自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~バーメルトとワルツを(2021/11) レポート

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ジプシー音楽、鉄道の音楽に続き、今回の名曲シリーズは全部ワルツ!指揮は札響首席指揮者のマティアス・バーメルトさん!バーメルトさんははるばる海外より来日、10日間に及ぶ隔離期間を経て、札幌までお越しくださいました。本当にありがとうございます!

私は2020年02月に聴いた札響定期以来、実に1年10ヶ月ぶりのバーメルトさんとの再会でした。感染症拡大後の初来日となった2021年09月の札響定期(札幌交響楽団60周年記念公演)は収容率50%での開催だったため、今回の名曲シリーズがお久しぶりのバーメルトさんだったお客さんは多かったのでは?ほぼ満席の会場はひときわ大きな拍手でバーメルトさんを歓迎していました。

そして気がつけば私は9月の名曲シリーズ以来、2ヶ月ぶりの札響。ご無沙汰してました。いつの間にか(どうやら前の週のhitaru新定期から?)、譜面台は2人で1つのスタイルに戻っていました。また今回の公演はCD化を目指して録音されていたため、舞台には集音用のマイクが数台設置されていました。


札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~バーメルトとワルツを
2021年11月27日(土)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】
ドヴォルジャークプラハ・ワルツ
チャイコフスキー:花のワルツ
ワルトトイフェル:スケーターズ・ワルツ
シベリウス:悲しきワルツ
R.シュトラウス:「ばらの騎士」よりワルツ・シークエンス第2番

ベルリオーズ幻想交響曲より 第2楽章「舞踏会」
グノー:「ファウスト」よりワルツ
ラヴェル:ラ・ヴァルス

(アンコール)J.シュトラウスⅡ:美しく青きドナウ


久しぶりの札響、楽しかったです!いくつもの音が重なる響き、とても贅沢な時間を過ごせました。たとえ少し時間が空いても帰ってきたらほっとできる、もはや私の実家!こんな場がある私は幸せです。皆様大好き!そしてなにより、今の大変な状況の中、この演奏会のためにお越しくださったバーメルトさんに大感謝です。強弱のメリハリがあって各楽器の個性が際立つ澄んだ響き、これぞバーメルトさん流!と、その演奏を聴いて私はうれしくなりました。なお演奏の合間にはバーメルトさんのトーク(日本語通訳付き)がありました。「私と一緒にワルツを踊りましょう!」と素敵なお誘い。曲の解説に加えちょこっと冗談も交えてのお話に、会場は時折笑いも起きて終始和やかな雰囲気でした。またバーメルトさんは演奏中はマスクを外し、トークや移動の時はマスク着用されていました。

「ワルツ」といっても、今回のプログラムにはシュトラウスファミリーに代表されるウィンナ・ワルツはナシ。しかしバラエティ豊かで、一般の人が踊るための曲もあれば、鍛えられたバレリーナが踊るための曲もあり。華やかなものもあれば悲哀感のあるものもあり。様々な個性を楽しめました。骨太な交響曲とはまた違った、優雅な響きのアンサンブルも素敵です!またポピュラーな曲が多かったためか、いずれの演奏もとてもクオリティが高いと感じました。


指揮のバーメルトさんが入場し、すぐに演奏開始です。1曲目はドヴォルジャークプラハ・ワルツ」。全員参加の冒頭から気分がアガります!大勢の人が集まる舞踏会に相応しい、華やかで楽しい雰囲気の曲。低弦がズンチャッチャのリズムを刻むだけではなく、哀愁を帯びたメロディの演奏をしたのが印象的でした。

お次は超有名曲、チャイコフスキー「花のワルツ」。冒頭のささやくような高音弦と木管から既に素敵!美しいハープに続いて、ホルンのあたたかな音色にクラリネットのまるい音色、そしてスケールが大きな弦のアンサンブルにフルートのアクセント。すべてがとっても素敵!チャイコフスキー管弦楽の魔術師ですよね!ちなみに私は2021年3月の親子向けチャイコフスキー三大バレエの演奏会でも札響の演奏で聴いた曲です。その時ももちろん素敵でしたが、今回はさらに各楽器の個性が際立ってより一層楽しめました。

ワルトトイフェル「スケーターズ・ワルツ」。「フランスのヨハン・シュトラウス」(ワルツ王の名前で讃えるパターンは多いですね……)と呼ばれるワルトトイフェル。私はこの作曲家の名前になじみがなく、知らない曲かと思いきや演奏が始まると「ああ聴いたことある!」となったポピュラーな曲でした。冒頭のホルンが印象的(この日のホルンは私のツボに刺さりまくりでした)。優雅にスケートを滑っているような高音に、ワルツのリズムを刻む低音。この曲が、この日の演奏の中で一番「ズンチャッチャ」がきこえた演奏だったように感じました。

シベリウス「悲しきワルツ」。もうもう超素敵でした!やはり私は底抜けに明るいワルツよりも哀愁が感じられるワルツが好みのようです。美しさや妖しさを澄み渡る音で表現する弦がとにかく素敵!ただずっと哀しい感じではなく、時折入る木管があたたかな日の光のようにアクセントになっていました。またピッチカートの小さい音から始まり、全体的に弱音での演奏が多かったのですが、kitara大ホールはそんな音もキレイに響きます。ラストはヴァイオリン数台の演奏で静かに締めくくったのもとっても素敵でした。

オケがチューニングをしてから、R.シュトラウス「『ばらの騎士』よりワルツ・シークエンス第2番」の演奏に。鳥のさえずりのような高音木管から始まり、舞踏会が始まるイメージ。美しい弦にハープ、とても優雅な響き。途中からは華やかな金管が入って賑やかな盛り上がりに。客演のかたが加わった大所帯の打楽器の皆様も大活躍!先ほどのシベリウスとは対照的と思えるパワフルな演奏でした。演奏が終わると、「こんなに踊ったら疲れてしまいますので」とバーメルトさん。休憩に入りました。


後半の1曲目は、ベルリオーズ幻想交響曲より 第2楽章<舞踏会>」。冒頭、弦のザワザワに気持ちもザワザワ。中盤のフルートとオーボエ、終盤のクラリネットが印象的でした。ちなみに私は以前まさにバーメルトさん指揮・2019年5月の定期でに全楽章フルを聴いたことがあります。今回の抜粋演奏を聴いて思いだしたのは、2019年の練習見学会。バーメルトさんは客席まで来て私達のすぐ近くでお話くださいました。さらに2019年10月の名曲シリーズ後には「バーメルトの四季」購入者対象の交流会があり、私達と直接会話する機会まで!そんな気さくなバーメルトさんのおかげで、私達はその高貴な印象の演奏がぐっと身近に感じられるようになりました。当時とは状況が変わりましたが、今回は演奏合間のトークで舞台から私達に語りかけてくださり感謝です。物理的な距離はあっても、心は近づけますね!

グノー「『ファウスト』よりワルツ」ゲーテの原作は悲劇なのに、グノーのオペラではハッピーエンドになっていて、曲も明るいとのこと。「(原作を改変され)ゲーテはハッピーではないかもしれませんが」とのバーメルトさんのお話に、会場には笑いが起きました。バーメルトさん流の強弱のメリハリがはっきりした演奏で、短い曲の中で金管打楽器も加わった全員参加の「強」と弦と木管による「弱」が行ったり来たり。全体的に華やかで楽しい曲でした。プログラムノートによると、2018年4月のバーメルトさん首席指揮者就任記念の名曲コンサートでも演奏された曲だそう。この曲のリハーサルで札響はバーメルトさん流の強弱のメリハリを鍛えられたのかも!

オケがチューニングをしてから、プログラム最後の曲であるラヴェル「ラ・ヴァルス」の演奏に。まず低音木管と低弦が効いた出だしに「お?」となりました。個人的にラヴェル=高音のイメージだったので……。この冒頭だけ聴くと「ワルツ」のイメージはわかなかったのですが、演奏が進むにつれてワルツのリズムがはっきりしてきました。編成が大きく音が無数に重なっているのに、全体はまとまってきこえるのが不思議です。管弦楽の魔術師の本領発揮ですね!しかし派手な部分はあっても底抜けに明るい感じではなかったです。個人的には、中盤でヴィオラがメロディを弾いたところが印象に残っています。不穏に始まった曲が、最後は全員参加の大盛り上がりで締めくくりました。

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「こんなカオスで終わるのは心苦しい」「今日はウィンナ・ワルツは無いとお話しましたが」byバーメルトさん。アンコールJ.シュトラウスⅡ「美しく青きドナウ。ささやくような高音弦から入り、ホルンがのびやかに歌う!これだけでもう気分がアガります。華やかな王道ウィンナ・ワルツを、澄んだ音色での演奏を聴くと気持ちも晴れやかに。そして初めの方と終盤でほんの少しチェロ独奏がありました!よく知る曲だと思っていたのに、チェロ独奏があるとは今まで知らずにいた私。ありがとうございますワルツ王!そしてバーメルトさん&札響の皆様、もっとありがとうございます!私が独奏チェロの存在に気付いたのは、そのシーンでオケが自然に音量を下げてくれたおかげです。底抜けに明るいと思っていた曲の中に、かすかな切なさを感じられる音色を堪能できました。私はこの4日前に首席チェロ奏者・石川さんご出演のピアノトリオの演奏を聴いたばかり。室内楽とはまた違ったオケでの音色を聴けて本当にうれしかったです。

カーテンコールでは、バーメルトさんは通訳のかた(2019年の練習見学会と交流会でも通訳担当くださった女性です)を連れて舞台へ。また何度か戻ってきた際、バーメルトさんがオケメンバーへの起立を促したにも関わらず皆様は着席のままでした。何度も盛大な拍手が送られ、最後にオケの皆様も起立して、大きな拍手で演奏会はお開きに。とっても楽しかったです!素敵な演奏と楽しいトークをありがとうございました!CDは必ず買います!そして1月の定期で再びお目にかかれるのを楽しみにしています!


札響をお留守にしていた2ヶ月間、私は室内楽のコンサートを6つ聴いています。そのうち札響奏者のかたがご出演された演奏会は3つ。それらのレポート記事へのリンクを以下に添付します。札響はお一人お一人が超一流の演奏家室内楽だってスゴイんです!


2021/11/23 札響首席チェロ奏者・石川祐支さん / Trio MiinA トリオ・ミーナ 第3回公演 小児がんチャリティコンサート

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2021/11/07 札響副首席クラリネット奏者・白子正樹さん / WISTERIA HALL PREMIUM CLASSIC Ⅸ 「ソプラノ・クラリネット・ピアノ」

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2021/10/30 札響副首席ヴィオラ奏者・青木晃一さん / 第43回もいわ山麓コンサート 青木晃一×石田敏明 ヴィオラ・ピアノデュオコンサート

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。