自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

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ウィステリアホール ふれあいコンサート Vol.2(2019/12) レポート

www.msnw-wishall.jp


今回レポートするのは金管五重奏のコンサートです。ウィステリアホールの「ふれあいコンサート」は、事前に先着順でもらえる整理券があれば入れる、入場無料で休憩なし約1時間の演奏会。。昨年オープンしたばかりのウィステリアホールでは2回目とのことですが、桑園にある主催会社の本社で続けられてきたミニコンサートが前身のようです。私はツイッターでウィステリアホールの存在を知り、公式サイトを拝見してこちらの無料のコンサートのことを知りました。整理券配布開始直後にホールへ整理券を頂きにうかがい、当日を楽しみに待っていました。一流演奏家による演奏をきちんとしたホールでしかも無料で聴けてしまう、札幌は音楽を聴く環境には大変恵まれています。

では感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


ウィステリアホール ふれあいコンサートVol.2
2019年12月8日(日) 14:00~ ウィステリアホール

【演奏】
松田 次史(トランペット)
中野 清香(トランペット)
折笠 和樹(ホルン)
中野 耕太郎(トロンボーン
三上 麻希子(チューバ)

【曲目】

(アンコール)

  • L.アンダーソン そりすべり


ツイッターでの速報は以下。


演奏もトークもとても楽しく、あっという間の1時間超でした!金管五重奏ってとっても良いです!様々な曲の演奏を通じて、華やかだったり元気だったり、またとても可愛らしい表現もあるかと思えば大人っぽいムードたっぷりの表現もあって、金管楽器の多彩な表情にすっかり虜になってしまいました。私、つい先日まで金管楽器が苦手だったのが今では信じられないほど。小規模な会場で、お話を担当されたTb中野さんが1曲目の後に「音が大きすぎませんか?」と私達に尋ねてくださいました。そういったところも気にかけて演奏してくださっているのですね…。大丈夫です、パワフルサウンドをたっぷり楽しませて頂きました!演奏とトークが交互に行われ、Tb中野さんのお話は多岐にわたり楽しかったです。金管楽器の演奏はずっと唇を震わせて息を吹き込みながら行うためかなりハードだということ、トークの間は奏者の休憩とおっしゃったときは会場に笑いが起きました。しかしそう考えると、トークのTb中野さんは1時間超休みなし…。それでも素晴らしい演奏と楽しいトークを展開してくださり感謝です。お話ぶりからお人柄の良さもうかがえました。

Tbは札響副首席トロンボーン奏者の中野さん、Hrは札響ホルン奏者の折笠さんで、お二方は札響定期のロビーコンサートでも金管五重奏の一員として演奏されていたのを私は覚えていました。今回はkitaraでも札響でもないのに、札響の信頼する奏者がお二方もいてくださったおかげで、私は最初から安心して聞く態勢になれました。そして2017年に札響を定年退職されたTpの松田さんは、5名の中では大ベテランの風格。私は以前どこかでお目にかかったような気がして、演奏会の後のお見送りの時にご本人に確認したところ、思った通り10月の札幌室内管弦楽団の演奏会で演奏されていたとのこと。後半ブラ2でトランペットが超絶カッコ良かったのが記憶にあり、それが松田さんだとわかってとてもうれしかったです。定年退職された後も、こうして札幌の地で後進を引っ張り精力的に活動しておられることに頭が下がります。また、Tp中野さんについては「彼女は長崎出身ですが、なぜ札幌にいるかというと、僕の奥さんだからです」とTb中野さんから紹介がありました。ご夫婦で演奏家って素敵です!私も長崎出身なんですよ!また今回のメンバーで唯一北海道(釧路)ご出身なのはTubの三上さん。女性が大きなチューバを抱えて重低音を発する姿が頼もしかったです。札幌の場合は特に道外出身者が多いでしょうから、ご縁があって冬は寒い札幌の地で演奏活動をされている奏者の皆様に、会場の私達はとても親しみを覚えました。小さな会場で物理的にも心理的にも奏者と聴衆の距離が近く、キャッチコピー通りのハートフルなコンサートでした。

衣装は奏者5名全員が黒のパンツで、上は男性3名が白シャツ白ジャケットに赤の蝶ネクタイ、女性はTp中野さんがモスグリーン、Tub三上さんはレモンイエローのブラウスでした。トークで衣装は「クリスマスをイメージ」と説明があって、雪の白にクリスマスカラーの赤と緑、そして黄色はツリーのてっぺんにある星の色なのだそうです。舞台に向かって左からTp松田さん、Hr折笠さん、真ん中がTub三上さんで、Tb中野さん、Tp中野さんが扇状に着席。イスはいずれもそれそれの背丈に合わせた高さ違いのものが用意されていました。

奏者の皆様が着席し準備が整うと演奏開始です。1曲目はG.ファーナビー「空想・おもちゃ・夢」。最初の大きな音で空気も床からも振動がダイレクトに来てビックリ。しかしこれにはすぐに慣れて、厳かだったりゆったりしていたり華やかだったりの美しい旋律を楽しむことができました。演奏の後のお話で、原曲は17世紀の作曲家ファーナビーによるチェンバロの曲で、それをフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルが金管五重奏用に編曲したとの解説がありました。金管五重奏バロック以前の昔の音楽とも相性が良いと再確認。

2曲目は映画音楽で、モリコーネニューシネマパラダイス。超有名曲を金管五重奏で。哀愁漂うメロディを歌うところがとても美しいです。マーチやロックのような賑やかな曲もいいですが、懐かしい感じがするこんな曲も素敵で、金管楽器の奥深さがわかりました。Tb中野さんはこちらの曲と映画が大好きだそうで、ラストシーンがこの日の会場と重なるとおっしゃっていました。私は曲は聞き覚えがあったものの、映画自体は未見なので、いつか見てみたいと思いました。

映画監督と作曲家の出会いというお話から、ジブリの宮崎監督と久石譲さんの話が出て、次の曲へ。3曲目は久石譲となりのトトロ」メドレー。「となりのトトロ」なら私に任せてください。上の子が小さいとき何度もリピートしていたのでシーンも台詞も曲も全部覚えています。演奏に合わせてアニメのシーンが勝手に脳内再生され、楽しく聴くことができました。ベースになっている1,2,1,2の足音のようなリズムはチューバ固定かと思っていたら、時々はチューバも主旋律を演奏しその際は他の管楽器がベースをやっていました。続く4曲目もジブリ作品で、久石譲紅の豚」より「真紅の翼。Tb中野さんのお話によると、マルコとジーナのテーマなのだそうです。トロンボーンのための曲でTb中野さんが舞台真ん中に立って演奏、他の4名は伴奏です。もうもうトロンボーンソロがめちゃくちゃカッコイイ!私は「紅の豚」は未見ですが、この主人公は絶対に男前だと思いました。オーケストラだとトロンボーンは基本3人で1セットですし、わが愛するブラームスの場合トロンボーンは基本放置プレイ(ついでにチューバはブラ2でしか使われていない)。なので私はトロンボーンのソロが新鮮に感じられ、そしてその大人の色っぽさにメロメロになりました。Tb中野さんご自身も「バラードのような演奏でトロンボーンが見せる表情がとても好き(大意)」とおっしゃっていて、心からトロンボーンを愛し心を込めて演奏されているのが伝わってきました。奏者のかたのお心や取り組む姿勢は、演奏技術以上に大事なことなのかも。

5曲目はロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー。Tb中野さんが「キャッチーな名曲揃い」とおっしゃるだけあって、どれも一度は耳にしたことがある曲ばかり。私の宝物は少し背伸びした少女の思いが伝わってくるようで胸打たれましたし、ドレミの歌は楽しく可愛らしい。エーデルワイスは可憐で美しい…のですが、歌で言うところのエーデルワイスのエに入る直前にTp松田さんがトランペットの低い音から高い音に駆け上る演奏をされてビックリ。カッコイイです!ただ、これって楽譜にあるものなのかそれともTp松田さんのアドリブなのかが少しだけ気になりました。

6曲目は今の時期にぴったりのクリスマスソングメドレーもろびとこぞりてほか、誰もがよく知る曲が次々と演奏されました。そしてこの時私は初めて舞台後ろのスクリーンにクリスマスイメージの映像が映し出されていることに気がつきました。雪の結晶やトナカイそりのサンタクロース等の映像が白い影で映し出されているのを演奏と一緒に楽しむことができました。映像はこの時だけだったのか、それとも今までもずっとあったのかはわかりません。私はそれまでずっと奏者のかたを凝視していたので…。奏者の皆様は既に1時間近くもパワフルな演奏を続けていたにもかかわらず、最後の曲までパワーダウンすることなく安定した素晴らしい演奏をしてくださいました。ありがとうございます!

拍手喝采の会場へ奏者の皆様がカーテンコールに戻ってきてくださり、着席。Tb中野さんがマイクを持ち「予定通りアンコールがあります」とおっしゃって会場に笑いが起きました。曲名紹介の後、「小道具があります」とお話して演奏へ。アンコールはおなじみL.アンダーソン「そりすべり」。小道具はムチで、Tp松田さんが時折2本の皮のムチを横に引っ張ってパーンという音を出し、演奏にパンチを入れてくださいました。一度お隣のHr折笠さんのお顔の前でパーンとやったのですが折笠さんは微動だにせず(笑)、折笠さんは大変真面目なかたとお見受けしました。ラストはTp松田さんのトランペットによる馬のいななき。私は生演奏では初めて聴きました。すっごい!お見事です!トナカイはそんな声では鳴かないなんて細かいことはどうでもよくなります(笑)。

演奏後もTb中野さんがマイクを持ち、ご挨拶と同時に「kitaraのクリスマス」コンサートの宣伝。さすがです(笑)。第九やジルベスターコンサートではなくクリスマスコンサートのみにさらっと触れたのも、クリスマスの気分が盛り上がった会場ですからベストでした。私は配布されたアンケートに記入してから席を立ちました。


お開きの後、1階エレベーターホールで奏者の皆様によるお見送りがありました。私は家族以外の人とお話するのがとても苦手な人種なのですが、思い切ってTpの松田さんにお声がけして、10月の札幌室内管弦楽団の演奏会に出演されていたのを確認。その時のトランペットがとても印象的だったことを何とかお伝えしました。いえ、しどろもどろで伝わっていないかもしれません(汗)。挙動不審でご迷惑おかけしました。また、他の奏者のかたともお話できればよかったのですが、既に私のキャパシティを超えており、そのまま失礼して帰宅してしまいました。申し訳ありません。改めまして、とても素敵な演奏をありがとうございました!今後別の演奏会でもお目にかかるのを楽しみにしています。

 

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2019/12/11『JRタワー妙夢コンサート』に札響メンバーが出演されたそうです。トロンボーンの中野さんは今回のウィステリアホール ふれあいコンサートVol.2 に引き続いての出演。ほかはトランペット1、ホルン1、パーカッション2の編成で全員が札響奏者です。「ロサンゼルス・オリンピックのためのファンファーレ」は金管が超カッコ良かったんだろうなとか、「となりのトトロ」のベースは2人態勢のパーカッションが大活躍したんだろうなとか、「そりすべり」のムチはキレッキレだったんだろうなとか、想像が膨らみます。わざわざコンサートホールに足を運ばなくとも、街中をふらっと歩いていたらプロ演奏家による本物の演奏が無料で聴けてしまう、札幌は音楽を聴く環境としてはやはり恵まれているなとつくづく思います。JRタワー妙夢コンサート、私は今回行けずに涙をのみましたが、札響メンバーは時々出演されているようですので、今後都合がつけば足を運びたいです。

 

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Tb中野さんとHr折笠さんが出演されたロビーコンサートは、2019年6月の札響定期演奏会で聴きました。クーツィールの「子供のサーカス」より という楽しい曲でした。その時のレポートは弊ブログにあります。以下のリンクからどうぞ。本プログラムは個人的に大ファンの竹澤恭子さんがソリストをつとめた協奏曲に、後半メインは大編成のサン=サーンス交響曲第3番オルガン付きで、とても盛りだくさんの演奏会でした。 

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Tp松田さんが出演された2019年10月の札幌室内管弦楽団演奏会についても、弊ブログにレポートをあげています。以下のリンクからどうぞ。後半ブラ2のクライマックスでのトランペットが人生を祝福してくれているようで、本当に素晴らしかったです。前半ドヴォコンでは、私はソリストの札響首席チェロ奏者・石川さんに夢中だったのですが(大汗)、きっとトランペットはじめオケの皆様がしっかり応戦してくださったからこそチェロ独奏の良さが際立ったのだと思います。 

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私の金管楽器へのアレルギーが完全に無くなり、むしろとても好きになったのは、2019年10月に聴いた金管五重奏の影響が大きいです。ドラクエの音楽が好きな息子の付き添いで行ったこのコンサート。すぎやまこういちさんと東京都交響楽団トッププレーヤーの皆様のトークもあり、とても楽しかったです。よろしければそのレビュー記事もお読みください。以下のリンクからどうぞ。 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c