自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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プラハ交響楽団ニューイヤー名曲コンサート 札幌公演(2019/01) レポート

私にとっては年明け初めてのコンサートかつ初hitaruです。ベルリン・フィルコンサートマスターである樫本大進さんがソリストで、しかも大好きなブラームスのヴァイオリン協奏曲!それだけですぐに飛びついて、発売開始直後にチケット購入し、当日を心待ちにしていました。

今回はこちらの演奏会の感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。なお、ひどい間違いは指摘頂けますと助かります。

プラハ交響楽団ニューイヤー名曲コンサート 札幌公演
2019年1月10日(木) 19:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
ピエタリ・インキネン
【ヴァイオリン】
樫本大進
管弦楽
プラハ交響楽団

【曲目】

 


プラハ交響楽団の皆様、ようこそ札幌へ!私達地方に住む人間が、世界的なソリストと指揮者そしてオーケストラの生演奏をご近所で聴けるのはとてもありがたいこと。雪の季節で飛行機には不安もある中、はるばるお越しくださったことに大変感謝しています。

www.nhk.or.jp

樫本大進さん、私はBSプレミアム「クラシック倶楽部」でお名前を知りました。ベルリンフィルコンマスでありながら、室内楽や今回のようなソリストとしてもご活躍のようです。私は未見ですが、過去にNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演された様子。幼い頃から才能発揮してきた樫本大進さん。転機となった恩師の言葉「自由に、楽しく」がいいですね。この録画はいつか見てみたいです。

指揮者のピエタリ・インキネンさん、私は浅学で大変申し訳ないことにお名前は存じませんでした。プログラムによると、お若いですが既に実績のある指揮者のようです。フィンランド出身のピエタリ・インキネンさんは「チェコの大使になったような思い」。樫本大進さんとは同年代で、ヴァイオリニストとして同じ先生に師事し10代の頃からの友人関係にあるとのこと。何が嬉しいって、ヴァイオリニストとして一流のかたが、数あるヴァイオリン協奏曲の中からブラームスのそれを選んでくださったこと。本当にありがとうございます!

そして演奏は良いに決まっていて、私は聴けただけで満足…で終わっても良いくらいです。でもそれではレビューになりませんので、ざっくりと感じたことを記したいと思います。

前半は「ヴァイオリン協奏曲」。第1楽章は「ブラームスらしい」重厚なオーケストラに、超絶技巧のヴァイオリンソロ。樫本さんのヴァイオリンは「重い」感じはなく、それでいて無理なくオケとシンクロしている印象でした。なお、カデンツァは誰のものかはわかりませんでした。申し訳ありません。第2楽章は「オーボエの弱々しいアダージョ」に聴いているこちらがリラックスしているところに、「歌う」ヴァイオリンソロが入ってきて心地よかったです。華やかな第3楽章は全身全霊引き込まれて、生演奏ならではの奏者と聴衆の一体感が味わえました。録音では散々聴いてきたこの曲ですが、初めての生演奏で「やっぱり私ブラームスのヴァイオリン協奏曲が好き!」と再認識しました。

ソリストアンコール。バッハのヴァイオリン独奏の曲で、あの大きなホールでの独奏にもかかわらず良い響きを聴かせてくださいました。プログラムのインタビューでは「ソリストとしては"トシ"」だと謙遜されていましたが、身体的なことや技術以上に、音楽家として積み重ねてきたことや人生経験がきっと音楽に反映されるのだと個人的には考えます。今年40歳の節目を迎えられる樫本さんの渾身の演奏を目の前で聴くことが出来たことに、改めて感謝です。

後半は「新世界より」。チェコドヴォルザークの超有名曲ですから、プラハ交響楽団の皆様にとっては演奏機会はきっと多いのだと思います。それでも当たり前なのかも知れませんが丁寧な演奏で、誇りを持って地元の作曲家の曲を演奏している印象でした。他会場でのスメタナ「我が祖国」もぜひ聴いてみたかったです。また、同じスラブ系であるロシアの作曲家チャイコフスキー交響曲第5番とピアノ協奏曲第1番の演奏にも興味があります。話を「新世界より」に戻すと、こんなまとめかたをしてはもったいないのですが「『新世界より』はやっぱり名曲」と思える良い演奏でした。静かでゆっくりしたところ、疾走感のあるところとどこをとっても印象的なメロディがリズム良く響くメリハリのある演奏で、私が元々記憶していた「新世界より」の曲の印象を良い意味で上書きしてくれました。東京のサントリーホールは後半チャイ5なのに、「新世界より」にしたのは地方だから?と私は少しだけ穿った見方をしていたのを反省します。ドヴォルジャークアメリカ滞在中に書かれたこの曲は、ウィーンでブラームスが楽譜の校正をした曲の一つ。二人の作曲家の深い絆が窺える曲でもありますし、やはり札幌公演でのこの組み合わせがベストだと今はそう思えます。あとこれは個人的なことですが、途中からノリノリのティンパニ奏者のかたに目が釘付けになりました。腕まくりして、肩や頭をゆらしながら時折マレットをくるっと回して演奏する姿が楽しくて。そう、音楽は楽しくなくちゃつまらない!どうでもいいですが、ティンパニ奏者にあまりに注目していたため私はうっかり終盤のシンバルを聞き逃してしまいました…。

アンコール。私はスラブ舞曲がハンガリー舞曲が来ると予想していたところ、当たりました(笑)。しかもスラブ舞曲の超有名どころから2曲。指揮のピエタリ・インキネンさんは1曲が終わったら舞台袖に戻り、拍手が鳴りやまずにまたステージに戻ってきてくださり2曲目を演奏、という流れでした。2回もアンコールに応えて下さりありがとうございます!

私のチケットはA席でした。後ろの方にいくのは少し我慢して、左右のバランス重視でステージに向かって真ん中あたり席を確保。ステージ後ろのデコボコの板(反響板?)のおかげか、とても良い音を堪能することができました。またhitaruは縦に長いホールで、後方の席でも案外ステージが近くなるように設計されているようです。でも、やっぱりステージ遠い(涙)。奏者の手元の動きは追えないですし、表情はおろかお顔そのものだって見えません…。オペラグラスがあればよかったのかしらん?私は演奏を「見る」のも楽しみな人なので(そのためかオペラやバレエはまだ先でいいかなと思うクチなので)、もう少しチケット代を奮発すればよかったかも?とちょっとだけ後悔しました。あと、会場に少し空席があったのがもったいないです。海外オケはやはりチケット代がネックになるのかもしれません。しかし、大勢の団員とスタッフと楽器の移動も滞在費もかかりますし、こんな良い演奏を堪能できるなら決して高くはないと思いました。

なおプログラムは別売り500円で、私は終演後に購入。人の流れが落ち着くまではロビーに残り、プログラムを熟読しました。CD販売もあり、演奏を聴いた直後だと全部欲しくなって一式大人買いしそうな勢いになってしまいました。待て待て冷静になれ、と思い直して今回は購入を見送りましたが、サインがもらえるなら2、3枚は購入したかもしれません…。ピエタリ・インキネンさんと日本フィルハーモニー交響楽団のブラ1と悲劇的序曲が!シベリウス交響曲全集も!樫本大進さんはベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全曲演奏のCDがあるんですね。いつかブラームスのもお願いします。またもっとお若い頃のブラームス・ヴァイオリン協奏曲の録音があって、そちらはプログラムのインタビューでは「重い」と自己評価されていました。CDはおいおい購入を検討しようと思います。

hitaruはオープンしたばかりの会場です。こけら落としアイーダ』も『白鳥の湖』も見逃した私は、この会場に入り自分の耳と目で確かめるのもまた楽しみでした。実際に聴いてみて、Kitaraとの違いはよくわからなかったものの、hitaruの音はきっと良いのだと思いました。断言できないのは、私は良いホールでしか生演奏を聴いたことがなく「良くない音」を知らないためです。本当に恵まれているなとこの環境に改めて感謝です。また、hitaruは地下鉄駅に直結していて、冬だと外に出ずに済むのは助かります。そのかわり、「着いた」と思ってからが長い(苦笑)。とにかく上へ上へと登っていかなければならず、なかなか目的地にたどり着けなくて私はもう少し早めに家を出れば良かったと内心焦りました。クロークは十分な広さと多くのスタッフがいましたが、ぎりぎりに着いた私は少し並びました。開演直前に、既に着席している皆さんの前を通りながら自席に着くのは申し訳なかったです。また、帰りに一斉に人が出るときは、噂には聞いていたとんでもない混雑ぶり!スタッフのかたはエスカレーター前で人数調整をして事故防止に努めておられました。しかし、もし可能ならば階段やエスカレーターを増設した方が良いかも。そして早い段階で観客も入れた避難訓練はした方がよさそうです。今後、演奏付き避難訓練があるのでしたら私参加しますので(※結局それ・笑)。

なお、「さっぽろ劇場ジャーナル」さんによる専門的なレビューは以下のリンクにあります。

 

www.sapporo-thj.com

いつもながら分析視点が大変参考になります!「新世界より」にブラームスとの共通点を見いだせるとは嬉しい驚きでした。

知識も経験もない私は物見遊山的なフワフワした感想しか書けないですが、わからないなりに恥を忍んでレビューを残しておきたいと考えています。私の場合は奏者の名前でありがたがっているのがせいぜいでまだ聴く耳は育っていませんが、良質な生演奏を聴ける機会はやはり大切にしたいです。常に一度きりの演奏で、その都度言葉にできない感激を味わえるのはなにより嬉しいですし、きっとそうしているうちに聴く耳も出来てくると勝手に思っています。うろおぼえですが、真珠の品質を見極める訓練を新人にする際は、来る日も来る日も最高級品に触れさせ、ある日いきなり品質が劣るものを混ぜるのだと聞いたことがあります。ずっと良いものを見てきた人は、そこで見分けがつくのだそうです。ですので、まだ聴き始めたばかりの私は、最初のうちだからこそ上質なものに触れたいと思います。ありがたいことに札幌には札幌交響楽団がいて、Kitaraをはじめ良いホールが身近にあり世界的な奏者のかたも来て下さるという、大変恵まれた環境があります。もちろんただ聴くばかりではなく、曲や作曲家や奏者の背景を学び、あとはできれば楽譜が読めるようになればさらに楽しめるはず。物を知らないことを正当化するつもりはないですし、純粋に「知る喜び」を感じたいので、知見を広げる努力もできる範囲でコツコツと楽しくやっていきます。

おまけ。尾高さん&札響による『新世界より』を聴いた際のレビューは以下のリンクからどうぞ。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c