揮&札響によるチャイ5を以前hitaru定期(2021/2/25)で聴いています。初めて聴いたその時にとても感激したので、今回同じ布陣で再び聴けることを楽しみにしていました。オケは前半よりも菅も弦も増員され、12型(10型?)に。第1楽章 じっくりゆっくりの冒頭、中低弦の重々しさとクラリネットの暗い「運命の動機」にゾクっとしました。一歩一歩進むような弦のリズム、木管群が次第にコロコロ歌い始めたのにドキドキ。運命が回り出した?そこからガツンと盛り上がったのには圧倒されましたが、この日のこの時に限って言えばまだ私の気持ちが追いつけなかったです(ごめんなさい!)。しかし強弱の波がハッキリしていて明快な演奏が気持ちいい!澄んだ弦楽合奏やピッチカートからの幸せな流れ、ホルンと弦が囁くように会話するところ等、美しい響きを穏やかな気持ちで聴くことができました。ファゴットティンパニ、低弦で静かに沈み行くラストに、ふと悲愴のラストを思い出したり。第2楽章 中低弦による厳かな出だしが鳥肌もの!ホルンの温かな響きがなんて素敵なこと!ホルンと各木管が呼応し合うところの優しさ、チェロがメロディを歌う良さ、そして感極まっての弦の美しさには胸打たれました。もう大好き!金管がパワフルな、第4楽章の先取りのような勇ましい盛り上がりがすごい!私の気持ちはようやく追いつき、盛り上がりに乗れたのがうれしかったです。静かな締めくくりは温かな感じで、厳しさ寂しさを乗り越えての温かさに心癒されました。第3楽章 美メロと軽やかなリズムが素敵なワルツ、楽しく聴けました。木管群が歌うところでの弦ピッチカートの合いの手が気持ち良く、次々と各パートにメロディが受け渡される駆け足のところでは、それぞれのパートの仕事ぶり(皆様完璧!)を追いかけました。クラリネットファゴットによる「運命の動機」がここではコミカルな感じで楽しかったです。第4楽章 低音が効いた冒頭部分がぐっと来ます。細かく強弱を変化させるのが感情の揺らぎのよう。トランペットに私は夜明けをイメージしました。駆け抜ける音楽の勢いとリズム感が気持ちよく、ティンパニが鼓舞し金管が全力で来る盛り上がりは大迫力!そして大感激!クライマックスの明るく前進する音楽には、繊細な人の芯の強さを強く認識。華やかなトランペットが祝福してくれているようでした。繊細な感情を内に秘めた上での力強さ!思い切った快演に、清々しい気持ちになれました!札響のチャイ5、大好きです!何度でも聴きたい!

カーテンコールで何度も戻ってきてくださった指揮の広上さんは、順に奏者の皆様に起立を促して讃えた後、マイクを持ってごあいさつとトーク。「『さよならマエストロ』も終わって、コンサートに足を運ぶ日が戻ってきました」という掴みから入り、「お楽しみ頂けましたか?」との問いかけに会場には大きな拍手が起きました。「私達の仲間」である素晴らしい2人のソリストのこと、札響は世界レベルのオケに育ってきていること、今回の会場は古いながらも音響に優れたホールであること、といった話題が登場。「TBSの回し者ではないけど」と前置きした上で、ドラマの台詞「音楽は人を救う」を引用し、お正月に震災の被害を受けた能登半島のお話に。広上さんがアーティスティック・リーダーをされているアンサンブル金沢についても触れ、被災地への支援をお願いします、というお話でトーク終了となりました。

曲目は告げられずにアンコールへ。私はロビーでアンコールボードを見つけられませんでしたが(ごめんなさい!)、演目はおそらくグリーグの「過ぎにし春」だったと思います。弦のみでの演奏でした。澄んだ音色による少し哀しくも優しい音楽が心に染み入ります。ああ私はやっぱり札響の弦が好き!個人的には、「過ぎにし」というよりは、「これから来る」春を感じました。まさに春の息吹が聴こえてくるようで、雪解けのこの時期にぴったり!大熱演の後に、心温まり心洗われる素敵なアンコールまでありがとうございました!

終演後はロビーにて能登半島地震・被災地支援の呼びかけがありました。もちろん私も募金(余談ですが、私は一万円札を崩しに一度会場を出てから戻り、心ばかりの金額を撤収作業中の会場スタッフのかたに手渡しました。一万円札を出してしまうと札幌へ帰る電車賃が無かったので・恥)。私は今回残念ながら奏者の皆様とお話しできませんでしたが、またの機会にぜひお願いいたします。きっと札幌でも同じ布陣でブラームスのドッペルコンチェルトの再演を!CD化も熱望!お待ちしています!


昨年末(2023年12月)には、今回のソリストのお2人が参加する弦楽四重奏団の旗揚げ公演を聴きました。「リッカ弦楽四重奏団 結成記念コンサート」(2023/12/13)。札幌にスケール桁違いのカルテットが爆誕!熱量高く核心を突く演奏による、ハイドンショスタコーヴィチブラームス。ハートに火がついた音楽家たちの本気を目の当たりにした、最高にアツイ夜でした!

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名古屋遠征してブラームスのドッペルコンチェルトを聴いた公演はこちら。「セントラル愛知交響楽団 第196回定期演奏会~春・声~」(2023/05/13)。ディーリアスの美しさに誘われた、愛あふれる春のブラームス。魅力的な独奏とオケによる二重協奏曲に打ちのめされる快感!ブラ1の「苦悩から歓喜へ」の素晴らしさ!しらかわホール定期のラストイヤー初回公演に居合わせて幸せでした。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

近況報告など

弊ブログをお読みくださっている皆様、ご無沙汰していました。ずっと無言で放置していて申し訳ありません。昨年末の宣言に反し、ブログ更新しないままあっという間に約3ヶ月が過ぎてしまいました。私の方は気も心も忙しない日々を送っていますが、なんとか元気にやっています。

書きたいネタはいくつもあったのですが、結局その気になれなくて、今日に至ります。この3ヶ月は、未来の自分のためにチケット取りはしていたものの、それ以外ではクラシック音楽からすっかり離れた生活をしていました。何も無理に我慢していたわけではなく、家庭その他のことで気持ちが精一杯な生活が続いて、気がついたら月日が経過していた感じです。あんなに好きだったのに……と自分でも驚くほど、今はちょっとクラシック音楽への熱が冷めている状態。しかし、おそらくコンサート通いを再開したら少しずつ調子は取り戻せるのではないかと考えています。ただ初めから以前と同じ全力投球はできません(ごめんなさい)。今後コンサート通いは少しずつ復帰しますが、当面ブログはできる範囲での更新といたします。またX(旧Twitter)は、気持ちを立て直すまでは(期限は決めずに)引き続き休眠を続けます。ご了承くださいませ。

私事ですが、おかげさまで上の子の進学先が無事に決まり、今は入学と引越しの準備でバタバタしています。ここ数ヶ月は上の子中心の生活だったので、4月頭に上の子を送り出した後に「空の巣症候群」になりそうでコワイです(苦笑)。そうならないためにも、以前と同じように自分だけの時間・趣味を楽しめるように気持ちを切り替えていきたいと思います。できる範囲で少しずつ。

それでは皆様引き続きよろしくお願いします。

2023年のコンサート振り返り

おかげさまで2023年もたくさんのコンサートを聴くことができました。その簡単な振り返りをしたいと思います。

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2023年に聴いたコンサートは全部で55回。お忍びの1つ(娘のピアノの先生が出演されたコンサートで、旧ツイッターでもブログでも一切話題にしていません)以外、54のコンサートはすべてブログにレポートを書くことができました。いずれも大切な思い出で、優劣はつけられませんが、いくつかの視点でまとめてみます。

忘れ得ぬ記念となったのは、名古屋遠征して聴いた2つの公演(「セントラル愛知交響楽団 第196回定期演奏会~春・声~」と「名古屋フィルハーモニー交響楽団 第512回定期演奏会〈継承されざる個性〉」)。なお他のオケや宗次ホールも気になっているので、名古屋にはまたうかがいたいと思っています。そしてチェロの石川祐支さんが再びブラームスの二重協奏曲のソリスト(ヴァイオリンは会田莉凡さん!札響のコンマス&チェロ首席の最強デュオ!)としてご出演する札響苫小牧公演(2024/03)と、井上ミッキーのノモス・ガンマが登場する来年度の札響定期(2024/05)を、今からとても楽しみにしています。

また大事件だったのは、石田組との出会いです。今年度は北海道に初上陸!その記念すべき初回の札幌公演(石田組 2023-24 アルバム発売記念ツアー 札幌公演)が私にとっての石田組初体験。その大興奮の熱冷めやらぬ中、約2週間後の網走公演(石田組 2023-24 アルバム発売記念ツアー 網走公演)にも遠征して聴きにうかがいました。すっかり石田組のとりこになった私は、今では日本各地での公演予定を見ては、札幌からどう行けばいいかシミュレーションするようになっています。北海道の2公演以外は今のところ妄想でとどまっていますが、来年は可能なら遠征して1つでも2つでも多く聴けるといいなと思います。

出演者で見ると、聴いた回数が多いのは、団体ではやはり札響(18回)。演奏家ではチェロの石川祐支さん(札響以外で8回)、ヴィオラの青木晃一さん(札響以外で5回)、ヴィオラの鈴木勇人さん(札響以外で5回)。飽きるだなんて、とんでもない!会う度に新鮮な驚きで楽しませてくださり、感激です。いつもありがとうございます!私は来年も「推しは推せる時に推せ」で行きます!また、新たな出会いもたくさんありました。現役音大生のコントラバス・水野斗希さん(歌い、踊り、想うコントラバス!)から、御年86歳のチェロ・土田英順さん(第500回東日本大震災復興支援チャリティーコンサート)まで、素晴らしい音楽家の皆様との出会いに感謝です!

今年はブラームス生誕190年ということで、愛してやまないブラームスの演奏をたくさん聴けたのがうれしかったです。実に延べ32回も(同じ演目でも異なる団体・演奏家の場合はそれぞれ別カウント)。ソロからカルテットまで、数多くの室内楽はどれも良すぎて本当に選べない!確実に言えるのは、札響メンバーによるブラームスは、オケ以外の室内楽でもすごいぞ!と。オケは、こちらも甲乙つけがたいのですが、私の中で懸案事項が感激に昇華された「記念碑的な出会い」となったものとして、いずれも札響と首席指揮者バーメルトさんによる「ドイツ・レクイエム」(札幌交響楽団 第653回定期演奏会)と「ピアノ協奏曲第2番」(札幌交響楽団 hitaruシリーズ定期演奏会 第15回)をあげたいと思います。バーメルトさんはシューベルト「ザ・グレイト」(札幌交響楽団 第650回定期演奏会)と「ハイドン交響曲の朝・昼・晩」(札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.4)も忘れられない快演でした。

札幌が誇るふきのとうホールの主催公演のうち、今年私が聴けたのは2つ。「藤村実穂子 メゾソプラノ・リサイタル」と「ふきのとうホール レジデント・アーティスト 小菅 優コンサートシリーズ Vol.4 ベネディクト・クレックナー&小菅 優 デュオ・リサイタル」、いずれも大変な衝撃を受けた演奏会でした。

やっぱり私は小編成や弦楽アンサンブルが好き。札響メンバーによる「桐原組」(第26回北洋銀行presentsクラシックコンサート 札響メンバーによる弦楽アンサンブル)に、若手演奏家たちによる「PMF REUNION CONCERT VOL.5」、大好きチェロアンサンブル「クァルテット・エクスプローチェ Quartet Explloce TOUR 2023 札幌公演」も、また聴けるといいなと願っています。

特別な企画に出会えた事も忘れられません。「ウィステリアホール5周年記念事業 ジングシュピール『ファウスト』」は、こんな音楽劇は他にはない、スペシャルな出会い。「札幌・リトアニア文化交流コンサート」は、国境と文化の違いを超えて多くの人が協力して実現した企画でした。こんな素晴らしい企画がある札幌にいてよかったと心から思います。

札幌は素晴らしい演奏会が数多く開催されていて、とてもありがたいです。自分の都合が付かなかったり複数の公演の開催日時が被ったりで泣く泣く見送る場合も多いですが、贅沢な悩みだと自分でも思います。あと私は札幌から日帰り圏内のプチ遠征にはかなり慣れてきたので、今後可能な限りで泊まりがけの遠征も増やせるといいなと思っています。来年もたくさんの素敵な出会いがありますように。

最後にお知らせです。2024年の1月から2月にかけて(場合によっては3月中旬頃まで)、都合によりコンサート通いをお休みします。この期間はX(旧ツイッター)もあわせて停止し、通知もDMも見ません。おそれいりますが、連絡やご用件はX(旧ツイッター)復帰後にX上にてお願いいたします。なおブログの更新はぼちぼち続ける予定です。ちなみに今年書いたブログ記事は、コンサートレビュー以外では本の感想を2本のみでした。コンサート通いをお休みする期間は、本やCDのレビューをいくつか書きたいと考えています。

弊ブログの読者の皆様、2023年もありがとうございました。お読みくださっていること、励みになります。2024年も引き続きよろしくお願いいたします。

シリーズ イギリス音楽 Vol.1 ヴィオラとピアノで奏でるイギリス音楽の花束(2023/12) レポート

イギリス在住のピアニスト・関治子さんがプロデュースするイギリス音楽の演奏会。その第1回目となる公演がStudio26にて開催されました。共演するのは、イギリス音楽好きという札響副首席ヴィオラ奏者の青木晃一さん。私が聴いたのは、同一内容での昼・夜2回公演のうち、昼の第1公演です。年の瀬の慌ただしい時期にもかかわらず、会場の2階席までお客さんが入る盛況ぶりでした。


シリーズ イギリス音楽 Vol.1 ヴィオラとピアノで奏でるイギリス音楽の花束 (第1公演)
2023年12月28日(日)14:00~ Studio26

【出演】
青木 晃一(ヴィオラ) ※札響副首席ヴィオラ奏者
関 治子(音楽監督・ピアノ)

【曲目】
エリック・コーツ:出会い
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:『イギリス民謡による6つのスタディ』より「第5曲」
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:『ヴィオラとピアノのための組曲』より「第2曲 キャロル」「第3曲 クリスマス・ダンス」「第8曲 ギャロップ
シリル・スコット:チェリー・ライプ
レベッカ・クラーク:子守唄
レベッカ・クラーク:ヴィオラとピアノのためのソナタ

(アンコール)
サミュエル・コールリッジ=テイラー:カバティー
コレッティ:サーカス


ヴィオラとピアノで奏でるイギリス音楽の数々は、すべてが世界に1つだけの花!オンリーワンの魅力にたくさん出会えた、心温まる演奏会でした。私にとっては今回すべてが「お初」の演目であり、作曲家の名前さえよく知らないものばかり。しかし「めずらしい」というだけでなく、この時代のイギリス音楽の親しみやすい個性に触れられたことと、独奏楽器としてのヴィオラの魅力をたっぷり堪能できたことも嬉しいポイントで、めいいっぱい楽しむことができました。イギリス音楽に造詣が深い関さんによる選曲の良さ、そして作品と作曲家への愛あふれるピアノと解説を聴けるのは特別な体験!また青木さんのヴィオラは、今回も様々な表情で聴き手を魅了してくださいました。派手な表現や超絶技巧のすごさはもちろんのこと、素朴な民謡の細やかな表現がとっても素敵!奥ゆかしい音色のヴィオラだからこそ、心にしみ入る懐かしい感じが際立つのかも?もちろん技術と表現力、音楽への愛あってのことと思います。青木さんのヴィオラを通じて、今まで知らなかった音楽とその魅力に出会えるのはとてもうれしいです。これからも追いかけ続けます!

演目の合間には曲目解説をメインとしたトークがたっぷりあり、また終演後の茶話会でも様々なお話をうかがうことができました。心理的・物理的に演奏家と観客の距離が近いのも小さな会場の良いところです。今回取り上げられた作品は、いずれもヴィクトリア王朝の陰りが見え始めた時期(音楽家以外の著名人として、ダーウィンディケンズ、レイトン等の名前があげられました)のもの。この頃のイギリスにヴィオラのための作品が多い理由は、ヴィオラの名手であるライオネル・ターティスがいて、彼を意識した作品が競うように作られたため、とのことです。私はライオネル・ターティスを以前青木さんのコンサートで知り、歌曲のヴィオラ向け編曲者(ブラームスの歌曲の編曲も手がけているようです)として認識していました。同時代のイギリスの作曲家たちへ多大な影響を与えるほどの名ヴィオリストだったのですね!ちなみに、やわらかく歌い、人の声に近いヴィオラは、(民謡を活かす事が多い)イギリス音楽と相性が良いというお話もありました。また今回、大曲のソナタを取り上げたレベッカ・クラークについては特に詳しく解説。女性だった事から、様々な理不尽な目にも遭ったようです。とにかくヴィオラが上手で、当時はかなりの名手でなければ機会が得られなかった演奏録音もあるのだそう。レベッカ・クラークが師事したチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードの門下には、この日に登場したヴォーン・ウィリアムズホルスト等がいる、といったお話もありました。個人的に、スタンフォードブラームスの回想録を書き残していることで認識しており、ここで名前が出てきてうれしかったです。レベッカ・クラークの作品は、全体の6割ほどが未発表で、埋もれた作品がこれから出てくるのが楽しみ、というお話もありました。今後新たな作品に出会えることを、私も楽しみにしています!関さんと青木さんの演奏で聴けたらなおうれしいです。


開演前に、会場のオーナーである本堂さまよりごあいさつと出演者の紹介、終演後の茶話会の案内がありました。出演者のお2人が拍手で迎えられ、演奏開始です。1曲目は、エリック・コーツ「出会い」。優しく美しいピアノの響きに乗って、ゆったり歌うヴィオラは温かく懐かしい感じがしました。駆け足になるところや高らかに歌うところ、一方で独り言のような深みある低音がゆらぐところと、細やかな変化は内に秘めている様々な感情を映し出しているようで素敵!高音でフェードアウトするラストがとても美しかったです。演奏後に、英語のタイトルは "first meeting" で、フランス語のタイトル "Souvenir" には「お土産」といった意味がある、と解説がありました。

レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ『イギリス民謡による6つのスタディ』より「第5曲」。本来はチェロのための曲だそうです。そっと登場したヴィオラの掴みの1音の繊細さ!フィドルのような掠れた音による、郷愁にかられる歌が心に染み入りました。ピアノにメロディが移ったとき、それまでメロディを歌っていたヴィオラが流れるように伴奏のうねうねした音に変化していったのがすごい!このグラデーションのおかげで、ぐっと奥行きが感じられました。超高音でのフェードアウトがきれい!

レイフ・ヴォーン・ウィリアムズヴィオラとピアノのための組曲』より、3つの曲が取り上げられました。「第2曲 キャロル」は、先ほど聴いたフォークソングにも似た素朴さと、清らかな美しさに、私は田舎の家庭で過ごす聖夜をイメージ。ピアノのリズムは、ゆりかごのよう。「第3曲 クリスマス・ダンス」は、ヴィオラがガッガッガッ♪と弦をかき鳴らしたり、滑らかに歌うところはピアノがスキップするようだったりと、リズミカルに踊る音楽が楽しい。手首をクルクルひねりながら弦を擦って跳ねるような音を奏でたのは、見た目にも面白かったです。あっけない感じで終わったのも印象的でした。「第8曲 ギャロップ」、これがすごかったです!速いテンポでガンガン派手に盛り上げる演奏!高速に音階を駆け上ったり、ピアノと丁々発止のやり取りをしたりと、勢いとノリがカッコイイ!掠れた音で思いっきり行く演奏は、かしこまったクラシック音楽のイメージとは異なる個性で面白かったです。終盤にはピアノが沈黙してのヴィオラ独奏もあり、短いながらも協奏曲のカデンツァのようなインパクトでした!

シリル・スコット「チェリー・ライプ」。スコットは「イギリスのドビュッシー」とも呼ばれる作曲家で、詩も書く人、と紹介されました。この曲はライオネル・ターティスによる編曲で叙情的になっているものの、元々は子ども達が口ずさむ童謡だそうです。日本語にそのまま訳すと「熟れたサクランボ」で、これは恋する人の唇の意味合いもあるのだとか。シンプルなメロディをヴィオラは優しく愛らしく歌い、一辺倒ではなくフレーズに丸みをつけるのが色気があってとっても素敵!童謡というよりは、大人の淡い恋のよう、と個人的には感じました。ヴィオラがフェードアウトして、ピアノがそっと和音を鳴らしたラストの奥ゆかしさが素敵!

レベッカ・クラーク「子守唄」。この曲は、今回の演奏会にまずレベッカ・クラークのソナタを取り上げることが決まってから、あと1つと考えて選んだものだそうです。ソナタ第3楽章に似ているというお話も。ゆったり寂しげ歌うヴィオラに、私は少しだけ日本の子守歌の雰囲気を感じました。中盤でヴィオラのメロディが駆け足になったときは、ピアノがキラキラした音で彩り、神秘的な感じに。ピアノが沈黙してのヴィオラ独奏や、ヴィオラの超高音が登場し、ほのぼの系ではない子守歌に私は少しぞわっとしました。

レベッカ・クラーク「ヴィオラとピアノのためのソナタ。このソナタは、レベッカ・クラークが匿名で出したコンクールで、最終選考の2作品に残ったもの。審査員が3対3に別れ、パトロンの鶴の一声でクラークが落選した(優勝はブロッホの作品だったようです)、というエピソード紹介がありました。。ヴィオラの名手のクラークらしく、この曲は超絶技巧だらけでヴィオラに容赦ない書き方(!)で、それでも理にかなっているそう。またピアノの方は「ヴィオラがどれほど美しく聞こえるか」に重きを置かれているため、人間の指に収まりきれない書き方(!)がされているのだとか。初めて聴いても懐かしい感じがするのは、日本でなじみ深い「ヨナ抜き」(ペンタトニック?)で書かれているから、といった解説もありました。第1楽章 掴みのヴィオラの強奏が鮮烈なインパクト!カントリー調に歌うヴィオラの下で、ピアノがずっと和音をのばし続けていたのが印象的でした。少し落ち着いたところでのゆらぐヴィオラはミステリアスな感じ。しかし華やかな盛り上がりと地続きになっていて、生き生きとした流れが素敵でした。静かにメロディを奏でるピアノに、重なるヴィオラが弓をダイナミックに上下させながら音階を細かく上り下りする演奏は、見た目にもインパクト大!第2楽章 こちらの楽章がとても面白かったです!舞曲のようなリズムでピアノと呼応しながら、ヴィオラがリズミカルにピッチカートしたり、小刻みに弦を鳴らしたりと、様々な奏法が次々と。弦をゆっくり動かしながら、ごく小さな音から次第に浮かび上がってくる演奏では、その研ぎ澄まされた空気に引き込まれました。第3楽章 ピアノの序奏は寂しげで、私は日本の子守歌の怖い部分を垣間見た気持ちに。幻想的に歌うヴィオラもまた、先に聴いた「子守唄」のようなほの暗さ得体の知れなさが感じられました。チェロのように弦を押さえる手を震わせていたり、メロディがピアノに移った裏でトレモロをしていたり、そのトレモロを継続しながらメロディも奏でたり(一体どんな仕組みで!?)と、超絶技巧が満載!終盤、ヴァイオリンのような高音で連続してひたすら音を繰り出す演奏がすごい!フィナーレで何度も登場した重音の贅沢な響き!超充実の演奏、見応え聴き応え抜群でした!

カーテンコール。出演者のお2人からごあいさつとお話がありました。「こんな事は初めてです」と青木さん。実は今回の演目すべて、青木さんが演奏するのは「お初」で、札響の第九が終わってから約2週間で仕上げたのだそうです(!)。あまりにも大変で、国際電話をかけて関さんに変更をお願いしようかと何度も考えた、と仰っていました。充実の演奏に無理している様子はまったく感じられなかったので、私は心底ビックリ!おそれいりました。これこそプロのお仕事ですね!そしてアンコールの曲目紹介へ。アンコール1曲目は、サミュエル・コールリッジ=テイラー「カバティーナ」。関さんによると、有名な英文学者と同じ姓のコールリッジ=テイラーは、白人と黒人のハーフで私生児。近年のブラック・ライブズ・マターで注目されるようになったそうです。若くして亡くなった事、ドヴォルザークが好きだった事も紹介されました。なお、この作品は本来ヴァイオリンのためのものだそう。優しいピアノの和音に乗って、落ち着いた美しい音色てゆったり歌うヴィオラが美しい!愛あふれる歌曲のようでした。ヴィオラが感極まるように歌うところでは、ピアノもダイナミックに!ピアノの和音を2回優しく鳴らす締めくくりは、思い出を愛しむよう。心癒やされる素敵な演奏でした。

拍手喝采の会場で、青木さんが耳を澄ます仕草をして、熱いエールに応える形で(ありがとうございます!)、アンコール2曲目へ。コレッティ「サーカス」。キューン♪という導入から異次元のクールさ!小刻みに弦を擦る演奏は目にも留まらぬ早業で、弓をダイナミックに上下に動かしてぐいぐい行く演奏のインパクト!息つく暇も無いほど、気迫あふれる演奏に圧倒されました。すごすぎます!

終演後は、出演者のお2人とお客さん達との茶話会がありました。お菓子のトレーには、関さんのロンドンお土産も!参加者は自由にお菓子と飲み物(ジュースや紅茶の他、ワインも用意されていました)を楽しみながら、ピアノの前に腰掛けた出演者のお2人のお話をうかがい、ざっくばらんに質問する形式。関さんは、オケ団員でもある青木さんが演奏を合わせてくれてやりやすかったと仰っていました。青木さんは、会場の設置や柱の位置関係からピアノに背を向けて演奏する形になり、空気で察して演奏していた(!)とのこと。レベッカ・クラークの事を掘り下げたお話に、関さんが在住するイギリスの事、青木さんが歌劇場のオケ団員として7年滞在していたドイツの事など、様々な話題が登場。約1時間、大いに盛り上がりました。休憩なし1時間10分ほどの公演でお疲れのところ、また夜の公演が控えているにもかかわらず、終演後の歓談にもたっぷりお付き合いくださりありがとうございます!またこのような機会がありましたら、私はぜひうかがいたいです!


青木晃一&石田敏明 ビオラ&ピアノ デュオコンサート」(2023/11/26)。野幌までプチ遠征。メインのブラームスに加え、小品をアンコール含め10曲と盛りだくさん!魅力あふれる演奏で、耳慣れたブラームスソナタが一層愛しくなりました。トークも楽しかったです。

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ヴォーン・ウィリアムズの演奏機会が少ない作品が取り上げられた演奏会です。「ウィステリアホール プレミアムクラシック 2023シーズン 23rd 」(2023/10/29)。信頼のメンバーによる室内楽ブラームスクラリネット三重奏曲とホルン三重奏曲は、作曲家の人生を思わせるものでした。V.ウィリアムズのめずらしい編成の五重奏曲は超充実の演奏!期待を大きく上回る幸せな演奏会でした!

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2020年の記事になりますが、「ブラームス回想録集』全3巻 天崎浩二(編・訳) 関根裕子(共訳)」の感想文を弊ブログにアップしています。レベッカ・クラークを育てたアイルランド系作曲家のチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードによる回想もありますので、よろしければお読みください。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。