自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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第539回ほくでんファミリーコンサート(2023/07) レポート

www.sso.or.jp
北海道電力が主催し、希望する人を抽選(※札幌会場の場合)で無料招待するほくでんファミリーコンサート。第539回となる今回は、指揮にエリアス・グランディさん、協奏曲のソリストには札響首席トランペット奏者の福田善亮さんという、注目の顔ぶれが揃った演奏会です。なお同じ出演者と演目で先に地方公演が2か所で開催され、本拠地kitaraでの公演は同一内容での3回目でした。

第539回ほくでんファミリーコンサート
2023年07月04日(火)18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
エリアス・グランディ

【トランペット】
福田 善亮(札響首席奏者)

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島 高宏)

【曲目】
ラヴェルクープランの墓
アルチュニアン:トランペット協奏曲
ソリストアンコール)バラキレフ:GEORGIAN SONG(ジョージアの歌)

ベートーヴェン交響曲第2番 ニ長調 op.36

(アンコール)ブラームスハンガリー舞曲 第6番


もはや札響の定期演奏会と言っても良いほど、大変充実した演奏会!この場にいられたのは本当にラッキーでした。改めまして、無料招待ありがとうございます!企画の趣旨から、ほくでんファミリーコンサートにはクラシック音楽とは馴染みが薄い人も大勢集まります。しかしそんな人たちも含め、素晴らしい演奏を目の当たりにしたお客さん達は皆、惹きつけられ楽しんでいらしたと私は感じました。まず、今回は選曲がとても良かったです。通常、地方公演やビギナーも集まる公演であれば、耳なじみのある超有名曲が選ばれる場合がほとんどだと思います。例えば掴みの1曲目は有名なオペラの序曲、協奏曲は名前が通った作曲家の代表作、交響曲ベートーヴェンであれば7番や5番など。今回はいずれもその条件には当てはまらない、しかし隠れた名曲ばかり!まっさらな気持ちで聴けて、素晴らしい演奏を通じ今まで知らなかった名曲に出会えるなんて、本当にうれしい!さらに、弦が要となる独墺系の交響曲に、木管が大活躍するフランス系の作品、そして金管ソリストの協奏曲と、様々な個性が楽しめるラインナップ。会場にいた人達は皆、ご自分の好みの楽器や響きが見つけられたのでは?そして何より演奏そのものが大変素晴らしかったです!各パートの見せ場がしっかりあった上で、全体的にも強弱の変化等のメリハリくっきり、細かなところも丁寧にしっかり、かつ勢いと熱量のある音楽!鑑賞経験の多い少ないに関わらず、聴く人の心にストレートに響くものだったと私は思います。指揮のエリアス・グランディさんは、札響と出会って日が浅いですが、既に良い関係が出来ているとお見受けしました。ぜひ今後も札響を指揮しに来て頂けたらうれしいです!


開演前にHBCアナウンサーからごあいさつと、北海道音楽教育基金「ドレミの箱」の募金の受け付けについてお話がありました。1曲目はラヴェルクープランの墓」木管とホルンは2管ずつでトランペット1、弦(12-10-8-6-5、以降の演目も同じ)、そしてハープ1の小規模な2管編成。ラヴェルにしては編成が小さいかも?と率直に感じました。「プレリュード」 冒頭からオーボエ独奏が大活躍!異国の雰囲気を持つ音色が魅力的で惹きつけられました。澄んだ弦の響きでぱっと視界が開け、オーボエのメロディをクラリネットイングリッシュホルンが異なる色合いで演奏したところも素敵で、トランペットが華やか!ぐっと低い音で深みを出してくれたコントラバスと、天に昇るようなハープのグリッサンドも印象的でした。「フォルラーヌ」 先ほどのくるくる回るようなリズムとは異なる、ステップするようなリズムが楽しい!弦が音を刻みながら演奏したり、木管にピッチカートで小気味よく合いの手を入れたり。木管群はオーボエをメインに、ファゴットやフルートもメロディを演奏して、カラフルな響きが楽しめました。「メヌエット」 素朴なダンスのリズムで木管群が踊っているよう。心地よく美しい音楽に聴き入りました。また弦が弓を少しずつ離して音をフェードアウトさせた締めくくりが印象に残っています。「リゴドン」 先ほどまでの穏やかな感じからガラリと変わって、初めは金管群が活躍する華やかな盛り上がり!盛り上げるところの振り切り方が潔くて好きです!中盤では、弦ピッチカートに乗ってオーボエはじめ木管群が順に歌うのが素敵で、そこに中低弦が少しずつ重なっていくところがツボでした。華やかに勢いよく締めくくり。オーボエをはじめとした木管群が大活躍で、カラフルな音楽。とっても楽しかったです!

オケは金管打楽器が強化されました。ソリストの福田善亮さん(札響首席トランペット奏者)をお迎えして、2曲目はアルチュニアン「トランペット協奏曲」。3楽章で構成され、楽章区切りなしでの演奏でした。低音が効いたオケの序奏にゾクゾク。ほどなく登場した独奏トランペットが華やか!最初はゆったりと、走り出してからはテンポ良く高らかに歌うのがカッコイイ!タンバリンやスネアドラムの合いの手が気持ちいい!ソリスト小休止のとき、ヴィオラパートが主役となってメロディ奏でたところがあったり、クラリネットをはじめとした木管群のソロが順番に登場したりと、オケの方にも見せ場があったのが楽しかったです。クラリネットに続いた独奏トランペットはゆったりとして艶っぽい!重なるオケも壮大かつ都会的な感じで素敵でした。タタタッタッター♪と軽快に鳴る独奏トランペットに続いたオケの力強さ!ファゴットと低弦が空気を変えてからは、独奏トランペットはミュートを装着して再登場。ここでのたっぷりとした歌い方が大人の雰囲気で、ずっと聴いていたい良さでした。パン!の一撃を合図に再び快活に。テンポ良く合いの手が入る、低音が効いたオケにゾクゾク。独奏トランペットは曲の始めの時よりさらにパワフルに!音を刻みながら歌う独奏トランペットはこの日一番の華やかさ!終盤カデンツァでは、勢いよく音階を駆け上ったり、一息で(すごい!)音を刻みながらパワフルに吹いたりするのに圧倒されました。シンバルを合図にオケが合流し、独奏とオケが一緒に潔く締めくくり。とっても素敵でした!ソリストの福田さんの超絶カッコイイ独奏はもちろんのこと、オケのスタープレーヤーたちが、オケの仲間でもあるソリストをさらに輝かせる盛り上げ方をしていた、幸せな協演。聴いている私達もとても幸せな気持ちになれました。

ソリストアンコールは、バラキレフ「GEORGIAN SONG(ジョージアの歌)」。温かな音色で歌う独奏トランペットは、孤高のカッコ良さ!少し寂しげで、音が揺らぐところに異国の雰囲気が感じられるのが素敵!しみじみ聴き入りました。華やかな協奏曲に加え、協奏曲とはまた別の表情を見せてくださったソリストアンコールまで、まさに息つく暇も無いほどの充実した素晴らしい演奏をありがとうございました!


後半は、ベートーヴェン交響曲第2番 ニ長調 op.36」。第1楽章 ジャジャーン!とインパクトある出だし!オーボエやホルンの素敵な歌と交互に来るパワフルな弦に、私はベートーヴェン「らしさ」を感じました。さらに弦のすごい職人技に驚愕!ごく小さな音から(ここまできっちり弱音をやるのはバーメルトさんくらいだと思っていたところ、なんとグランディさんも!)次第に盛り上がり波を作ったり、ヴァイオリンや木管が歌うときに中低弦が緻密に音を刻んだり。一つ一つの細かなパーツを積み重ねながら大きな流れを作っているのが興味深く、私は耳と目が釘付けに。また、何度も来る弦の音階駆け上りにベト7、ジャジャーンジャジャーン!と深刻なところに第九、穏やかな木管群と勇ましい弦が呼応し合うところにはピアノ協奏曲第3番、と後のベートーヴェン作品を思わせるところがたくさん登場したのが印象的でした。切れ目なく流れるように繋がる音楽に、深刻さと明るさが同居していて、どちらもベートーヴェンらしい!第2楽章 はじめのゆったりした弦アンサンブルと木管群による穏やかな歌がとっても素敵で聴き入りました。同じメロディの繰り返しのようでありながら、うんと澄んだ音色だったり少し陰りがあったりと、色合いが繊細に変化するのが素敵!ずっと一本調子ではなく、舞曲のようなリズムを取っていたり、弱音からぐっと盛り上がりを作ったりと表情も変化。また弦は主役ではない時も緻密に音を刻んでいて、ここでも職人技を見せてくださいました。第3楽章 は快活になり、ピアニッシモでささやいてからぐーっと盛り上がる流れが生き生きとしていて楽しい!低音でぐいぐい来るところがエネルギッシュ!そして、ティンパニ木管金管による歓喜が爆発するようなところがまるでブラ2の第4楽章!?と、私はビックリ!どう考えてもオマージュしたとすればブラームスの方ですが……。第4楽章 勢いあるアツイ演奏!モーツァルトのアイネクライネ・ナハトムジークっぽいところがあり、ここはベートーヴェンモーツァルトをオマージュしたのかな?と思ったり。木管群が穏やかに歌い、そのベースを作っていた弦が加速して主役に躍り出る流れがアツイ!全身で熱量高い指揮をしていたグランディさんは、一度だけ指揮台の上でジャンプ!指揮に導かれたオケもノリノリ♪終盤近くで一瞬沈黙する時も、ずっと音楽が繋がっていると感じられ、そこで拍手が起きることはありませんでした。ラストは勢いよく駆け抜け、音をのばさずすぱっと締めくくり。超楽しかったです!私にとって初聴きだったベト2は、とてもベートーヴェンらしさが感じられ、生命力あふれる音楽でした。またオケのお一人お一人の緻密な仕事ぶりを目の前で拝見できたのがうれしくて、夢中になれました。ベト7や運命ばかりでなく、ベト2ももっと演奏機会が増えて欲しいです!

アンコールは、ブラームスハンガリー舞曲 第6番」。アンコールの定番・ハンガリー舞曲でも、超メジャーな第5番や第1番ではなく第6番をチョイスするのがニクイです!ジャン!の大音量で入ってから、最初はゆっくりと足取りを確かめるように。続く明るいところはリズミカルに元気よく!中盤の悲劇的なところもじっくりと。続く木管が歌うところは少し駆け足に、といった感じのメリハリが楽しかったです。クライマックスは熱量もスピードもUPして、思いっきり派手に盛り上げ、ジャンジャンジャン♪ですぱっと締めくくり。超楽しかったです!願わくばもっともっと聴いていたかったほど。最初から最後まで夢中にさせてくれる演奏をありがとうございました!指揮のエリアス・グランディさん、必ずまた札幌に来て下さいね。お待ちしています!


この日の2日前に、同じkitara大ホールで聴いた演奏会はこちら。「宮田 大&田村 響 デュオ・リサイタル (札幌公演)」(2023/07/02)。チェロ独奏による「文楽」やピアノ独奏、熱量高いプロコフィエフのチェロ・ソナタ、サプライズなアンコールに至るまで、様々な個性の作品をいずれも個性が際立つ演奏で私達に聴かせてくださいました。

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隠れた名曲たちが楽しめた会はこちらも。弦は全員札響メンバーの室内楽です。「ブラームス室内楽シリーズ イ調で結ぶ作品集」(2023/06/26)。会田莉凡さんのヴァイオリンを堪能できたソナタ、「音楽する」三重奏曲、ピアノ四重奏曲の「化学反応」の素晴らしさ!ブラームスの隠れた名曲たちの充実した演奏に浸れた、とても幸せな時間でした!

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。