今回紹介するのは絵本『おばけのマ~ルとたのしいオーケストラ』(文:けーたろう 絵:なかいれい)です。札幌の円山に住むかわいいおばけ“おばけのマール”が、札幌コンサートホールKitaraへ札幌交響楽団の演奏を聴きに行くお話。五線譜の上で音符たちと遊ぶマールの表紙絵が既にカワイイ♪文は札幌出身のけーたろうさん、絵は札幌在住のなかいれいさん。2019/2/27に発売された、シリーズの中では最新刊(2019年11月現在)です。
以前から気になっていたこちらの本。札幌市の図書館でなんと電子図書が借りられると知り、私は早速借りてPCブラウザで読みました。札幌市電子図書館は、札幌市の図書館の貸出券がありかつ蔵書検索・予約システムへの登録がお済みのかたは利用できます。利用方法等は「ご利用ガイド」をご一読ください。
しかしこれはできれば紙の絵本の実物で読んだ方が良いと私は思います。電子書籍で読んだ私が言うのも変ですが、絵本ってやっぱりそのサイズ感や手触り、ページをめくるワクワクもコミで味わうものなんですよね。小さい子であればなおさら。それにカバーや表紙裏等にもイラストやこぼれ話があったりするので、それらを読めない電子図書はやはり不利。おばけのマ~ルシリーズの絵本なら街の本屋さんに揃っているはずですし、たのしいオーケストラに限って言えば札響の定期演奏会のロビーやKitaraチケットセンターでも販売されているのを私は見たことがあります。今後それらの場所に出向いた時に私も購入しようと考えています。今回は子供のためではなく自分用に(笑)。
私の感想文は、できれば絵本を読み終わってからお読みください。やはり絵本は絵とともに楽しむモノですし、各場面を一つ一つ丁寧に語るひらがなの文があってこその魅力なので、私の言葉でまとめてしまうのはもったいない。ぜひご自身でその楽しさを味わった上で、私のレビューはあくまで参考程度にさらっとお目通し頂けましたら幸いです。
内容に触れる部分は畳みました。かなりネタバレしています。続きは「続きを読む」からお進み下さい。
(以下ネタバレあり)
この絵本、ページをめくるたびにニコニコになります!すっかりお顔を覚えている札響の皆様がかわいらしい絵になって動いているのが何よりうれしいですし、よく知っているKitaraや豊平館が舞台というのもとても素敵。うちの娘は「おばけ」が出るというだけで拒絶反応を起こして読みたがらないのですが、折を見てぜひ娘にも読んで貰おうと考えています。母である私が行っているクラシック音楽のコンサートはこんなに楽しいんだと少しでも感じてくれればいいなと思いますし、近い将来娘と一緒にコンサートを楽しめたらもっとうれしいなと。
現実問題として小さな子は通常のクラシック音楽のコンサートには入れませんが、マールはおばけですから(笑)。大人のおばけカシミヤ(住んでいる「ウルトラマリンブルーのホテル」は、どう見ても豊平館)に連れて行ってもらいます。まずは豊平館の一室で身支度から。マールは何を勘違いしたのか自分の顔にド派手メイクを施し「おしゃれ」しますが(超カワイイです)、カシミヤさんに「ノンノン ノン♪」とたしなめられます。カシミヤは着替える前のパンイチ姿で(キャーキャー(*/ω\*))、パンツの柄が音符なんですよね。勝負パンツ?そしてカシミヤは蓄音機にこの日の演目のレコードをかけます。ラベルがRadetzky-Marsch(原文ママ)…ヨハン・シュトラウス1世のラデツキー行進曲?ニューイヤーコンサートかも!と妄想膨らみます。そのレコードを聴きながら、カシミヤはコンサートのマナーをマールに少しずつ教えていきます。「せきからたちあがるのはノンノン ノン♪」「えんそうのとちゅうで はいるのはノンノンノンノ ノン♪」…なんか「ノンノン」が多いのが気になりますが、当のマールは楽しそうにしているので大丈夫でしょうきっと。出かける前の準備や録音での予習段階からワクワクするの、わかるわあ。
さて、Kitaraに到着。カシミヤとおててつないでいるマールは空いた方の手にチケットを持っていてカワイイ。そして大ホール前の吹き抜けロビーの絵がまさにそのまんまです!本文では触れられていませんが、絵を見ると比較的編成が大きなロビーコンサートが行われていて、階段に沿ってお客さんがずらっと並んでいるのがリアル。それとは別に、手前の方で子供達の前でヴァイオリンを演奏する髪の長い女性が。間違いなくコンサートミストレスの大平まゆみさんですよね。やはり札響の顔でいらしたのだとしみじみ。大平さんはお病気のため2019年11月末で札響をお辞めになることが先日発表されたばかり。私は思うところは多々ありますが、いちファンとしての思いの丈を語るのはここではやめておきます。今はこれだけ。大平さん、長きにわたり札響を牽引してくださりありがとうございました。少しでも快方に向かうことをお祈りいたします。
「しきしゃが しずかに てを ふりあげると いよいよ えんそうかいのはじまりです」。1階席の前方は車椅子席までぎっしりの満員御礼です。カシミヤに頭をなでられているマールもかしこまって座席に座っています。このおばけ2人、周りには見えているのかしら(笑)。
そして、演奏中のオーケストラ全体図がとにかくイイんです!かわいらしくデフォルメされている奏者の皆様がとてもよく似ていて、全員にっこにこ。音符とハートとキラキラとマーチを踊るこびとさん達があふれて、ちゃっかり白馬に乗ったマールもいます。この絵は大きく引き延ばしたポスターが欲しいくらいです。この見開きだけは文が書かれておらず、絵だけで素敵な演奏が表現されています。素晴らしい音楽は、言葉では表現できないのかも。
演奏が終わると、kitara自慢の大きなオルガンがアップになった絵にマールとカシミヤの絵が重なります。「おんがくのあとの しずかなじかんも おんがくなんだと おもいました」すごいよマール!大人でもわからない人もいるのに!お客さんが立ち上がって拍手しはじめ「ノンノンノン♪がこんなに!!!」とびっくりするマール。そうよね、立ち上がってはいけないと教わったよね。スタンディングオベーションだとカシミアに言われ、マールは何回も何回も小さな手で拍手。その表情がとても良いです!
物語はコンサートのアフターにテラスレストランでハンバーグを食べるところまで。ジュースに刺さっているストローがト音記号の形で隅々までカワイイ。「とってもしあわせでした」って、絵本を読んだ私達もとっても幸せになれました。ありがとう、マール♪
絵本のレビューは、以前一度だけやったことがあります。楽聖ベートーヴェンをモデルにした人物が主役の絵本「べんとうべんたろう」です。こちらはだじゃれ満載で親子でゲラゲラ笑いながら読みました。表紙と裏表紙をめくってすぐの場所にある楽譜は、「運命」のジャジャジャジャーン!ただし大事な冒頭の休符がありません(笑)。レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。
※姉妹ブログ「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ」の記事になります。
札響がメディアに出てうれしかったことと言えばこちら。Eテレ「クラシック音楽館 札幌交響楽団演奏会」(NHK制作・2019年10月6日放送)です。私は録画を何度もリピートしてニヤニヤしています(笑)。それにしても、演奏会に行けば札響の奏者の皆様を間近で拝見できるにもかかわらず、テレビに出たらテレビで観たくなるのは一体なぜなんでしょう。
番組レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。レビュー記事では、バーメルトさんがテレビのインタビューで語った内容はすべて書き起こしています。また、演奏会そのもののレポート記事や過去のHTBドキュメンタリー番組レビュー記事へのリンクも掲載しています。
最後までおつきあい頂きありがとうございました。
※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽(https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c