自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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Kitaraのニューイヤー(2022/01) レポート

www.sso.or.jp

www.kitara-sapporo.or.jp
↑「Kitaraのニューイヤー」指揮・齋藤友香理さんへのインタビュー記事が公開されています。

2022年、新年明けましておめでとうございます。今年の初聴きはKitaraのニューイヤー・コンサート。オケはもちろん地元の札響です!昨年のKitaraリニューアルオープンに向けたメッセージ企画で、私は運良く当選。その副賞に頂いたペアチケットが今回の「Kitaraのニューイヤー」でした。ありがとうございます!演奏会は基本ソロ参加の私ですが、せっかくのペアチケットということで、今回は高1の息子が一緒に来てくれました。ちなみに座席は3階CCブロックでした。

 

《札幌コンサートホール主催事業》Kitaraのニューイヤー
2022年1月8日(土)15:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
齋藤友香理

ソリスト
冨平安希子(ソプラノ)
宮里直樹(テノール

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】
ウェーバー:歌劇「オベロン」より序曲
チャイコフスキー:バレエ組曲白鳥の湖」op.20a より

レハール:喜歌劇「微笑みの国」より
 序曲
 私たちの心に愛を刻んだのは誰?
 君こそ我が心のすべて
 今一度ふるさとを
レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」より
 ワルツ
 おお我が祖国よ
 ヴィリアの歌
 唇は語らずとも
J.シュトラウスⅡ:
 観光列車op.281
 常動曲op.257
 「美しく青きドナウ」op.314

(アンコール)J.シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲


華やかな音楽で新年の幕開け、楽しかったです!新年早々、いつものkitaraで、慣れ親しんだ札響の演奏を聴ける喜びを噛みしめました。まず指揮の齋藤友香理さんがチョイスした演目が素晴らしいです!ニューイヤーコンサートの定番といえばウィンナ・ワルツですが、それだけでなく声楽のソリストをお招きしてのオペレッタバレエ音楽といったそれぞれ独自の世界観がある作品を取り上げてくださり、限られた時間の中で様々な音楽を贅沢に楽しませてくださいました。オペラもバレエも未体験の私ですが、純粋に演奏のみでもほんのひととき物語の世界に浸れましたし、声楽のソリストの響き渡るお声は理屈抜きでハートに訴えてくる良さがあります。ちなみに息子は初聴きの曲ばかりだったにもかかわらず、レハールオペレッタ、とりわけテノールの大声量が印象に残ったようです。そしていずれの曲も華やかでありながら品が良い響きで、安心して演奏を聴けました。


前半、最初の曲はウェーバーの歌劇「オベロン」より序曲。冒頭のホルンが印象的で、続くささやくような弦が素敵。流れるような弦の美しさと各管楽器の光る個性。打楽器はティンパニのみで管楽器も2つずつという基本的な編成なのに、とても華やかで、新年の幕開けに聴けて良かったと思えた演奏でした。

続いてチャイコフスキーのバレエ組曲白鳥の湖。私は今回の6曲のうち、超有名な前半3曲は2021年3月「親子で聴くチャイコフスキー」でも息子と一緒に札響の演奏を聴いています。これを知らない人はおそらくいない第1曲「情景」は、首席のオーボエソロをじっくりたっぷり聴けてうれしかったです。第2曲「ワルツ」ははじめのほうの艶っぽい感じが個人的に好きで、そこから次第に踊りの輪が広がって全員参加の華やかな大舞踏会になり、聴いている私達の気分もあがります。木管大活躍の第3曲「白鳥たちの踊り」では、今どの奏者が演奏しているのかを目で追いながら、4羽の白鳥に扮したバレリーナたちのステップを思い浮かべました。そして「オデットと王子の愛の踊りを表現」している第4曲の「情景」が超素敵!ハープにヴァイオリン独奏(オデット)、そして後から登場したチェロ独奏(王子)の世界。最高でした!私、やっぱりヴァイオリンとチェロの重なりは本当に好きみたいです。もうありがとうございます!第5曲ハンガリーの踊り(チャルダッシュ)」は、ハンガリー風のメロディが心地よく、フィナーレの第6曲「情景」は速いテンポでの演奏にふとチャイ4を連想(チャイ4ほど派手ではないですが)。ラストのハープが印象的でした。本来とても長いバレエ音楽なのに、踊りナシの約30分の組曲でもこんなに楽しめるんですね!「白鳥の湖組曲が演目に入っている6月の定期はぜひ聴きたいと思います。


後半、演奏の前に指揮の齋藤さんからお話がありました。今回の選曲はいずれも齋藤さんによるもので、ドレスデンへ留学していた際の様々な思い出にちなんでいるそうです。後半のはじめは今回の花形、レハールオペレッタから数曲ピックアップしての演奏。先月(2021年12月)の「第23回北洋銀行presentsクラシックコンサート」で聴いたワルツ「金と銀」がとても素敵だったので、私は今回のレハールオペレッタも楽しみにしていました。

まずは「微笑みの国」「序曲」は、中国そのもののイメージではなく、東洋(?あるいは未知の国)への憧れのような印象を私は受けました。「私たちの心に愛を刻んだのは誰?」テノールとソプラノが掛け合ったり重なったりする良さはもちろん、時折ソリストと一緒に同じメロディを歌ったオケや弦の独奏も印象に残っています。「君こそ我が心のすべて」では、スケールの大きなオケに負けない大声量のテノールに圧倒され、また時折ふっとささやくような歌声になったところも個人的にツボ。「今一度ふるさとを」は、望郷の思いを高らかに歌うソプラノが素敵でした。プログラムノートを読む限り、ストーリー上ではこの恋は実らなかったんですね……。

有名なメリー・ウィドウ「ワルツ」は、とりわけ弦の5つのパートの首席による美しい弦楽五重奏に心掴まれました。「おお我が祖国よ」では、オケの演奏が始まってからテノール宮里さんが千鳥足で登場。酔っ払った演技をしながら陽気に歌う演奏で、ラストの高笑いまで見事に役になりきっていました。「ヴィリアの歌」は、美しいオケをバックに、美しくも少し哀しげなソプラノが印象的。「唇は語らずとも」は、「ワルツ」のあの美しい弦再び。先ほどの酔っ払いとは思えないような男前なテノールに、意思を感じるソプラノの二重唱が素晴らしかったです。愛し合う二人は抱き合いそうな雰囲気でしたが、ソーシャルディスタンスが言われる今はお互いに手を伸ばして繋ぐ形に。とっても素敵でした!

ニューイヤーコンサートの定番、ワルツ王・J.シュトラウスの曲が3つ取り上げられました。2021年9月の名曲シリーズにも登場した「観光列車」は列車が速いテンポで駆け抜けるイメージで、弾むような木管に、トランペットや汽笛が印象的。そしてウワサの(?)「常動曲」。こちらも列車が走るようなスピード感がありましたが、「観光列車」とは違い低弦も存在感があって、打楽器ではドラの大音量に驚いたりも。演奏の途中で指揮の齋藤さんが客席の方を向き(ここでオケはフェードアウト)「……と、永遠に繰り返します」と仰って、笑いが起きました。「皆様の幸せが永遠に続きますように」とのお話で会場は拍手。

オケがチューニングしてからプログラム最後の曲、美しく青きドナウの演奏に。2021年11月の名曲シリーズのアンコールでの演奏がとても良かったので、今回も楽しみにしていました。冒頭のささやくような弦とホルンから既に素敵!今回は速いテンポの曲を聴いた後だったので、ワルツのゆったりした流れがこの時はとても新鮮に感じられました。終盤の独奏チェロの後に登場した独奏トランペットも今回はしっかり聴けましたよ。華やかな中にほんの少し影が感じられるこの曲も、ラストは明るく締めくくり。定番曲の演奏、何度だって聴きたいです!

アンコールは超定番のJ.シュトラウスⅠ「ラデツキー行進曲ソリストのお2人も舞台に登場して、客席と一緒に手拍子に参加されました。指揮の齋藤さんはオケの指揮をしつつ何度も客席のほうを振り返り手拍子の合図。手拍子は強弱もテンポもきっちり揃って、さすがkitaraのお客さん達は訓練されているなと(笑)。アンコールにラデツキー行進曲、何度やってもイイですね!華やかに盛り上がった演奏会での新年の幕開け、楽しかったです!ありがとうございました!


レハールのワルツ「金と銀」を聴いたのは「第23回北洋銀行presentsクラシックコンサート」(2021/12/21)。クリスマスにちなんだアンダーソンだけでなく、短調モーツァルト、やさしい響きのワーグナー、そしてしっとりした美しさのエルガーといった「らしくない」曲が新鮮で楽しく聴くことができました。

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プログラム最後が「美しく青きドナウ」、アンコールが「ラデツキー行進曲」だった演奏会といえば、「ワールド・チャリティーコンサート ヴァイオリンの名手 大谷康子と札響3人の首席奏者たち&ピアノ佐藤卓史」(2021/09/02)。札響からは代表して弦の3名の首席奏者のかたがご出演され、ピアノ五重奏による華やかな演奏で楽しませてくださいました。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。