自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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STピアノinクリスマス オープニングイベント(2019/12) ミニレポート

www.city.sapporo.jp


2019年の聴き納めはこちら。札幌市交通局が期間限定で地下鉄大通駅に「駅ピアノ」を設置し、そのオープニングイベントとして「ピアノ&チェロ」演奏会がありました。私が密かに応援している札響チェロ首席奏者の石川祐支さんが出演されて、しかもピアノは大平由美子さん!このお二方は一緒にブラームスチェロソナタCDを出しておられます。お二方の演奏を無料で聴けるなんて、信じられません!平日午前中のイベントに、私は予定を調整して駆けつけました。

今回は関連ツイートに補足する形のミニレポートです。いつものように素人コメントであることをご了承ください。また、ひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。

STピアノinクリスマス オープニングイベント「ピアノ&チェロ」演奏会
2019年12月19日(木)10時00分~10時30分 地下鉄大通駅 大通交流拠点西側コンコース

【演奏】
大平由美子(ピアノ)
石川祐支(チェロ)※札響チェロ首席奏者

(デモ演奏として)坂下史郎さん

ピアノはなんと1976年製スタインウェイのグランドピアノ。昨年閉館した「さっぽろ芸術文化の館」で使用されていたものだそうです。看板に説明文の掲示が添付されていました。期間限定とはいえ、こんな立派なピアノを誰もが自由に弾くことができるんですよ!札幌の芸術関係はものすごく恵まれた環境にあると改めて思います。

まずはツイッターでバズったこちらから。


制服を着た駅員さんがショパンの幻想即興曲を演奏するという話題性で、ツイッター上では大変話題になったため、こちらの動画を目にしたかたは多いかもしれません。私は目の前で聴いて度肝を抜かれました。そしてまださほど拡散されていない段階では、リプに実演を聴いた人のコメントがついていなかったんですよね。そこで参考までにと私がリプをつけたところ、私のツイートまでバズりの余波を頂いてしまいました。おこぼれにあずかったまでではありますが、本来のイベント出演者であるPf大平由美子さんとVc石川祐支さんのことも皆さんに知って頂けたので結果としてよかったと思っています。駅員さんの注目度に比べ、本来こんな場所で演奏すること自体がありえないようなプロのお二人がスルーされているのは心苦しかったので。プロは弾けて当たり前の前提で勝負しているのが本当に大変だと、今更ながら思った出来事でした。

ちなみにその場にいた大手メディアは北海道新聞だけで、記者さんは早速駅員さんの演奏動画を撮影しインタビューまで行っていました。翌日20日にも駅員さんはアンコール演奏を行ったそうで、そちらはテレビ各局や他の新聞社も取材したようです。私が各メディアの報道を確認したところ、見事に駅員さんのピアノの話題ばかりで、プロのお二人の演奏に触れたものは見当たりませんでした。これはあんまりです報道の皆様…。あと個人的にちょっと閉口したのは、取材なしでネット上の話題を発信するネットメディアの記事です。ツイッターのコメント引用があり、私のツイートが部分的に切り取られて掲載されていたのが残念で。言いたいのはそこだけじゃないんですよ…。たいして長くないわけですし、ツイート丸ごと載せてほしいです。ちゃんと「ピアノ&チェロ」演奏会にも言及しているんですから!

では、私の一連のツイートに補足を入れる形で順番に見ていきます。

石川さんは前日の室内楽演奏会と同じ、黒い長袖シャツとスラックス姿で真っ赤なネクタイを着用。大平由美子さんはブラームスチェロソナタCDのジャケット写真と同じドレスをお召しになっていました。冬の寒い札幌でこの薄着、少し心配になりましたが、厚着するときっと演奏の邪魔になってしまうのですよね。ただ、見物客は大勢いたので、その熱気で私はさほど寒くは感じませんでした。でも私はコートを羽織っていましたごめんなさい!

司会のお若い駅員さんはマイクを持ってお話されていましたが、奏者のお二方はマイクなし。奏者自ら演奏する曲を紹介してから演奏を始めるというスタイルでした。曲名のみの紹介が多かったですが、例えばG線上のアリアでは「何かと話題の」と人気ドラマをにおわせる発言があったり、別れの曲では「今年一年、お別れした大切な人への想いをこめて」といった趣旨のお話があったり。誰もが一度は耳にしたことがある有名曲ばかりで、聴いている私達はとても幸せな気持ちになれました。

チェロは休みを挟みながらの形になりましたが、ピアノはチェロの伴奏とピアノソロを交互にずっと演奏し続けていたことになります。しかもすべて表情が異なる曲を連続して休む間もなく。しかし大平由美子さんはさすがの貫禄で、すべての曲をそれぞれの個性を表現した上で演奏してくださいました。素晴らしい!ありがとうございます!そして私がいた場所からはピアノの手元は見えなかったのですが、チェロの手元はばっちり見えたので、私はずっと石川さんの手元に注目して演奏を拝聴していました。素人目ではそんなに苦労しているようには見えないんですよね…。それでいてこんなに色彩豊かでふくよかで艶っぽいなんとも素敵な音色を奏でるのですから、まるで魔法みたいです。本当に、弦楽器は奏者によって音がまったく違うと私は感じます。そして理屈抜きで石川さんのチェロが好きなんです。石川さんのチェロ、私は前日夜の室内楽コンサートでも堪能したにもかかわらず、さらに何度もアンコールに応えて頂いたかのような短めの有名曲をたっぷり聴く機会に恵まれました。感謝しています。

そしてお二方が退場の後は、話題になった駅員さんのデモ演奏です。司会のかたがお名前を呼ぶと、観客の中から制服姿の坂下史郎さんが登場しました。坂下さんはおもむろに白い手袋を外して着席。演奏が始まるとあたりは騒然となりました。他にもその場には制服を着た駅員さんは大勢いらしていて、まさかそのお一人がこんなピアノがお上手だなんて誰も想像できなかったのだと思います。すごいものを見せて頂きました。演奏が終わると先ほどのプロによる演奏では出なかった「ブラボー」が出て、割れんばかりの拍手。坂下さんはにこやかに手袋を投げるポーズをして笑いまでとっていました。ピアノの魔術師リストさんかな!と私は心の中でツッコミ。

 

余計なことかもと思いつつ、どうしても気になってしまったことも繋げてツイートしてしまいました。このような場に出てきてくださっている以上、ある程度は奏者のかたも覚悟はされているとは思うのですが、やっぱり演奏中の写真撮影は失礼だと私は思うのです。確かにスマホも一眼レフもそんなにシャッター音は大きくないですし、フラッシュたいている非常識な人はいなかったです。それでも確実に演奏の邪魔にはなるのでは。カメラに夢中なら当然耳の方はお留守になっているでしょうし。プロの演奏をありがたがれとまでは言いません。でも真剣勝負をしている奏者の演奏はしっかり聴きましょうよ皆様!クラシック音楽が特別なのではなくて、一般的なマナーだと私は思います。そしてヘンデルの演奏中にチェロのエンドピンが滑ったときは、私心臓止まるかと思いました。もし固い床に打ち付けられて楽器に何かあったら大問題です。愛器を守り、ピアノの大平由美子さんに一言二言何かを告げて、メロディを少し戻って演奏再開した石川さんはさすがです。しかしエンドピンが立たないようなツルツルの固い床でのチェロ演奏は、やはり無理難題ですよね。ちゃんとした演奏台の用意が難しければ、地下鉄には乗り降りの段差対策用の木の板の簡易スロープがあるわけですから、せめてそれを敷くとか工夫があればよかったなと思いました。今回エンドピンが滑ったのは一度きりでしたが、それは石川さんが内腿を鍛えるバロックスタイルでチェロをホールドしていらしたからだと想像します。大変な思いをさせてしまって、申し訳ないです。

 

なんですかこの重い女は(笑)。でも安心してください。私はお相手が誰であってもこんなふうです。家族や普段接している顔見知り以外の人と会って直接お話するのは無理な人種です。あこがれの人であればなおさら。それでも「好き」の力はすごくて、私は生演奏が聴きたいからと演奏会に足を運ぶようになり、サインを頂く名目があれば列に並びあこがれの演奏家に近づくこともできるようになったのです。少しは進歩しているんですよ(笑)。来年2020年はさらに進歩できるといいなと思います!そして来年も素敵な演奏会をたくさん聴けますように。


この演奏会の前日に開催されたピアノ三重奏のチャリティコンサートについても弊ブログにレポートをあげています。今回のイベントに出演された札響首席チェロ奏者の石川さんがトリオ・ミーナのお一人として出演。後半のメインプログラムはブラームスピアノ三重奏曲第1番です!以下のリンクからどうぞ。
それにしても石川さんは連日の本番続き…。年末の札響は第九やクリスマスやジルベスターや銀行主催等の特別演奏会多数の過密スケジュールで、その合間を縫う形でチャリティコンサートや地下鉄構内のイベントまで。頭が下がります。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

 

そうなんです。いつかは今回のお二方によるCD収録曲での演奏会を音響の良いホールで聴きたい!ブラームスチェロソナタ2曲に加え、シューマンドヴォルザークの作品も入った聴き応えあるCDは以下のリンクのものです。言葉ではその良さをうまく言えないので、とにかく聴いてください! 

ブラームス チェロ・ソナタ(全2曲)

ブラームス チェロ・ソナタ(全2曲)

 

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c