自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

コメント・ご連絡はすべてツイッターにお願いします。ツイッターID:@faf40085924 ※アカウント変更しました。
※無断転載を禁じます。

札幌交響楽団 第626回定期演奏会(土曜昼公演) (2020/02) レポート

はじめにお知らせ。今回の札幌交響楽団第626回定期演奏会(金曜夜公演)は、3/1 14:00~ NHK-FMで放送予定だそうです。皆様ぜひご聴取ください。

www.sso.or.jp


また、2/7(金)にはサントリーホールにて札幌交響楽団 東京公演2020があります。今回の定期演奏会の演目のうち、モーツァルト交響曲第39番」はマーラー亡き子をしのぶ歌」に変更となります。バリトンはディートリヒ・ヘンシェル。首都圏にお住まいの皆様はぜひお聴きください!

www.sso.or.jp


2019-2020シーズン「バーメルトの四季」のラストとなる「冬」公演は正統派独墺プログラム。キタラに隣接する公園の池はスケートリンクのように凍り、道もツルツルになっている冬真っ盛り。しかし開演前に当日券売り場前には長蛇の列ができていて、真冬の公演でも始まる前から大変な熱気を感じました。

それでは演奏会の感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


札幌交響楽団 第626回定期演奏会(土曜昼公演)
2020年02月01日(土) 14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト

管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】


今回のコンサートマスターは田島高宏さんでした。

ツイッターでの速報は以下。


個人的にはベト7がとにかく良かったんです!私は以前企業主催の札響の演奏会でベト7を聴いていますが、今回は前回よりずっと楽しめました。以前は塊でしか聞こえなかった音が、今回は各パートがはっきりと捉えられた気がします。私の経験値が上がった?いえ演奏の質そのものが向上しているのだと思います。ベートーヴェン生誕250年のはじめにこんなに素敵なベートーヴェンが聴けたことに感謝します。私はこの日ちょっと貧血がひどくて体調最悪だったのですが、聴きに来て本当に良かったです。

ロビーコンサートデトレフ・グラナートコントラバス四重奏のための4つの小品」。バラード、ワルツ、シャンソン、ロマンスの4曲を続けての演奏。コントラバス大好きな私は超楽しみにしていました。コントラバスは下川朗さん、首席奏者の吉田聖也さん、副首席奏者の稲橋賢二さん、飯田啓典さん。奏者の皆様が大きなコントラバスを抱えて颯爽と歩いてこられる姿を拝見した時点で、既に私の完敗です。しかも4人も!どうしよう!正式入団したばかりの下川さんが弦楽四重奏で言うところの第1ヴァイオリンのポジションを担当し、少し小ぶりのコントラバスで主に主旋律を演奏されていました。コントラバスは意外に音域広くて、メロディを奏でるのもお手の物なんですね。しかし楽器が大きいため、高音域では楽器の上から前屈みになって下の方の弦を押さえる姿勢になってなかなかツラそうでした。でも聴き手としては音楽そのものを大変楽しませて頂きました!私は4曲の最初から最後まで全部好きになったのですが、特にシャンソンのリズム感と響きが印象的で、あっという間に終わったのが惜しいと思ったほど。「歌う」のはチェロのようでありながら、低音域やピチカートの迫力はやはり格が違う感じで、理屈じゃなくお腹の下の方に響いてくる振動がたまらなく良いです。まってまって!ああすごい!といちいち心の中で叫んでいました。低音がズンズン響いてくるのを全身で感じ取れるのは、演奏をすぐ近くで聴けるロビコンならでは。大袈裟じゃなく「立っていられない」って思ったのは、貧血のせいではないはず(笑)。


会場に入ると、つい先ほどまでロビコンで演奏していらしたコントラバスの皆様が既に舞台上で自主練をしていました。ベト7という鉄板の演目のためか客入りは上々で、9割以上の席が埋まっていました。ちなみに今回私が割り当てられた席は2階LBブロック。少しステージは遠かったですが全体が俯瞰できてよかったです。ただ、ちょうど首席チェロ奏者のかたが指揮のバーメルトさんの影に隠れてしまう角度で、個人的にそれだけはツラかったです(苦笑)。そして今回はバーメルトさんは全曲暗譜(!)で、指揮者の譜面台はありませんでした。

1曲目はウェーベルン編曲によるシューベルト「ドイツ舞曲D820(管弦楽版)」。曲目解説によると、バーメルトさんの強い思い入れがあり演目に組まれた曲とのこと。演奏機会は少なく、札響では1981年4月の定期演奏会(指揮:岩城宏之)に一度演奏したきりだったようです。編成は小さく、弦と木管(フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2)のみ。ウェーベルンの師であるシェーンベルクが編曲したブラームスのピアノ四重奏曲第1番には金管と多彩な打楽器が入っていたので、少し意外でした。「舞曲」とはいっても、全体的にゆったりしていたためか私には「踊る」ようにはあまり感じられず、弦の美しさと木管の温かみのある音色が心地よかったです。ピアノ独奏曲という原曲とも聞き比べてみたいと思いました。今回聴いたオケでの演奏では時々ほんの一瞬悲しげな雰囲気になるところが印象的で、そこがピアノではどのような演奏をされるのかが気になります。

2曲目はモーツァルト交響曲第39番」。1曲目の編成にティンパニとトランペット2人が加わり、弦の人数も増えてコントラバスは7人体制に。金管が少ないのはともかく、木管オーボエはナシでフルートも1人というのが珍しいなと思いました。しかしフルートは1人でも圧倒的な存在感。もちろん掛け合うクラリネットも負けてないです。第1楽章と第4楽章では、ヴァイオリンが高音の美メロを奏でているときの低音の弦が個人的にはツボでした。チェロだけでなくコントラバスも忙しそう。それでもベートーヴェンブラームスとは違う活かし方のように感じ、主旋律以外のところに作曲家の個性が出るのかもしれないなと思ったり。モーツァルトのゆったりした美メロを楽しめるはずの第2楽章は睡魔に襲われて(ごめんなさい!でも寝てません)、その鼓動について行けば大丈夫と勝手に頼りにしているティンパニもお休みしているしで、ぼんやり聴いていたのを告白します。第3楽章は第1楽章と少し似た堂々としたところがあったおかげで比較的聴けました。私はモーツァルトには慣れていないだけで、聴き方さえマスターできれば楽しめるようになると思っています。体調万全なときに再チャレンジします。

休憩後はベートーヴェン交響曲第7番」。プログラムによると、札響での演奏歴は実に140回(!)。人気がある曲は演奏機会も多いんですね。木管とトランペットは2管ずつのオーソドックスな編成。最初からパワフルなベートーヴェン節全開の第1楽章、全員合奏では低音の弦にいちいちゾクゾクしていました。やはりモーツァルトとはチェロとコントラバスの使い方が違います。穏やかなところで歌う木管が素敵。バーメルトさんがこだわるという強弱の「弱」の部分でも、各パートがしっかりと演奏しているのが伝わってきました。個人的にはこの曲で唯一の短調である第2楽章が好きです。冒頭、管楽器の音が「ブラ4第4楽章とそっくり」と感じ、トロンボーンはいないのに不思議だなと。基本は葬送行進曲のような独特のリズムとメロディの繰り返しですが、変化をつけながら主旋律を各パートでリレーしていてずっと聴いていたいほど。そして何より低音が効いているのが良くて、私はこの日特にコントラバスに注目していたのでうれしかったです。第2楽章があるからベト7は映えるんだと思います。第3楽章は前の楽章から雰囲気ががらりと変わって、このリズム感が良いです!途中少しゆったりするところでは、ホルンはじめ木管が歌うのに伴奏する控えめな高音の弦がまた素敵で。そしてティンパニがここぞというときにバシッとキメてくださる!頼りにしてますティンパニ!そのまま続けて大盛り上がりの第4楽章へ。すっごい!全員が全力投球の素晴らしい演奏で、文句なしに気分が高揚します。ベートーヴェンは生命力あふれる人物だったんでしょうねきっと。これを聴いて「良い」と感じられるうちは私もまだ大丈夫と思いたいです。そして、うん確かにブラボーが早い人がいましたね。私も気になりました。ただ、個人的にはこの後のモーツァルトの繊細な音楽の最中にビニールがさごそする音が響いたのがもっと残念でした。色々な人がいますね…。演奏が素晴らしかっただけに、演奏とは違うところでがっかりさせられると気になってしまいます。自分も気を付けようと思いました。

今回はほぼ同じ演目での東京公演を控えていることもあり、通常の定期演奏会では行われないアンコールがありました。モーツァルト「カッサシオンK.63より"アンダンテ"」。弦のみでの演奏で、穏やかな美しい曲を札響の透明感のある響きで楽しませて頂きました。面白いなと思ったのが、コントラバスとチェロはひたすらピチカートで、ヴィオラもごくたまに弦を擦っていましたが基本ピチカートだったこと。録音だとおそらくよくわからないピチカートの響きも堪能でき、ライブの良さを改めて実感しました。サントリーホールでの東京公演でもきっと喜ばれると思います!東京公演のご盛会をお祈りいたします。

 

きっと私は何もわかっていないんです。分かる人であれば気づけるところだって華麗にスルーしてしまっているはず。それでも今ここにしかない音楽を、その場にいて肌で感じることができるのはなによりうれしい。いつだってその時の自分なりに楽しむ、それでいいと考えています。そしてどんなに内容が薄くても、その時の気持ちを書き記しておきたいなという気持ちもあり、実行しています。私のような素人の言うことを鵜呑みにする人はいないと思いますが、私が「こんなふうに感じたよ」と発信することはどうぞ大目に見てやってください。


私が札響定期演奏会デビューしたのはちょうど一年前のバーメルトさん指揮による演奏会でした。私はブラ2がお目当てでしたが前半2曲にも打ちのめされて、大変思い出深いデビュー戦となりました。おそるおそる書いたレビューは以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

2019-2020シーズン「バーメルトの四季」の「春」公演はフランスプログラム。普段自分では聞かない曲を大いに楽しませて頂きました。また練習見学会もあり、人が少ないキタラは音がものすごくキレイでびっくりしたんですよ。レビューは以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

「バーメルトの四季」の「夏」公演はブラームス中心のプログラム。個人的に大好きな演目揃いでしかもテレビ放送まであった記念すべき演奏会です。以下のリンクは演奏会そのもののレビュー記事です。なおテレビ番組のレビューも別途弊ブログにアップしています。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

「バーメルトの四季」の「秋」公演はモーツァルトワーグナー。私は初めての名曲シリーズで、普段聞かない作曲家の曲を思いの外楽しめたのはうれしい誤算でした。また、セット券購入者対象のバーメルトさんとの交流会もあり、すぐ近くでバーメルトさんとお話したり記念撮影をしたりと生涯忘れられない思い出となりました。レビューは以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後に。「2020-2021シーズン『札幌交響楽団主催演奏会』ラインナップ」が発表されています!

www.sso.or.jp

セット券もバラエティに富んだ企画揃い。私はセット券を複数購入する方向で検討していて、最終的には演目と特典で決めようと考えています。札響のある人生は素敵です♪


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c