自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタル(2019年3月) レポート

2019/3/24 16時から、六花亭札幌本店ふきのとうホールで行われた竹澤恭子ヴァイオリン・リサイタルに行ってきました。今回はこちらのコンサートの感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。もちろんひどい間違いはこっそりと教えてくださいませ。

【出演】

  • 竹澤恭子(ヴァイオリン)
  • 高橋礼恵(ピアノ)

【プログラム】

(アンコール)

  • J.マスネ:タイスの瞑想曲
  • G.フォーレ:夢のあとに


まず速報として呟いたツイッターでのツイートを貼り付けておきます。


私のちっぽけな想像を遙かに超える、最高の演奏でした!有名な演奏家の場合、聴く前からこちらが勝手に期待しすぎるせいでかえって物足りなく感じることもあるのですが、今回に関しては良い意味で期待を裏切られました。文字通り「魂を揺さぶられる」経験とはこのことです。竹澤さんの超人的な集中力と奏でる音楽の迫力そして緻密さ完璧さは素人目でもわかり、こちらも最初から全神経を集中して聴く体制に。覚悟を決めて演奏の流れに身を任せると、自分の感受性なのに今まで知らなかった部分が容赦なく刺激されて、なんというか超絶気持ちよかったです(※あけすけでスミマセン…)。そしてそれは私だけではなく、会場にいる皆さんも同じように演奏に没頭していた様子。まさにライブの醍醐味、とありきたりな表現で片付けるのはもったいないくらい、あの熱量の会場に自分がいられたことを感謝します。私はしばらくは今の気持ちを大事にしたいですし、別のもので記憶を上書きしたくないので、当面ヴァイオリンが主役の演奏会を聴きに行くのはよそうとまで思いました。この感激を言葉でうまく言い表せないのがもどかしいです。しかしできるだけ忘れないように、今後思い出す手がかりとなるように、たとえフワフワしたことしか書けなくても私の今の言葉で書いておきたいと思います。


竹澤恭子さん、私はBSPの「クラシック倶楽部」での演奏を聴いて一目惚れしました。ちなみにその時の演目はブラームスの1番と3番。まさにその回が4/25に再放送予定のようです。ぜひご覧ください。

www4.nhk.or.jp


竹澤さんがふきのとうホールに来てくださると知って、演目は何でもいいから(!)是非とも聴きに行きたい!と思い、早い段階でチケットを手に入れ当日を楽しみにしていました。ちなみに今回はお買い物でたまったポイント400点と交換しました。4000円で購入するのと条件は同じで席は事前に選べます。景品の大皿より少ないポイントで、ありがたいやら申し訳ないやらです。これからもお土産や普段のおやつは六花亭さんで買うことにします。

席は前のほうのほぼ中央を確保。ふきのとうホールは小さなホールなので、おそらくどこに座っても不満はない気がします。しかし私は演奏の手元を見たい派で、選べるのならできるだけ前のほうで中央よりの席を希望します。開演前に会場をざっと見渡した印象では、おそらく満席だったと思われます。私はまだまだ新参者ですが、やはりコアなクラシック音楽ファンのかたであれば竹澤恭子さんの来札は見逃せないですよね。配布されたプログラムには演目一覧と出演者の経歴がありました。私は竹澤恭子さんは当然としても、ピアノの高橋礼恵さんの華々しい経歴に失礼ながら驚きました。ノーマークで会場に来たことを後悔…高橋礼恵さんの演奏についても予習しておけばよかったです。そしてピアノはスタインウェイでした。ふきのとうホールのピアノはベーゼンドルファーだった記憶があるのですが、スタインウェイも追加導入したのかも。実際どのように演奏会のピアノが決まるのかまったくわかっていないのですが、奏者のかたが選べるシステムになっているといいなと思います。

もうすぐ開演というときに舞台袖からヴァイオリンのチューニングの音が。拍手で迎えられたお二方、竹澤さんは黒で高橋さんは白を基調としたタイトなドレス姿でした。演奏が始まる前のお二方の姿を拝見しただけで「かっこいい…」と息をのんだ私。これが大人の女性の美しさ!日本だとなぜか若いというより幼い女がもてはやされる傾向があって、おばさんと呼ばれる年代の女は無理に痛い若作りをするか諦めて体型カバーの地味な格好をするかが一般的なのかなと。もちろん演奏家は人前に立つお仕事なので、ビジュアル面での努力もきっとされているとは思います。実際お綺麗ですし、姿勢も良くて、何より一流のオーラがあります。とはいえ、小娘のそれとは違う肩や腕を潔く出して、腰回りのラインも隠さずに立つその姿に、私は惚れ惚れしました。若い頃と比べてボディラインが変化するのは当たり前、でもそれがどうした、ですよね。んんんカッコイイ!私も頑張ります(※何を?)

最初の曲はブロッホ「バール・シェム」。不勉強でお恥ずかしい限りですが、私は初めて聴く上に予備知識すらない曲でした。演奏が始まってすぐ、あまりの衝撃に「なにこれ…」となったのが忘れられません。普段ぬるま湯で生きている私の理解を超えた苦悩が感じられ(と言ってもおそらく本質を理解したとは言えない範囲で)、演奏にただただ圧倒されました。あまりにももったいない聴き方だったと今でも悔やんでいます。ユダヤ人やその民俗音楽について少しでも知っていれば、私はもっと違った受け止め方ができたに違いないのに、本当に申し訳ないです。一曲目から「ブラボー」が出て、会場の熱気が上昇しているのがよくわかりました。本気の演奏に、私は覚悟を決めてついて行こうと決意。

そしてベートーヴェン「クロイツェル」。私は昔から好きな曲です。超有名な第1楽章、「凄い」じゃ言葉足らずなのですが、凄いです…こんな演奏は初めて聴きました。選び抜かれた音そのものだけでなく強弱やテンポすべてが鬼気迫る演奏で、応戦するピアノだって負けていなくて、緊迫感は半端ないにもかかわらず喧嘩腰ではなく見事に調和していて、曲そのものの格好良さメロディの美しさは完璧に表現されていて。ぼんやり聴いてはいられないと、私は呼吸を忘れる勢いで演奏に集中しました。全神経が一点集中すると、雑念って消えるんですね。あの時の私は一種のトランス状態にあったと思います。この状態がずっと続いたら私壊れる、という段階に来て第2楽章に。少しゆったりできてよかった、とほっとしました。しかし聴き手は小休止できても、演奏は緊張感を持って繊細な音楽を緻密に紡いでいる印象でした。第3楽章も個人的には好きで、心地よい音とリズムを味わうことができました。

休憩をはさみ後半最初の曲はワーグナー「ロマンツァ」。私は初めて聴く曲でしたが、美しいメロディに素直に驚き、同時にとても新鮮に思えて楽しく聴くことができました。ワーグナーって、戦闘力高そうな管弦楽のイメージが強いので、余計にそう感じたのかもしれません。ヴァイオリンとピアノのための曲は星の数ほどあるのに、この選曲センスともちろん演奏そのものに脱帽です。

続いてはおなじみのクライスラー「愛の悲しみ」「愛の喜び」。よく知っている曲は安心できますね。しかし演奏に隙はなくて、演奏家の技巧と集中力には平伏するしかないです。短い名曲を完璧な演奏で聴くことができ、私の記憶はこの演奏でバッチリ上書きされました。最後に控える曲が大曲で、場合によっては後半プログラムはそれだけでも良いくらいなのに、盛りだくさんの内容で私達を楽しませてくださり本当にありがとうございます。

トリはフランクのヴァイオリン・ソナタ。私はヴァイオリン・ソナタを色々と聴く過程で比較的最近この曲を知りました。大好きな曲です。おそらくベートーヴェンブラームスには書けなさそうな曲だと私は勝手に思っていて、普段ブラームスばかり聴いている私にとって、フランクのヴァイオリンソナタは新鮮に聴くことができる曲でもあります。フランスらしいこの曲、フランスを拠点に活動しておられる竹澤恭子さんがどのように演奏してくださるのかがとても楽しみでした。ゆったりとした第1楽章を経て、個人的に「フランスっぽい」と思う第2楽章へ。この楽章、私はてっきりパリのカフェで聞こえてくるような軽やかなメロディなんだと思い込んでいたのですが、この日の演奏は私には思いの外シリアスに聞こえて少し意外でした。そもそも私の認識が違っていただけなのかもしれません。もちろん演奏は素晴らしかったので、先入観は持たないほうがより良く聴けた気もして少し悔しいです。演奏は流暢なのに、朴訥と悲しみを語るような第3楽章も印象的でした。そしていよいよ第4楽章、最初の音から最後の音に至るまで美しくて美しくて。この最終楽章を聴けて本当によかったと思えましたし、この曲は初めからこのフィナーレを目指して積み重ねてきたような気がして、苦しみから救われたようにも感じました。いえ私はおそらく演奏に込められたメッセージを正しく解釈できていないと思います。クラシック音楽鑑賞の経験値が低いだけでなく、人生経験だって浅い私にきちんと理解できるはずはありません。それはよく自覚しています。それでも私は確かにこの日の演奏を聴いて魂が震える経験をしました。約220席という限られた会場キャパシティの一つの席に図々しくも座らせて頂きましたこと、そしてもちろん奏者のお二人に心から感謝いたします。

拍手は鳴り止まず、舞台に戻ってきた竹澤さんが少しお話されました。演奏はめっちゃくちゃカッコイイのに声はかわいらしいかたなんですね。そうです、札幌はこの日いきなり寒さが戻ったんですよ。でも私達は演奏を聴かせて頂いて、むしろ心身ともに熱くなりましたから。竹澤さんからアンコール曲はマスネ「タイスの瞑想曲」と紹介があり、早速演奏が始まりました。美しい曲と知ってはいましたが、知っている曲でさえ初めて聴く曲のような鮮烈な印象できこえるマジック!この日はその連続だった気がします。フランクの第4楽章の直後だったので、より一層心にしみました。大拍手です。2曲目は特にお話はなく、フォーレ「夢のあとに」の演奏開始。私は「フォーレだ…」とピンときて、フランクの曲からずっとフランス音楽の流れだとわかりました。本プログラムの余韻を大切にしてくださるアンコール曲の選曲、素敵です!2回もアンコールに応えてくださりありがとうございました。

コンサート後はCD購入者対象のサイン会。私は休憩時間に購入したCDを手に列に並びました。私は何か演奏についてコメントすればいいのに、何と言っていいかわからず「ありがとうございました」しか言えなかったです。緊張しすぎて、握手を求める余裕すらありませんでした。竹澤さんはその鬼気迫る演奏からは想像できないほど物腰は柔らかいかたで、私はもっとリラックスしてお話できればよかったと後から思いました。そしてお隣にいらしたピアノの高橋さんのCDも購入してサインを頂けばよかったなと帰宅してから後悔…。今思うとピアノ演奏だって素晴らしかったのに、そのときの私は竹澤さんのことで頭がいっぱいになっていて、高橋さんに大変失礼なことをしたと反省しています。申し訳ありませんでした。重ねて、お二方とも素敵な演奏をありがとうございました!

 

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)

 

 

↑購入したCDはブラームスのヴァイオリン・ソナタ集(全曲)。見つけたときはもううれしくて、他のCDは目に入らなくなり(苦笑)この1枚を即買いしました。早速家でヘビロテして聴いています。サインを頂いたこちらのCD、家宝にします!


ブラームスのヴァイオリン・ソナタの演奏について、竹澤恭子さんへのインタビュー記事がWeb上にありました。以下にリンクをはっておきます。ああやっぱり私いつか竹澤さんの生演奏によるブラームスを聴きたいです。

www.triton-arts.net

 

おまけ。ブラームスのヴァイオリン・ソナタは演奏機会が多いようで、私は昨年奏者違いで2回も聴くことができました。それらのレビュー記事のリンクを下に置いておきますので、よろしければそちらもお読みくださいませ。

 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c