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森の響フレンドコンサート 札響名曲シリーズ「モーツァルト×ワーグナー」演奏会および「バーメルトの四季」交流会(2019/10) レポート

「バーメルトの四季」の「秋」は札響名曲シリーズ「モーツァルト×ワーグナー」。私は名曲シリーズは初めてです。演奏会当日、Kitara隣接の公園はすっかり秋の風景。紅葉や黄色い葉っぱがとても美しく、しきりに写真を撮っているかたや、銀杏を拾っているかたがいました。

正直に言うと、私、今回は一回券では選びません(ごめんなさい)。セット券があって、しかも演奏会後にセット券購入者対象のバーメルトさんを囲む会があるのが楽しみで、足を運びました。それでも札響の生演奏はやはり素敵で「行って良かった!」と心から思えましたし、交流会もとても楽しかったです。たまには守備範囲外にチャレンジするのも大事!今回の感想はいつもよりさらにフワフワしたものになりそうですが、自分の感激を少しでも覚えておきたいがためにレビューを書きました。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


森の響フレンドコンサート/札響名曲シリーズ「モーツァルト×ワーグナー
2019年10月26日(土) 14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト
【独奏】
田島高宏(札響コンサートマスター)(ヴァイオリン)
廣狩亮(札響首席奏者)(ヴィオラ

管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】

今回のコンサートマスターは大平まゆみさんでした。

ツイッターでの速報は以下。

 

まーいつもにもまして内容が無いフワフワコメント…。でも私、楽しかったですよ!実は私、別の演奏会で「よく知っている曲」の演奏が思っていたのと違って戸惑う経験をしたばかりです。今回のようにむしろ何も知らないまっさらな状態で聴くと、色々な思い込みに邪魔されず純粋に楽しめた気がします。もちろん私は知識がないため演奏内容まで深くは理解できていません。しかし食わず嫌いだった作曲家とその作品を「意外と美味しい」と思えたのが今回の収穫です。そしてこんなの当たり前すぎて言うとお叱りを受けるかもしれませんが、なんといっても「Kitaraで聴く札響は最高!」だとしみじみ思ったんですよね。私が札響の演奏会を聴くのは8月以来なので2ヶ月ぶりでした。その間に別の演奏会をいくつか聴き、Kitara大ホールにも数回足を運んでいます。どの演奏会も素敵でしたし他意は無いのですが、今回演奏が始まってすぐに「ああこの感じ!」と全身がゾクッとしたんですよ。そしてアンコールに至るまでずっと気持ちいい!安心して自分を丸ごと委ねられるって幸せです。私やっぱり札響を愛しています!

ちなみに今回は3階席が割り当てられました。CCブロック中央あたりです。私は初めて座りましたが、全体を俯瞰できますし音は良かったです。少し舞台が遠いので、酔わない程度に時々は双眼鏡を使いました。今回は作曲家人気のおかげか、客入りは上々で9割近くの席が埋まっていました。また今回はプログラムノートがとても面白かったです。札響定期のプログラムよりボリュームは少なく1曲1曲の解説は短いものの、音楽ジャーナリスト池田卓夫さん独自の視点が大変興味深いものでした。映画監督ルッキーノ・ヴィスコンティとあのヒトラーをあげて今回の選曲を紐解いています。音楽には力があるだけに、ヒトラーのような独裁者に利用されてしまったのは悲劇です。しかしその悲しい過去はしっかりと認識した上で、私達はクラシック音楽と向き合っていく必要があるのかもと私はぼんやりと思いました。

演目に入ります。前半はモーツァルトです。1曲目は「劇場支配人」序曲。5分弱の短い曲で、モーツァルトらしい華やかな印象の曲でした。高音の弦の美しさと木管の温かみのある音色に癒やされます。2曲目は「協奏交響曲 変ホ長調。独奏ヴァイオリンと独奏ヴィオラがオケと協奏する曲です。私、以前ブラームスの二重協奏曲のレポートで「弦の独奏2人体制の協奏曲はめずらしいのでは?」といった趣旨のことを述べましたが、なんとモーツァルト大先輩も作曲しておられたのですね。大変失礼しました。しかもプログラムによると、モーツァルトはヴァイオリン教本を書いたお父さんの影響で弦楽器でも神童であり、特にヴィオラの腕前は確かなのだそう。様々なことを知る度に、自分の無知を思い知らされます…。話を戻すと、今回のソリストはいずれも札響メンバーからで、独奏ヴァイオリンがコンサートマスターの田島さん、独奏ヴィオラが首席奏者の廣狩さんでした。1月の定期で聴いたマルタンの曲でもそう感じたのですが、客演でスター的なソリストを迎えなくても札響には既に実力があるソリストが揃っているというのは本当に素晴らしいと思います。演奏の話に移ります。私が聴いた印象では、独奏ヴァイオリンと独奏ヴィオラは同じメロディを交互または同時に演奏しているところが多い印象で、その点はブラームスの二重協奏曲とは違うなと思いました。独奏はお二方ともさすがの安定感で、安心して美メロを楽しめるのがよかったです。独奏ヴァイオリンはもちろん素晴らしかったですが、私が特に心奪われたのは独奏ヴィオラです。ヴィオラってこんなに雄弁だったんですね。今までノーマークで本当にごめんなさい!プログラムによると、この曲では独奏ヴィオラは通常より半音高い特殊調弦をしているそうなので、これがそのまま通常のヴィオラの音色では無いことは念頭に置かなくてはいけません。それでも、いつも主旋律を担うヴァイオリンより少し低い音で、ヴィオラが同じメロディを奏でたときの良さといったら!低音とは言い切れない、少し影がある高音が何ともいえず素敵で新鮮でした。ドラマに例えたら名バイプレーヤーとも言えるヴィオラの実力、おそれいりました。良いものを聴かせてくださり感謝です。そして独奏を包み込むオケも高音から低音まで弦がととにかく美しく、やっぱり札響の弦は最高だなとしみじみ。そこにホルンはじめ管楽器の音色がふくらみを持たせてくれるのがまた良くて、やはりモーツァルトは天才なのでは?と、子供の作文レベルの感想で申し訳ありません。

休憩をはさみ後半はワーグナーです。前半モーツァルトより編成が大きくなっていて、私が好きなコントラバスは7台もいました。チューバはじめピカピカの金管楽器も揃っています。といっても、私の印象は「思ったよりは編成大きくはないな」でした。同じ札響・同じkitaraで聴いたベルリオーズ幻想交響曲サン=サーンス交響曲第3番オルガン付きはかなり編成が大きかったので、それらと比べたら編成は小さい方とさえ思います。この編成であんなにスケールの大きな曲を表現できるワーグナーって只者じゃ無いです。後半1曲目は「リエンツィ」序曲。オペラのお話を含めヒトラーが好んだそうなので、どんなに勇ましい曲なんだろうと私は聴く前から身構えていました。しかし実際の演奏を聴いて私は良い意味で驚くことに。なにこの壮大さと奥行きは!打楽器と金管が活躍する曲はドンチャカするのが相場だと思い込んでいたのに、私は派手さよりもスケールの大きさを感じました。さらに美しい弦と木管とも調和している味わい深さ。やりますねワーグナー!今まで食わず嫌いでごめんなさい。ワグネリアンと呼ばれる熱狂的なファンがいるのも頷けるなと、私は1曲目を聴いてそう思いました。

2曲目はトリスタンとイゾルデ前奏曲と愛の死。プログラムによると、コンサートでは楽劇に登場する「前奏曲」および「愛の死」の別々の2曲を切れ目なしでつなげて演奏することが多いのだそう。今回もそのスタイルでした。冒頭はとても繊細で小さな音から。ごくごく小さな音でも3階席まで十分に届きました。こんな小さな音なのに強烈なインパクト。さすが札響の演奏、さすがkitaraの音響です。強弱にこだわるバーメルトさんのことですから、リハーサルの時は何度も「ピアニッシモピアニッシモ!」と強調されたんですよねきっと。曲の中盤にもピアニッシモの部分がありましたが、もちろんバッチリ。そして私の大好きな札響の弦がとにかく美しくて、ワーグナー金管という私の勝手な思い込みはどこかへ吹き飛びました。しかし金管は放置プレイされているわけではなく、木管と同じくらい活躍しているようでした。やはりブラームスとは違います(笑)。

3曲目はおなじみニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲。私でもさすがに知っている曲です。出ましたこれぞまさにワーグナー!低音が効いた重厚感、堂々とした風格。ワグネリアンでなくとも気分が高揚します。こんな曲を、最高の音響のkitaraで、札響による最高の演奏を聴けるのは大変贅沢で恵まれているなと改めて。もちろん今回の3階席でも私は十分に堪能できましたし音に不満はありませんが、2階最前列等のSS席だとどのように聞こえたんだろうと少しだけ思いました。

名曲シリーズはロビーコンサートがないかわりにアンコールがありました。ワーグナーローエングリン」第3幕への前奏曲。私は演奏が始まってすぐ「ローエングリンだ!」とわかりました。ワーグナーは守備範囲外の私にもすぐわかる、ザ・ワーグナーの戦闘力高そうな曲。フォルテッシモフォルテッシモ!愛がすべてさ!低音の金管がパワフルで超カッコイイです。最近金管楽器の音色に惚れた息子にも聴かせてあげたかった…と、彼を連れてこなかったのを少しだけ後悔。大盛り上がりのフィナーレを迎え、会場は拍手喝采となりました。楽しかったです!バーメルトさん、札響の皆様、ありがとうございました!


私が名曲シリーズを聴いたのは今回が初めてでしたが、とても良かったです。1曲1曲が短めなので、たとえ守備範囲外の曲であってもチャレンジしやすいスタイルになっていますし、クラシック音楽の演奏会にあまり慣れていない人にも聴きやすそうです。私、今までなぜかスルーしていたのが残念でなりません。今後は名曲シリーズにも積極的に足を運びたいと思います。

 

そして今回は終演後に「バーメルトの四季」購入者対象の交流会がありました。今回はこちらについてもレポートします(※掲載許可は頂いています)。なおメモが追いつきませんでしたので、内容に一部抜けがある点はご容赦願います。もちろん間違い等がありましたらお知らせください。

参加者は10名強。普段は一般の人は入ることが出来ないバックヤードに入れてもらい、自販機がある部屋でテーブルを囲んで約30分ほどの会でした。さらっと書きましたが、冷静に考えると世界的な指揮者とすごく近い距離でおしゃべりできるなんて、すごすぎますよね(※語彙力がお留守)。司会進行と通訳は以前5月の練習見学会でも通訳をしてくださった女性でした。お着替えを済ませたバーメルトさんが入室すると皆で拍手でお出迎え。バーメルトさんは開口一番「演奏はいかがでしたか?私は何も音を出していませんが」とおっしゃって、その場にいた全員が拍手でこたえました。

まずは事前に回収された、参加者からバーメルトさんへの質問が順番に読み上げられ、それらにバーメルトさんがコメントしていきました。

  • 札幌の人達に知って欲しい曲があれば → 8月の定期演奏会の「ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽版)」のような曲はぜひ紹介したかった。あとは日本人作曲家の作品。音楽は生きている芸術で、演奏しないと作品は「死ぬ」。
  • 札響に似合う作曲家は? → フレキシブルなオケで、(本日の)モーツァルトワーグナーの両極端でも良い演奏をした。スペシャリストにはなりたくない。すべてをうまくやりたい。
  • (学校の先生から)子供達へ音楽を教えることについて → 以前5-6才の幼稚園児を対象に音楽会をしたことがある。子供は短い時間に集中するので30分ちょっと。小さな子に言いたいのは、音楽は聴くだけでない「世界」であるということ。音楽は何だって表現できると小さいうちからわかってもらいたい。
  • バーメルトさんが札幌をテーマに作曲するとしたら? → もう作曲家ではないので(一同笑い)。作曲はもうできない。作っていたときは自分が考えた曲で夜中に目が覚めていた。指揮者は自分では無い人の作品で目が覚める。札幌をテーマに作曲は、今は考えられない。
  • これから札響とどんなことがしたい? → より良くなりたい。広がっていきたい。もっと色々なことがしたい。定期のテーマは今年度が「What composers do to other composers...(作曲家が作曲家に出会うとき…何を感じ、何を与えただろう?)」、そして次年度は「Fairy Tale(おとぎ話)」。(テーマに沿って)「つながる」定期演奏会(を目指している)。


次はバーメルトさんから参加者へ「札響のどこが一番好き?」という質問があり、参加者が順番にこたえていきました。「札幌に楽団があるのがありがたい」「身近な楽団で一人一人の奏者のことがわかる」「弦がとても綺麗」「素晴らしいホールとそれに見合ったサウンド」等、様々なことがあげられました。中には英語でお話していたかたも。ちなみに私は堂々と日本語です(笑)。マエストロは頷きながらニコニコと聴いてくださっていました。目立ったコメントを返してくださったものについては以下の通り。

  • 気持ちをクリアにしてくれる → よかったです。
  • 色々なキャラクターのプレーヤーがいる → あなたのオーケストラです。
  • 楽しくても哀しくても心を癒やしてくれる、聴くとほっとできる → それが音楽です。
  • 初めの頃と比べると、世界に通じるオケになっている → その通りです。これからも(進歩を)続けていきたい。

そして参加者が順番にサインを頂いたり写真撮影をしたり。私は「バーメルトの四季」のチケット冊子の表紙にサインを頂き、バーメルトさんと並んで写真を撮って頂きました。肩に手を回してくださり、ドキドキです(笑)。冊子も写真も家宝にします!全員分が済んだところで、搭乗する飛行機の時間が迫っているとのことで、「また冬に来ます」とおっしゃりバーメルトさんが退出。拍手でお見送りしました。

バーメルトさんがお話しした内容は、以前テレビ番組でおっしゃっていたこともあれば、ここで初めて聞いたこともあり、とても興味深かったです。バーメルトさんは「私は何も音を出していない」とどこまでも謙虚でありながら、音楽の力を信じていらして、これから札響と一緒にさらに高みを目指したいとの熱い想いがある、素晴らしいかたです。私、ますますバーメルトさんのことが好きになりました!そしてスタッフの皆様、今回が初めてという交流会の企画を本当にありがとうございます。大変貴重な経験ができました。「バーメルトの四季」、来年度も必ず購入します!


バーメルトさんが「ぜひ紹介したかった」とおっしゃった「ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽版)」は2019年8月の第621回定期演奏会で演奏され、その様子がEテレクラシック音楽館」で放送されました。その番組レビュー記事は弊ブログにあります。以下のリンクからどうぞ。レビュー記事では、バーメルトさんがテレビのインタビューで語った内容はすべて書き起こしています。また、演奏会そのもののレポート記事や過去のHTBドキュメンタリー番組レビュー記事へのリンクも掲載しています。 

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私の金管楽器へのアレルギーが完全に無くなり、むしろとても好きになったのは、少し前に聴いた金管五重奏の影響もあるかもしれません。ドラクエの音楽が好きな息子の付き添いで行ったこのコンサート、すぎやまこういちさんと東京都交響楽団トッププレーヤーの皆様のトークもあり、とても楽しかったです。よろしければそのレビュー記事もお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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札響首席奏者のソリストといえば、札響首席チェロ奏者の石川さんがソリストとして札幌室内管弦楽団と共演したコンサートが同じ2019年10月にあり、私はそちらも聴きました。石川さんのチェロ独奏、痺れましたよ!何度でも聴きたい!よろしければそのレビュー記事もお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c