自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

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『ブラームスの協奏曲とドイツ・ロマン派の音楽』西原稔(著) 読みました

今回ご紹介するのはブラームスの協奏曲とドイツ・ロマン派の音楽』西原稔(著) です。2020年10月 芸術現代社。同じく西原先生の著書『《ドイツ・レクイエム》への道: ブラームスと神の声・人の声』と合わせて購入しました(なおドイツレクイエムの本は現時点で未読です)。

 

早速レビューに入ります。以下、ネタバレが含まれます。ご了承頂けるかたのみ「続きを読む」からお進みください。

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札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~アキラさんの名曲コンサート(2023/02) レポート

www.sso.or.jp
札響と何度も協演を重ねてきた作曲家の宮川彬良さんが、名曲シリーズに初登場です!今回は子ども向けの会ではなく、大人の皆さんも楽しめるスペシャルな企画。会場には大人はもちろんのこと、保護者と一緒の小学生くらいのお子さんも大勢いました。なお、前売り券は完売したとのことです。


札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~アキラさんの名曲コンサート
2023年02月18日(日)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
宮川 彬良

【構成・プレトーク
新井 鷗子

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:会田 莉凡)

【曲目】 編曲:宮川彬良(シンフォニック・ダンスは除く)

宮川彬良:風のオリヴァストロ

ブルグミュラー:貴婦人の乗馬(25の練習曲op.100より第25番)
ブルグミュラーアラベスク(25の練習曲op.100より第2番)
ショパン:別れの曲(12の練習曲op.10より第3番)
ハノン:バリエーション・ハノン第1番

マンシーニ:ひまわり
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

モーツァルト:アイネ・クライネ“タンゴ”ムジー
ベートーヴェンエリーゼのために
ジョプリン:ジ・エンターティナー

バーンスタイン:ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」より
 アメリ
 マリア
 シンフォニック・ダンス(プロローグ~“サムウェア”~スケルツォ~マンボ~チャチャ~出会いの場面~“クール”フーガ~乱闘~フィナーレ)

ベートーヴェン×プラード:シンフォニック・マンボNo.5

(アンコール)宮川彬良マツケンサンバ


「超」を無限につけたいほど、超楽しかったです!お堅いイメージがあるクラシック音楽をこんなにも楽しくできちゃう、やはりアキラさんは最高のエンターテイナーですね!ほぼ満席だった会場のお客さん達は皆、心の底からか楽しんでいた様子。こんな型破りで楽しい演奏会は、柔軟な子ども達だけでなく頭が固くなっている大人にこそ必要なのかも?と私は思いました。大丈夫、クラシック音楽の名曲たちは、何百年の時を経て現在に受け継がれてきた強者揃い。思いっきり遊んだってそのアイデンティティはビクともしませんから!むしろユニークな解釈と表現によって、クラシック音楽には無限の可能性があると実感するのは、オリジナルを楽しむ上でもプラスになるのでは?もちろんピリッと張り詰めた空気の中、王道シンフォニーの真剣勝負を聴くのは素晴らしいことで、私も大好きです。しかし時々は、今回のような遊び心あふれる演奏会も聴きたいなと思います。同じ物事を別の視点からも見ることによって、新たな気づきがきっとある。これも「多様性」ですよね。

演奏の合間には「アキラ流アナリーゼ」がたっぷり盛り込まれたトークがありました。音楽構成作家の新井鷗子さん(BSテレ東で放送中の番組「エンター ザ ミュージック」でおなじみ)が仰っていた「アキラさんのアナリーゼを知った上で聴くとより楽しめる」のは、本当にその通りですね。特に私のような音楽の知識がない人にとっては、知る前と後では大違いな解説が盛りだくさん!お話は多岐にわたり、笑いが絶えないトークはとても楽しかったです。ここにすべてを書き切れないのが惜しいほど。音楽に対して深い理解となにより愛があるアキラさん。だからこそ、その作品と演奏は楽しさとエネルギーがあふれ、私達聴き手を夢中にさせてくれる!幸せな出会いに改めて感謝です。

そしてアキラさんから「信頼する札響」と紹介された、札響の演奏がやはりすごいです!オケの皆様は、普段のレパートリーとは異なる演目の数々を、クオリティも熱量も高く、何より思いっきり楽しそうに演奏してくださいました。よく言われるように、「型破り」は「型」があって初めてできるわけで、モーツァルトベートーヴェンの原曲をがっつりやれるオケだからこそパロディが成立するのだと私は思います。そんな札響は、この2月だけでも、先にはシンフォニーオーケストラ(札幌交響楽団 第650回定期演奏会および東京公演)と、室内オーケストラ(札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.4)での演奏をしており、いずれも大変素晴らしいものでした。そして今回のアキラさん名曲と、すぐ後にはオペラ(モーツァルト「フィガロの結婚」~hitaruオペラプロジェクト)も控えているという多種多様な変幻自在ぶり。振れ幅大きいこんなマルチなオケって、そうそう無いのでは!?札響の皆様もまた最高のエンターテイナーですね!


音楽構成作家・新井鷗子さんによるプレトーク。「構成作家」の仕事内容紹介では、人気番組の「笑点」や「リバーサルオーケストラ」を例に挙げておられました。音楽の構成作家として、選曲は有名な曲7割とマイナーな曲3割を意識。交響曲などは長いため、テレビ番組内で紹介する場合は5分程度のダイジェスト版を用意することも。音楽の番組でも、例えば「イタリア」をテーマにするなら、サッカーやイタリア料理など音楽以外の要素を盛り込むこともあるそうです。またテレビ番組であれば山場を最初に持ってきて、コンサートなら最後にするとか。それはテレビなら視聴者はすぐにチャンネルを変える一方、コンサートのお客さん達はチケット購入して足を運んできているため、最後まで聴いてくれるからだそう。アキラさんとは長くお仕事してこられたそうですが、「アレンジによって音楽ですべて表現」されているため、音楽構成作家の仕事はあまりないと謙遜されていました。

オケの皆様とアキラさんが舞台へ。アキラさんのトレードマークのベストは緑色!ステージの正面真ん中には、フタを完全に取り外した状態の大きなグランドピアノが設置されていて、前半はアキラさんの弾き振りでした。1曲目は、宮川彬良「風のオリヴァストロ」。ピアノと重なる弦・木管の美しく少し哀しいメロディに聴き入り、盛り上がりのクレッシェンドでのティンパニとドラムセットがすごく素敵!クライマックスでの金管打楽器の温かさ!この温かさを「懐かしい」と感じた私は、アキラさん&札響との再会をしみじみと実感できてうれしくなりました。

「練習曲をアートにした作曲家たち」と題し、ピアノの練習曲で有名な4曲をピアノとオーケストラの演奏にて。まずはブルグミュラー「貴婦人の乗馬」。冒頭のオーボエファゴットがなんと気品高いこと!オケの演奏は馬が生き生きと駆けていくよう。来ましたトランペットによる馬のいななき(2回も!)に、ムチがパーンとキマる音!超カッコイイ!同じくブルグミュラーの「アラベスクは、重厚パワフルで嵐のような勢いある演奏がすごい!テンポ良く感情込めての本気の演奏のおかげで、これはもしかしてとんでもない名曲かも!?と思えてきました。また、「メロディをきれいに感じ取る心の練習」(byアキラさん)という、ショパン「別れの曲」は、澄んだ弦に管の温かさ、これこそオケの本領発揮とも言える美しさに聴き入りました。そしてハノンのバリエーション「ハノン第1番」が、トークも演奏自体もすごく面白かったです!アキラさんがピアノを実際に弾きながら、「マイナー音階の指使い、一番開かない指があてがわれているんですよ!」と顔芸付きで熱弁。後ろのオケの皆様は苦笑されていました(身に覚えがおありなのかも?)。またアキラさん自身が練習曲に取り組んでいた当時には「スタッカート、付点付き、ジャス……」と色々と試されていらしたようです。いざオケの実演は、同じメロディを弦ピッチカートやトレモロや様々な奏法で変化をつけて表現していたのが面白くて面白くて!「世界で愛されている単純な繰り返し」(byアキラさん)は、アキラさん&札響の手にかかるとこんな立派な曲になっちゃうなんて(褒めてます)!

映画音楽から、マンシーニ「ひまわり」。美しく切ないピアノのメロディを、オケが壮大な世界に広げるドラマチックな演奏!個人的には、やはり弦にぐっと来て、ここでも金管の温かさを感じました。よく知る曲なのに、こんなにも心揺さぶられるなんて!演奏後のトークでは、マンシーニの作曲方法について「半音間違えちゃった作戦(!)」と紹介がありました。先ほどの「ひまわり」や他の作品を例に、実際にピアノで実演しながら(半音を本来あるべき場所にずらしてみたり!)の解説。ちなみにモーツァルトもよるやるのだそうです。私は今まで考えたこともなかったですが、そんなお話を聞くと、本来ある姿から少しズレているから心に引っかかるのかな?と、作曲家の仕掛けが少しわかった気がしました。

「ピアノの中からオーケストラが聞こえてくる」(byアキラさん)という、ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ。作曲家自身によるピアノ独奏版も管弦楽版もありますが、今回はピアノと管弦楽を組み合わせたアキラさんバージョンの演奏です。語るようなピアノ独奏から入り、後から弦がシンクロして次第にオケがメインとなっていきました。はじめにピアノ独奏で聴いたシンプルなメロディは、澄んだ弦や柔らかな木管が繰り返す度に違う表情に感じられたのと、低弦ピッチカートの深みやハープのキラキラした高音が陰影を作ってくれて、とても立体感ある響きに。私は、ピアノはもちろん素敵だけど、オーケストラって本当に面白い!と素直に感じました。

前半の締めくくりは「クラシック史上最強のエンターテイナーたち」として3曲。「芸術と芸能は通じている」のがアキラさんの持論だそうです。モーツァルト「アイネ・クライネ“タンゴ”ムジーク」は、耳慣れたナハトムジークがいつの間にかタンゴのリズムでの演奏に。しかしリズムにメロディがうまく融合していて、元からこんな曲だったかも?と、私はちょっぴり混乱しました(笑)。本来は弦楽合奏の曲が、管楽器や打楽器も加わってにぎやかだったのが楽しかったです。ただ、演奏機会がとても多い原曲が身体に染みついている弦の皆様にとっては、少しやりにくかったのでは?ベートーヴェンエリーゼのためには、冒頭のピアノに重なった2ndヴァイオリンの超高音がすごい!コロラトゥーラ・ソプラノのような特別で美しい音!支える役目でありながらも存在感抜群で、強く印象に残っています。本来はピアノ独奏曲を、例えばホルンが歌うことで壮大な世界が広がったり、カスタネットのリズムが入ることで舞曲のようにも感じられたりと、可能性は無限大と感じられる演奏でした。ジョプリン「ジ・エンターティナー」は、跳ねるような可愛らしい感じから次第に盛り上がり豪華になっていく流れが楽しかったです。おなじみの曲たちも、アキラさんの神アレンジと札響による演奏は新鮮で、今まで以上に楽しく聴くことができました。


後半、舞台の正面真ん中には指揮台が設置され、ピアノは左端に移動。ピアノとチェンバロは宮川知子さんが担当されました。アキラさんはベストを赤色にお色直し♪はじめはバーンスタイン「ウエストサイドストーリー」より、アメリカ」。大都会を思わせる、スピード感ある演奏。多彩な打楽器の中でも、ボンゴのリズムの良さと、クラクションやホイッスルのインパクトがとても効果的に感じました。演奏後にアキラさんから「アメリカ国歌のメロディが盛り込まれている」と解説があり、私はビックリ!そんなサブリミナル効果を狙っていたとは!続いて「マリア」コントラバスのピッチカートに乗って、ヴァイオリンが奏でる美しくなんとも切ないメロディがとっても素敵!演奏後の解説によると、トニー(ド)とマリア(ファ#)の2つの音は混ざらない、両家の対立を音楽の中で表現しているのだそう。ちなみにドとファ#の組み合わせは緊急警報にも使われている(!)とか。アキラさんは、なんちゃって関西弁で、ウエストサイドストーリー版ロミオとジュリエットの一人芝居をしつつ解説。ドとファ#は自然倍音によって溶け合い、ぶつかった後に、えも言われぬ和解の響きになる、と仰っていました。私、まったく知らなかった事ばかり!次に聴くときは、ドとファ#を意識してみます。またトークでは、アキラさんが文字通り「すり切れるまで聴いた」という、「ウエストサイドストーリー」の愛聴盤レコードを見せてくださいました。思い入れが強い作品とのことで、「このあたりのお話は、ロビーで売っている僕の本に詳しくあります」と、ご自身のエッセイ本(「『アキラさん』は音楽を楽しむ天才」NHK出版)をちゃっかりPR。会場がなごみました。

同じくバーンスタイン「ウエストサイドストーリー」より、「シンフォニック・ダンス」。この演目はオリジナル版で、20分超を続けての演奏でした。オケの皆様の指パッチンが印象的なプロローグからリズム感が心地よく、ここぞというときに入る金管打楽器が気持ちイイ。来ましたヴィオラが主役の弦楽四重奏!続くホルン&オーボエからの、壮大で美しい世界へ。これこそオーケストラの醍醐味!また「嵐の前の静けさ」のようなスケルツォでも小さく刻むリズムがとても印象的でした。待ってましたマンボ!今回は大声量での「マンボ!」のかけ声あり。野太い声でのシャウトが最高です!もっと言ってー!楽器演奏もかけ声も思いっきり行くところでビシッと揃うのが快感でした。弾むようなリズムの木管のターンからの、コンマスと1stヴァイオリンの一部の計4名によるアンサンブル。なんて美しい!もしかしてこのメロディは「マリア」!?と、私はこの日初めて気付きました……。全員参加の大盛り上がりはガツンと盛り上げてくださり、フィナーレへ。美しいフルート独奏に続き、透明感ある弦に歌う木管金管。もう超素敵!静かな締めくくりまで、まるで音楽による物語の世界!たとえ「ウエストサイドストーリー」のお話自体をよく知らなくても、すべて音楽が教えてくれる、そんな素敵な演奏でした。大熱演の後、「大変な音楽会になりましたね!」とアキラさん。ここで「多様性」についてのお話があり、「音楽から何かを学ぶのが皆さんの役目」と結ばれました。

プログラム最後の曲は、アキラさんのコンサートではすっかり定番になっているベートーヴェン×プラード「シンフォニック・マンボNo.5」。ジャジャジャジャーン!の深刻な出だしから入り、ほどなく、あれ?このリズムは?と、マンボになる流れ。オケから「アー・ウ!」のかけ声があがると、会場は爆笑。わかっていてもやっぱり笑っちゃいますよね!陽気なラテン音楽と重厚なシンフォニーを行ったり来たりするのは楽しかったです。そして、ギャップが際立つのはどちらのシーンでもオケが本気だから!とも改めて感じました。

カーテンコール時に、サプライズ企画がありました。この日はアキラさんのお誕生日。アキラさんが舞台へ戻ってくるタイミングでオケが「ハッピーバースデー」を演奏(超豪華♪)、お客さん達は事前に配られていた「Happy Birthday」の黄色いカードを掲げました。直前の曲では降り番だった奏者の皆様までカードを持って舞台に登場。お誕生日ハットを被ったアキラさんは、満員の会場が黄色で埋め尽くされているのに驚いた様子でした。「こんなこと言ったら雪を投げられるかも」と仰りながらも、札幌の人は雪かき等で大変な思いをしても、都会では希薄になっている人間関係があるとして、「皆さんの苦労はとても大切な宝物。皆さんもおめでとう!」。会場は拍手喝采でした。

アンコールは、やはりこの曲!宮川彬良マツケンサンバⅡ」。ジャーン!のインパクト大な掴みに、キレッキレのボンゴ!待ってました!イントロから早速テンションあがります。お客さん達は自然と手拍子をして、会場全体がノリノリに。マツケンが歌う部分はオケが歌い、誰もが知る名曲のド派手な演奏に、老若男女みんながテンションMAXに。超超楽しい!ラストに最高に晴れやかな気持ちになれました。寒さに凍てついた身も心もホッカホカ♪アキラさんと札響の皆様、最高に楽しいコンサートをありがとうございました!


アキラさん&札響の前回の協演はこちら。「札響夏休みスペシャル2021『アキラさん×札幌交響楽団」(2021/08/15)。オーケストラの森やクインテット名曲集など、マツケンサンバだけじゃない宮川彬良さんの多彩な作品&神アレンジの数々と、宮川安利さんのパフォーマンス。親子で超楽しめました!

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なお今回配布されたプログラムには、「予告」として「アキラさん×札響の夏休みスペシャル2023♪(仮タイトル)」(2023/08/11開催予定)とありました。今から楽しみです♪

本年度の夏休み子ども向け企画は、絵本とのコラボでした。「札響 読み聴かせコンサート『おばけのマールとたのしいオーケストラ』」(2022/08/11)。描き下ろし(書き下ろし)たっぷりの絵本の世界に、大人が聴いても十二分に楽しめる選曲と演奏。森崎博之さんの朗読と進行も素敵で、親子で思いっきり楽しめました!

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.4(2023/02) レポート

https://www.rokkatei.co.jp/wp-content/uploads/2022/12/230214.pdf

↑今回の演奏会チラシです。 ※pdfファイルです。

昨年度にコロナ禍で中止となった企画が今年ついに実現しました。「首席指揮者 マティアス・バーメルト登場!」、演目はハイドン交響曲、朝・昼・晩!バーメルトさん・札響・ふきのとうホールという、個人的な推し要素が三拍子揃った演奏会。私は企画発表当初からこの日を迎えるのをとても楽しみにしていました。


札幌交響楽団 in ふきのとうホール Vol.4
2023年02月14日(火)19:00~ ふきのとうホール

【指揮】
マティアス・バーメルト

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島 高宏)

【曲目】 ※演奏順
J.ハイドン交響曲第8番「晩」 Hob.I:8
J.ハイドン交響曲第7番「昼」 Hob.I:7
J.ハイドン交響曲第6番「朝」 Hob.I:6


なんて親密で心温まる演奏会!バーメルトさん指揮による札響の演奏は、つい先日のシューベルト「ザ・グレイト」の堂々たる演奏が記憶に新しく、東京公演でも耳の肥えた首都圏の聴衆たちに大絶賛されていました。また昨年秋にはハイドンの「戦時のミサ」を取り上げ、崇高・壮大な世界を私達に見せてくださいました。そんないわば「オフィシャル」な演奏に対して、今回は「プライベート」寄りとも言える小編成オケでの演奏。フタを開けてみるまでは未知数でしたが、バーメルトさん×札響による演奏は室内オーケストラでも大変素晴らしかったです!今回は各パートが際立つ室内楽的な良さに加えて、やはりオーケストラ流のアンサンブルの良さもあり、小編成ならではの魅力満載。しかも最高の音響を誇るふきのとうホールで聴けるという贅沢!もしかすると音の出し方もホールに合わせて工夫されていたのでしょうか?個人的な感覚では、包み込まれるような温かな響きが感じられ、とても心地良かったです。どんな演目やシーンでも私達にベストな演奏を聴かせてくださる、札響の底知れぬお力を私は改めて実感しました。また舞台との距離が物理的にも心理的にも近く、奏者の皆様の息づかいや体温までも伝わってくるようで、演奏自体をより身近に感じられたのがうれしい!言うまでもなく演奏は真剣そのものでしたが、いつものkitaraやhitaruとは違った距離感は新鮮で、私はバーメルトさんと札響への親しみが今までよりもさらに増しました。

若き日のハイドンがお仕えしていたエステルハージ家で、お抱えのオケが演奏するのを想定して作られたという今回の交響曲三部作。私は「BGM的なライトなものかな?」と勝手な先入観を持っていました。実際の演奏に触れると、独奏たっぷりで各パートの見せ場も多く、物語のような展開もあり、片時も目(耳)を離せない!まったく飽きずに最初から最後まで楽しめました。しかもずっと聴いていたい心地良さ!ベートーヴェン以降の重厚な交響曲とはカラーが異なる、今回の演目のような親しみやすい交響曲もとても良いなと感じました。また独奏についても、よくあるコンサートマスターやチェロ首席によるものだけでなく(もちろんたっぷり堪能できて幸せです!)、縁の下の力持ちパートのファゴットコントラバスにも独奏があったのが素敵なサプライズでした。若き日のハイドンのサービス精神がうかがえると同時に、札響メンバーそれぞれの個性ある演奏を楽しめたのがうれしい!こんなにも魅力満載で楽しめる「札幌交響楽団 in ふきのとうホール」、私は何度でも聴きたいです!本音を言えば、年に一度と言わず、例えば名曲シリーズのように年間4公演くらいのペースでの開催をお願いしたいほど。今後も継続可能なペースで、ぜひ長く続けて頂きたく、お願いいたします。


団員の皆様と指揮のバーメルトさんが舞台へ。皆様の衣装はkitaraでの定期公演と同じく燕尾服でした。編成は、弦(4-4-3-2-2)と、オーボエ2、フルート1(「昼」のみ2)、ファゴット1、ホルン2、そしてチェンバロ通奏低音)。演奏順は作品番号が大きい方からでした。はじめは交響曲第8番「晩」。第1楽章は、最初から弦も管も大活躍で、明るく活発な音楽に気分があがりました。メロディを各パートで受け渡すのが、まるで楽しくおしゃべりしているようで、私はふと晩餐会会場を連想。ゆったりとした第2楽章は、ささやくような弦の音色が温かく、チェンバロが作るリズムが心地よい響き。コンマスソロと独奏チェロが優しく語らうのがすごく素敵で、ずっと聴いていたいほどでした。感極まったようなコンマスソロのかすれる高音が美しい!また時折コンマスソロに2ndヴァイオリンソロが、独奏チェロにファゴットが重なって奥行きある響きになっていたのも印象的でした。第3楽章では、3拍子のリズムで各パートが優雅にダンスしているような流れに、独奏コントラバスが登場!コントラバスにとっては高音域で、たっぷりと歌ってくださり感激です!音が多く忙しい演奏でもメロディアスで、ホールにとてもキレイに響いていました。第4楽章、速いテンポでのザワザワした弦楽合奏は力強く、風が吹き抜けるようなフルートがアクセントになっていました。また高音域での音の刻みをコンマスソロから2ndヴァイオリンソロ、そしてチェロソロと引き継いだり、あちこちで再登場したりとせわしなく、オケ全体も段々と激しさを増していく流れは、「夜」なのに眠気が吹き飛ぶ(笑)。「夜はこれから」という盛り上がりに、私はこの後に続く演奏もとても楽しみになりました。

続いて、交響曲第7番「昼」。第1楽章は、ランチ後にちょっと眠くなった?ようなゆったりした冒頭から、ぱっと切り替わり快活な流れに。コンマスソロはじめ、速いテンポでの各ソロの掛け合いは楽しく、生き生きした音楽に気分も明るくなりました。第2楽章では一転して(短調に?)、オーボエと弦の哀しげな響きから始まり、ほどなく登場したコンマスソロが素敵!まるで若い女性が涙を堪えているように歌っていたのがとても印象的でした。オーボエがフルートに交代してからは明るくなり、独奏チェロが登場してからの流れが超素敵!王子様が現れて姫は安心したのか(妄想)、独奏ヴァイオリンは甘やかで美しく歌い、独奏チェロも優しく応えるやりとり。とっても幸せな感じ!他のパートが沈黙し二重奏になってからの2人の会話は、途中で少し早口になって(ちょっと揉めてる?)、独奏ヴァイオリンのターンで独奏チェロが低音の重音を2回鳴らしたところが個人的にツボでした(細かすぎて伝わっている気がしない)。ずっと姫に寄り添い優しく歌っていた王子様が!?という意外性が刺さったのかも。あらら、姫に手を焼いたんですね(妄想炸裂)。台詞はないのにまるでおとぎ話の世界!ハイドンさん、やりますね!第3楽章では、「晩」と同様にコントラバスのソロがありました。前の楽章でのチェロのように、しかしチェロよりずっと低い音で、軽やかに歌う独奏コントラバスが素敵すぎ!王子様のライバル出現!?第4楽章は、明るく快活な音楽で、特にフルートの輝かしい響きが印象に残っています。コンマスと2ndヴァイオリン首席が一緒にメロディを奏で、テンポ良く駆け抜けるのが素敵!クライマックスでのホルンが爽快!ドラマチックでとっても楽しい演奏でした!

後半は、交響曲第6番「朝」。第1楽章、1stヴァイオリンから静かに始まり(バーメルトさん流の「弱」のこだわりが冴えてます♪)、2ndヴァイオリン、他パートが加わっていくにつれて次第に盛り上がっていく流れは、まるで夜明けのよう!小鳥がさえずるような木管群が楽しい!弦のトレモロから少し哀しげ(短調に?)になり、木管群が音をのばして歌うところでの弦ピッチカートが可憐でした。伸びやかなホルンの響きが清々しい!第2楽章は、弦のみでの演奏。ゆったりした出だし部分がなんとも素敵で、心に染み入りました。上手く言えないのですが、大地の熱が伝わってくるような、大きく包み込んでくれる感じ。札響の弦、私やっぱり好きです!そして続くコンマスソロの儚げで美しいメロディ!後から独奏チェロが入り、独奏ヴァイオリンと重なったり交互になったり。独奏ヴァイオリンを支える独奏チェロの優しい響き!今回はコンマスソロと独奏チェロの絡みがてんこ盛りで本当にうれしかったです。第3楽章では、フルートソロはじめ管楽器群の温かな音色に癒やされました。中盤にはなんと独奏ファゴットが登場。少し哀しげにメロディを歌うファゴットがカッコイイ!そこに重なるのがこれまたなんと独奏コントラバスと独奏ヴィオラ!めずらしい三重奏による魅惑的な響きがとっても素敵でした。第4楽章は、華やかで明るい盛り上がりに。弦と各管楽器が次々とメロディをリレーしていくのが楽しく、中でもフルートが大活躍でした。またフルートと同じように速いテンポで歌うホルンがすごい!ホルンにとってはおそらく難易度が高いこんな技も軽やかに演奏なさるとは!華やかかつ超絶技巧マシマシのコンマスソロは、まるで協奏曲のソリストのような充実ぶり!私達のコンマス最高です!全員参加の明るい締めくくりまで、ひたすら爽快な演奏に、聴いている私も気持ちが晴れやかになりました。小編成オケの良さをたっぷり堪能できた今回、超楽しかったです!ありがとうございます!

アンコールはナシ。カーテンコールの後、札響定期と同じようにコンマス田島さんが会場にお辞儀をされて、会はお開きに。お客さん達はロビーで六花亭のお菓子(バレンタインデーにちなんだものでした)をお土産に頂いてから帰路につきました。心温まるハッピーなバレンタインデーの夜をありがとうございました!今後も「札幌交響楽団 in ふきのとうホール」の定期的な開催を、ぜひお願いします!


首席指揮者のマティアス・バーメルトさんは、今回の来日で定期公演(2回)・東京公演・ふきのとうホールと、札響の演奏会を数多く指揮してくださいました。以下のリンクにある記事は、私が聴いた「札幌交響楽団 第650回定期演奏会」(日曜昼公演は2023/02/05)のレポートです。異次元の世界に触れた武満作品、天国的な響きを楽しめたモーツァルトの協奏曲、そして生命力あるリズム感と自信に満ちた堂々たる響きのザ・グレイト。プログラム内容も演奏も超グレートでした!

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バーメルトさん指揮によるハイドンのミサ曲ハ長調「戦時のミサ」を聴けたのはこちら。「札幌交響楽団 第650回定期演奏会」(土曜夜公演は2022/10/22)。シーズンテーマ「水」のメンデルスゾーンソリスト佐藤晴真さんとオケの緻密なアンサンブルによる古風な響きのC.P.E バッハ。そして「戦時のミサ」では人の声がストレートに心に響き、今の時代に大切な思いを共有できました。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札幌交響楽団 第650回定期演奏会(日曜昼公演)(2023/02)レポート

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2023年最初の札響定期演奏会に、首席指揮者のマティアス・バーメルトさんが登場です!メインプログラムはシューベルト交響曲「ザ・グレイト」。また協奏曲は、ソリストにフルートのカール=ハインツ・シュッツさんとハープの吉野直子さんという豪華なお二人をお迎えしてのモーツァルト。そして年間テーマ「水」にちなんだ演目は、札響と縁が深い武満作品が取り上げられました。

なお同じ出演者と同じプログラムで2/9に東京公演が予定されています。

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今回の「オンラインプレトーク」は、フルート副首席奏者の川口晃さんとホルン首席奏者の山田圭祐さんがご出演。お話が大いに盛り上がり、メインプログラムと同じく「グレートな長さ」の充実した内容で、見応えあります♪

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札幌交響楽団 第650回定期演奏会(日曜昼公演)
2023年2月5日(日)13:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト

【共演】
カール=ハインツ・シュッツ(フルート)
吉野 直子(ハープ)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:会田 莉凡)

【曲目】
武満 徹:雨ぞふる
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲
ソリストアンコール)イベール:間奏曲

シューベルト交響曲「ザ・グレイト」
(アンコール)シューベルト:「ロザムンデ」バレエ音楽1番より


2023年最初の札響定期は、プログラム内容も演奏自体も超グレート!めいいっぱい楽しめました!武満作品では奏者わずか15名で作る異次元の世界に触れ、モーツァルトの協奏曲ではお二人のソリストが生み出す音の美しさをたっぷり堪能できて天国的な響きを楽しめました。何よりメインプログラムのシューベルト「ザ・グレイト」がすごく良かったです。「天国的な長さ」という1時間超の演奏時間があっという間に感じられたほど、充実かつアツイ演奏!歌心は楽しく、命の鼓動を感じるリズムに気分が高揚し、自信に満ちた力強い堂々たる響きに圧倒されました。バーメルトさんの導きで、「ブレずに」信じる道をまっすぐに進む奏者お一人お一人の力が結実した演奏!最高です!私は専門的なことはわからず細かな部分に気づけないレベルのファンではありますが、開き直るなら、まっさらな人に響いてこそ本物だと思っています。私個人に限った話ではありません。たとえビギナー向けの会であっても地方の会場であっても、札響は常にベストを尽くす誠実な演奏をしていること。そんな会場のお客さん達がとても喜んでいらしたことを、私は何度も目の当たりにしてきました。芸術分野で活動するにはどうしても不利な地理的条件にもかかわらず、札響の皆様は地元に根ざし地元民にクオリティ高い本物の演奏を聴かせてくださっています。改めて感謝いたします。札響は地元北海道が誇れるオケです!そして同じプログラムと出演者による東京公演。耳の肥えた首都圏の聴衆にどう聴かれるかは私にはわかりませんが、団員の皆様はどうぞ胸を張っていつもと同じようにベストを尽くしてくださいませ。ご盛会をお祈りいたします。


はじめは、武満徹「雨ぞふる」。今回が札響初演とのことです。「室内オーケストラのための」作品で、奏者は管と弦がそれぞれお一人ずつ、ピアノとチェレスタは兼任でお一人、複数の打楽器をお一人という総勢15名でした。アルトフルートのほの暗い音に導かれ、弦も管もいつもの心地よい音とは違った個性豊かで神秘的な音を発していました。強弱の変化が波のよう。波の合間に入るアンティークシンバルやタムタムが印象的でした。深淵に引き込まれ一寸先すら見えない暗闇に包まれているような空気の中で、未知の音の波が来るのにはぞわっとして、私は異次元にいるような感覚に。時折入るピアノやヴィブラフォンなど鍵盤楽器の音(雨音?)に、ふと我に返る感じでした。武満作品は私には難しくて、その真意は掴めないですが(ごめんなさい!)、このような作品を見事に演奏するバーメルトさんと札響のお力を再認識しました。

ソリストのカール=ハインツ・シュッツさん(フルート)と吉野直子さん(ハープ)をお迎えして、モーツァルト「フルートとハープのための協奏曲」。第1楽章、オケによる前奏は明るく華やかで、聴いていて気持ちも晴れやかに。そしてフルートとハープが一緒に登場。その想像を遙かに超えたきらびやかで美しい音に、私は一瞬でとりこになりました。ハープはグリッサンドは行わずに音階を上り、一音一音に存在感があって、まるで輝く音の粒が次々とあふれ出ているよう。またフルートは明るく歌うときの爽快さはもちろんのこと、ふと寂しげな表情を見せる陰影がとても素敵で、華やかなだけじゃない魅力がありました。フルートとハープが重なったり交互に演奏したりする優雅な流れは、フルートにハープが合いの手を入れたり、ハープのターンでもフルートがずっと音をのばしていたりと、密に絡まり合う幸せな感じ!終盤のカデンツァでは、さらに華やかさと力強さを増したハープも素敵なら、それに乗って優美かつパワフルにメロディを歌ったフルートも素敵で、とても贅沢な響き!続いてゆったりした第2楽章。オケは弦のみとなりました。その弦アンサンブルによる序奏から美しい!札響の澄んだ弦の音色が素敵でした。程なく登場した独奏が素敵すぎ!フルートは高音を転がすようなやわらかな響きがこの上なく美しく、ハープは丁寧に紡ぐ一つ一つの音すべてが光り輝いているよう。聴いていてとても心地よく、心穏やかになれました。弦アンサンブルでは、高音メインの世界でアクセントになった低音が印象に残っています。第3楽章では、少し駆け足の舞曲のリズムが楽しく、ハープの響きにバロック音楽で耳にしたフランス風の音楽に近いものを感じました。フルートが音をのばして次第に盛り上がっていく流れに、重なったオーボエがとっても素敵!終盤にオケが沈黙し、一層音が増えた歌うフルートと華やかなハープの重なりが素晴らしい!幾重にも重なる音の層は、なんとも贅沢な響きでした。「天国的」とはまさにこの曲のこと!よどみなく湧き出る美しい音をたっぷり浴びることができて幸せです!

ソリストアンコールは、イベール「間奏曲」。同じフランス生まれの曲でも今度はぐっとモダンかつ異国風でした。速いテンポでやや哀しげに歌うフルートと、神秘的な響きのハープ。先ほどのモーツァルトとは違った魅力があふれる演奏に聴き入りました。シュッツさんと吉野さんデュオの演奏をもっと聴きたい!と私は素直に思い、首都圏でのデュオ・リサイタルに足を運びたいと思ってしまったほど(残念ながら叶いませんでしたが……)。シュッツさん、吉野さん、はるばる札幌までお越しくださり、札響との協奏曲に加えて素敵なアンコールまで、ありがとうございます!札響の東京公演もどうぞよろしくお願いいたします。


後半は、シューベルト交響曲「ザ・グレイト」。バーメルトさんは暗譜で、指揮台には譜面がありませんでした。第1楽章、旅の始まりを思わせる冒頭ホルンの響きが素敵!木管群の温かな音色による歌に心温まり、全員参加による力強い響きがカッコイイ!バーメルトさん流の強弱の変化には、脈打つような生命力あるリズムが感じられ、クレッシェンドで浮かび上がるところでは気分が高揚しました。最初のホルンのメロディを全員参加でパワフルに演奏した、堂々たる楽章締めくくりが輝かしい!第2楽章、はじめのオーボエの歌がとっても素敵!弦のステップを踏むようなリズムに乗って歌う、木管群の哀しげな響きが印象的でした。ホルンがシーンを変えてからの穏やかな流れが美しい!弦と木管群の会話が良くて、再びホルンがシーンを変えてからの厳かで力強い響きもインパクトありました。またメロディを歌うチェロがすごく素敵で、しかも何度も登場したのが個人的にうれしかったです。第3楽章、最初のガツンと来る弦の低音が超カッコイイ!その一方で弦は、木管群と一緒にダンスするようなところでは、優雅な流れで木管群を支える紳士ぶりを発揮していました。札響の弦、やっぱり大好きです私!素朴な民謡風のメロディをもとに、カッコ良かったり可愛らしかったり華やかだったりと音楽が変化するのが楽しかったです。第4楽章、明るくパワフルな冒頭からの盛り上がりがすごい!この日の演奏はどの楽章も掴みがすごく良かったです。リズミカルで勢いある流れの中、盛り上がりの波が何度も来るのが気持ちイイ!低音が効いた金管群のパワフルさに圧倒されました。木管群が歌う穏やかところでも、弦がずっと音を刻んでリズムを作っていたのがすごい。フィナーレの低弦が効いた強奏と華やかなトランペットが超カッコイイ!まるで旅人の帰還を歓迎しているようでした。明るく自信に満ちたラストは圧巻!気分爽快になりました。天国的な長さをずっと楽しませてくださった、超グレートな演奏に感激です!ありがとうございます!

今回は東京公演を控えていることもあり、特別にオーケストラアンコールがありました。シューベルトの「ロザムンデ」バレエ音楽1番より木管五重奏と弦楽合奏による演奏でした。先ほどまでの熱量の高さからガラリと変わり、牧歌的な雰囲気の曲。澄んだ弦の上で、クラリネットがメインで歌い、他の木管がユニゾンで歌ったりメロディを繰り返したり。まるでやさしい響きの歌曲を聴いているよう。しみじみ素敵な演奏に、心穏やかになれました。バラエティ豊かな演目をアンコール含め5つ、いずれも素晴らしい演奏でたっぷりと聴かせてくださり、ありがとうございます!東京公演は必ず喜ばれることと存じます。ご盛会をお祈りいたします!そして、2/14のふきのとうホール、楽しみにしています♪

※「札幌交響楽団 in ふきのとうホール」、詳細は以下のリンク先でご確認ください。

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この日(2023/02/05)の一週間前に聴いた「新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第68回札幌」(2023/01/29)。札響からは、ヴァイオリンの赤間さゆらさん、フルートの福島さゆりさんがご出演。5名の若手演奏家の演奏はいずれも札響と対等に渡り合うハイレベルなもので、純粋に夢中になれました。さりげなくソリストを盛り立てたオケも素敵でした。

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地方公演でも札響はアツい!昨年末に道南へ遠征して聴いた、「札響七飯公演」(2022/12/26)。生命力あふれるベト7、弦の本領発揮アイネ・クライネ・ナハトムジーク、首席チェロ奏者・石川さんソリストハイドンは魅力あふれる独奏と密なアンサンブル。真冬の北海道で超アツイ演奏、最高の一年の締めくくりでした!

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第68回札幌(2023/01) レポート

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文化庁による新進演奏家育成プロジェクト。今回の演奏会では、オーディション(2022年10月3日に実施)にて選ばれた若手演奏家5名(うち2名は札響メンバー)が札幌交響楽団と協演しました。ちなみに私が新進演奏家育成プロジェクトのオーケストラ・シリーズを聴くのは、2021年の第58回札幌に続いて2回目です。昨年(2022年の第66回札幌)は都合が付かず見送ってしまったので、今回久しぶりに聴けるのを楽しみにしていました。

出演者のかたならびに関係者の皆様におことわりです。弊ブログは素人が趣味で思いつきを書いているだけのものです。今回のレポートも勘違いや大事なところの見逃し等が多々あると思われます。おそれいりますが、私の勝手な感想についてはどうぞ真に受けずに聞き流して頂けましたら幸いです。


新進演奏家育成プロジェクト~オーケストラ・シリーズ 第68回札幌
2023年01月29日(木)15:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
現田 茂夫

【共演】
赤間 さゆら(ヴァイオリン) ※札響ヴァイオリン奏者
金井 知那実(ソプラノ)
外川 莉緒(サクソフォン
福島 さゆり(フルート) ※札響フルート奏者
安藤 有佳(ピアノ)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島 高宏)

【曲目】
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
マスネ:歌劇「ル・シッド」より“泣け、我が瞳よ”
グラズノフ:アルト・サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲
イベール:フルート協奏曲
サン=サーンスピアノ協奏曲第2番


豪華な協演を一度に5つも聴けて幸せです!5名の若手演奏家の皆様は、kitaraで札響と協演するという大変なプレッシャーに打ち勝ち、素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。今の北海道には今後が楽しみなお若い演奏家がこんなに大勢いらっしゃることを私は強く実感し、とても感激しました!しかし私がそれをはっきりと認識したのは終演後のこと。5名の皆様の演奏はいずれも札響と対等に渡り合う、大変レベルの高いもので、その時は「お若くてこれからの人たちだから」なんて先入観はいつの間にか消えてしまっていたほど、純粋に夢中になっていました。ひいき目や掛け値なしで、演奏そのものを楽しめたのが本当にうれしかったです。今回ご出演された若手演奏家の皆様よりもずっと年上の私ですが、できるだけ健康を保って、伸び代ある皆様のこれからの演奏をぜひ聴かせて頂きたいと思いました。そして、信頼する私達の札響の演奏は今回も素晴らしく、安心して聴くことができました。手加減はしない真摯な演奏をしつつ、ソリストとオケの呼応だったり攻守交代だったりの流れはスムーズ。指揮の現田さんとオケは、素人目にはそう感じさせないところで、ソリストの呼吸や勢いに合わせてテンポや強弱を細かく変化させ、さりげなくソリストを盛り立てていたのかなと拝察します。ありがとうございます!来年以降の新進演奏家育成プロジェクトのオーケストラ・シリーズも楽しみにしていますので、どうぞよろしくお願いします!

前半、はじめはヴァイオリンの赤間さゆらさんによるメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調。オケは2管編成にティンパニという基本的な編成でした。また、(作曲家の指示通り)全楽章を続けての演奏でした。第1楽章、ティンパニが印象的なオケに導かれて独奏ヴァイオリンが登場。高音の哀愁あるメロディがすっと心に染み入り、私は最初から演奏に気持ちを預けることができました。流麗な流れの中、重音で音階を上るところがカッコイイ!木管群を引き継いでメロディを奏でた独奏ヴァイオリンがとても美しかったです。ゆったりに見えて実はとても音が多いところも、丁寧かつ滑らかに演奏されていたと感じました。そしてカデンツァがすごい!振り切った高音やぐっと深みのある低音はもちろん、研ぎ澄まされた音すべてにインパクトがあって、赤間さんオリジナルの音をじっくり味わうことができました。楽章締めくくりに向かって加速していく流れは、ソリストもオケも一歩も譲らないものすごい気迫!オケの木管群がそのまま音をのばし、第2楽章へ繋がる流れがお見事でした。ゆったりと歌う独奏ヴァイオリンの幸せな感じにうっとり。続くオケのターンで明るさに影が差してからの、独奏ヴァイオリンが素晴らしかったです。哀しげなメロディと伴奏をお一人で歌うようにかつよどみなく演奏。なんて素敵なんでしょう!五感に訴えかけてくる艶やかな音に酔いしれました。ゆったりした流れに一呼吸置いた後、独奏ヴァイオリンが弦楽合奏に乗って寂しげに歌ったところも印象に残っています。金管ティンパニの華々しい幕開けからの第3楽章は、軽やかに駆け抜ける独奏ヴァイオリンが楽しそうで(演奏自体は難しいと思われますが)、聴いている私も幸せな気持ちに。オケと交互に演奏するところは息ぴったりで、リズム感が心地よかったです。クライマックスでは、壮大なオケをバックに、だんだんと音が増えどんどん加速していく独奏ヴァイオリンの凄技に見惚れました。ラストの音階の駆け上りが超カッコイイ!誰もが知る名曲を、ご自身の音で見事に弾ききって、聴き手を魅了した素晴らしい演奏でした!先陣を切った赤間さんのクオリティの高い演奏を聴いて、私はこの後に続く4名の演奏への期待がさらに高まりました。

ソプラノの金井知那実さんによるマスネ「歌劇『ル・シッド』より“泣け、我が瞳よ”」。オケは1曲目より金管群が増え、ハープも加わる大編成に。クラリネット・ソロが大活躍で、ソプラノが沈黙している時はクラリネットが高らかに歌い、またソプラノが歌う際にはオーボエが影となり寄り添っていました。楽器が増えた以上に壮大な響きになっていたと個人的には思います。しかしこの豪華なオケ以上にソプラノが素晴らしかったです!ほの暗いクラリネットとオケの前奏に続いてソプラノ登場。(演出として)独白のような登場だったにもかかわらず存在感抜群で、会場の空気が一変したと感じました。短い演奏時間の中で、オケとシンクロして陰鬱なところから感情が大きく盛り上がるところまで、表現の幅は広く、細やかな感情の変化が感じられました。全体的に哀しげな雰囲気の中、チェロから始まり高音弦が続く流れのところで、ソプラノの歌声が一瞬光が差したように明るくなったのが特に印象に残っています。クライマックスでは、大音量オケのさらに上を行く、ソプラノの意思あるお声がすごい!メソメソしていない、ヒロインの強さが感じられる演奏に惚れ惚れ!そして演奏後のお辞儀も良かったです。カーテシーというのでしょうか?背筋は伸ばしたまま膝を曲げ、手でスカートの裾を軽く持ち上げるスタイル。日本ではなかなか見かけない、西洋文化圏での所作をスマートに行っていらしたのが素敵でした。説得力あるお声とこの堂々たる所作、オペラの舞台でとても映えることでしょう!

サクソフォンの外川莉緒さんによるグラズノフ「アルト・サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲」。単一楽章の曲で、オケは弦のみの編成。美しい弦の序奏に続いて登場した独奏サクソフォンの、パワフルかつ温かな音色に引き込まれました。独奏ヴィオラと会話するようなところがロマンティック!音域と音色の相性がぴったり合っていると感じました。また、独奏サクソフォンがリズムカルに速いテンポで歌うところの弦ピッチカートや、独奏が次第に盛り上がる流れに弦もシンクロしていたのがとても印象的でした。まるで独奏サクソフォンがオケを導いているよう!中盤の、ゆったり歌う独奏サクソフォンが歌心あふれていてとっても素敵でした。優しい響きで寄り添う弦がまた良くて、独奏サクソフォンと今度は独奏チェロとの重なりがあったのが個人的にうれしかったです。カデンツァでは、音を刻みながら(タンギング?)次第にテンポが速くなる演奏に、明から暗へグラデーションで世界が変わったように感じられました。終盤に向かう流れでは、オケと呼応したり重なったりしながら次第に明るくなっていき、独奏サクソフォンは様々な奏法を披露しながら目まぐるしく変化。素人目からは息継ぎのタイミングがわからないほど、ずっとパワフルに歌い続ける独奏サクソフォンに圧倒されました。管楽器と打楽器がいない代わりに、独奏サクソフォンが温かな音色で歌ったり音の抑揚でリズムを作ったりと、一人で何役も演じながらオケを牽引。それを傍目からは難しさを感じさせず、軽やかに演奏されていました。クラシック音楽の基本編成にはいないサクソフォンが、自然にオケと溶け合いながらリードする!素晴らしいです!

後半、はじめはフルートの福島さゆりさんによるイベール「フルート協奏曲」。オケはトランペットが1つで他の管楽器は2つずつにティンパニ、そして弦でした。第1楽章、速いテンポで歌う独奏フルートが超カッコイイ!生き生きとした演奏に引き込まれました。またリズミカルに呼応するオケ、中でも独奏フルートと一緒に歌った木管群のナイスアシストぶりが印象に残っています。独奏フルートが力いっぱい吹ききって頂点に達した時の気迫がすごい!またその頂点でティンパニの強打がバッチリ決まったのが気持ち良かったです。ゆったりとした第2楽章では、独奏フルートの優しく美しい響きをたっぷり堪能できました。この日の福島さんの音は、いつものオケの一員としての音色よりさらに存在感ある美しさ!包み込むオケの澄んだ音色が、独奏フルートの美しさをより一層際立たせてくださいました。独奏フルートと、独奏チェロ、独奏ヴィオラ、独奏ヴァイオリンそれぞれとの語らいがとっても素敵!お互いが思い合うような響き、これは愛ですね!そしてジャズ風なリズムの第3楽章が個人的にとても楽しかったです。ジャン・ジャン・ジャン♪のリズムを刻むオケは、夜の都会(あくまで私個人のイメージです)のような華やかさ。そのオケに乗って、音を刻みながら速いテンポで歌う独奏フルートは、小粋なパリジェンヌを思わせるおしゃれな感じでとても魅力的!オケとシンクロして滑らかにメロディを奏でるところは、私の印象ではすごくノリノリで自然体でした。カデンツァでは、暗闇から次第に浮かび上がってきたような立体感ある響きが素敵!またカデンツァの終盤からオケがシンクロして一緒に盛り上げてくれた流れがすごく良かったです。明るく駆け抜けたラストが清々しい!多彩な響きの独奏フルートは、ホームのオケへ全幅の信頼を寄せた上で思いっきり伸び伸び演奏されていた印象で、聴いていてとても楽しかったです!

ラストはピアノの安藤有佳さんによるサン=サーンスピアノ協奏曲第2番。オケは2管編成にティンパニとシンバルが入りました。第1楽章、冒頭はピアノ独奏から。最初の重低音の和音からインパクト大!鐘の音を思わせる重厚で力強い響きが忘れられません。ほどなく登場したオケも大迫力!このオケと一緒に、深刻なところの力強さはもちろんのこと、穏やかなところでの主に木管群と重なるきらびやかな高音にも底力が感じられました。またカデンツァでは冒頭の重低音が再び登場し、そのインパクトにまたしてもやられれました。第2楽章、ティンパニに導かれリズミカルに始まったピアノが鮮烈な印象!前の楽章の深刻さとは違う、オケと一緒にスキップしているような楽しい響きが素敵でした。ピアノは貫禄がありながらも軽快で、まるで即興演奏のような自由さも感じられました。そして第3楽章、はじめの高速でうねるようなピアノにに圧倒されました!呼応するオケも、特に弦の音のうねりが素敵!オケの合間を駆け抜けていくキレッキレのピアノは一時の休みも無く、音が多い(トリル?)響きにゾクゾクしました。クライマックス直前には、再び冒頭の重低音を思わせるインパクト大の強奏が!この作品の要ではないかと思われる重低音がとにかくすごかったです。オケと一緒に全力で駆け抜けた締めくくりまで、熱量高い演奏に私はやられっぱなしでした。ドイツ系の重厚な交響曲にも匹敵する、力強く厚みのある音楽。トリにふさわしい圧巻の演奏でした!

カーテンコールの最後には、今回ご出演された5名の若手演奏家が全員舞台へ戻って来て、会場は拍手喝采に。ソリスト達が退場した後に会はお開きとなりました。今後飛躍していく皆様の、この日の演奏に出会えてうれしかったです。ハイレベルで素晴らしい演奏をありがとうございました!皆様のこれからのご活躍に期待大&今後の演奏会でお目にかかれるのを楽しみにしています!


札響メンバーは室内楽のコンサートでもご活躍です!今回は弊ブログの演奏会レビューから、ヴァイオリンの赤間さゆらさんがご出演されていたものをご紹介します。 ※もちろん以下の2つ以外にも数多くの演奏会に出演なさっています。

アンサンブルコンサート 愛と悲しみを謳ったロマン派時代の音楽家たち」(2022/12/16)。札響からは赤間さゆらさん(Vn)、鈴木勇人さん(Vla)、武田芽衣さん(Vc)がご出演。シューマンシューベルトの歌曲は、一つ一つが短いながらも完結した物語!ブラームスのピアノ四重奏曲第3番は、情熱的で血の通った演奏に、最初から最後まで夢中になれました。

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新進演奏家育成プロジェクト リサイタル・シリーズSAPPORO23 トリオ イリゼ・リサイタル」(2022/01/21)。札響の赤間さゆらさん(Vn)と小野木遼さん(Vc)、そして地元札幌でご活躍の水口真由さん(Pf)のピアノ三重奏団による演奏会。ロマン派のような感情が垣間見えたモーツァルトに、人知れず苦悩を抱えたメンデルスゾーン、そして朗らかで情熱的なブラームス。重厚な独墺プログラムの演奏は圧倒的な熱量で素晴らしかったです!

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。

札響七飯公演(2022/12) レポート

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2022年の聴き納めは札響。開催地は札幌から遠く離れた七飯町です!北海道はでっかいどうの隅々まで出向く我が町のオケを追いかけて、一泊二日の遠征に行ってまいりました(今回も気持ちよく送り出してくれた家族に感謝です)。なお七飯町での札響の公演は2017年以来5年ぶりとのこと。また翌日には同じプログラムにて江差町でも公演が開催されました。

札響七飯公演
2022年12月26日(月)18:00~ 七飯町文化センター パイオニアホール

【指揮】
広上 淳一(札響友情指揮者)

【チェロ】
石川 祐支(札響首席奏者)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島 高宏)

【曲目】
モーツァルトアイネ・クライネ・ナハトムジーク
ハイドン:チェロ協奏曲第1番

ベートーヴェン交響曲第7番

(アンコール)J.S.バッハG線上のアリア


真冬の北海道で超アツイ演奏!最高の一年の締めくくりになりました!私にとってはおなじみの札響による定番曲たちの演奏で、こんなにも楽しめたのは本当にうれしかったです。地方の会場にて普段コンサートを聴く機会が少ないお客さん達を前に、本気の大熱演を披露する――それを当たり前にやる札響はすごいと、私はしみじみ思いました。地元札幌、いえ地元北海道が誇れるオケ!なんて素敵なんでしょう!また、お客さん達がとても真剣に聴き入っていたのも印象に残っています。待望の地元開催で、この出会いを大切に思っているかたが大勢いらっしゃるのですね。私は会場の空気を肌で感じながら、自分はここ最近ここまで一生懸命になれていたっけ……と、供給過多かもしれない札幌で贅沢している我が身を省みたほど。そして今回の会場は、音響・視界ともに良好なとても良いホールだったのもよかったです。札響はどのような環境でも見事な演奏を聴かせてくださいますが、強弱のメリハリや繊細な音がキレイに響くホールなら、札響サウンドはより一層輝けるはず。地方のこんな施設をもっと活用して、助成も活かし、地方の皆様にリーズナブルにコンサートを楽しんで頂ける機会が少しでも増えるといいなと、私は勝手ながらそう思いました。

生命力あふれる大熱演のベト7、透明で美しい弦の本領発揮のアイネ・クライネ・ナハトムジーク。いずれも私は札響による演奏で何度も聴いてきた演目でしたが、今回の丁寧でメリハリがはっきりした演奏を聴き、改めてその良さを実感できました。そしてハイドンのチェロ協奏曲第1番です!おそらくチェロにとってはオーソドックスなレパートリーで、バロック期の薫りもするレトロなイメージ(あくまで個人的な印象です)のこの曲が、もう超素敵で超カッコイイ!独奏チェロは時にロックのようでも映画音楽のようでもあり、目の前で生み出される魅力あふれる音楽にホレボレしました。特にカデンツァでの自由で生き生きとした演奏の素晴らしさは忘れられません。また、もちろん演奏は真剣そのものでしたが、舞台に登場した時のソリスト・石川さんはリラックスした印象で(まずコンマスの田島さんと握手した後、指揮の広上さんと握手したかったのに広上さんが向こうを向いていてすれ違い、笑いが起きたりも)、演奏を楽しもうという心意気が感じられました。その独奏と呼吸を合わせて密に絡むオケがまた良すぎて、とても幸せな協演だったとも感じました。ずっと一緒に演奏してきたオケメンバー同士ならではの信頼感ある協演、胸アツです!今後、札幌での再協演(どんな演目でも歓迎です♪)をぜひお待ちしています。


1曲目は、弦楽アンサンブルによるモーツァルトアイネ・クライネ・ナハトムジーク。繰り返しは省かずに演奏していたと思います。また弦5部の人数は8-7-6-5-4で、以降の演目でも固定でした。第1楽章、思いっきり華やかな冒頭からぱっと会場の空気が変わり、掴みはバッチリOK!軽快で強弱のメリハリが効いた演奏はホールに柔らかく響いて、心地良さに癒やされました。第2楽章は、はじめはとてもゆったりした流れで、1stヴァイオリンを支える2ndヴァイオリンがよく聞こえたのが印象に残っています。また中盤の短調になるところは、1stヴァイオリンと低弦の密な対話に、支える2ndヴァイオリンとヴィオラのざわめきもすごく良かったです!第3楽章、はじめの一歩一歩ステップを踏むようなところでは、指揮の広上さんの動きに目が釘付けになりました。なんだかマリオネットみたいなカクカクした動きで、いつもよりさらに輪をかけて可愛らしかったです。続く滑らかな流れでは、広上さんはオケと一緒にワルツを踊っているように身体を揺らしていらっしゃいました。もちろんオケは指揮に応えて変化のある演奏を聴かせてくださいました。第4楽章、まるでスキャットのようなリズミカルで軽妙な掛け合いが楽しい!時々パンチの効いた低音が入るところも絶妙なタイミングで気持ちよかったです。演奏機会がとても多い「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。やはり良い曲だとしみじみ思ったのと同時に、札響の弦の良さを再認識。名刺代わりの1曲目で、会場の空気も良い感じに温まったようでした。

2曲目はハイドン「チェロ協奏曲第1番」。首席チェロ奏者の石川祐支さんが今回はソリストとして登場です。オケは1曲目と同じ弦に、オーボエとホルンが2つずつ加わりました。第1楽章、まずはオケのターン。先程のモーツァルトに引けを取らない華やかな演奏に聴き入りました。そして独奏チェロ登場。バーンと低音を重ねた掴みの音からインパクト大で気持ちを全部持って行かれました!ああ来てよかった!何度かあった独奏チェロの登場シーンは、いずれも表情が違っていて、次はどんなふうに来るのかと期待するのも楽しかったです。高音域で高速なのに、明るく優雅に歌う独奏チェロが超素敵!オケはピアニッシモでリズムを作るような演奏にて包み込んだり、ごく自然にメインとサブが入れ替わったりと、独奏チェロとの密なやりとりがとても素敵でした。また、独奏チェロがうねる低音を響かせるところはまるでロックのベースのようで超カッコイイ!かと思うと高音で切なく歌うところに心奪われたりと、一時も目と耳が離せない!そして終盤のカデンツァがすごかったです。今まで出てきたメロディを取り入れながらも即興的で自由な感じで、とても新鮮!もしかするとハイドンのオリジナルのカデンツァにアレンジを加えていたかも?(違っていたら申し訳ありません)。第2楽章、はじめのオケのターンではゆったりした弦楽合奏の優しい響きに癒やされました。そこに滑らかに重なるように独奏チェロが登場。ゆったり美しく歌う独奏チェロは、ただ穏やかなだけでなく喜びも悲しみも内に秘めているような奥行きが感じられました。オケが独奏チェロを見守るようにごく控えめな合いの手を入れていたのが良かったです。終盤のカデンツァでは、水を打ったような静寂の中で独奏チェロがかすれる高音で歌ったのにぐっと来ました!再び快活になる第3楽章は、オケも快速なら独奏チェロも超高速で、独奏チェロは超絶技巧もりもりなのにヴァイオリンを弾くような軽やかさ!時折チェロらしい低音がアクセントで入ったり、映画音楽のように切なく歌うところがあったりと、見どころ聴きどころしかない演奏にただただ引き込まれました。オケが明るく駆け抜けたラストまで、とても清々しい演奏!私は気分爽快になりました!ソリストとオケの厚い信頼関係があってこその、思いきりが良く生き生きとした独奏と密なアンサンブル。これほどまでの幸せな協演をその場で聴けた私達は幸せです!

休憩後はベートーヴェン交響曲第7番」。第1楽章、冒頭のパン!と力強い一音と続くオーボエに早速心掴まれ、個人的には意外にお久しぶりだったベト7にワクワク。高音弦と低弦が交互に音階を駆け上るところで少しずつ気分も上昇しました。ヴァイオリンとフルートがこだまするところが丁寧で、続くフルートが歌うところの多幸感が素敵!全員参加の明るく歌うところでは文句なしにテンションあがりました。また今回はピアニッシモからクレッシェンドでフォルテッシモになる流れに強弱の波がしっかりと感じられ、キレイな響きだったのがとても印象的でした。ホームのkitaraではない地方の会場でも札響サウンドはすごい!続いて、この曲で唯一の短調である第2楽章へ。ちなみに私は第2楽章が好きです。木管群の第一声の後、中低弦から入り、2nd続いて1stヴァイオリンが参戦した厳かな葬送行進曲に聴き入りました。全員参加になってからの大迫力!そして今回、はっとさせられたのは後半の管楽器群が穏やかに歌ったところです。第九の第3楽章の天国的な響きにも通じるような、温かな音色がとっても素敵!私は、広上さん指揮による今年の「札響の第九」を聞き逃してしまったのを少し後悔しました。また、例えば1stヴァイオリンとヴィオラが会話するようだったり、チェロが3対2の2つのパートに別れるところがあったりといった、弦の緻密な仕事ぶりが目を引きました。第3楽章、リズミカルでノリノリな演奏が楽しい!ティンパニがキレッキレ!木管群が穏やかに歌ったところから大合奏への流れが爽快でした。トランペットがカッコイイ!華やかに楽章締めくくった後、今回はここで小休止を挟み、第4楽章へ。華々しい出だしから大熱演!2拍子のリズムがノリノリで、弦リレーからの全員参加の全力強奏がアツイ!少しクールダウンするところでエネルギーを溜めて、盛り上がりの波を作る流れはずっと繋がっていて、その生き生きとしたリズムに聴いている私達の血も騒ぎました。フィナーレはさらに輪をかけて強奏になって、その大熱演には圧倒されっぱなし。ジャカジャン!ジャカジャン!の締めくくりまで、ものすごい生命力あふれる演奏でした。ああこの日の演奏が聴けてよかった!どんな場所でもベストを尽くす札響って、本当にスゴイです。そして年の瀬にベートーヴェン、イイですね!この生命力この大熱演は、普段クラシック音楽になじみがないかた達にも喜ばれたに違いありません。

カーテンコールの後、指揮の広上さんがマイクなしでごあいさつ。「来年も皆様にとって幸多き一年となりますように。本日はありがとうございました」と仰って、そのままアンコールへ。J.S.バッハG線上のアリア、弦楽アンサンブルによる演奏でした。先ほどまでの熱さから一転、しっとり美しい響きが心に染み入ります。澄んだ高音弦に、ぐっと深い通奏低音の低弦との重なりがとっても素敵!コントラバスがピッチカートと弦を擦る2パートに別れたところがあったのを発見!おなじみの曲を札響による丁寧な演奏で聴けてうれしかったです。広上さん、札響の皆様、アンコールに至るまで心を込めた素晴らしい演奏をありがとうございました!オケの皆様にとっても来年は幸多き一年となりますように。これからもずっと追いかけます!


本拠地・札幌kitaraでの定期演奏会。札響の弦セクションの底力を再確認したのがこちら。「札幌交響楽団 第646回定期演奏会」(土曜夜公演は2022/06/25)。シトコヴェツキーさん編曲の弦楽合奏ゴルトベルク変奏曲は、緻密かつ心に染み入る演奏でバッハの偉大さを再認識。「白鳥の湖」では、美メロだけじゃないチャイコフスキーの骨太な魅力も堪能できました。

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ハイドン&チェロといえばこちら。「札幌交響楽団 第648回定期演奏会」(土曜夜公演は2022/10/22)。首席指揮者のバーメルトさんが今年5月以来、久しぶりに登場!シーズンテーマ「水」のメンデルスゾーンソリスト佐藤晴真さんとオケの緻密なアンサンブルによる古風な響きのC.P.E バッハ。そしてハイドン「戦時のミサ」では人の声がストレートに心に響き、今の時代に大切な思いを共有できました。

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今年(2022年)は、初めて泊まりがけの遠征をした年でもありました。「仙台フィルハーモニー管弦楽団 第355回定期演奏会」(金曜夜公演は2022/05/06)。指揮・飯守泰次郎さんのフィナーレ第1弾!ソリスト菊池洋子さんのピアノは若き日のブラームスそのもので、私はようやくピアコン1番の良さに気づけました。マエストロとの信頼関係が窺えるブラ4の重厚感と歌心も素敵でした。

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弊ブログの読者の皆様、今年もありがとうございました。お読みくださっていること、励みになります。来年も引き続きよろしくお願いいたします。

最後までおつきあい頂きありがとうございました。

アンサンブルコンサート 愛と悲しみを謳ったロマン派時代の音楽家たち(2022/12) レポート

http://watanabe-museum.com/event/img/2022/20221216.pdf

↑今回の演奏会チラシです。 ※pdfファイルです。


日本シューマン協会札幌支部主催による、「愛と悲しみ」をテーマにロマン派の作曲家3名の作品を取り上げた演奏会。ブラームスの中でも特に好きな曲の一つであるピアノ四重奏曲第3番に、ブラームスが尊敬していたシューマンシューベルトの歌曲が聴けるとあって、私はとても楽しみにしていました。


アンサンブルコンサート 愛と悲しみを謳ったロマン派時代の音楽家たち
2022年12月16日(土)19:00~ 渡辺淳一文学館 地下1階ホール

【演奏】 ※司会:笹尾 雅代
久慈 睦子(ソプラノ)
西原 なつき(ピアノ)
赤間 さゆら(ヴァイオリン) ※札響ヴァイオリン奏者
鈴木 勇人(ヴィオラ) ※札響ヴィオラ奏者
武田 芽衣(チェロ) ※札響チェロ奏者

【曲目】
R.シューマン:『ミルテの花』op.25 より「献呈」「くるみの木」「はすの花」「ズライカの歌」
F.シューベルト:「春に D.882」「初めての喪失 D.226」「糸を紡ぐグレートヒェン op.2(D.118)」
F.シューベルト:弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調 D.471
J.ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 op.60


それぞれ個性的な歌を通じて、様々な「愛」の形に触れることができました。シューマンシューベルトの歌曲は、一つ一つが短いながらも完結した物語!ソプラノ・久慈睦子さんの表情豊かな演奏と、ぴったり寄り添うピアノ・西原なつきさんのおかげで、それぞれの物語の世界に没頭し楽しむことが出来ました。シューマンが30歳で書いた『ミルテの花』は、色とりどりの花を束ねてブーケにしたような、連作歌曲としたこと自体も「愛」なのかも?最愛の妻クララは大変魅力的な女性だったに違いありません。またシューベルトの場合、29歳で書いた「春に D.882」はシューマンの『ミルテの花』に近い大人の落ち着きを、10代後半に作曲した2つの歌曲(いずれもゲーテの詩に曲を付けたもの)には若者らしい苦悩が感じられました。若き日のブラームスが叶わぬ恋をした「クララ」に、名作『若きウェルテルの悩み』を書いた「ゲーテ」。前半のシューマンシューベルトの選曲は、後半ブラームスと密接に繋がっていると感じられ、プログラム構成の素晴らしさにも私は感激しました。

そして後半、ブラームスのピアノ四重奏曲第3番の生き生きとした演奏がとっても素敵でした!「ウェルテル四重奏曲」とも呼ばれる、作曲家が20代で書いて塩漬けしていたものに40代で大きく手を入れ世に送り出した作品。私はこの日の演奏を聴いて、「若き日の悩み」を客観視している「大人の余裕」がありながら、何年経っても情熱の炎は消えていない!と思えたのがうれしかったです。力強さの影には繊細な感情の機微があり、一歩間違えるとキャラ崩壊してしまう難しい演目と思われます。しかし奏者の皆様は、間合いと呼吸を揃えてテンポや強弱を変化させながら丁寧に感情を作り、パワフルなところも歌うところも魂を込めた演奏にて、ブラームスの複雑な思いを見事に体現してくださいました。ありがとうございます。やはり札響メンバーが参加する室内楽は素敵です!今後も可能な限り聴きにうかがいたいと、今回改めてそう思いました。


最初に司会の笹尾さんからごあいさつ。配布されたプログラムには曲目解説と歌曲の日本語訳が掲載されていました。さらに演奏の合間には司会の笹尾さんによる大変充実した解説があり、演目についての理解が深まり演奏をより楽しめるようになりました。まずはシューマンの連作歌曲『ミルテの花』op.25 より4曲。「献呈」は喜びに満ちた感じで、何度も登場する du の呼びかけが素敵!やさしく語りかけるような中間部の美しさが印象的でした。「くるみの木」は、かわいらしい響きのピアノと、穏やかなソプラノが交互に出てくる素朴な感じ。明るい中にほんの少し影を落としたところが印象に残っています。「はすの花」、愛を繊細に歌うソプラノの儚げな美しさ!また、ピアノが繰り返すシンプルな和音が、感情の変化によって静かなところから感情高ぶるところへと変化していたのも素敵でした。「ズライカの歌」では、穏やかな感じでありながらも、ゆらぐ高音に感情の機微を、またはっきりとした発声には意思が感じられました。演奏機会が多い「献呈」のストレートな愛の表現だけでなく、様々な形の「愛の歌」を聴けてうれしかったです。妻クララへの結婚祝いに贈られたという連作歌曲『ミルテの花』op.25、他の曲も聴いてみたいと思います。

シューベルトの歌曲から。「春に D.882」は、春の暖かな日差しを思わせるピアノと、やさしい響きのソプラノに心温まる印象。中盤ほんの少し不穏な感じになり、微妙な感情の機微が感じられました。明るい雰囲気から一転、「初めての喪失 D.226は、「ああ」の第一声からものすごい衝撃!独白のような演奏は、とにかく寂しく切なく、胸打たれました。そして「糸を紡ぐグレートヒェン op.2(D.118)」。糸車が回るようなピアノに、激しい思いを歌うソプラノに圧倒されました。感情が高まり頂点に達して(『ああ彼の口づけ!』のところ?)、一時の沈黙があったところの気迫がすごい!後半2曲はいずれもゲーテの詩にシューベルトが18歳と17歳の時に曲を付けたものとのこと。これらの歌曲を聴く限り、「若きウェルテルの悩み」は若き日のシューベルトにもある!と私はそう思えました。

シューベルト「弦楽三重奏曲第1番」シューベルトが父親との関係で苦悩していた頃の作品だそうです。司会の笹尾さんからシューベルトがこの頃に書いた詩「私の夢」の紹介があり、その一部が朗読されました。未完成の作品で、完成された第1楽章のみの演奏です。私にとって初聴きだったこちら、個人的には「苦悩」とはすぐには結びつかない、春に鳥が歌っているような明るさを感じました。流れるように美しい歌の中で、3名がユニゾンで弾く堂々としたところや、主にヴィオラが音を刻んでリズムを作っていたところが印象に残っています。弦楽四重奏でもピアノトリオでもない、この編成ならではの掛け合いを楽しめました。


後半はブラームス「ピアノ四重奏曲第3番」。第1楽章、最初のピアノの力強い一打と、続くゆっくり歩みを進める弦に早速心掴まれ、ピッチカートを皮切りに重厚パワフルな歩みになって、ほの暗いザ・ブラームスな音楽にゾクゾク。音の刻みが脈を打つような、まさに生きた音楽に聴き惚れました。次第に盛り上がって高らかに歌うところの流れは、相反する性格が自然に繋がっていて素敵!自らの若き日の苦悩を客観視して、それを大人の余裕で昇華させる、この曲の良さを実感しました。そして力強く生き生きとした第2楽章がすごく良かったです。リズミカルにピアノと弦が呼応しながら、感情が頂点に達したときの強響による堂々たる響きがすごい!個人的には「泣き笑い」とも感じられる、感情を爆発させるヴァイオリンに、それを鼓舞するようなヴィオラ&チェロの音の刻み、そしてドラマチックなピアノと、全力での演奏に圧倒されました。この凄みに、楽章終わりには会場に自然と拍手が起きたほど。ガラリと雰囲気が変わる第3楽章は、ゆりかごのようなピアノに乗ってゆったり歌うチェロがとっても素敵!後からヴァイオリンがメロディを引き継いでからの支えになったチェロも良くて、ブラームスのチェロを堪能しました。ピアノが主役のところでチェロとヴィオラが交互にピッチカートでリズムを作るところや、後半のヴィオラ&チェロ&ピアノの三重奏も印象に残っています。第4楽章、高音で哀しげに歌うヴァイオリンに引き込まれ、ドラマチックな流れから弦による感情の波が頂点に達するところが超カッコイイ!続くゆったりした流れでは、ピアノがピアニッシモで何度も音階を駆け下りるのがブラームスらしくて素敵!最初のメロディを今度は低音域で歌ったヴァイオリンの深みのある音色にぐっと来ました。終盤の分厚いピアノの存在感!ラストは音がだんだん消えいってからのインパクトあるジャンジャン!で締めくくり。情熱的な曲の大熱演、血の通った音楽に最初から最後まで夢中になれました!

最後は出演者のかた全員が舞台へ。司会の笹尾さんからのごあいさつと、赤間さんから「新進演奏家育成プロジェクト・オーケストラシリーズ」のお知らせがあり、会はお開きとなりました。今回のような、テーマを設定して歌曲と室内楽を組み合わせる企画、これからもぜひお願いします!シューマンシューベルトブラームス、いずれも歌曲と室内楽に素晴らしい作品を数多く残していますから、次はどんな作品と出会えるか、とても楽しみです。


渡辺淳一文学館で聴いた室内楽のコンサート。こちらもテーマを設定して複数の作曲家の作品を取り上げた会でした。「フォーレ、そして彼と出会った作曲家たち」(2022/10/01)。フォーレピアノ五重奏曲をはじめ、ドビュッシーラヴェルサン=サーンスの作品は、重厚さでガツンとくるドイツ系とは異なる繊細な響き。しみじみ素敵でした。

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愛の歌といえばこちらも。「ウィステリアホール プレミアムクラシック 17th ソプラノ&ピアノ」(2022/07/31)。ソプラノ中江早希さん&ピアノ新堀聡子さんによる愛の物語。シューマン「女の愛と生涯」や中田喜直「魚とオレンジ」、直江香世子さんの小品等、魂の込められた演奏を通じて様々な人生を生きたスペシャルな体験でした。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。