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クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

札幌交響楽団 第618回定期演奏会(土曜昼公演) (2019/04) レポート

札幌もようやく春めいてきた4月末。冬眠明けの熊出没のローカルニュースが出ていたさなかに、札響のらいぶらり庵さん( @ssolibrary )のこんなツイートが。


私うっかり反応してしまいました。


それからリプライのやりとりが始まり、エニ熊さんに会いに行く流れに。実は私4月は主に子供関係のあれこれで多忙で、ゆったりコンサートを聴く気持ちの余裕はなさそうと考えて、当初何もコンサートの予定は入れていませんでした。しかし今回は以前から気になっていた演奏会だったため、ツイッター上でのやり取りで忘れていた気持ちが呼び起こされたのもあり、やはり行きたい!と当日券で行くことにしました。指揮の尾高さんが病気療養でお休みに入る前に拍手でお送りしたいし、平成最後の定期演奏会だし、と理由はいくらでも出てきます(笑)。


大型10連休のGW初日、Kitaraに隣接する公園の桜は七分咲き。数日前まで暖かかったにもかかわらずこの日は寒さが戻り、冬眠明けのリアル熊さんたちも少し早めに渡ってきたカモさんたちも芽吹きはじめた草花もきっと寒かったこととと思います。

今回はこちらの演奏会の感想を書きます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘頂けますと助かります。


札幌交響楽団 第618回定期演奏会(土曜昼公演)
2019年4月27日(土) 14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール
【指揮】
尾高忠明(札響名誉音楽監督)
【ピアノ】
アンヌ・ケフェレック
管弦楽
札幌交響楽団

【曲目】


今回の席は当日しか購入できないスマイルP自由席にしました。一番お安い席で、ステージ後方かつオルガンの真横。一度座ってみたかったのと、今回は尾高さんの姿をしっかり目に焼き付けておきたいと思ったのとで決めました。チケットの目立つ場所に「急がないで!」と強調して書かれてあるのに一人でツボってしまい、入場後はにやける顔をハンカチで押さえながらお行儀良くゆっくり歩いてできるだけ前の方の席を確保。この席について詳しくは後述します。会場を見渡すと(※とても見渡しやすい席でした・笑)、全体の9割近くは埋まっていたでしょうか?ちなみに私がいたPブロックに関して言えば満席でした。

プログラムによると2019年4月から2020年3月までのシーズンは「作曲家が作曲家に出会うとき…何を感じ、何を与えたのだろう」がテーマなのだそう。またネットで見かけた新聞記事によると、尾高さん「ブラームスモーツァルトを尊敬していて、エルガーブラームスを尊敬していた。皆つながりがある」とのこと。それが今回の選曲につながったのですね。そして今回のテーマは「変奏」。「変奏曲」ではない2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲も、第2楽章の変奏が聴きどころだったようです。「ようです」というのも、これらの大切なことを私はすべて後から知ったからです。そもそも私は「変奏」というのがイマイチわかっておらず(「主題が変化する」と定義を頭で知っていても、技法を知らないこともあって、具体的にどのように変化しそれがどう面白いのかというのがよくわからない)、それも今回の演奏会を当初見送ろうとしていた理由の一つだったりします。個人的に好きな作曲家であるブラームスは変奏の名人だというのに、この体たらく。私はまだまだ修行が足りません。


本番前のロビーコンサート。私は2曲とも知らなかった曲ですしもちろん演奏を聴いたのも初めてです。まず曲のタイトルを見ただけで「なにこれ?」となりますが、実際に聴くともっと「なんなんですかこれ!」となる斬新な2曲でした。このロビコンはきっと伝説になりますよ!1曲目はあのワーグナーのパロディだろうというのは長いタイトルからわかります。原曲をよく知る人であれば「あえて外している」部分がわかってそのズレを楽しむことができると思います。ただ私はそうではないので、低音がカッコイイけどなんとなく違う?というレベルの聴き方をしてもったいなかったです。そして2曲目。私は後から知ったのですが、タイトルは「ダルムシュタット講習会」という音楽の勉強会の名称から来ているおふざけのようです。まず横に長い楽譜がユニークで、ちらっと見えた楽譜の中身も一般的な五線譜ではなさそうでした。おもむろに演奏が始まり、程なく第1ヴァイオリンの奏者のかたがイスに楽器を置いて立ち上がり、無言で手遊びのようなものを始めて、見ているこちらは「何事!?」となりました。そして次は第2ヴァイオリン、また次はヴィオラ、最後はチェロまで、時間差で同じように楽器を置いて立ち上がり手遊び。同じ旋律を繰り返し演奏していてもだんだんと楽器が減っていく様子にこちらはハラハラしましたし、立ち上がった奏者の皆様は幼稚園児のそれとは違う細かな動きを真顔で粛々と行っています。静寂の中、聴衆である私達は一体どうすれば…。有名な4分33秒よりインパクト大のような気がしました。演奏後はロビーいっぱいに響く拍手と「ブラボー」が。私はたまたまお隣にいらした年配女性と顔を見合わせ「すごかったですね!」と大盛り上がりしました。そして第2ヴァイオリンは札響ドキュメンタリー(※下に弊ブログの感想記事のリンクを置きます)で密着取材されていた赤間さゆらさんでしたので、もしご両親がお見えになっていたらどのような印象を持たれたのかな?と少しだけ思いました。

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さて席に戻り、オーケストラの皆様と指揮の尾高さんを拍手でお迎えしていよいよ本番です。1曲目はブラームスハイドンの主題による変奏曲」。ちなみに「ハイドンの主題」と呼ばれる主題は実はハイドンのものではないというのが通説のようですね。プログラムにも明記してありました。個人的に愛してやまないブラームスではあるものの、私は正直ハイドンヴァリエーションは今まで真剣に聴いてきませんでした。しかし演奏が始まり主題を提示する冒頭部分で、木管楽器の温かな響きとピッチカートで寄り添う低音の弦楽器の音色に「大丈夫、私ついていける!」となり、そこからは最後まで私なりに鑑賞を楽しみました。ハンガリー舞曲のような部分があったり、ホルンが印象的なところがあったり。またどのように主題が変化したか自分がわかった変奏もあれば、そうではない変奏も。終曲で冒頭の主題が立派になって帰ってくると素直に「ああよかった」となりました。なおネット上での感想には、ハイドンヴァリエーションの演奏は少し元気がなかったという評がいくつか。言われてみれば、私の手持ちの録音と比べパワフルさは足りなかったのかもしれないとは思いました。しかし私自身は最初のこの曲に救われたので、好きな演奏です。なおプログラムによると、主題は変ロ長調で、第2・第4・第8変奏は変ロ短調、そして他の変奏と終曲まで変ロ長調。調性をむやみに変えないというのが、果たして作曲家のこだわりなのかそれとも変奏曲のお作法なのか?今の私にはわかりませんでした。申し訳ありません。

続けて2曲目はモーツァルト「ピアノ協奏曲第22番」。オーケストラメンバーの一部が退場し、ステージの一番前に大きなグランドピアノが設置されました。私は初めて聴く曲でしたが、モーツァルトらしい曲だなと感じてゆったりとした気持ちで聴いていました。クラリネットが活躍するところや第2楽章の変奏といった聴きどころをまったく気にせず…。ピアノ独奏のときは心地よい音色を楽しみながらも、指揮の尾高さんは手を重ねてじっとしておられるんだなと妙なことで感心したりも。ソリストのアンヌ・ケフェレックさん、プログラムにあるプロフィールを拝読して私は失礼ながらその経歴に驚きました。著名な演奏家だからといって最初から期待しすぎるのは良くないと私は常々自分に言い聞かせていますが、今回せっかくモーツァルトとサティ(アンコール曲)の素敵な生演奏を聴かせて頂けましたので、アンヌ・ケフェレックさんの演奏が聴ける映画「アマデウス」やCD「サティと仲間たち」を今後聴いてみたいと思います。

ソリストアンコール。アンヌ・ケフェレックさんが「サティ」と一言おっしゃってから演奏が始まりました。グノシエンヌ第1番、私は好きな曲です。先ほどのモーツァルトとはまったく違う印象で、同じピアノを同じ奏者が演奏してもこんなに違うものなのかと素直に驚きました。ちなみに前日の金曜夜公演では別の曲を取り上げたようです。2日続けて聴きに来ている人もいるので、その方達はまた違う表情の演奏を楽しめたのではないでしょうか。

休憩をはさみ最後の曲はいよいよエルガーエニグマ変奏曲」。プログラムによると、札響の前回の演奏は今回と同じ尾高さんによる指揮で2009年11月。ちなみに「さっぽろ劇場ジャーナル」最新号の「札響の名盤」で取り上げられていたのも尾高さん指揮によるエルガー(曲は「交響曲第1番」他)のCDでした。尾高さんと札響によるエルガーは鉄板なのかもしれません。ちなみに聞き慣れない「エニグマ」とは?3月末まで放送されていたBS日テレ『恋するクラシック』には「えにぐま」コーナーがあって、「エニグマ=西洋語で『謎』」と解説されていました。西洋語って何なの?とそこがまず謎ではありますが(笑)。話を戻すと、「エニグマ変奏曲」は各変奏に織り込まれた人物が謎で、変奏曲のテーマも謎なんだそうです。私はアンコール定番のニムロッド以外は初めて聴きました。主旋律を支える低音の弦楽器のピッチカートや、ヴィオラやチェロのソロパートが美しいところ等をいいなと思ったまではよくて、私は知らないなりに鑑賞を楽しみました。ただ、私の好きなブラームスに少し似てるかも?と余計なことを考えたのがまずかったです。金管楽器や打楽器が主張するところで「やっぱり違う」となってしまい、それからまともに聴けなくなってしまいました。カーテンコールで尾高さんからオルガン奏者のかたの紹介があったとき驚いたくらいで、私はオルガンがどこで入ったのかすらわかりませんでした。本当に申し訳ありません。この日のエルガーエニグマ変奏曲」の演奏は、ネット上での評判が大変良かっただけに、私はなんてひどい聴き方をしてしまったのかと猛省しています。

最後は尾高さんが少しお話されました。ステージに背を向ける形になったため私の席からはよく聞き取れませんでしたが、令和に改元されるにあたり皇后陛下(現・上皇后)が大変お茶目なかただという逸話紹介や、尾高さんご自身が天皇陛下(現・上皇)と同じ前立腺を患ったことを明るく話し、会場には笑いが起きていました。会場は大拍手でお見送り。尾高さんがお元気な様子で指揮とお話をしてくださったことが本当にうれしかったです。尾高さん、まずはしっかりと療養なさってください。そして元気に帰ってきてくださる日をお待ちしています。次にお目にかかるときまでに、私は尾高さん十八番のエルガーともっと仲良くなっていることをお約束します。


ひとり反省会。まず大前提として、本物の生演奏を体感するのは気持ちいいですし、その意味では今回だって後悔はありません。しかし今回はあまりに準備不足の状態で聴いてしまい大変失礼なことをしてしまったことを反省しています。申し訳ありません。メインプログラムでは覚えたてのわずかな知識が邪魔をして素直に聞けなかったのは、本当に一番やってはいけないことで、お詫びのしようもありません。ロビーコンサートが心から楽しめたように、むしろ知識も先入観もまったくないまっさらな状態ならまだよかったのかも。次の演奏会では絶対に失礼のないように、出直して参ります。私はまだまだなのは確かですが、いつまでも初心者とは言っていられない段階にまで来ているとも思うので、せめて自分なりにしっかり準備をした上で先入観は排除して向き合うよう努めます。

こんな状態で席うんぬんを言うのはおこがましいと承知の上で、自由席スマイルエリアについても覚え書きをしておきます。まず指揮者については動きも表情もバッチリ見えました。尾高さんが楽しんで指揮をされている様子を拝見できたのは本当によかったです。また奏者の皆様の手元が見えるのはステージ前方の第1ヴァイオリンとヴィオラがギリギリで、他は背中を見る形に。そして打楽器に関しては角度的にまったく見えませんでした。そして肝心の音について。弦の低音と高音がいつもとは左右逆というのはすぐに慣れましたし、足下から来る低音の振動はむしろリアルで1曲目のブラームスでは「この席もいいな」と素直に思ったのです。問題は今回のメインであるエルガー。ソロや比較的穏やかな部分はいいのです。しかし至近距離で金管楽器や打楽器が大音量で鳴るときは個人的に正直こたえてしまい、鑑賞どころではありませんでした。「次は絶対に向こう側に座る!」と決意。チケットの注意書きには、別の座席に勝手に座らないこと、もし発覚した場合は当該席の年間パス代を支払うことといった項目が。過去にそんな事例があったのかもしれませんね。もちろん私はそんなことはしませんが、そうしたい気持ちはわかります。自由席スマイルエリアは価格だけを考えるとSS席やS席の約三分の一。とはいっても聞こえる音や感激まで三分の一になるわけではないので、割り切った上で選択するのはアリだと思います。直接お話したわけではないため推測ですが、この席を選んだ皆様は比較的演奏会慣れしている印象でした。他に良かった点といえば、一番近い女子トイレが空いていたことくらいです。他の場所だといつも長蛇の列になるので、Pブロック以外に座った場合でも休憩時間に散歩がてらPブロック横まで来ても良いかもと今回覚えました。以上あくまで私個人の見方ですのであしからず。

終演後は、ソリストのアンヌ・ケフェレックさんのサイン会。そして恒例のオーケストラメンバーとのふれあいがロビーでありました。この日私は急いで帰宅しなければならず、足早に会場を後にしてしまいましたが、いつかきっと勇気を出して札響の奏者の皆様とお話したいと思います。コミュ障としては何をお話すればよいやら途方に暮れてしまいますが…。

なお今回のプログラムには『コンサート楽しみ方ガイドブック』が挟みこまれていました。表紙がとても素敵♪

www.sso.or.jp


中身はマンガではなく文章で、ポイントをおさえた読みやすい内容でした。クラシックコンサートに興味があってもちょっと敬遠してしまっている人達に向けて、生演奏の良さやより楽しむためのヒントが書かれてあります。以前からあった紙一枚のマナーをまとめたリーフレットとはまた違い、こういった小冊子はありそうでなかったのではないでしょうか。企画し実行してくださった札響とKitaraに大感謝です。今回は定期演奏会ということで聴衆は比較的慣れた人が多かったと思われますが、GWの数々の企画には初めてのコンサートという人も大勢いたはずです。その方達がこちらのガイドブックを持ち帰り、周りのお友達や知り合いに紹介する流れになるといいなと思います。


家に帰るまでが遠足です!もとい、家に帰ってからもまだまだ演奏会の余韻を楽しめるのです!というお話を少しだけ。私は基本的に「コンサートは一人で行く」人です。家族に小さな子がいるので、夫に子供達を見てもらって来ています。そもそも私自身単独行動は好きですが、それでも最初のうちは少し気後れがありました。しかし思っていたよりお一人様は多いとわかってからは気が楽になりましたし、たとえ言葉を交わさなくとも同じ演奏会をご一緒できた皆様とは勝手に同志のつもりになっています。そして演奏会当日の夜は、ツイッター上に皆様の感想がどんどんあがってきて、それを追いかけるのが楽しいです。自分ではまったく気づけなかったポイントを知ることができますし、何より同志の皆様と感想を共有できるのはうれしい。特に札響の演奏会の場合はらいぶらり庵さんが神業リツイートを展開してくださるため、夜遅い時間までさながら二次会のような雰囲気に。もう一人で寂しいなんて思う暇はないんです(笑)。またたとえ自分が行けなかった演奏会であっても、皆様の感想を拝読すると楽しそうな雰囲気を感じとれ、それはそれで楽しいです。「私も行きたかった…」と悔しがることもありますが(苦笑)。

そして札幌には幸運なことに「さっぽろ劇場ジャーナル」があります。ネットは便利ですが、言葉が流れていく傾向があるので、じっくり腰を据えて考えられる紙媒体はありがたいです。今回の演奏会についても後日専門的なレビューが掲載されると思われます。そちらを拝読するのを今からとても楽しみにしています。最新号である第3号も大変読み応えがありました。その第3号のレビューを私なりの視点で書きましたので、ぜひジャーナル本誌と読み比べてみてください。以下のリンクからどうぞ。

 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c