自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

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札響えべつコンサート2019(2019/05) レポート

5/18にも札響の定期演奏会を楽しんだ私ですが、ほぼ1週間後の5/26にもまた札響の演奏会を聴きにうかがいました。今回の会場はなんと江別市です。演目にひかれて(だってブラ1ですよ札響のブラ1!!!)、札幌からさほど遠くない距離なので思い切ってプチ遠征してきました。最近、というよりいつも札響さんは定期演奏会に企業主催の公演に地方公演にと、とてもお忙しそうです。特に地方公演の場合はいつものホームグラウンドとは異なる環境でベストなパフォーマンスをする必要があり、大変なことと存じます。

npo-egk.org


演奏会当日は5月にもかかわらず真夏日となり、私は会場最寄りのJR駅から日差しに参りながらも会場まで歩きました。札幌から近い土地ですが、一軒家が並ぶ閑静な住宅地でした。大きな通りに出るとそこに市民会館がありました。

では感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘頂けますと助かります。


札響えべつコンサート2019
2019年5月26日(日) 14:00~ 江別市民会館

【指揮】
梅田俊明
【ヴァイオリン】
成田達輝
管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】


まずはツイッターでの速報ツイートを貼り付けておきます。


ブログ記事ではもう少し詳しく書きたいと思います。今回は相互フォローのかたとツイッター上で演奏会の感想をやりとりしたおかげで、私のふわっとした感覚が少し整理できました。ありがとうございます!とはいえ私が理解できた範囲内のことを、専門用語もわからないままに書きますので、世の中のお役に立てる内容ではありません。それでも私個人の感激を記録しておきたいがために、今回もブログ記事にまとめます。いつも読んでくださる皆様には感謝しています。


はじめに今回の会場について。来る前から私が心に誓っていたのは「キタラと比べちゃいけない」。クラシック音楽のために設計された最高の音響のキタラと、地方の年季が入った市民会館では、音が違っていて当たり前です。また、今回私は自由席を購入しました。指定席は地元のかたにお譲りしようと考えて…いえこれはきれい事です。会場に対し席にこだわる程の期待をしていなかったというのが本当のところです。そして座った席は、指定席ゾーンの一列後ろの中央寄り。小さな会場なのでステージはさほど遠くはなく、視界は良かったです。肝心の音の方は、率直に「思っていたよりも良い」と私は感じました。これは特に金管楽器の音の出し方に工夫があったため、というフォロワーさんの分析に納得。特にブラームスはホルン以外の金管楽器の出番は少ないとはいえ、トロンボーンもトランペットもここぞというときにパワフルに登場して深みを与えてくださいました。音が弱すぎると意味が無いですし、かといって強すぎると会場の弱点があらわになるしで、絶妙なバランスを探してくださったのだと思います。感謝です。またこれは音響のせいではなく譜面台の位置のせいだと思うのですが、前半は楽譜をめくる際に奏者の皆様が前屈みになって一歩足を踏み出す形になり、一斉に「ガッ」と靴が鳴る音が聞こえたのが少し気になりました。しかしこれは後半では解消されていました。

指揮の梅田さんは、5/22に行われた「道銀ライラックコンサート」に引き続いての指揮です。そちらは私は抽選に外れてしまい涙をのみましたが、ネット上での道銀ライラックコンサートの評判はとても良かったです。そのため私は行く前からえべつコンサートへの期待が高まっていました。配布されたプログラムによると、梅田さんが師事した指揮者の中には尾高忠明さんのお名前も。またドラマ「のだめカンタービレ」の指揮指導もされていたそうです。今回の演奏会については、フォロワーさんの言葉をお借りすると「歌っていた」ブラ1はもちろんのこと、前半2曲とアンコールに至るまで前評判で期待した以上のものを聴かせて頂けたと私は感じました。演奏を聴いた印象では、札響との信頼関係はバッチリ。そして、札響の皆様について。今回のコンマスは田島さんでした。奏者の皆様のお顔を拝見すると、各パートの首席のあのかたもこのかたもいらっしゃらない、と私は最初少し戸惑い心配に。地方公演と定期演奏会とではこういった面でも違うのですね。しかし演奏が始まると不安はすぐに吹き飛びました。どのパートの演奏も素晴らしい!当たり前ですよね、大変失礼しました。いつもは首席のかたの独壇場になるソロパートを、今回は主に副主席のかたが見事に奏でてくださったのを聴いて、札響の層の厚みを実感できました。演奏が進むにつれて会場の音響の弱点がまったく気にならなくなったのは、ひとえに演奏が素晴らしかったからに他なりません。私、地下鉄とJRを乗り継いで江別まで来たかいがありました、本当にありがとうございます!

会場入りしたお客さんについても簡単に。収容人数1000人ほどの会場は9割弱が埋まっていた感じ。大人のお客さんに混ざって、招待の小学生がたくさんいたのが印象的でした。中には私の娘と同じくらいの低学年の子もいましたが、みんなお行儀がよかったです。子供達にとっては本物の生演奏に触れる良い機会になったと思います。そしてできれば札幌市内の全小学6年生を対象とするKitaraファーストコンサートのように、学校の同級生たちと一緒に音響が良いKitara大ホールで聴きやすい有名曲を聴かせてあげたいなと、母親目線ではそう感じました。また大人のお客さん達も演奏会に慣れておられるかたが多い印象で、楽章の区切りで拍手が起きるようなことはありませんでしたし、私の席周辺にはマナー違反の人もいませんでした。えべつコンサートの主催はえべつ楽友協会。毎年札響を招いた演奏会を開催しているほかにも、0歳から聴けるコンサート等の企画をされているようです。例えば Andante sostenuto ではなく日本語で「遅く、音を保って」と書かれているプログラムは曲の解説も充実しており、一緒に配布された「がくゆう倶楽部」という会報も大変読み応えがありました。札幌にいると恵まれた環境をつい当たり前のように感じてしまうのですが、地方で地元のかたたちが努力して演奏会を企画し、本物の生演奏に触れる機会を作っておられるのは本当に素晴らしいこと。頭が下がります。

開演前にステージでは自主練をしている奏者のかたたちが何名かいらっしゃいました。その日の演目に混ざって、今のはスラブ舞曲?次はブラ4?と、火曜日の別公演の演目のメロディも聞こえてきました。日程にほとんど開きがないハードスケジュールで、複数の演奏会の準備を並行して進めているんですね。奏者の皆様はもちろんのこと、スタッフの皆様にも改めてお礼申し上げます。スケジュールが大変な中、毎回最高の演奏をありがとうございます。


演目に入ります。最初の曲ロッシーニ「歌劇『ウィリアム・テル』序曲」。私は通して聴いたのは初めてです。最後の方の有名なところの印象しかなかったので、冒頭のチェロ独奏(首席のかたでした)にびっくり!続いて他のチェロおよびコントラバスが独奏チェロに寄り添う…この段階で、低音の弦が好きな私の完敗です。こんな聴かせどころを作ってくださるなんて、ロッシーニさんありがとうございます!ロッシーニさんのこと、でっかいフォアグラにキャビアとトリュフを添えたくどいイメージ(※ひどい偏見)程度の誤った認識しかなくて本当にごめんなさい。そしてチェロ首席奏者の石川さん、私はお名前をしっかりと覚えました!私は愛が重い傾向があるので、少し遠慮しますから遠くから応援させてください!演奏の話に戻します。華やかなフィナーレの前にも聞き覚えのあるメロディがいくつも出てきて、知らないと思い込んでいた曲が案外なじみ深いものだとわかりました。嵐のようなところも、穏やかな朝のような静けさも、とっても素敵…と聞き惚れていたところに、いきなりインパクト大の金管楽器のファンファーレが登場してまたビックリ。不意打ち!でも有名な行進曲、楽しかったです。どうしても高音の派手な部分は少し耳に触ったのですが、会場の音響を考えるとそこは仕方がありません。むしろあの環境におけるベストな演奏をしてくださったことに感謝です。1曲目から会場は大拍手。

全体的に少しヴァイオリンの皆様の椅子を後ろに下げ、ソリストをお迎えしての2曲目パガニーニ「ヴァイオリン協奏曲第2番『ラ・カンパネラ』」ソリストの成田さんは暗譜されていたようで、最初から譜面台はありませんでした。初めはオケパートで、やがてソリストの出番に。登場してすぐは哀しみを感じる旋律を奏で、音色はとても美しくインパクト大。しかし個人的には少しメロディが明るくなるところに艶っぽさがあるなと感じ、お若くて技術が卓越したかただけどそれだけじゃないと思いうれしくなりました。偉そうにスミマセン。成田さんはご自身のソロパートを見事に弾いただけでなく、時には第2ヴァイオリンの前あたりまで下がってオケパートを一緒に演奏することも。いいところは弾きたくなりますよね、わかります!この時私は成田さんがなんだか歩き回っているような印象を受けたのですが、フォロワーさんとのリプのやりとりで、オケパートを演奏するときは立ち位置を下げていたのだと知りました。有名な第3楽章、鉄琴が高い音を鳴らして鐘の音を印象付けているとは!私は家でCDを聴いた時には気付かなかったです(プレーヤーがペラペラです…買い換え検討中)。リスト編曲の有名なピアノ曲とは似たところもあれば違うところもあり、管弦楽の壮大さも相まって、ピアノ曲もいいけどやっぱり原曲最高!となりました。そして何と言ってもソリストの見せ場満載。左手ピチカート、私は本物を初めて見ましたよ。聴衆が流暢なメロディを流暢と感じるのは、当然ながらソリストがよどみなく演奏しているからであって、こちらの想像以上に難しい演奏なんだろうなと思います。私はブラ1がお目当てで来たはずなのに、前半2曲が想像以上に楽しめたのはうれしい誤算でした。

ソリストアンコールパガニーニ「24のカプリース 第1番」ソリストである成田さんから曲名発表がありました。すぐに演奏が始まり、手の動きが見えないくらいに早くて、その超絶技巧に会場の空気が一変。私の隣にいらした初老の男性が「すごいな…」と。思わず感嘆の声が漏れ出た印象でしたが、私も同感です。すごいものを聴かせて頂けました。ありがとうございます!私は休憩時間にロビーに出てすぐに成田さんのCDを購入。アンコール曲も収録されていましたよ。あとはどうでもいいことですが、アンコール曲名紹介の貼り紙に「ガガニーニ」という地球は青かったみたいな謎の音楽家名がでかでかと書かれていたのが忘れられません(笑)。これも良い思い出です。

休憩をはさみ後半はブラームス交響曲第1番」第1楽章の重々しい冒頭部分ではあの印象的なティンパニに引き込まれます。実は私、家で手持ちの録音を聴く際は最初のティンパニに乗れるかどうかが運命の分かれ道になっています。どの録音も良いのですが、その日の状態によって微妙に乗れるテンポとそうでないものがあるんです。そして今回の演奏は「よしいける!」と最初から波に乗れました。ありがとうございます!基本的に重厚な第1楽章ですが、時折チラ見せしてくれる美メロの部分では、今どなたが主旋律を演奏されているのかを目で追いかけてみました。少しゆったりできる第2楽章は、やはりヴァイオリンのソロですよね。コンマス田島さんが美メロを聴かせてくださいました。こんな美しい音色を奏でる人が札響のコンマスなんですよ皆様!そしてオーボエとホルンのソロの美しさはもちろんのこと、フルートをはじめとする他の木管楽器の寄り添う音が素敵でした。クラリネットから入る第3楽章でも続くフルートを「素敵…」と感じ、この日のフルートは私のツボに入ったようです。優雅なところからだんだんと盛り上がってきて、またゆったりに戻り、そのまま途切れなく第4楽章に。私はブラ1は第4楽章が一番好きです。冒頭から第1楽章と同様にティンパニがリードしてくれます。弦の皆様の重厚で美しい旋律とドキドキするピチカートが交互に。木管楽器が後に来る美メロの先取りを少しだけ。力強いティンパニの後に、さあここからが良いところ。クララへのメッセージのホルンが来てフルートが繰り返し、続いてファゴットトロンボーンの素朴な音色が。そして来ました、めちゃくちゃ美しいメロディが次々と!ブラームスがメロディメーカーじゃないって言ったのは一体誰です?それから、ブラ1がベートーヴェン交響曲第5番や第9番と似てるって言う人は?今度私ととことんお話ししましょう(笑)。ブラ1好きの私のひいき目を差し引いても、「歌う」ような演奏がとても心地よかったです。主に主旋律を奏でるヴァイオリンや木管楽器やホルンはもちろんのこと、下支えする他の弦や金管楽器ティンパニも、全部良いです。叶うならずっと聴いていたいほどでした。それでも演奏はクライマックスへ。ずっと控えめだったトランペットとトロンボーンも力強く加わった全員参加の盛り上がりは、聴いていてただただ圧倒されました。私はもうその世界に没頭して、市民会館にいることを忘れてしまうほど。

演奏が終わると会場は拍手喝采で、指揮の梅田さんは何度もカーテンコールに戻ってきてくださいました。待機されていた鉄琴の奏者のかたも舞台へ。曲名紹介は特にないままアンコールの演奏が始まりました。ヨハン・シュトラウス2世とヨーゼフ・シュトラウスの兄弟による「ピチカート・ポルカ」。私は以前アマオケの演奏を聴いたことがあります。鉄琴が入る以外は全部弦楽器、しかもピチカートだけで演奏されます。弦楽器スキーの私としてはとってもうれしかったです。ピチカートだけの演奏でも、やっぱり札響の弦の音色はとっても美しい…。同じピチカートでも、つい先ほど聴いたブラ1第4楽章のドキドキ感とはまったく違う印象でした。またヨハン・シュトラウス2世ブラームスと仲良しでしたし、重厚なブラームスの後にシュトラウス兄弟の遊び心のある楽しい曲を聴けたのもよかったです。演奏が終わると会場はまた拍手でいっぱいに。最初から最後まで本当に楽しかったです。ありがとうございます!

 

会場を出る際、演奏を聴き終えたお客さんが皆さん晴れ晴れとした表情だったのが印象的でした。また、ほとんどのオーケストラメンバーが退場したステージで、コントラバス奏者の皆様がせっせとご自分のコントラバスを磨いていらしたのが忘れられません。演奏が終わるとすぐに手入れするんですね。当たり前のことかもしれませんが、このように楽器を大切に扱う姿勢が良い演奏に繋がっているのですよねきっと。もちろん他の奏者の方々も、小さな楽器は手持ちで退場されているので、おそらく舞台裏でも楽器の手入れ大会が催されていたのではないかと拝察します。私は改めて札響の皆様が好きになりました。

終演後はCD購入者対象のサイン会があり、私も列に並びました。白い夏物のジャケットにお着替えした成田さんがCDの小冊子にささっと日付とサインを書いてくださいました。私はまた緊張して「ありがとうございました」しか言えなかったのが少し心残りです。重ねて、素敵な演奏をありがとうございました。今回の超絶技巧はもちろん素晴らしかったですが、まだお若い分伸び代があるので今後のご活躍にも期待しています!サイン頂いたCDは家宝にします。 

成田達輝 デビュー!

成田達輝 デビュー!

 

 

余談です。終演後のロビーには家族が車で迎えに来て待ってくれていました。私がロビーに出ると、まず小1の娘が全力笑顔で駆け寄り抱きついてきて、続いて中二病真っ盛りの息子まで「コンサートどうだった?」とにこにこ近づいてきました。おそらく私は素晴らしい演奏を聴いたばかりの興奮と喜びでにっこにこだったのだと思います。笑顔はうつるんです、これが私の持論。そして息子はアンコール曲の演奏の音漏れをロビーで聴いていたわけですが、「天ぷら油みたいだった」と言ってました。言い方!それに揚げ物よりずっと透明感あるきれいな音だとママは思う!またパパの提案で、江別産の小麦粉を使ったピザを提供してくれるお店で夕食を頂いてから帰ることに。とっても美味しかったです。私には大好きな音楽があって、大好きなオケが演奏してくれるのを聴くことができる。そしてそんな私の趣味のお出かけに、愛する家族が快く送り出してくれるなんて、こんなにありがたいことはありません。恵まれていると言われればその通りなのですが、私はそのありがたさを忘れずに日々生きていこうと思います。


おまけ。1年ほど前の記事になりますが、私が札響のブラ1を初めて聴いた昨年の「ほくでんファミリーコンサート」のレビューは以下のリンクからどうぞ。コンマスは今回と同じく田島さんでした。私はあの時も感激しましたが、今回は私自身の経験値が少しあがったためか(?)、さらに楽しむことができました。文章は相変わらずですが…。 ※姉妹ブログ「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ」の記事になります。

nyaon-c.hatenablog.com

 

上の記事より少し前に公開した「Kitaraあ・ら・かると 2018」の記事は以下にあります。こちらで初めてソリストの成田さんにお目にかかったのでした。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲もすごく良かったですよ。実は私、成田さんを以前どこかでお見かけしたはず?と演奏会の間ずっとモヤモヤしていて、結局帰宅してから思い出したのです…本当に申し訳ありません。今回完璧に覚えましたから! ※姉妹ブログ「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ」の記事になります。

nyaon-c.hatenablog.com

 

今回の演奏会の約1週間前にあった定期演奏会のレビューは以下のリンクからどうぞ。今回の演奏会では、最初から最後まで美しい音色を奏でてくださったクール&スマートな弦の皆様。実は美しいだけじゃないすごい演奏も披露してくださるってこと、私は知っているんですからねっ(笑)。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

札幌交響楽団 第619回定期演奏会(土曜昼公演)および練習見学会 (2019/05) レポート

札響の定期演奏会デビューしてまだ日が浅い私ですが、2019年度は特別セット券「バーメルトの四季セット」を購入しました。

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札響ドキュメンタリーを観てバーメルトさんのファンになった私は、できる限り定期演奏会や名曲シリーズに足を運びたいと考えていました。そんな折に本年度のバーメルトさんが指揮するすべての公演をセットにしたこの企画が出たのです。1回券を4枚買うよりお得な料金に加え、特典として練習見学会やマエストロのトーク・セッションがあることに強く惹かれ購入を決めました。席は自分では選べないのですが、A席ならおそらく間違いはないでしょうし、様々な場所に座ることでそれぞれの良さや自分の好みもわかるといいなと思いました。なお、バーメルトさんが首席指揮者に就任して最初の定期演奏会に密着取材したドキュメンタリー番組のレビューが弊ブログにありますので、参考までに以下にリンクを置いておきます。もう一つの札響ドキュメンタリーのレビューもおまけに。札響ドキュメンタリーのおかげで、私は札響の指揮者や奏者のみならずスタッフの皆様にも勝手に親近感を抱いています(笑)。

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そして「バーメルトの四季セット」の特典の一つである練習見学会は今回の演奏会のものでした。まずはその練習見学会について簡単にレポートします。

5月16日(木)の正午から約1時間、前半プログラムの練習を見学しました。席は2階CBブロック内自由席で、私は前のほうに陣取りました。本来ならSS席にあたる席で、舞台は真正面にあり隅々まで見渡せます。既に自主練が始まっていて、普段着のオーケストラメンバーの皆様がそれぞれ演奏をしておられました。そして同じくカジュアルな服装のマエストロが入場。「こんにちは」と日本語で挨拶してくださり、私達も「こんにちは」とお返しし拍手。曲を途中で止めることなく通しで演奏してくださったので、本番さながらの演奏を聴くことができました。とにかく驚いたのは音の綺麗さです!音を吸収するものが少ないとKitaraってここまで良い音が響くんですね…。この素晴らしい音を聴きに来るんだと、本番への期待がゲージMAXまで上昇しました。客席にいたのはせいぜい200名程度。こんなに良い音を聴くことができた数少ない見学者の一人だったことに感謝します。あとは、1曲目では色々な打楽器を次々と持ち替えて演奏する奏者のかたに目を奪われました。打楽器はステージの一番後ろが定位置だと思っていたのですが、個性的な打楽器の数々を駆使するその奏者のかたは第1ヴァイオリンのすぐ近くにいて、持ち替えを目で確かめられたのも楽しかったです。

2曲目は舞台転換に少し時間がかかるので、その時間にバーメルトさんが客席まで来てお話してくださいました。全部フランスの曲である今回のプログラムについて、1曲目は「緻密」、2曲目は「道化」、3曲目は「シリアス」と表現。様々なお話があった中で、私は2曲目の「第2楽章にモーツァルトらしいところがある」と、3曲目のベルリオーズの愛の物語が「彼女がいかに美しいか」で始まり「あまりハッピーエンドでない終わり方」をするというのが特に印象に残っています。私はすぐ近くに本物のバーメルトさんがいることで舞い上がってしまい、メモを取るのを失念してしまったのを少し後悔。ちなみにマエストロご本人は英語でお話されて、通訳のかたが日本語に訳してくださったおかげで私達は内容を把握できました。しかしオーケストラメンバーの皆様は通訳を介さずにマエストロと英語でやりとりしているのを拝見し、演奏家は楽器演奏だけでなく英語もできないといけないのねと今更ながら思いました。2曲目は今回のソリストである児玉麻里さんと児玉桃さんも参加しての練習。譜面はピアニスト自らめくっておられましたが、あるタイミングで第1ヴァイオリンの田島さんが急いでピアノに駆け寄りさっと譜面をめくってビックリ。ご自身の演奏だけでなくピアノのほうにまで気を配っておられるとは、頭が下がります。なお本番では譜面をめくる係の人がついていました。

今回のメインであるベルリオーズ幻想交響曲は休憩後ということで、見学会はここでお開き。ああこのまま居座って後半も聴きたいなと思いましたが、さすがにそれは無理な望み。ここは良い方に考え、全部種明かしがあるよりは楽しみが増えると頭を切り替えました。詳しくは後述しますが、実際本番の演奏に私はズキュンとハートを射貫かれてしまったので本当にそうだったんですよ。練習見学会、想像以上に良い経験ができました。ありがとうございます!ツイッターでも呟きましたが、かなうことなら毎回参加したいです…。もしかすると札響の定期会員になると毎回参加できるんでしょうか…?

さて帰宅後。本番目前に私がやった予習といえば、ドビュッシーの小組曲の原曲(ピアノ連弾曲)をネットで探して聴いたり、事前に図書館で借りた札響の幻想交響曲のCDをライナーノートを読みながら聴いたり、ツイッターで金曜夜公演の感想ツイートを追いかけたり。その程度です。私は楽譜が読めないこともあって、予習といっても演目を一通り聴くくらいしか思いつかないのですが…。ただ今回は練習見学会が最高の予習だったので不安はなかったですし、バーメルトさんのお話をうかがってから今回5月の「幻想」は4月の「変奏」よりは感覚的に聴いて良いのかなとも思いました。そもそもフランスの曲は私の守備範囲外(※守備範囲がピンポイントすぎるのは自覚してます)なので、じたばたするまいと開き直ったのもあります。


本番当日の土曜日、バーメルトの四季「春」は汗ばむほどの陽気で暖かい日になりました。隣接する公園では早めに渡ってきたカモのつがいにヒナが生まれていて、小さな小ガモが一生懸命に水面を進む姿がとってもかわいらしかったです。私にとって平成最後のコンサートも令和最初のコンサートも札響の定期演奏会になりました。GWの様々な企画にはうかがえなくて残念でしたが、月に一度の定期演奏会に足を運ぶことで隣接する公園の季節の移ろいも楽しめるなんて、Kitaraと札響がある札幌は恵まれているなと改めて思います。

では演奏会本番の感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘頂けますと助かります。

札幌交響楽団 第619回定期演奏会(土曜昼公演)
2019年5月18日(土) 14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
マティアス・バーメルト
【ピアノ】
児玉麻里、児玉桃
管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】


まずはツイッターでの速報ツイートを貼り付けておきます。


まとめると上の2つのツイートに要約されます。ブログで文字数が増えたところでためになることは一つも書けませんが、誰得でもなく私得のために演奏会を聴いた感激を私の言葉で記録しておきます。標題音楽の物語を無視する等、聴き方もあまり褒められたものではありません。また短く書けないのは弊ブログの仕様です。それらをご了承頂ける心の広いかたは、以下お付き合いください。

本番前のロビーコンサートB.ブリテン「シンプル・シンフォニーop.4」より第3、第4楽章。私は以前Eテレクラシック音楽館」で聴いて好きになった曲です。弦楽器スキーとしても今回のロビコンはとても楽しみにしていました。テレビではオーケストラでしたが、こちらは室内楽バージョンでヴァイオリン7、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1の編成。しかしロビコンとしてはかなりの大所帯なのでは?奏者の皆様が楽器を携えて登場する様子は壮観でした。コントラバスなんてあんなに大きいのに片手で抱えて颯爽と歩いてこられたんですよ!この時点でもう私の負け確定です(?)。演奏が始まり、第3楽章の哀しくて美しいメロディにうっとり。騒々しいロビーの空気が一変します。疾走する第4楽章では私は低音にやられっぱなしでした。音の振動が下腹部にくるのがたまらなく良いです。やっぱり私は弦楽器が好き!特に低音!しかしこの大所帯、指揮者なしでの演奏だったのが個人的には驚きでした。今回の演奏会のコンマスである大平さんがロビコンの大所帯も率いておられましたが、普段から呼吸を合わせた演奏をしている皆様だからこその完璧なアンサンブルなのですよねきっと。演奏会の本プログラムの練習も大変な中、ロビコンの準備と練習までして私達を楽しませてくださりありがとうございます!

今回の席は2階LAブロック。ステージをちょうど真横から観る形になりました。私の席からだと真っ直ぐの視線の先はヴィオラ・チェロ・コントラバス。反対側の第1・第2ヴァイオリンでお姿を拝見できたのはコンマスとその後ろ数名まで。しかし管楽器や舞台後ろの打楽器の手元がよく見えたのはよかったです。楽器の持ち替えやメロディをリレーしている様子が目で見てわかると、打楽器も木管も少し苦手と感じていた金管も、全部愛しくなります。同じく縁の下の力持ち的な役割が多いヴィオラだって、今ここで下支えしてくれているとかここは主旋律を担っているとかを目で見て確かめられたのがよかったです。ハープや1曲目の個性的な打楽器の数々は位置的に見えませんでしたが、これは仕方がありません。肝心の音は、ホールの反響で全体が調和して聞こえたと私は感じていて、個人的には良かったと思っています。少なくとも一部の楽器が主張しすぎているようには聞こえなかったので、不満はありません。次の演奏会で割り当てられる席も楽しみです。

本番。オーケストラメンバーの皆様を拍手でお迎えし、続いてバーメルトさんの登場。緋色のカマーバンドが素敵です!練習見学会でのカジュアルな服装もお似合いでしたが、やはり勝負服というのは良いですね。こちらも自然と気が引き締まります。1曲目はドビュッシー「小組曲」(ビュッセル編)。冒頭のハープとフルートにまず心奪われ、その後オーボエクラリネットや弦も参戦して盛り上がってきたところで重低音のコントラバスにやられました(笑)。私が好きなコントラバスが8台もいるんですよ!基本的にフルートを中心とした木管楽器が活躍し、ホルンはじめ金管楽器ティンパニやトライアングルほか打楽器が彩りを添えている印象でした。ちょっと東洋的な印象のところでは木管楽器からヴァイオリンに続いてヴィオラと、メロディをリレーしている様子も目で見ながら楽しみました。この曲では私の好きな弦楽器は最初から最後までずっと美しい音色を奏でてくれました。原曲のピアノ連弾も良いですが、それぞれの楽器の個性が楽しめる管弦楽編曲も良いですね。練習見学会でマエストロがおっしゃった「緻密」というのは、編曲したビュッセルが管弦楽にする際に綿密に組み立てたことを言ったのかな?と思いました。違っていましたら申し訳ありません。

会場が拍手でいっぱいになった1曲目の後にオーケストラメンバーの皆様は一旦全員が退場。2曲目の舞台転換、ピアノ2台を前に出すだけでなく編成もがらりと変わるため少し時間がかかります。手持ち無沙汰の私は舞台をじっと見ていました。ステージマネージャー田中さん大活躍!練習見学会では背中に大きく「85」と書かれたTシャツ姿だった田中さん、本番ではスーツなんですよね。もしかしてその下には勝負パンツみたいに勝負Tシャツを着てたりするんでしょうか?やっぱり黒なんでしょうか?そしてピアノに楽譜をセットしたのはらいぶらり庵さん( @ssolibrary )。こんにちは!ツイッターではいつもお世話になっています!と言いたいところですが、お仕事中ですのでさすがに声はかけられません。あ、でもそうでなかったとしても私のおバカ丸出しのツイートを読まれているかと思うと絶対に名乗れないです…。もう色々とごめんなさい!そんなこんなで頭の中で色々と思いを巡らせているうちに舞台が整いました。舞台中央に向かい合わせに設置された2台のピアノのうち、前方のピアノはフタが完全に取り外されていて後方のピアノはフタを開けた状態でした。

2曲目はプーランク「2台のピアノのための協奏曲」ソリストの児玉麻里さんと児玉桃さんの姉妹はそろってシンプルなノースリーブのドレス姿でした。大人の女性らしさがもう本当に美しい!私は別の記事にも似た趣旨のことを書いたのですが、世界的に活躍する大人の女性の演奏家のかたが、潔く身体のラインを出しているのはとてもカッコイイと思うのです。厳しい世界で勝負し続けているからこそのオーラも感じられて惚れ惚れします。もちろん演奏そのものの実力と実績あってのこと。私もがんばります。まずは胸張って生きていこうと思います。

第1楽章、冒頭からいきなり金管楽器がパワフル!ピアノもそれ以上にパワフルでキレッキレです。ピアノが2台あるからといって交代で演奏しているはずもなく、背中側から拝見した演奏の手元はとても忙しそうでした。ピアノだけのときは少しゆっくりになりましたが、オケと合流するとピアノもオケも駆け抜けていきます。弦が合いの手を入れているところでは、力強く弦を擦って高い音を出しても耳に触る音にならないのが驚きでした。続いてマエストロが「モーツァルトらしいところがある」とおっしゃった第2楽章。言われてみればモーツァルトっぽいメロディがありましたが、フランスの香りがするモーツァルトでした。第1楽章にドキドキさせられたので少しゆったりした気持ちになれてよかったです。第3楽章は疾走感再び。ここが練習見学会でマエストロがおっしゃった「道化」なのかな?と。違っていましたら申し訳ありません。美しいメロディが出てきてもそれがずっと続くわけじゃなくあえて外してくるような。しかしこう考えられるのは事前にマエストロの言葉を聞いたからだと思います。何もないまっさらな状態で聴いたらまた別の感じ方をしたかもしれません。全体的に「フランスっぽい」と私が感じたのはなぜなのか自分ではわからないのですが、理屈はどうあれ、第3楽章は聴いていて楽しかったです。ラストがビシッと決まったところで会場は拍手喝采。マエストロは児玉姉妹の手をとって両手に花です。その姿がとてもまぶしくて会場の拍手もひときわ大きなものになりました。

ソリストアンコールフォーレ組曲『ドリー』より子守歌」。1台のピアノに2人並んで弾く連弾曲で、演奏前にステージマネージャー田中さんが急いで椅子を2つ並べておられました。演奏が始まると私は「あ、この曲知ってる」となり、2台ピアノもいいけど連弾もステキ!と聞き惚れてしまいました。前日のチャイコフスキーも聴いてみたかったです。

休憩をはさみ後半はベルリオーズ幻想交響曲。実は私、この曲をノーマークどころか意図的に避けていました。曲ができた背景や曲の物語を知ると、本当に申し訳ないのですが率直に、あまりお近づきにはなりたくないなと。しかし今回生演奏を聴くにあたり、物語で拒絶反応をしてしまうのはあんまりだと思い、もういっそのこと物語は忘れて演奏そのものに集中しようと決意。オーケストラメンバーの皆様が続々と入場するのを拍手でお迎えするときは、その編成の大きさを目の当たりにして「怖い音が迫ってきたらどうしよう…」と、一瞬ひるみました。でも先入観イクナイ。嫌いと言い切れるほどは知らないわけだから、と自分に言い聞かせて演奏に集中することに。結論から言うと、ちゃんと聴けていたかどうかは別としても、今回の「幻想交響曲」の演奏はとても楽しめて曲自体も好きになりました。ベルリオーズさん、今まで貴方を誤解してましたごめんなさい!他と比べてどうこうというわけではなく、それぞれの楽器の生かし方がとてもうまいのではないかと感じましたし、約50分という長さでもまったく退屈しない面白さでした。もちろん素敵な演奏を聴かせてくださったバーメルトさんと札響のおかげです。ありがとうございます!

比較的ゆったりとした気分で聴ける第1楽章とウインナ・ワルツとは少し違う第2楽章のワルツを経て、第3楽章に入る前にオーボエの首席奏者のかたが舞台袖に引っ込んでしまったのに私は戸惑いました。え?怒って帰っちゃった?(※絶対に違う)。しかしすぐに理由はわかりました。舞台のイングリッシュホルンと舞台袖のオーボエが会話をするように交互に演奏するんですね。オーボエの姿が見えないこともあって、あこがれの存在が近くにいて言葉を交わすのに手が届かない感じに胸打たれました。第4楽章は「断頭台への行進」という副題を必死に忘れて音を聴くことに集中。行進曲のトランペットがめちゃくちゃカッコイイです!そして首が落ちる瞬間はわかりませんでした。それは私が聴こうとしなかったせいだと思っていました。しかしツイッター上で見た感想によると、聴く気満々のかたにも聞こえなかったようです。それが意図的なのか結果論なのかはわかりませんが、個人的にはここの演奏は助かりました。私はもし首が落ちる瞬間がはっきりわかってしまったら、その後は怖くて聴けなくなっていたかもしれませんから…。ああでも第5楽章の鐘は怖くてたまらなかったんですよ。私の席からは鐘が見えなかったこともあってなおさら。そこにチューバとファゴットの重低音が登場して、私は無意識にすがってしまいました。吊り橋効果かもしれませんが、本当に頼もしかったんです。そのときはこれが「怒りの日」の旋律だとは知りもせずに。だんだんと曲は盛り上がってきて、数が多い管楽器もティンパニや大太鼓をはじめとする打楽器ももちろん弦楽器も全員参加の演奏に気分があがります。

そしてもうすぐ曲が終わるクライマックスで、弦楽器の皆様が一斉に弦を弓でバンバン叩きだしてビックリ。これはコル・レーニョ(col legno)という奏法なのだそうです。ツイッターでらいぶらり庵さんに教えて頂きました、ありがとうございます!れっきとした奏法として存在するのに、私は初めて見聞きしたため大いにうろたえてしまいました。私は他をよく知らないにもかかわらず断言しますが、札響の弦の美しさは格別なんですよね。そんないつもクールでスマートな弦の皆様が、こんなに羽目を外している印象の演奏をするなんて!ここを読んでくださっているかたにだけこっそり告白すると、私はきちっとしたスマートな存在が、弱さや荒々しさといったいつもと違う表情を垣間見せる瞬間にめっぽう弱いです。本当にチョロいです。こんな演奏されたらイチコロに決まっています。もしかしてロビコンを弦楽アンサンブルにしたのは、メインプログラムのクライマックスとのギャップ萌えを狙ったとか?と妄想までする始末。今後の札響の演奏会にて弦の美しい音色に触れるたびに、私は幻想交響曲を思い出すかもしれません。ほんの一瞬の演奏にこんなに食いついて申し訳ないですし、音楽の聴き方が間違っていると言われたらそれまでなのですが、今回のコル・レーニョに私は完全にハートをズキュンと射貫かれてしまいました。やっぱり私は弦楽器が大好きです!

フィナーレを迎え、会場は大きな拍手とブラボー。カーテンコールでマエストロは何度も舞台に戻ってきてくださいました。私も自分の力を出しうる限りの拍手を送りました。おそらく自分では選ばないオールフランスプログラム、こんなに楽しめたのは嬉しい誤算でした。バーメルトさん札響の皆様、私の新たな扉を開けてくださり本当にありがとうございます!バーメルトの四季、「秋」にはワーグナーが控えています。ブラームス命の私ですが、バーメルトさんと札響の皆様を信じてついて行こうと思います。今回は今までこっそり怖いと思っていたチューバの頼もしさを知りましたし、きっと大丈夫。秋のワーグナーが今から楽しみです。

終演後は、CD購入者対象のマティアス・バーメルトさんのサイン会。ソリストの児玉姉妹のサイン会はなかったようでした。次の日に首都圏での公演を控えておられたようですので、時間がとれなかったのかも。そして恒例のオーケストラメンバーとのふれあいがロビーでありました。この日も私は急いで帰宅しなければならず、足早に会場を後にしてしまいましたが、軽く会釈はしたので少しだけ進歩です(笑)。がんばれ私。


なお、専門的なレビューは「さっぽろ劇場ジャーナル」の次号に掲載されるとのことです。そちらとても楽しみにしています。2019年4月に発行された最新号も大変読み応えがありました。その第3号のレビューを私なりの視点で書いた、弊ブログの記事は以下のリンクからどうぞ。

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事前に図書館で借りた札響の幻想交響曲のCDについて、詳しくは下に貼った私のツイートを参照ください。今回は演奏箇所を確認するために復習としても聴きました。正直返却したくないです。いえ必ず期限までには返却しますので…。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

札幌交響楽団 第618回定期演奏会(土曜昼公演) (2019/04) レポート

札幌もようやく春めいてきた4月末。冬眠明けの熊出没のローカルニュースが出ていたさなかに、札響のらいぶらり庵さん( @ssolibrary )のこんなツイートが。


私うっかり反応してしまいました。


それからリプライのやりとりが始まり、エニ熊さんに会いに行く流れに。実は私4月は主に子供関係のあれこれで多忙で、ゆったりコンサートを聴く気持ちの余裕はなさそうと考えて、当初何もコンサートの予定は入れていませんでした。しかし今回は以前から気になっていた演奏会だったため、ツイッター上でのやり取りで忘れていた気持ちが呼び起こされたのもあり、やはり行きたい!と当日券で行くことにしました。指揮の尾高さんが病気療養でお休みに入る前に拍手でお送りしたいし、平成最後の定期演奏会だし、と理由はいくらでも出てきます(笑)。


大型10連休のGW初日、Kitaraに隣接する公園の桜は七分咲き。数日前まで暖かかったにもかかわらずこの日は寒さが戻り、冬眠明けのリアル熊さんたちも少し早めに渡ってきたカモさんたちも芽吹きはじめた草花もきっと寒かったこととと思います。

今回はこちらの演奏会の感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘頂けますと助かります。


札幌交響楽団 第618回定期演奏会(土曜昼公演)
2019年4月27日(土) 14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール
【指揮】
尾高忠明(札響名誉音楽監督)
【ピアノ】
アンヌ・ケフェレック
管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】


今回の席は当日しか購入できないスマイルP自由席にしました。一番お安い席で、ステージ後方かつオルガンの真横。一度座ってみたかったのと、今回は尾高さんの姿をしっかり目に焼き付けておきたいと思ったのとで決めました。チケットの目立つ場所に「急がないで!」と強調して書かれてあるのに一人でツボってしまい、入場後はにやける顔をハンカチで押さえながらお行儀良くゆっくり歩いてできるだけ前の方の席を確保。この席について詳しくは後述します。会場を見渡すと(※とても見渡しやすい席でした・笑)、全体の9割近くは埋まっていたでしょうか?ちなみに私がいたPブロックに関して言えば満席でした。

プログラムによると2019年4月から2020年3月までのシーズンは「作曲家が作曲家に出会うとき…何を感じ、何を与えたのだろう」がテーマなのだそう。またネットで見かけた新聞記事によると、尾高さん「ブラームスモーツァルトを尊敬していて、エルガーブラームスを尊敬していた。皆つながりがある」とのこと。それが今回の選曲につながったのですね。そして今回のテーマは「変奏」。「変奏曲」ではない2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲も、第2楽章の変奏が聴きどころだったようです。「ようです」というのも、これらの大切なことを私はすべて後から知ったからです。そもそも私は「変奏」というのがイマイチわかっておらず(「主題が変化する」と定義を頭で知っていても、技法を知らないこともあって、具体的にどのように変化しそれがどう面白いのかというのがよくわからない)、それも今回の演奏会を当初見送ろうとしていた理由の一つだったりします。個人的に好きな作曲家であるブラームスは変奏の名人だというのに、この体たらく。私はまだまだ修行が足りません。


本番前のロビーコンサート。私は2曲とも知らなかった曲ですしもちろん演奏を聴いたのも初めてです。まず曲のタイトルを見ただけで「なにこれ?」となりますが、実際に聴くともっと「なんなんですかこれ!」となる斬新な2曲でした。このロビコンはきっと伝説になりますよ!1曲目はあのワーグナーのパロディだろうというのは長いタイトルからわかります。原曲をよく知る人であれば「あえて外している」部分がわかってそのズレを楽しむことができると思います。ただ私はそうではないので、低音がカッコイイけどなんとなく違う?というレベルの聴き方をしてもったいなかったです。そして2曲目。私は後から知ったのですが、タイトルは「ダルムシュタット講習会」という音楽の勉強会の名称から来ているおふざけのようです。まず横に長い楽譜がユニークで、ちらっと見えた楽譜の中身も一般的な五線譜ではなさそうでした。おもむろに演奏が始まり、程なく第1ヴァイオリンの奏者のかたがイスに楽器を置いて立ち上がり、無言で手遊びのようなものを始めて、見ているこちらは「何事!?」となりました。そして次は第2ヴァイオリン、また次はヴィオラ、最後はチェロまで、時間差で同じように楽器を置いて立ち上がり手遊び。同じ旋律を繰り返し演奏していてもだんだんと楽器が減っていく様子にこちらはハラハラしましたし、立ち上がった奏者の皆様は幼稚園児のそれとは違う細かな動きを真顔で粛々と行っています。静寂の中、聴衆である私達は一体どうすれば…。有名な4分33秒よりインパクト大のような気がしました。演奏後はロビーいっぱいに響く拍手と「ブラボー」が。私はたまたまお隣にいらした年配女性と顔を見合わせ「すごかったですね!」と大盛り上がりしました。そして第2ヴァイオリンは札響ドキュメンタリー(※下に弊ブログの感想記事のリンクを置きます)で密着取材されていた赤間さゆらさんでしたので、もしご両親がお見えになっていたらどのような印象を持たれたのかな?と少しだけ思いました。

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さて席に戻り、オーケストラの皆様と指揮の尾高さんを拍手でお迎えしていよいよ本番です。1曲目はブラームスハイドンの主題による変奏曲」。ちなみに「ハイドンの主題」と呼ばれる主題は実はハイドンのものではないというのが通説のようですね。プログラムにも明記してありました。個人的に愛してやまないブラームスではあるものの、私は正直ハイドンヴァリエーションは今まで真剣に聴いてきませんでした。しかし演奏が始まり主題を提示する冒頭部分で、木管楽器の温かな響きとピッチカートで寄り添う低音の弦楽器の音色に「大丈夫、私ついていける!」となり、そこからは最後まで私なりに鑑賞を楽しみました。ハンガリー舞曲のような部分があったり、ホルンが印象的なところがあったり。またどのように主題が変化したか自分がわかった変奏もあれば、そうではない変奏も。終曲で冒頭の主題が立派になって帰ってくると素直に「ああよかった」となりました。なおネット上での感想には、ハイドンヴァリエーションの演奏は少し元気がなかったという評がいくつか。言われてみれば、私の手持ちの録音と比べパワフルさは足りなかったのかもしれないとは思いました。しかし私自身は最初のこの曲に救われたので、好きな演奏です。なおプログラムによると、主題は変ロ長調で、第2・第4・第8変奏は変ロ短調、そして他の変奏と終曲まで変ロ長調。調性をむやみに変えないというのが、果たして作曲家のこだわりなのかそれとも変奏曲のお作法なのか?今の私にはわかりませんでした。申し訳ありません。

続けて2曲目はモーツァルト「ピアノ協奏曲第22番」。オーケストラメンバーの一部が退場し、ステージの一番前に大きなグランドピアノが設置されました。私は初めて聴く曲でしたが、モーツァルトらしい曲だなと感じてゆったりとした気持ちで聴いていました。クラリネットが活躍するところや第2楽章の変奏といった聴きどころをまったく気にせず…。ピアノ独奏のときは心地よい音色を楽しみながらも、指揮の尾高さんは手を重ねてじっとしておられるんだなと妙なことで感心したりも。ソリストのアンヌ・ケフェレックさん、プログラムにあるプロフィールを拝読して私は失礼ながらその経歴に驚きました。著名な演奏家だからといって最初から期待しすぎるのは良くないと私は常々自分に言い聞かせていますが、今回せっかくモーツァルトとサティ(アンコール曲)の素敵な生演奏を聴かせて頂けましたので、アンヌ・ケフェレックさんの演奏が聴ける映画「アマデウス」やCD「サティと仲間たち」を今後聴いてみたいと思います。

ソリストアンコール。アンヌ・ケフェレックさんが「サティ」と一言おっしゃってから演奏が始まりました。グノシエンヌ第1番、私は好きな曲です。先ほどのモーツァルトとはまったく違う印象で、同じピアノを同じ奏者が演奏してもこんなに違うものなのかと素直に驚きました。ちなみに前日の金曜夜公演では別の曲を取り上げたようです。2日続けて聴きに来ている人もいるので、その方達はまた違う表情の演奏を楽しめたのではないでしょうか。

休憩をはさみ最後の曲はいよいよエルガーエニグマ変奏曲」。プログラムによると、札響の前回の演奏は今回と同じ尾高さんによる指揮で2009年11月。ちなみに「さっぽろ劇場ジャーナル」最新号の「札響の名盤」で取り上げられていたのも尾高さん指揮によるエルガー(曲は「交響曲第1番」他)のCDでした。尾高さんと札響によるエルガーは鉄板なのかもしれません。ちなみに聞き慣れない「エニグマ」とは?3月末まで放送されていたBS日テレ『恋するクラシック』には「えにぐま」コーナーがあって、「エニグマ=西洋語で『謎』」と解説されていました。西洋語って何なの?とそこがまず謎ではありますが(笑)。話を戻すと、「エニグマ変奏曲」は各変奏に織り込まれた人物が謎で、変奏曲のテーマも謎なんだそうです。私はアンコール定番のニムロッド以外は初めて聴きました。主旋律を支える低音の弦楽器のピッチカートや、ヴィオラやチェロのソロパートが美しいところ等をいいなと思ったまではよくて、私は知らないなりに鑑賞を楽しみました。ただ、私の好きなブラームスに少し似てるかも?と余計なことを考えたのがまずかったです。金管楽器や打楽器が主張するところで「やっぱり違う」となってしまい、それからまともに聴けなくなってしまいました。カーテンコールで尾高さんからオルガン奏者のかたの紹介があったとき驚いたくらいで、私はオルガンがどこで入ったのかすらわかりませんでした。本当に申し訳ありません。この日のエルガーエニグマ変奏曲」の演奏は、ネット上での評判が大変良かっただけに、私はなんてひどい聴き方をしてしまったのかと猛省しています。

最後は尾高さんが少しお話されました。ステージに背を向ける形になったため私の席からはよく聞き取れませんでしたが、令和に改元されるにあたり皇后陛下(現・上皇后)が大変お茶目なかただという逸話紹介や、尾高さんご自身が天皇陛下(現・上皇)と同じ前立腺を患ったことを明るく話し、会場には笑いが起きていました。会場は大拍手でお見送り。尾高さんがお元気な様子で指揮とお話をしてくださったことが本当にうれしかったです。尾高さん、まずはしっかりと療養なさってください。そして元気に帰ってきてくださる日をお待ちしています。次にお目にかかるときまでに、私は尾高さん十八番のエルガーともっと仲良くなっていることをお約束します。


ひとり反省会。まず大前提として、本物の生演奏を体感するのは気持ちいいですし、その意味では今回だって後悔はありません。しかし今回はあまりに準備不足の状態で聴いてしまい大変失礼なことをしてしまったことを反省しています。申し訳ありません。メインプログラムでは覚えたてのわずかな知識が邪魔をして素直に聞けなかったのは、本当に一番やってはいけないことで、お詫びのしようもありません。ロビーコンサートが心から楽しめたように、むしろ知識も先入観もまったくないまっさらな状態ならまだよかったのかも。次の演奏会では絶対に失礼のないように、出直して参ります。私はまだまだなのは確かですが、いつまでも初心者とは言っていられない段階にまで来ているとも思うので、せめて自分なりにしっかり準備をした上で先入観は排除して向き合うよう努めます。

こんな状態で席うんぬんを言うのはおこがましいと承知の上で、自由席スマイルエリアについても覚え書きをしておきます。まず指揮者については動きも表情もバッチリ見えました。尾高さんが楽しんで指揮をされている様子を拝見できたのは本当によかったです。また奏者の皆様の手元が見えるのはステージ前方の第1ヴァイオリンとヴィオラがギリギリで、他は背中を見る形に。そして打楽器に関しては角度的にまったく見えませんでした。そして肝心の音について。弦の低音と高音がいつもとは左右逆というのはすぐに慣れましたし、足下から来る低音の振動はむしろリアルで1曲目のブラームスでは「この席もいいな」と素直に思ったのです。問題は今回のメインであるエルガー。ソロや比較的穏やかな部分はいいのです。しかし至近距離で金管楽器や打楽器が大音量で鳴るときは個人的に正直こたえてしまい、鑑賞どころではありませんでした。「次は絶対に向こう側に座る!」と決意。チケットの注意書きには、別の座席に勝手に座らないこと、もし発覚した場合は当該席の年間パス代を支払うことといった項目が。過去にそんな事例があったのかもしれませんね。もちろん私はそんなことはしませんが、そうしたい気持ちはわかります。自由席スマイルエリアは価格だけを考えるとSS席やS席の約三分の一。とはいっても聞こえる音や感激まで三分の一になるわけではないので、割り切った上で選択するのはアリだと思います。直接お話したわけではないため推測ですが、この席を選んだ皆様は比較的演奏会慣れしている印象でした。他に良かった点といえば、一番近い女子トイレが空いていたことくらいです。他の場所だといつも長蛇の列になるので、Pブロック以外に座った場合でも休憩時間に散歩がてらPブロック横まで来ても良いかもと今回覚えました。以上あくまで私個人の見方ですのであしからず。

終演後は、ソリストのアンヌ・ケフェレックさんのサイン会。そして恒例のオーケストラメンバーとのふれあいがロビーでありました。この日私は急いで帰宅しなければならず、足早に会場を後にしてしまいましたが、いつかきっと勇気を出して札響の奏者の皆様とお話したいと思います。コミュ障としては何をお話すればよいやら途方に暮れてしまいますが…。

なお今回のプログラムには『コンサート楽しみ方ガイドブック』が挟みこまれていました。表紙がとても素敵♪

www.sso.or.jp


中身はマンガではなく文章で、ポイントをおさえた読みやすい内容でした。クラシックコンサートに興味があってもちょっと敬遠してしまっている人達に向けて、生演奏の良さやより楽しむためのヒントが書かれてあります。以前からあった紙一枚のマナーをまとめたリーフレットとはまた違い、こういった小冊子はありそうでなかったのではないでしょうか。企画し実行してくださった札響とKitaraに大感謝です。今回は定期演奏会ということで聴衆は比較的慣れた人が多かったと思われますが、GWの数々の企画には初めてのコンサートという人も大勢いたはずです。その方達がこちらのガイドブックを持ち帰り、周りのお友達や知り合いに紹介する流れになるといいなと思います。


家に帰るまでが遠足です!もとい、家に帰ってからもまだまだ演奏会の余韻を楽しめるのです!というお話を少しだけ。私は基本的に「コンサートは一人で行く」人です。家族に小さな子がいるので、夫に子供達を見てもらって来ています。そもそも私自身単独行動は好きですが、それでも最初のうちは少し気後れがありました。しかし思っていたよりお一人様は多いとわかってからは気が楽になりましたし、たとえ言葉を交わさなくとも同じ演奏会をご一緒できた皆様とは勝手に同志のつもりになっています。そして演奏会当日の夜は、ツイッター上に皆様の感想がどんどんあがってきて、それを追いかけるのが楽しいです。自分ではまったく気づけなかったポイントを知ることができますし、何より同志の皆様と感想を共有できるのはうれしい。特に札響の演奏会の場合はらいぶらり庵さんが神業リツイートを展開してくださるため、夜遅い時間までさながら二次会のような雰囲気に。もう一人で寂しいなんて思う暇はないんです(笑)。またたとえ自分が行けなかった演奏会であっても、皆様の感想を拝読すると楽しそうな雰囲気を感じとれ、それはそれで楽しいです。「私も行きたかった…」と悔しがることもありますが(苦笑)。

そして札幌には幸運なことに「さっぽろ劇場ジャーナル」があります。ネットは便利ですが、言葉が流れていく傾向があるので、じっくり腰を据えて考えられる紙媒体はありがたいです。今回の演奏会についても後日専門的なレビューが掲載されると思われます。そちらを拝読するのを今からとても楽しみにしています。最新号である第3号も大変読み応えがありました。その第3号のレビューを私なりの視点で書きましたので、ぜひジャーナル本誌と読み比べてみてください。以下のリンクからどうぞ。

 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

「さっぽろ劇場ジャーナル」第3号(2019年4月発行) 感想

心待ちにしていた「さっぽろ劇場ジャーナル」第3号が2019年4月に発行されました。私は4月の札響定期演奏会にて一部頂戴し、自宅でじっくり拝読。今号も読み応えがありました!コンサートレビューは札幌における主要な公演をほぼ全部網羅している上に、特集やコラムまで掲載されていて、どの記事も骨太。しかも無料なんですよ。良質なホールがあり、一流の演奏家による演奏会がいくつも開催され、さらにそれらをより深く味わう手助けとなる「さっぽろ劇場ジャーナル」がある…札幌はクラシック音楽を楽しむ環境には大変恵まれていると思います。

文字がぎっしりの誌面は内容だって濃く、譜例まであげての解説はコアな音楽ファンの皆様がきっと十二分に楽しめる内容だと思います。とはいえ極端なマニアック路線ではなく、札幌とその近郊に住む人であれば手が届く範囲のコンサートのレビューが中心ですので、どなたでも自分事として読むことができます。もちろん人によって理解度の幅はあるとは思いますが、クラシック音楽の演奏会をかしこまって聴ける人であれば「さっぽろ劇場ジャーナル」は読めるのではないでしょうか。私のようなビギナーでも少し背伸びすれば読めます。そもそも私は演奏会だってうんと背伸びして聴いています。なお、字が小さくて読めない不安があるかたはハ○キルーペ等をご用意ください。

まだお読みでないかたは、ぜひ入手してお読みください。以下のリンクに設置場所が書いてあります。一面トップの画像、見出しのオレンジ色が鮮やかですね。写真も華やかでワクワクします。

www.sapporo-thj.com


遠方のかたはお取り寄せできますので、どなた様もぜひお取り寄せしてお読みください。こんなに内容が充実した読み物、札幌に住む人だけで独占するなんてもったいない!個人的には全宇宙の人におすすめしたいです。以下のリンクにお取り寄せ方法が書かれています。

www.sapporo-thj.com


譜例集は以下のリンクからどうぞ。楽譜は読めないに等しい私でも、何のひねりもないハ長調をドレミ…と読むレベルの読解力でなんとなく追いかけています。

www.sapporo-thj.com


今回はこちら「さっぽろ劇場ジャーナル」第3号について、私なりの感想を書きましたので公開します。私が感想をブログで公開することにした理由は2つあって、それは「自分の考えを整理しておきたかったから」、そして「他の人がどのように読んだのか知りたいから」です。まず前者について。当初私は感想をツイッター経由で編集部の皆様にお伝えしようと思っていました。しかし考えを箇条書きしていたら色々出てきて、もうお気軽な感想にはならないと思い、腰を据えてブログの長文記事にまとめることにしたのです。相変わらず重くてスミマセン。快諾してくださった編集部の皆様に感謝です。なお、自由に書いてOKとのことでしたので(ありがとうございます!)、内容について事前の相談は一切していません。そして後者について。私の考えはたかが知れているので、ジャーナル本誌をお読みになった皆様がどのように思われたのかをぜひ知りたいと思いました。ツイッター上でいくつかの感想を拝見していますが、できればもっと内容に踏み込んだものが読みたいと私は思っています。定期演奏会のホワイエに平積みしてあったジャーナル本誌を、多くのかたが手に取っておられたのを私はこの目で見ました。演奏会直後のツイッターがお祭りになるように、「さっぽろ劇場ジャーナル」を読んだ人同士で話が盛り上がるときっと楽しいと思うのです。もちろん、ここまで完璧な記事を出されたらぐうの音も出ないというのはわかります。それでもせっかくの良い機会、ジャーナルに書いてあることを出発点にもっと気楽にお話ししませんか?部分的な感想でもあるいは反対意見でも、あまり気負わずに語ってくださる人が現れることを願っています。まずは隗より始めよ、ということで、私が感想を書いてみました。「にゃおん、ポイントはそこじゃない!」とか、私へのツッコミであれば言いやすいですよね(笑)。


それでは目次に沿って順番に見ていきます。ちなみに「さっぽろ劇場ジャーナル」第3号にレビューが掲載されているコンサートのうち、私が実際に聴いたのは「竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタル」と「札響定期演奏会(1月)」です。

1面から3面は田部京子特集。エッセイ、リサイタルレビュー、インタビュー、ディスク紹介と盛りだくさんです。田部京子さんは北海道室蘭ご出身のピアニスト。私は田部さんのブラームスCDを2枚持っていてその演奏が好きなので、今回の特集をとても楽しみにしていました。

まずは巻頭エッセイ。慎重に言葉を選びながらも田部京子さんの音楽を「和解の音楽」と表現し、ピアノが発達した19世紀のロマン主義には「先」があると田部さんの音楽は教えてくれた、とあります。エッセイの内容については、私は頭でなんとなく把握したレベルで、まだ自分の中にストンと入ってくるほど本質を理解できていませんので、ここで詳細を書くのは控えます。皆様はぜひ本誌をご一読ください。

そしてこちらの記述。

今回の特集のきっかけとなったのは昨年11月にキタラの小ホールで開催された彼女のリサイタルであった。いま聴くべき演奏家の筆頭に挙がる田部が、まさにいま聴くべきときを迎えている。そんなコンサートだった。だが、会場には空席が目立ち、札幌の熱心な音楽ファンの多くも、同日に開催された大ホールの別公演へ足を運んでいた。なんということだと思った。

…なんということでしょう。私は別公演に足を運んだ一人です。なんだか申し訳ない気持ちに。でも大ホールの尾高さんと札響も良かったんですよ…。大ホールの公演については弊ブログにレビュー記事がありますので、参考までに以下にリンクを置いておきます。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

言うまでもなく、客層がビギナー中心であっても、尾高さんと札響の演奏は本物です。本当に良い物であれば、何も知らない人の心にも響くはずですし、大ホールの公演は実際そうだったと私は信じています。しかしだからこそ「田部の音楽はそのような初心者を撥ねつけるような冷たい音楽ではない。聴けば必ず魅了される」という記述が刺さるのです。身体は一つしか無いので、2つ以上の公演の日時が丸被りなら分相応のものを選ぶしかないわけですが…こんな贅沢な悩みができる札幌は恵まれています。しかし結局、今の私には田部京子さんのコンサートは分不相応と判断したのは事実です。私は次の機会こそは田部京子さんのコンサートにうかがいたいと思います。その時までに、きちんと受け止められるだけの素養を身につけておきます。「(今回の特集が)田部京子の豊穣な音楽世界の入口になればと思う」はい。よろしくお願いいたします。

田部京子 リサイタルレビュー。読後の個人的な気持ちは率直に「やっぱり行けばよかった」というのと「行かなくてよかったかも」というのが半々です。先に「行かなくてよかったかも」と思った理由について。自分の選択を無理に肯定する意図はないと断言した上で、一言で言うならやはり「今の私には分不相応」。シューマンシューベルトもほとんど聴いてこなかった私が、仮に付け焼き刃の予習で演目をなぞって臨んだところで、「遅い」テンポに戸惑わずにいられたのか、ブラームスが追加した「補遺」(私は恥ずかしながらこの存在すら知りませんでした)をあえてその場所に入れた意図を理解できたのか、まったく自信がありません。それでも「やっぱり行けばよかった」と思うのは、レビューの記述内容を「自分で聴いて確かめたかった」と素直に感じたからです。相手がたとえどんなに有名な演奏家であっても遠慮無く辛辣な批評をお書きになる多田編集長が、田部京子さんの演奏を大絶賛しておられるのが純粋に興味深くて。挙げだしたらきりが無いのですが、例えば以下のような記述。

シューベルト特有の突然の休符は、内田光子で聴くと、無音が怖くてまた無理にまた無理に音を紡ぎ始めるように聴こえる。だが、田部はこの無音を味わいつくすのだ。なんという芸風の違いか。

もちろん内田光子さんには内田光子さんの良さがあるのだと思います。それでも「無音を味わいつくす」というこの表現!その場にいてその空気を肌で感じ取れたらどんなによかっただろうと。もし私がリサイタル会場にいたなら、理由もわからず圧倒されたかもしれません。そしてたとえその瞬間に理由がわからなかったとしても、後日ジャーナルのレビューで復習して「そうだったのね!」とピタッとハマればうれしいはず。

なお、「さっぽろ劇場ジャーナル」ウェブサイトにて内田光子さんのオールシューベルトプログラムのレビューが公開されています。以下のリンクからどうぞ。

www.sapporo-thj.com


田部京子 インタビュー。日付はわからないものの内容から推測するに、リサイタルの前ではなく後日に行われたようです。隣のページにあるリサイタルレビューに呼応するように、「プログラムについて」や「その場所に補作の5曲を挿入した意図」、「ゆったりしたテンポで演奏した心境」、「札幌でのリサイタル6回のうち3回までもメインがシューベルトの21番」等、演奏会の聴き手や記事の読み手が知りたいことがきっちりおさえてあって大変充実していました。田部さんご自身も「すごく細かく聴いていらっしゃるのですね」と感心しておられて、きっとうれしかったのでは?田部さんが語るすべての言葉に重みがあり、今後田部さんの演奏を聴く際には何度も読み返したいと思えるインタビュー記事でした。

大切なことばかり書いてあるにもかかわらず、また一つだけ引用して言及することをお許しください。

ただ、間合いや音のない箇所も音楽なので、そのあたりはとても大切にしています。休符も心から味わうようにしています。

私、聴き手としてこれがわかるようになればもっと音楽を楽しめるようになると思うのです。突然ですが私は古典落語を聞く人で、噺がうまい人は「間合いや息づかいが絶妙」というのが私の持論です。私が贔屓にしている噺家さんの場合、しゃべっているときではなくむしろ沈黙で笑いが起きます。間合いや呼吸や沈黙を含めた噺のテンポに乗っかれると最高に楽しいので、私は音楽でもそんな体感ができたらいいなと。田部京子さんの演奏でしたらきっとそれが可能なので、近い将来リサイタルにうかがえる日が待ち遠しいです。

なお、田部京子さんのオフィシャルサイトには、2018年11月の公演について書かれた北海道新聞の記事イメージがありました。こちらはリサイタルより前に行われたインタビューをもとに構成しているようです。参考までに以下にリンクを置いておきます(※pdfファイルです)。

http://www.kyoko-tabe.com/img/news10.pdf


ディスクで聴く田部京子
。1は三浦洋さん(北海道情報大学)、2は多田編集長による執筆です。ちなみに私自身は、田部京子さんの全35枚のCDをたとえ時間がかかってもいずれは全部聴きたいと考えています。さてどこから手をつけようか、となったときに、こちらのディスク紹介記事が道しるべになるので本当にありがたいです。例えば田部さんにとって大切な曲の一つであるシューベルトピアノソナタ第21番が、2016年NHKドラマ「夏目漱石の妻」の主題曲だったとは私は浅学にして存じませんでした。玄人向けの曲なのかもと身構える必要はなくて、ドラマから入るのもアリかもしれませんね。なお、田部京子さんの演奏について書かれたドラマスタッフブログ記事を見つけましたので、参考までに以下にリンクを置いておきます。

www.nhk.or.jp


そして「和解の音楽」としてどうしても外せないと編集長イチオシなのがベートーヴェンピアノソナタ第32番。こちら譜例をあげて丁寧に解説されていますので、譜例と解説の両方を読み込みながら録音を聴くとよさそうです。「嘘くささが微塵もない救済」が一体どのような演奏で表現されているのか、自分の耳で確かめたいと思います。余談ですが、「大丈夫、怖くないんだよ」なんて言われるとかえって身構えてしまうのはおそらく私だけじゃない気がして。いえ私だけならいいんです、その場合はごめんなさい忘れてください。


4面は北海道二期会「椿姫」全幕レビュー。1ページ全部を使って詳細に書かれてあります。また、公演に先立ち「さっぽろ劇場ジャーナル」ウェブサイトにて記事「【椿姫】見どころ聴きどころ」が公開されました。以下のリンクから読めます。

www.sapporo-thj.com


私、娼婦って「お金をもらって男の人と遊んであげる女性」くらいの認識しかなかったので、上の記事は結構グサッときたんです。なんだかんだで安全な場所にいる私は、なぜ自分が安全な場所にいられるのかを、もっと想像力を働かせて考えなくてはいけないなと思い知らされました。オペラ鑑賞は娯楽ではありますが、そこに人間や社会の本質が描かれているのなら、歌と音楽の力も借りた贅沢な疑似体験ができるのかも。「かも」としか言えないのは、私はオペラ未経験のため想像でしか物が言えないからです。

話を戻して「椿姫」全幕レビューについて。当日観ていた人はもちろんのこと、そうでない人にも見どころ聴きどころがわかる充実した内容だと思います。例えば字幕の解説。たいていの人は字幕はそのまま信じるしかないので、ここは良い訳とか別のここは勇み足とか具体例を示してくださるのはありがたいです。一方、人によっては評価が分かれそうなところについては、できれば実際に観た人達がこちらのレビューをどのようにお読みになったのか知りたいと思いました。当日いなかった立場としては同意も異論もなくそうだったのねと読むしかないので。一例として、記事で好評価しているヴィオレッタが高音Esを下げたところやヴィオレッタの「雄弁で完璧ではない」弱さについて。また、指揮とオケ、ほか照明等について褒めているところもあれば注文をつけているところも。しかしこれほどの公演が一度きりの舞台だったのは惜しい、というのはどなたも同感だと思います。結びの「まずは、観客がこうした価値のある興行に対して応援の意味をこめて対価を支払うような消費購買の風習が広まってほしいと感じた舞台だった」は、確かにその通りです。私自身は「オペラのチケット代1回分で音楽のみの演奏会に4回位は行けそう」と、ついそんな計算をしてしまうレベルなので、まだまだ価値あるものへの貢献ができる程になっておらす申し訳ないです。


5面はふきのとうホール。上段は1月から3月の主催公演レポートです。すぐ下の竹澤恭子さん1公演の半分程度の文字数で、3公演について書かれてあります。「駆け足の紹介になるのが残念だ」…読み手としても残念です。しかしこちらの公演全部を詳細にレポートするとなると誌面をもっと増やす必要がありますし、苦渋の決断だったというのはよくわかります。それでもこの「駆け足の紹介」がすごいですので皆様ぜひご一読ください。文章を短く書くのは非常に難しいんですよね…。私は素人なので比べてはおこがましいのは承知の上で書きますが、私は文章が無駄に長くなるタイプです。あれもこれもと書いていけばどんどん長くなりしかも削れません。短く書くより長く書く方が断然ラクです。素養がなくて気付きが少ない私でさえそうなのですから、隅々まですべてわかる多田編集長であれば今の6倍以上の文字数を使って詳細に書く用意があったはずです。いえもしかすると3公演とも一度はその位の文字数でお書きになったのかも。そうでなければここまで内容の濃い記述にはならないと思います。限られた文字数の中に各公演のエッセンスがぎゅっと詰まったレボート、もう平伏するしかありません。恐れ入りました。

中段に大きく取り上げられたのは「竹澤恭子、ヴァイオリン・リサイタル」。「ふきのとうホールPick up!」と題した新コーナーで、数ある公演の中から竹澤恭子さんを選んでくださったのが個人的にめちゃくちゃうれしいです!Pick up といっても、私の場合はこれしか聴いていないという意味でのPick up なのですが、竹澤恭子さんのリサイタルは本当に聴けてよかったと心の底から思える公演でした。参考までに弊ブログのレビュー記事へのリンクを以下に置いておきます。「超絶気持ちいい」とか「私壊れる」とか、一体何の話?と心配になったかたは安心してください。すごすぎる演奏を聴いてテンションおかしくなった人の話です。 

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多田編集長によるレビューは、私が華麗にスルーしてしまった大事な部分をきっちり取り上げてくださっています。私はその場にいた強みで、どの記述も演奏箇所がわかるのがうれしいです。最初の曲「バール・シェム」はやはり重要だったのですね…。私は曲についてもユダヤ人の歴史や文化についてもほぼ知らないまま丸腰で臨んだことを今でも後悔しています。比較対象としてあげられたバーンスタイン「エレミア」交響曲もCD等で聴いてみようと思いました。2曲目「クロイツェル」は第2楽章が聴きどころだったとは…。私、第1楽章で燃え尽きている場合じゃなかったですね。私は第1楽章に呼吸を忘れる勢いで入り込んだせいで、第2楽章に入ってやっと息ができる!となってしまい、結果として大事なところをきちんと聞けてない有様。第2楽章の変奏曲…私はまだ「変奏」がイマイチわかっていないので、もう少しわかるようになってからクロイツェルを改めて聞き直したいです。トリのフランクは、私の感覚で「第2楽章が意外にシリアス」に聞こえたのはあながち間違ってはいなかったのかな?と。「力強く、聴く者を奮い立たせる、竹澤の強靭な魂に満員の会場から拍手と歓声が贈られた。会場にいたすべての人にとって忘れられない演奏会となったことだろう」完全に同意です。私はこの演奏会を忘れたくなくて、でも自分のレビューを読み返しても変なことしか書いていないのがつらいので、ジャーナル3号のこちらのレビューを折に触れて読み返したいです。完璧なレビューをありがとうございます。

下段は「ふきのとうホール注目公演」として、2019年5月10日開催の「大谷康子&イタマール・ゴラン デュオ・リサイタル」の紹介。ヴァイオリンの大谷康子さんもピアノのイタマール・ゴランさんも世界的な奏者ですし、しかもR.シュトラウスソナタが聴けるなんて、札幌はなんて恵まれているんだろうと改めて思います。私は行けなくて残念ですが、後日レビューを拝読するのを楽しみにしています。なお、掲載記事と同じ内容および大谷康子さんへのスペシャル・インタビューの全文がウェブサイトで読めます。以下のリンクからどうぞ。

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読むと元気がもらえます!それにしても、「いまが青春なの!」とおっしゃる大谷康子さん、超人的な演奏を聴かせてくださった竹澤恭子さん、特集で取り上げられた田部京子さん…自分より年上の女性の演奏家のかたたちが厳しい世界の第一線で大活躍しておられるのは本当に励みになります。私もそろそろお年頃なのでわかるのですが、皆様大人の女性ですから、年齢的に女性特有の体調の変化や気持ちのゆらぎがあってしんどいこともあると思うのです。でもそれがどうした、という感じで、常に高みを目指して私達に素晴らしい演奏を聴かせてくださるんですよね。本当に頭が下がります。私はただの主婦ではありますが、女性の先輩方の生き様に負けないよう、まっとうに生きようと思います。


6面は札響定期演奏会(1月から3月)。1ページの上半分が1月公演で、下半分をさらに2つに分けてそれぞれ2月と3月のレビューが掲載されています。私は1月公演のみ聴きました。参考までに弊ブログのレビュー記事へのリンクを下に置きます。フワフワしたことしか書けなくてお恥ずかしい限りですが、とても幸せな時間を過ごせた演奏会でした。

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1月の記事では、冒頭でニューイヤーコンサートについて簡単に。明るいウインナ・ワルツがバーメルトさんの手にかかると「氷像のような冷たい音」って…聴いてみたかったです。続いて1月定期のレビューに。私、同じ会場で確かに演奏を聴いていたのに、特に前半2曲は何もわかっていなかったようです。演奏機会が少ない珍しい編成の曲に驚いただけ?でも私、楽しかったですよ。後半のブラ2、まだこちらはかろうじてレビューの記述を追っておさらい可能なレベルで把握できました。それでも例えば主題の受け渡しはわかっても、そのために各パートの強弱を綿密に構成しているのには気付けていませんし、後からこうして解説を読んでもピンときませんでした。申し訳ありません。結局私は全体を塊としてなんとなく聴いているんだと思います。管弦楽って奥が深いんですね…。もちろん楽しく聴ければそれでOKという考え方はできます。しかし気付きが多ければより深く楽しめると思うので、こちらの解説レベルまで把握するのは難しくても、私は少し注意して個別のパートのふるまいを見るように心がけます。後でおさらいするところまでがセット。あとは細かな音の分析については、私はまだついていけない部分が多いため書いていることを信じるしかありません。しかしコアな音楽ファンのかたであれば別の見方ができるのかもしれないなとも思っています。できればそういった解釈違いのお話をうかがえたらうれしいので、やはり色々と語ってくださるかた大募集です。

2月の広上淳一さん指揮、3月のウルバンスキさん指揮による公演のレビューも興味深く拝読しました。いずれもクオリティ高い演奏だったことが窺えて、ご近所に札響とKitaraがある幸福を改めてかみしめました。私が定期会員になる日はまだ先になりそうですが、今後できる限り定期演奏会や名曲シリーズに足を運びたいと思います。


7面は上段が新シリーズ「札響の名盤」。尾高さんのエルガーを取り上げています。やはり尾高さんはエルガーなんですね。私は4月の定期演奏会で尾高さんと札響によるエルガー(紹介CDとは別の曲)を聴いて、きちんと受け止められなかったのを悔やんでいます。「尾高、札響、エルガー三者の個性が幸福に結びついた世界に誇るエルガー」なのだそうですので、こちらの解説を拝読しながらCDを聴き、尾高さんと札響によるエルガーの良さを感じ取れるようになりたいと思います。

そしてこちらの記述。

エリシュカが麻でバーメルトがガラス細工なら、尾高は上質な絹の肌触りだ。

…なんてステキ表現!個人的にはオペラレビューにあった「まるでシャンパンの泡のような儚さだ」よりもグッときました。こんなステキな言葉が聞きたい人生でした。手帳にメモしておこうかと。まじめに私もいずれは指揮者の個性の違いがわかるようになりたいです。


7面下段は連載コラム「言葉と文化(3)」。ウェブサイトに同じ内容が公開されています。お手元に本誌がないかたは以下のリンクから読めます。ざっと読み飛ばす内容ではありませんので、プリンターをお持ちのかたは印刷して読むことをおすすめします。寝転がってスマホタブレットを眺めているかたは、せめて姿勢を正して座ってみましょう。画面スクロールはゆっくりめで。

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連載コラムは毎回ガツンと来る内容です。簡単に一つの答えを求めるのではなく考え続けることが大切だと思います。私は今わかったふりをするのはやめて、時々は読み返し考えることにします。何事もそうであるように、「あー難しいこと無理!」と最初から拒絶するのは論外としても、盲信するのもまた思考停止なので、自分の頭で考える癖を身につけたいです。今はネットで膨大な情報が簡単に手に入ります。ソースはバラバラで玉石混交の情報の断片をつなぎ合わせただけなのに、それを「自分の考え」と無意識に思い込む人だって珍しくない時代。そんなコピペ人間に自分がならないようにするためには、やはり意識的に考えていく必要があるのかなとぼんやりと思います。


8面はコンサートレビュー。上段は「反田恭平ピアノ・リサイタル全国ツアー2018-2019Winter」。今回は全国の反田恭平さんファンのかたが大勢、ジャーナル本誌をお取り寄せしたとのことです。kitara大ホールを満席にしてしまう反田恭平さん、きっと演奏も人物そのものにも人を惹きつけてやまない魅力があるのだろうと拝察します。しかしレビュー記事では、テレビの人気者のイメージについては触れず「ピアノという楽器の制約を超えてゆこうとする」「超の字がつく努力家」等、あくまで反田さんの演奏家としての姿勢を評価。そしてオール・ショパンのリサイタルについて、譜例をあげて実際にどのように演奏したかをレビューしています。メイン読者層を想定してのことなのか、その書き方が「草書体」だったり「背筋がスッと伸びるような威厳」といった、すぐ下の別記事と比べると気持ちに訴える表現がやや多い印象を受けました。これは善し悪しではないですし、単なる私の思い違いかもしれませんので違っていたら申し訳ありません。そして特筆すべきはディスク紹介です。ショパン弾きのイメージが強い反田さんですが、ベートーヴェンの三大ピアノソナタの録音があるのですね。字数の許す限りCDの演奏の解説があって、素直に聴いてみたいなと思えました。興味を広げるきっかけがあれば、すぐ下の別記事のフュロップ・ラーンキさんや特集記事の田部京子さんにも目が向いて、世界が広がると音楽鑑賞はもっと楽しくなりますよね。これはすべての音楽ファンに言えること。かく言う私は、好きな作曲家や好きな演奏家に一途になりすぎる人です。もちろん人によるとは思いますが、私の場合は新たな扉を開くのがちょっとコワイ気持ちもあるので、「大丈夫、怖くないんだよ(?)」とほんの少し背中を押してくれるような視野を広げるきっかけになる記事は大歓迎です。

レビュー下段は「フュロップ・ラーンキ ピアノ・リサイタル」。リストの超絶技巧練習曲の全曲演奏会で、記事では全12曲についてピアノの演奏方法にまで踏み込んでレビューしています。これは相当ピアノが弾けるかたでなければ書けないのでは?そして読み手にもピアノ演奏技術とリストの曲そのものについての知識が必要かもしれません。もちろんこちらのリサイタルを聴いた皆様は、熱心な音楽ファンやピアノ演奏ができるかたが多いと拝察します。そんな皆達にはストンと入ってくる分析に違いありません。ちなみにこちらのリサイタルについては、我が家にkitaraから郵便のDMが届いてチケット購入のお誘いがありました。そのため失礼ながらもしかすると空席が目立ったのかな?と少しだけ気になっていました。同じページに人気絶頂の反田恭平さんの記事が掲載されていますが、今のお客さんの数の違いイコール実力や将来性の差ではないので、私はフュロップ・ラーンキという名の若いピアニストを覚えておきたいと思います。

そして最終ページまで読み進み、今回は事務局さんのコーナーがないことに気付きました。前号では最初のページから一生懸命に読み進めて、「足りない脳みそフル稼働で肩凝ったわ…」となったときに、最終ページ下にある事務局さんの手書き文字にほっこりしたんですよ。今回は記事内容が盛りだくさんで、泣く泣く割愛となったのかもしれませんが、少し寂しかったです。今後はご無理のない範囲でぜひ事務局さんのコーナーも掲載して頂けるとうれしいです。


どの記事も読み応えがあり、つい色々と語りたくなってしまいました。隅々まで気合いの入った誌面を本当にありがとうございます!これからも「さっぽろ劇場ジャーナル」を拝読するのを楽しみにしています。この先もずっと我が愛する街・札幌でクラシック音楽の演奏会や舞台が楽しめますように。そしていつもそばに「さっぽろ劇場ジャーナル」がありますように。ずっと読み続けたいので、私はできる限りの応援を続けていきます。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタル(2019年3月) レポート

2019/3/24 16時から、六花亭札幌本店ふきのとうホールで行われた竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタルに行ってきました。今回はこちらのコンサートの感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。もちろんひどい間違いはこっそりと教えてくださいませ。

【出演】

  • 竹澤恭子(ヴァイオリン)
  • 高橋礼恵(ピアノ)

【プログラム】

(アンコール)

  • J.マスネ:タイスの瞑想曲
  • G.フォーレ:夢のあとに


まず速報として呟いたツイッターでのツイートを貼り付けておきます。


私のちっぽけな想像を遙かに超える、最高の演奏でした!有名な演奏家の場合、聴く前からこちらが勝手に期待しすぎるせいでかえって物足りなく感じることもあるのですが、今回に関しては良い意味で期待を裏切られました。文字通り「魂を揺さぶられる」経験とはこのことです。竹澤さんの超人的な集中力と奏でる音楽の迫力そして緻密さ完璧さは素人目でもわかり、こちらも最初から全神経を集中して聴く体制に。覚悟を決めて演奏の流れに身を任せると、自分の感受性なのに今まで知らなかった部分が容赦なく刺激されて、なんというか超絶気持ちよかったです(※あけすけでスミマセン…)。そしてそれは私だけではなく、会場にいる皆さんも同じように演奏に没頭していた様子。まさにライブの醍醐味、とありきたりな表現で片付けるのはもったいないくらい、あの熱量の会場に自分がいられたことを感謝します。私はしばらくは今の気持ちを大事にしたいですし、別のもので記憶を上書きしたくないので、当面ヴァイオリンが主役の演奏会を聴きに行くのはよそうとまで思いました。この感激を言葉でうまく言い表せないのがもどかしいです。しかしできるだけ忘れないように、今後思い出す手がかりとなるように、たとえフワフワしたことしか書けなくても私の今の言葉で書いておきたいと思います。


竹澤恭子さん、私はBSPの「クラシック倶楽部」での演奏を聴いて一目惚れしました。ちなみにその時の演目はブラームスの1番と3番。まさにその回が4/25に再放送予定のようです。ぜひご覧ください。

www4.nhk.or.jp


竹澤さんがふきのとうホールに来てくださると知って、演目は何でもいいから(!)是非とも聴きに行きたい!と思い、早い段階でチケットを手に入れ当日を楽しみにしていました。ちなみに今回はお買い物でたまったポイント400点と交換しました。4000円で購入するのと条件は同じで席は事前に選べます。景品の大皿より少ないポイントで、ありがたいやら申し訳ないやらです。これからもお土産や普段のおやつは六花亭さんで買うことにします。

席は前のほうのほぼ中央を確保。ふきのとうホールは小さなホールなので、おそらくどこに座っても不満はない気がします。しかし私は演奏の手元を見たい派で、選べるのならできるだけ前のほうで中央よりの席を希望します。開演前に会場をざっと見渡した印象では、おそらく満席だったと思われます。私はまだまだ新参者ですが、やはりコアなクラシック音楽ファンのかたであれば竹澤恭子さんの来札は見逃せないですよね。配布されたプログラムには演目一覧と出演者の経歴がありました。私は竹澤恭子さんは当然としても、ピアノの高橋礼恵さんの華々しい経歴に失礼ながら驚きました。ノーマークで会場に来たことを後悔…高橋礼恵さんの演奏についても予習しておけばよかったです。そしてピアノはスタインウェイでした。ふきのとうホールのピアノはベーゼンドルファーだった記憶があるのですが、スタインウェイも追加導入したのかも。実際どのように演奏会のピアノが決まるのかまったくわかっていないのですが、奏者のかたが選べるシステムになっているといいなと思います。

もうすぐ開演というときに舞台袖からヴァイオリンのチューニングの音が。拍手で迎えられたお二方、竹澤さんは黒で高橋さんは白を基調としたタイトなドレス姿でした。演奏が始まる前のお二方の姿を拝見しただけで「かっこいい…」と息をのんだ私。これが大人の女性の美しさ!日本だとなぜか若いというより幼い女がもてはやされる傾向があって、おばさんと呼ばれる年代の女は無理に痛い若作りをするか諦めて体型カバーの地味な格好をするかが一般的なのかなと。もちろん演奏家は人前に立つお仕事なので、ビジュアル面での努力もきっとされているとは思います。実際お綺麗ですし、姿勢も良くて、何より一流のオーラがあります。とはいえ、小娘のそれとは違う肩や腕を潔く出して、腰回りのラインも隠さずに立つその姿に、私は惚れ惚れしました。若い頃と比べてボディラインが変化するのは当たり前、でもそれがどうした、ですよね。んんんカッコイイ!私も頑張ります(※何を?)

最初の曲はブロッホ「バール・シェム」。不勉強でお恥ずかしい限りですが、私は初めて聴く上に予備知識すらない曲でした。演奏が始まってすぐ、あまりの衝撃に「なにこれ…」となったのが忘れられません。普段ぬるま湯で生きている私の理解を超えた苦悩が感じられ(と言ってもおそらく本質を理解したとは言えない範囲で)、演奏にただただ圧倒されました。あまりにももったいない聴き方だったと今でも悔やんでいます。ユダヤ人やその民俗音楽について少しでも知っていれば、私はもっと違った受け止め方ができたに違いないのに、本当に申し訳ないです。一曲目から「ブラボー」が出て、会場の熱気が上昇しているのがよくわかりました。本気の演奏に、私は覚悟を決めてついて行こうと決意。

そしてベートーヴェン「クロイツェル」。私は昔から好きな曲です。超有名な第1楽章、「凄い」じゃ言葉足らずなのですが、凄いです…こんな演奏は初めて聴きました。選び抜かれた音そのものだけでなく強弱やテンポすべてが鬼気迫る演奏で、応戦するピアノだって負けていなくて、緊迫感は半端ないにもかかわらず喧嘩腰ではなく見事に調和していて、曲そのものの格好良さメロディの美しさは完璧に表現されていて。ぼんやり聴いてはいられないと、私は呼吸を忘れる勢いで演奏に集中しました。全神経が一点集中すると、雑念って消えるんですね。あの時の私は一種のトランス状態にあったと思います。この状態がずっと続いたら私壊れる、という段階に来て第2楽章に。少しゆったりできてよかった、とほっとしました。しかし聴き手は小休止できても、演奏は緊張感を持って繊細な音楽を緻密に紡いでいる印象でした。第3楽章も個人的には好きで、心地よい音とリズムを味わうことができました。

休憩をはさみ後半最初の曲はワーグナー「ロマンツァ」。私は初めて聴く曲でしたが、美しいメロディに素直に驚き、同時にとても新鮮に思えて楽しく聴くことができました。ワーグナーって、戦闘力高そうな管弦楽のイメージが強いので、余計にそう感じたのかもしれません。ヴァイオリンとピアノのための曲は星の数ほどあるのに、この選曲センスともちろん演奏そのものに脱帽です。

続いてはおなじみのクライスラー「愛の悲しみ」「愛の喜び」。よく知っている曲は安心できますね。しかし演奏に隙はなくて、演奏家の技巧と集中力には平伏するしかないです。短い名曲を完璧な演奏で聴くことができ、私の記憶はこの演奏でバッチリ上書きされました。最後に控える曲が大曲で、場合によっては後半プログラムはそれだけでも良いくらいなのに、盛りだくさんの内容で私達を楽しませてくださり本当にありがとうございます。

トリはフランクのヴァイオリン・ソナタ。私はヴァイオリン・ソナタを色々と聴く過程で比較的最近この曲を知りました。大好きな曲です。おそらくベートーヴェンブラームスには書けなさそうな曲だと私は勝手に思っていて、普段ブラームスばかり聴いている私にとって、フランクのヴァイオリンソナタは新鮮に聴くことができる曲でもあります。フランスらしいこの曲、フランスを拠点に活動しておられる竹澤恭子さんがどのように演奏してくださるのかがとても楽しみでした。ゆったりとした第1楽章を経て、個人的に「フランスっぽい」と思う第2楽章へ。この楽章、私はてっきりパリのカフェで聞こえてくるような軽やかなメロディなんだと思い込んでいたのですが、この日の演奏は私には思いの外シリアスに聞こえて少し意外でした。そもそも私の認識が違っていただけなのかもしれません。もちろん演奏は素晴らしかったので、先入観は持たないほうがより良く聴けた気もして少し悔しいです。演奏は流暢なのに、朴訥と悲しみを語るような第3楽章も印象的でした。そしていよいよ第4楽章、最初の音から最後の音に至るまで美しくて美しくて。この最終楽章を聴けて本当によかったと思えましたし、この曲は初めからこのフィナーレを目指して積み重ねてきたような気がして、苦しみから救われたようにも感じました。いえ私はおそらく演奏に込められたメッセージを正しく解釈できていないと思います。クラシック音楽鑑賞の経験値が低いだけでなく、人生経験だって浅い私にきちんと理解できるはずはありません。それはよく自覚しています。それでも私は確かにこの日の演奏を聴いて魂が震える経験をしました。約220席という限られた会場キャパシティの一つの席に図々しくも座らせて頂きましたこと、そしてもちろん奏者のお二人に心から感謝いたします。

拍手は鳴り止まず、舞台に戻ってきた竹澤さんが少しお話されました。演奏はめっちゃくちゃカッコイイのに声はかわいらしいかたなんですね。そうです、札幌はこの日いきなり寒さが戻ったんですよ。でも私達は演奏を聴かせて頂いて、むしろ心身ともに熱くなりましたから。竹澤さんからアンコール曲はマスネ「タイスの瞑想曲」と紹介があり、早速演奏が始まりました。美しい曲と知ってはいましたが、知っている曲でさえ初めて聴く曲のような鮮烈な印象できこえるマジック!この日はその連続だった気がします。フランクの第4楽章の直後だったので、より一層心にしみました。大拍手です。2曲目は特にお話はなく、フォーレ「夢のあとに」の演奏開始。私は「フォーレだ…」とピンときて、フランクの曲からずっとフランス音楽の流れだとわかりました。本プログラムの余韻を大切にしてくださるアンコール曲の選曲、素敵です!2回もアンコールに応えてくださりありがとうございました。

コンサート後はCD購入者対象のサイン会。私は休憩時間に購入したCDを手に列に並びました。私は何か演奏についてコメントすればいいのに、何と言っていいかわからず「ありがとうございました」しか言えなかったです。緊張しすぎて、握手を求める余裕すらありませんでした。竹澤さんはその鬼気迫る演奏からは想像できないほど物腰は柔らかいかたで、私はもっとリラックスしてお話できればよかったと後から思いました。そしてお隣にいらしたピアノの高橋さんのCDも購入してサインを頂けばよかったなと帰宅してから後悔…。今思うとピアノ演奏だって素晴らしかったのに、そのときの私は竹澤さんのことで頭がいっぱいになっていて、高橋さんに大変失礼なことをしたと反省しています。申し訳ありませんでした。重ねて、お二方とも素敵な演奏をありがとうございました!

 

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)

 

 

↑購入したCDはブラームスのヴァイオリン・ソナタ集(全曲)。見つけたときはもううれしくて、他のCDは目に入らなくなり(苦笑)この1枚を即買いしました。早速家でヘビロテして聴いています。サインを頂いたこちらのCD、家宝にします!


ブラームスのヴァイオリン・ソナタの演奏について、竹澤恭子さんへのインタビュー記事がWeb上にありました。以下にリンクをはっておきます。ああやっぱり私いつか竹澤さんの生演奏によるブラームスを聴きたいです。

www.triton-arts.net

 

おまけ。ブラームスのヴァイオリン・ソナタは演奏機会が多いようで、私は昨年奏者違いで2回も聴くことができました。それらのレビュー記事のリンクを下に置いておきますので、よろしければそちらもお読みくださいませ。

 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


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HTBノンフィクション「札幌交響楽団 喝采」(HTB制作・2019年3月15日放送) レビュー

今回レビューするのはHTB制作のドキュメンタリー番組、HTBノンフィクション「札幌交響楽団 喝采」(2019年3月15日(金)深夜0時50分放送)です。

www.htb.co.jp

放送内容の概要につきましては、上のリンクを参照願います。

昨年12月に「ドキュメンタリー札幌交響楽団 アルプス交響曲」を視聴して以来、私は札響を追いかける番組の放送を心待ちにしていました。12月の番組は後日BSで全国放送があったので、今回も全国放送があるといいなと思います。「水曜どうでしょう」(※個人的に大ファンです)で全国区になったHTBさんですが、こんな良質なドキュメンタリー番組も制作されていること、そして札響の良さをもっと全国の皆さんに知って頂きたいです。なお、私は12月の番組についてもレビューを書いています。以下のリンクからどうぞ。

 

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では本題に入ります。私の感想はあくまで個人的な考えですので、参考程度に留めて頂きたくお願いいたします。また、ローカル放送で北海道以外にお住まいのかたには申し訳ないのですが、雰囲気だけでも読み取って頂けましたら幸いです。もちろんどなたでも、記事の内容に間違いを見つけた場合はおそれいりますが指摘くださいませ。


今回の「喝采」も大変見応えありました!深夜放送だったのがもったいない。私は録画してから観ましたが、ツイッターではつい夜更かししてリアルタイム視聴したという札響ファンのかたもちらほら。わかります、うっかり見始めたら止まらないですよね。我が街のオーケストラ札響は、hitaruのような大劇場で一流の共演者達と一緒にオペラを創りあげることもあれば、空調や音響設備のない地方の体育館に自家用車で出向き演奏することもあります。その幅広さと懐の深さが、厚かましくもまるで自分のことのように誇らしくなりました。多くのかたが登場しましたが、とにかく音楽を届ける人も聴く人も画面に映ったすべての人の表情がとても良くて、ずっと見ていたいと思える充実した85分間でした。

昨年12月の番組が一つの演奏会をじっくり掘り下げるスタイルだったのに対し、今回の「喝采」は2018年シーズン4月から12月までの活動を追いかける形になっていました。北海道の季節の移ろいを背景に、様々なシーンでの演奏があり、それぞれの会場で観客との一期一会があります。入念に準備をしてきた多くのスタッフや奏者の思いがあるのと同時に、聴く側にもそれぞれの人生がありその音楽に喜んだり涙したりと受け止め方は様々です。当たり前のこととはいえ、演奏会は一つとして同じものはない贅沢な一度きりの時間なのだと改めて認識しました。

順番に見ていきます。初めは「アルプス交響曲」です。昨年12月に放送された番組の単なるダイジェスト版ではなく、未公開シーンもたっぷり。例えばライブラリアン中村さんの「書き込みが蓄積された楽譜は金銭的なもの以上の価値がある」旨のお話に対し、奏者が実際に楽譜に鉛筆で書き込みするシーンを見せて頂けて嬉しかったです。そして今回の放送で驚いたのは、舞台袖の扉の向こう側で演奏するバンダ(別働隊)の存在です。演奏ってステージ上だけではないんですね…。専属の指揮者がついているし、客席から姿は見えないのにきちんと正装しているしで、見ていてとても新鮮でした。また、こういった演奏が活きてくるためにはステージマネージャーの働きが欠かせないことも知りました。リハーサルでは、扉を全開にしたステージマネージャー田中さんに、閉める指示をしたバーメルト氏。聞き比べた上で「きみ(田中さん)の勝ちだね」とおっしゃったときは会場全体に笑いが起きてました。田中さんも余裕の表情でサムズアップして、とってもダンディなんです。ちなみにステージマネージャーの田中さんは、番組を見る限りではどうやら黒地に個性的なプリントがされたTシャツを着るのが信条の様子。ちなみに演奏会本番ではスーツでした。なお昨年12月の放送時、私は田中さんをステージマネージャーとは存じ上げず、Tシャツにばかり気をとられてツイッターで失礼なことを呟いてしまったことを告白します。ごめんなさい!


次は地方公演について。昨年7月に『イチオシ!』道内ニュースで放送された特集の再編成のようです。私はそのときはブログ記事ではなくツイッターで簡単に感想を呟いていました。以下に貼り付けておきます。

 

札響の年間およそ120回の公演のうち、約50回が地方公演なのだそう。北海道はでっかいどうで移動距離は半端ないはずなのに、団員達は自家用車に相乗りして会場に赴くようです。感謝すると同時に、なんとかならないのかなと具体策は出せないままぼんやり思いました。6月の稚内での公演では、毎年楽しみにしているという年配女性のお二人が印象的でした。「北海道の地元の交響楽団だって胸張りたいですよね」…同感です、私もご一緒に胸張りたいです!「生きていて動ける間は通いたいと思います」…その心意気がとても素敵です。年に一度の楽しみがあれば普段の生活にもきっとハリが出ますよね。そして稚内の会場にかなり早い時間に来て自主練をしていたのがフルート副首席奏者の野津さん。ご自身を「不器用」とおっしゃっていましたが、その実直さに頭が下がります。フルートといえば、首席奏者の髙橋さんが番組内でインタビューに応える機会が多く画面にもよく映っておられます。実際すごい演奏をされるかただというのは私もこの耳で確かめてきて知っています(※記事の末尾にその演奏会レビューへのリンクがあります)。そこに序列はなく良し悪しの話でもなくて、目立つ人もいればそうでない人もいる。そんな個性的な約70名の団員全員とまではいかずとも、多くのかたにマイクとカメラを向けて生の声を拾ってくださった番組に感謝です。奏者の誰もがそれぞれの信念を持つ独立した芸術家であり、一つの音楽を奏でるために全員が方向性をすりあわせて演奏し、唯一無二の札響の音を創りあげていることを再確認しました。

7月の夕張中学校の体育館での演奏では、ステージマネージャー田中さんがパーティションを利用して音響を工夫している様子もじっくりと。また演奏の合間には楽器紹介も。オーボエ副首席奏者の岩崎さんが、外して見せていたリードを挿してすぐにさらっとチャイコフスキー白鳥の湖」ソロパートを奏でたときは素直に驚きました。確かオーボエってすごく音が出しにくいんですよね…それを夏の暑い体育館(湿気は木管楽器とリードに酷だと思われます)でも、ぱっとリードを挿していきなり難なく演奏してみせるとは!只者じゃないです。そんな一流奏者ばかりの札響の生演奏を目の前で聴くという希有な経験をした中学生たち。足でリズムをとっていた子も目をキラキラしていた子も口をポカーンと開けていた子もハープを「人魚が弾くやつ」と形容した子もみんな、良い経験になりましたよね。キミたちの未来に幸あれ!なお、テロップで「チャイコフスキー くるみ割り人形より 花のワルツ」と出た曲はルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」が正しい曲名だそうです。ツイッター上で教えて頂きました。ちなみに他の曲名についてのファクトチェックはしていません、あしからず。

続いては新人ヴァイオリニスト赤間さんを追いかけます。旭川で生まれ育った赤間さんは、4歳でヴァイオリンをはじめ、芸大付属の高校進学でお母さんと一緒に上京。大学卒業後に初めて受けたオーディションで札響に入団したそうです。ちなみに経歴紹介で静かに流れたBGMは第九の第3楽章だと思います(※違っていたら申し訳ありません)。厳しいオーディションを勝ち抜いてあがりではなく、まずは試用期間。プロ集団の中でついていくのは大変なことで、帰宅してからも防音室で鏡を見ながら自主練を続けます。一人暮らしの冷蔵庫にはお母さんの作り置き料理があり、またご両親は演奏会を聴きに毎月旭川から札幌へいらしているそう。音楽家として一人前になるためには、ご本人の才能と努力が必要なのは当然のこと。しかし、一人の若い音楽家が目標に向かってひたむきに進む陰には家族の全力サポートがあるのですね。札響の一員として歩み始めたばかりの赤間さん、これからのご活躍を応援しています。

2018年は札幌文化芸術劇場 hitaru がオープンした年でもあります。オープン2ヶ月前に札響が初練習したときは、札響の名誉音楽監督で札幌文化芸術劇場芸術アドバイザーでもある尾高さんが「弦楽器を50センチ前へ」と具体的に指示しながら調整していました。最良のホールであっても、さらに良いものを目指すため妥協はしないその姿勢にただただ感服です。こけら落とし公演の「アイーダ」リハーサルでは、天才と名高い若き指揮者バッティストーニさんの気迫に圧倒されました。「彼の心で音楽が燃えているのを感じる。120%の自分たちの実力が出せているかも」とコンマス田島さん。バッティストーニさん談「札幌交響楽団はプロフェッショナルで素晴らしいオーケストラです。私のオペラの経験を共有できていますし、オペラへの挑戦は札響にとって必ず価値あるものになるでしょう」。そして本番。超駆け足での映像でしたが、これは本当に生で鑑賞できたら最高だったろうなと、行けなかった一人として思いました。しかし本来見えないオーケストラピット内をカメラがじっくり映してくれたので、演奏する姿を見たい派の私としてはうれしかったです。トランペット首席奏者の福田さんが「感動しっぱなし。オペラはずっとやっていたいくらい」とおっしゃっていて、長丁場の演奏でも奏者のかたがそんな気持ちで演奏してくださっているのを嬉しく思いました。そして終演後にマイクを向けられた観客の皆さんはどなたも喜びに満ちた表情で公演を讃えていました。コンマス田島さんが「(届ける側が)心から盛り上がり、お客さんが喜んでくれる、最高の循環」とおっしゃっていたのが忘れられません。

そして2018年9月にはあの地震がありました。その約2ヶ月後の11月初旬に、札響コンミスの大平さんがヴァイオリンを持って自ら運転する車で被害が大きかった被災地へ。避難所にもなった公民館等をまわってソロコンサートを行ったそうです。単身で赴き、会場設営の指示も行い、会の進行もした上でのソロ演奏。耳なじみのある曲が次々と流れ、お客さんの中にはそっと涙を拭く人も。小さな子を抱いた若いお母さんらしき人が顔を伏せて涙していた映像では、私も思わずもらい泣きです。おそらく彼女はあの日以来、家族の安全を確保し、生活を立て直すのに精一杯で、ご自分のことを顧みる時間はなかったのかもと想像しました。また演奏後にひときわ大きな拍手を送り、明るい表情で「元気をもらいました」とおっしゃっていた女性も印象的でした。「頑張れ」といった励ましの言葉は時に暴力的です。そんな一方的な言葉ではなく、美しいメロディがそっと気持ちに寄り添ってくれる…こんな尊いことはそうそうないと思います。被災地にて普段着で演奏を聴きにいらした被災者の皆さんは、例えば何万円もするチケットを買って遠方の札幌までオペラを観に行くことは、もしかするとないのかもしれません。それでもこんなかた達にこそ音楽は必要なのだと、番組を見て私はそう思いました。その日その日を生きていくにあたって衣食住が優先されるのはその通りではありますが、張り詰めた精神を癒やしてくれる心の糧がなければ明日に向かって行くことはできないですよねきっと。音楽の力、私も信じたいです。東日本大震災では故郷の仙台のお母さんを思ったという大平さん、本当にありがとうございます。

最後は年末恒例の第九。札響合唱団出身のお若いソプラノ歌手・中江さんを軸に話が進みました。リハーサルの際にはトランペット奏者の前川さんと会釈。その前川さんは札響歴40年の大ベテランで、65歳定年により12月末での退団が決まっているそうです。35年ほど前から札響とご縁がある指揮者の大友さんは、札響を「伝統が引き継がれてとてもいいチームになっていると思います」とおっしゃっていました。そんな大友さん指揮による第九、ソプラノ歌手・中江さんやトランペット奏者の前川さんはもちろんのこと、多くのかたのアップを映してくれるカメラワークがありがたかったです。私はおなじみの第4楽章の合唱を聴くとやはりほっとします。日本人にすっかりなじんでいる第九、毎年コンサートを聴きたくなるのはわかります。同じ曲とはいっても、演奏会にまったく同じものはないわけですから。その時々で携わる人はまるで違い、音楽を届ける人も聴く人もすべてに思いがあるわけで、カメラ越しの鑑賞ではありますがやはり生演奏っていいなとしみじみ思いました。番組は第九を聴きながらそのままエンディングに。

内容は盛りだくさんで、とても見応えのある番組でした。今回は長期密着の取材と撮影はもちろんのこと、素材が多いため編集もさぞかし大変なことだったと拝察します。12月の番組ほどは演奏をじっくり楽しめる時間的余裕はありませんでしたが、限られた時間の中でも曲の良いところをうまく拾ってくださっていました。また細かいシーンを無理なくつなぐために、ナレーションでの説明が多くなるのは致し方ないかもしれません。しかしアナウンサーの語りはお二方ともとても落ち着いていて、邪魔にならずすっと入ってきました。そして番組全体の構成は、最初はチューニングから入り、第九の第1楽章でオープニング。第九の第4楽章の合唱に重ねてエンドロールが流れ、最後は拍手喝采でお開きと、演奏会の形式に似せてあるのが良かったです。そしてエンドロールは圧巻です!先頭に「札幌交響楽団」と出て、コンサートマスターから始まり奏者全員のお名前が出てきました。続いてステージマネージャーやライブラリアンといったスタッフ全員のお名前も。一連の協力団体等の名前が出て、HTBの番組制作スタッフは最後に。これだけ多くのかたが創りあげた札響の音楽そしてそれを私達に伝えてくださった番組に、部屋でテレビを見ている私達視聴者も拍手を送らずにはいられなくなりました。

全体を通して、あえての苦言は3つだけです。簡潔に。1つめ「個人情報がダダ漏れの映像がある」こと。詳細はここには書けませんが、具体的なシーンにつきましては番組プロデューサーにツイッター経由で直接お伝えしましたので、再放送や全国放送がある場合はご対応頂けるはずです。2つめ「地震の地滑りの映像にBGMを使った」こと。曲は第九の第2楽章で、もしかすると番組全体を第九で始まり第九で終わる形にする意図があったのかもしれません。しかし、あの地震では実際に死者が多数出て、復興はまだまだこれからであり、私達の記憶だって生々しいのです。にもかかわらず、ショッキングな映像に重ねて聞き覚えのある曲が流れたのはまるでドラマかバラエティ番組のような演出に感じられ、私は強い違和感を覚えました。あくまで個人的な考えですが、間違いなく私達の心身に爪痕を残したこの厳しい現実に対して、重ねて良い音楽はこの世には存在しないと思います。しかしこれは私の頭が固いだけかもしれませんので参考程度に。3つめ「エンドロールに指揮者の皆様と札響合唱団も入れてください」。せっかくの素晴らしいエンドロールに水を差して申し訳ありません。でもここまでやるのでしたら、なぜ指揮者と札響合唱団が入っていないの?とつい考えてしまうのがもったいないなと感じました。

少しだけ気になった点を述べましたが、言うまでもなく大満足の番組でした。HTB開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」(※道民特権でリアルタイム視聴しましたが、もう最高でした!こちらも全国放送希望です)にマンパワーが持って行かれている中、短い期間に番組を仕上げるのは至難の業だったと存じます。良い番組を本当にありがとうございます。今回は深夜にひっそりと放送でしたので、近いうちに再放送や全国放送をぜひお願いします。そして札響を追いかけるドキュメンタリー、きっとシリーズ化して頂けると信じています!次回作を気長にお待ちしています!


おまけ。12月の番組に背中を押されて、私もついに定期演奏会デビューしました。本当に行ってよかったです!こちらのコンサートは今回の放送分には含まれていませんが、もしかすると次回以降の番組で取り上げられるかもしれません。私の愛が重いレビュー記事は以下のリンクからお進みください。

 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

 長くなりました。最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

 

『ルードウィヒ・B』手塚治虫(著) 読みました

今回の読書感想文は『ルードウィヒ・B』手塚治虫(著) です。手塚治虫先生の逝去により、未完の絶筆となった作品です。

 

ルードウィヒ・B 1 (潮漫画文庫)

ルードウィヒ・B 1 (潮漫画文庫)

 

 

私が手元に持っているのは「潮ビジュアル文庫」の全2巻。既読の漫画ですが、今回レビューを書くにあたり読み返しました。

タイトルからおわかり頂ける通り、ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンLudwig van Beethoven)の物語です。いわゆる伝記ではなく、架空の登場人物(フランツというよくある名前の貴族)が密接に関係するフィクションになっています。なお「ルードウィヒ」という表記については、巻末エッセイに簡単な解説がありました。

以下に本の感想および個人的な考えを書いています。今回はややネタバレが多いです。既にお読みになったかたおよびこれから読む予定でネタバレは気にならないかたのみ、「続きを読む」からお進みください。

続きを読み進めてくださる皆様へおことわりです。感じ方は人それぞれですので、私の考えはあくまで参考程度にとどめて頂けますようお願いいたします。また私は育った家庭の考えで漫画や小説を子供の頃に読ませてもらえず、親元を離れてから少しずつ読むようになったクチです。手塚作品も指折り数えるほどしか読んでいません。そのため読み方や解釈が一般的ではない部分があると思われます。そこは申し訳ありませんが大目に見て頂けましたら幸いです。もちろん、ひどい間違いは指摘くださいませ。

 

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