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クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

札幌交響楽団 第615回定期演奏会(金曜夜公演) (2019/01) レポート

私にとっては初の札響定期演奏会です。ずっと前から気になっていたコンサートにもかかわらず、年末の第九そして今回のブラ2の2公演を海外オケの1公演とトレードした個人的な経緯からチケットを買えずにいました。また前の週にインフルエンザに罹患してしまい、病み上がりだったのですが「やはり行きたい!」と思い、急遽チケットを購入。快く送り出してくれた家族に感謝です。

私は病気を人に移す時期は過ぎていたものの、咳が残っていたため咳止め薬と龍角散を服用しマスク着用した上で出発。最寄りの地下鉄駅から外界に出るとKitara隣接の公園は完全に雪景色で、静寂の中で雪を踏みしめるグッグッという音を聴きながら会場に向かいました。

なお、1/30には2曲目のみが異なるプログラムで東京公演が予定されています。そちらについて指揮のマティアス・バーメルトさんへのインタビュー記事がweb上にありましたのでリンクを貼っておきます。1曲目モーツァルトと3曲目ブラームスの解釈について理解の手助けになると思います。

ebravo.jp


また、弊ブログ記事『「ドキュメンタリー札幌交響楽団 アルプス交響曲」(HTB制作・2018年12月22日放送) レビュー』へのリンクも貼っておきます。「マティアス・バーメルトさん指揮の札響定期演奏会に行きたい」と私の背中を押したのは、この番組と言っても過言ではありません。

 

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今回はこちらの演奏会の感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。なお、ひどい間違いは指摘頂けますと助かります。


札幌交響楽団 第615回定期演奏会(金曜夜公演)
2019年1月25日(金) 19:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト
管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】


まず入口が「チケット」「会員証」の2種類に別れていることに軽く驚き、そうか今日は定期に来たんだった…と再認識しました。ガチ勢に私のような一見さんが混ざるなんて…とおそるおそるでしたが、ロビーコンサートを聴きながらだんだんと気持ちがほぐれていきました。演奏を聴きながらロビーを見渡すと、「私ももっと自然体でいよう」と思えてきたのです。割と皆さん普段着で気負わずに来場している印象で、良い意味でクラシック音楽を身近に感じておられる方達とお見受けしました。またご家族やお友達同士でいらしたかたもいれば、おひとりさまも大勢いらっしゃって、とても自由な印象でした。勝手に高い壁を作っていたのは自分のほう。直接言葉を交わすことはありませんでしたが、クラシック音楽を愛する皆さんとあの場で生演奏を共有できたことはとても幸せでした。

私はドヴォルジャークの「アメリカ」は曲名は聞き覚えがあったものの、演奏を聴くのは初めて。約15分の短縮版でしたがインパクトのある曲で、個人的にはベースにずっと「シュッポシュッポ」と汽車が走るような音が聞こえていました(※気のせいかも)。至近距離で演奏を拝見できる貴重な機会に感謝です。演奏後、第1ヴァイオリンのコンミス大平さんが第2ヴァイオリンの織田さんをハグ。プログラムによると織田さんは1月末で退団が予定されているのだそうです。なお配布されたプログラムは、各曲の解説には楽器構成に加え「札響演奏歴・初演・前回の演奏」の情報まで書かれてあり、また「おしらせ」記事等が大変充実していました。こちら大事に保管しようと思います。

私はCD販売や展示をざっと見てからホールに入りました。ステージでは自主練をされている奏者のかたが数名。ヴィオラのかたがブラ2第1楽章の美メロ(少し「ブラームスの子守歌」と似ているところ)を練習されていて、ああやはり聴かせどころなんだわ…と少し嬉しくなりました。

きっと今回の選曲テーマなのでしょう。ポスターには「夜想、協奏、交響」とありました。そして私はもう一つ隠しテーマを見つけました。偶然なのかもしれませんが、メインのブラ2およびモーツァルトの最初の曲とアンコール曲が「ニ長調」。ネット情報によるとニ長調モーツァルトの曲には多いのだそう。しかしブラームス短調の曲の印象が強いです。にもかかわらず、ブラームス交響曲第2番はニ長調。そしてこれまた偶然かもしれませんが、先日プラハ響の演奏会で聴いたブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」もニ長調でした。改めて聴くとこの2曲は冒頭部分が少し似ている気がします。調べたところ、「ヴァイオリン協奏曲」op.77は1878年、「交響曲第2番」op.73は1877年に作曲されていて、いずれも避暑地ペルチャッハで作曲を進めたようです。ちなみに同じくペルチャッハではヴァイオリンソナタ第1番ト長調『雨の歌』op.78が1879年に作曲されています。いずれも美しい曲ばかりで、ペルチャッハはきっと良いところなんだろうなと想像をかき立てられます。もちろんこの頃のブラームス交響曲第1番のプレッシャーから解放されて、心穏やかに創作活動ができた時期でもあるのだと思います。夏に生まれた曲を真冬の札幌で聴くのも何かのご縁。モーツァルトでは当然かもしれない「伸びやかさ」は、ブラームスではある意味レア。開演前は新たな扉が開かれる期待感でワクワクしていました。

オーケストラメンバーが入場し(コンミス大平さんはパンツスーツからロングスカートにお着替えしていましたね)、続いて指揮のマティアス・バーメルトさんの登場。いよいよ開演です。最初の曲はモーツァルト「セレナータ・ノットゥルナ」。楽器の構成は、弦楽の4名(第1ヴァイオリン・第2ヴァイオリン・ヴィオラコントラバス)のソリストと各弦楽器、およびティンパニ(胴体が金属製のものでした)で、他の打楽器および管楽器はナシの小規模なもの。チューニングにオーボエがいないのは新鮮でした。チェロではなくコントラバスがソロとして入ってくるのでなじみのある弦楽四重奏の構成とも少し違っていて、また密かにティンパニが良い仕事をしているような印象。ソロの部分も全員参加の部分も聴き応え十分で、限られた楽器編成でも各パートが最大限に魅力を発揮していたように感じました。15分ほどの短い曲ですが、弦楽器の音色を存分に堪能でき「私やっぱり弦楽器好き」と再認識。札響を形容する「透明感のあるサウンド」とは、弦楽器の響きによるものなのかも?とも思いました。ちなみにこの曲での指揮のマティアス・バーメルトさんの動きは少なく、奏者の皆様のペースにほぼ任せていたようにも感じました。なお、ソリストは第1ヴァイオリンはコンマス田島さんだとわかりましたが、他のソリストのかたはお名前がわかりませんでした。続くマルタンの曲も同様です。申し訳ありません。

2曲目はマルタン「7つの管楽器とティンパニ、打楽器、弦楽のための協奏曲」。これまた珍しい楽器編成の曲で、1曲目とは違い今度は管楽器が主役。指揮者を要にして扇状に7名の管楽器ソリストが並ぶ様子は壮観でした。またティンパニもソロ扱いで重要なポジションに。他の打楽器と弦楽器は縁の下の力持ちとして支えます。プログラムによると、札響は過去に1回だけこの曲を演奏したことがあって、その時のソリストはPMF2001の皆様だったようです。ということは、札響オリジナルメンバーから各管楽器のソリストを出して演奏するのは今回が初。激レアなこの演奏を拝聴できたことに感謝します。私は漠然と「弦楽器が好き」と思っていて、失礼ながら管楽器に注目することは今までほとんどなかったため、ソロで活躍する管楽器がとても新鮮で「もう一度聴いてみたいな」と素直に思えた演奏でした。フルートがあんなに雄弁だとは知らなかったですし、オーボエは優雅なだけじゃない力が感じられました。ついオーボエに耳を奪われがちでしたが、オーボエに負けない美メロを奏でるクラリネットファゴットにも個性があると今更ながら認識。ホルンは長くのばす音だけでなく小刻みに音を変化させながらメロディを奏でる演奏もあるのだと知りました。トランペットもトロンボーンもソロで主旋律を演奏して主役になれるし、他の個性的な楽器達と喧嘩することなく調和するのも初めてわかった気がします。金管楽器はけたたましいと今までこっそり思っていたことを反省…。前半2曲を聴き終えた時、私は静かに感動していました。演奏が良かったのはもちろんのこと、客演でスター的なソリストを迎えなくても札響には既に素晴らしいソリストが管楽器にも弦楽器にも揃っていると知ったのが何より嬉しかったです。後半ブラ2がお目当てだったはずなのに、前半2曲に完全に打ちのめされたのが嬉しい誤算でした。

休憩を挟み、3曲目はいよいよブラームス交響曲第2番」。第1楽章が穏やかに始まり、だんだん盛り上がってきたところであの美メロが。湖畔の心地よい涼しい風に癒やされた感じで思わず涙…待て待てまだ早いと気を取り直して演奏に集中しましたが。素朴でも美しいメロディが次々と来て、聴いていてだんだんと心穏やかになってきます。基本は伸びやかで自然の美しさを感じる部分が多いですが、時に強風や雷鳴のような部分もあり。また、バカンスをウキウキ楽しんでいるというよりは、都会の喧噪から離れ自然に身を置くことで自分の内面を見つめ直している感じ。私の感じ方が正しいかどうかはわかりませんが、演奏を拝聴して「ブラームスらしい」人間の本質を見ようとする思考のようなものが感じ取れました。そういった意味では「ブラームスの田園交響曲」というよく知られた形容は当たっていないのかも。ベートーヴェンの田園は好きなんですよ、念のため。最後は全員参加で大盛り上がりのフィナーレ。金管楽器の力強いメロディが印象的で、札響の「パワフル」なサウンドを存分に聴かせて頂きました!

他のロマン派の作曲家が肥大化させたオーケストラの編成を、ブラームスはベートヴェンの時代と同じ編成にしています。完全に私の推測ですが、援軍を頼まずに札響オリジナルメンバーで演奏できるというのも東京公演のメインに選ばれた理由の一つかもしれません。そしてブラームスの4つの交響曲のうち、演奏機会が多い1番4番ではなく2番を選んだというのがまたニクイです。4つとも良い曲で優劣はつけられませんが、2番は他とは毛色が違います。実を言うと私は2番は4曲の中では一番録音を聴く機会が少ない曲でした。嫌っていたわけではないのですが、何となく他の3曲と違って「らしくない」と思っていたのです。しかし今回初めて生演奏を聴いて、食わず嫌いだったとはっきりしました。それどころか2番が猛烈に愛しくなりました。頑張って頑張って構築したブラ1も大好きですが、1番をふまえて2番を聴くと誰にも遠慮せず素直な気持ちを表現できたのかな?と感じ、まるで彼のお母さんになったかのように心から「よかったね」と思えてくるのです。今回の演奏を拝聴して私自身も素直になれた気がします。ツイッターで少しふざけましたが、お肌のコンディションが良くなる嬉しいおまけは本当ですよ。余談失礼。

通常、定期演奏会でアンコールは行わないそうですが、今回はアンコールがありました。冒頭を少し聴いただけで「たぶんモーツァルト」と私は勝手に推測。当たっていてよかったです。1曲目同様、弦楽器のみの編成の曲で、札響の弦の美しさを再認識できました。第3楽章だけだったので、機会があれば最初から最後まで通しての演奏を聴いてみたいです。

そして、1月末で退団される第2ヴァイオリンの織田さんに花束が。マティアス・バーメルトさんが彼女の手を引いて指揮台の方へ連れて行き、観客に一礼。戻る際にバーメルトさんが織田さんの手の甲にキス!会場がわーっと盛り上がったところ、バーメルトさんが両手を下に向けお静かにのポーズをして笑いが起きました。私、マティアス・バーメルトさんと札響の皆様にお目にかかれて、そして生演奏を聴けて本当によかった。楽しかったです!ありがとうございました!

私は良い演奏を聴けて満足なのは間違いありません。しかし今回座席がちょっと惜しかったです…。S席とはいえ第1ヴァイオリンのほぼ目の前で、ステージの後ろの方が見えなかったのと、ヴァイオリンの音が強く聞こえてバランスが悪かったかもしれません。直前だったため、とあるプレイガイドのオンラインストアで購入したのですが、選べた席はそこしかありませんでした。会場を見渡すと中央のSS席に近いS席にも空きは沢山あったのに…。次からは直接Kitaraチケットセンターで購入しようと思います。

お開きの後、ロビーには奏者の方が何名かいらして、お客さんと写真撮影に応じたりお話をされたり。その様子はとてもまぶしかったのですが、私は何とお声をかけたらよいかわからず、そっと会場を出てしまいました…。またバーメルトさん指揮のCDを購入すればサインを頂けるとのことでしたが、今回はそこにも参加できず。ちょっと心残りです。しかし今後またお目にかかれるのを楽しみにしています。私は当面は定期会員としてではなく一回券で時々お邪魔する形になりそうですが、気になる回には万難を排してうかがいます。

 

今回お邪魔した金曜夜公演、空席が目立ちました。冬真っ盛りの夜ですし、演目も玄人向けな印象だったので結果的にそうなってしまったのかもしれないのですが、もったいないと思います。私を含めツイッターでそうつぶやいているかたは多かったです。しかしどうやら土曜昼の公演は金曜夜より客入りは良く、しかも今回の場合は金曜夜からのリピーターがいつもより多かったとのこと。そのリピーターのお一人によると「土曜昼は金曜夜よりさらに良かった」とのことです。定期だと同じプログラムを2回聴くという贅沢もできるので、私も事情が許せばそうしてみたいなと思いました。

なお「さっぽろ劇場ジャーナル」さんによる専門的なレビューは第3号の誌面に掲載されると思われます。そちら心待ちにしています。


おまけ。先日のプラハ響の演奏会レビューへのリンクを貼っておきます。肝心の「音」のことを何も具体的に書けておらずもどかしいですが、こちらも良い演奏会でした。

 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c