自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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第23回北洋銀行presentsクラシックコンサート(2021/12) レポート

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北洋銀行presentsクラシックコンサートは毎回応募が殺到する大人気の演奏会です。昨年は無観客配信で、さらに今年は会場上限半数以下の座席数(900席)での開催。多くの人が待ち焦がれ、今回の抽選は例年より高い倍率になったと思われます。そんな狭き門に、私はありがたくも初当選いたしました。ありがとうございます!


第23回北洋銀行presentsクラシックコンサート
2021年12月21日(火)18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
藤岡幸夫

管弦楽
札幌交響楽団(ゲストコンサートマスター森岡聡)

【曲目】
モーツァルト交響曲第40番 ト短調 K. 550

ワーグナージークフリート牧歌
レハール:ワルツ「金と銀」
アンダーソン:そりすべり
アンダーソン:クリスマス・フェスティバル

(アンコール)エルガー:夕べの歌 作品15-1


音がキレイに響く、人が少ないkitara大ホールで、札響のハイクオリティな演奏を聴ける!そんな贅沢な時間を過ごすことが出来て感謝です。また今回はクリスマスらしい演目はもちろんのこと、個人的には作曲家の一般的なイメージから考えると「らしくない」カラーの曲が新鮮で楽しく聴くことができました。こんな出会いが待っているから演奏会通いはやめられない!少しは場数を踏んできたつもりの私でも、まだまだ知らないことばかりだと痛感させられます。

指揮の藤岡幸夫さん。毎週テレビ(エンター・ザ・ミュージック楽しく拝見しています!)でお会いしているせいか、初対面な気がしませんでした(笑)。後半では藤岡さんが親しみやすい語り口で曲目解説のトークをしてくださったおかげで、クラシック音楽のコンサートに不慣れなお客さん達もリラックスして楽んでいらした様子。そして我が町のオケ・札響の澄んだ響きを引き出してくださった演奏は大変素晴らしかったです。ありがとうございます!

あらかじめ招待券に印刷された座席に着席する全席指定。私は運よく定期ならSS席に相当する席を頂きました。重ねてありがとうございます!思いっきり楽しませて頂きました。そして素晴らしい演奏会だったからこそ、ネット配信も併用して少しでも多くのかたと共有できたらいいなとも思いました。今後ぜひ前向きにご検討くださいませ。


はじめに司会進行のHBCアナウンサーからご挨拶がありました。なお演奏の合間は指揮の藤岡さんがトークをしたので、この後のアナウンサーの出番は休憩時間や分散退場のアナウンスくらいでした。開演時間となり、オケの皆様、続いて指揮の藤岡幸夫さんが舞台に登場。すぐに演奏開始です。前半はモーツァルト交響曲第40番」。明るく華やかなイメージのモーツァルトにはめずらしい短調の曲です。私は第1楽章のあの有名なメロディをかすかに知っていただけで、全部を聴いたのはこの時が初めて。そして、初聴きでドハマリしました……。こんなモーツァルト大好き!金管打楽器はティンパニすらナシで、木管クラリネットなし、フルートは1つ、ホルンは2つの小規模な編成。中低弦から入った第1楽章は、あの有名なメロディに早速引き込まれました。高音弦のメロディと中低弦の下支え、とても美しいです。そして木管が主役になった際の、息の合った掛け合いでの演奏も素敵でした。オーボエ首席の関さんお帰りなさい!再び中低弦から入った第2楽章では、メトロノームのように一定のテンポで緻密な音楽を紡ぐ、見事な職人技を披露くださいました。第3楽章は舞曲のような3拍子のリズムで、哀しげな弦が良かったのはもちろんのこと、あたたかな響きのホルンや中低弦と会話するオーボエが印象的でした。リズミカルに駆け抜ける第4楽章は超カッコイイ!この小編成でぐっと心に響くインパクト、もう本当に素晴らしい演奏でした!ちなみに私が以前室内楽の演奏会で出会い恋に落ちた「ピアノ四重奏曲 第1番」もト短調。どうやらモーツァルトト短調は私のツボに入るようです。


後半はまず指揮の藤岡さんがお一人で舞台に登場し、曲の解説から入りました。1曲目はワーグナージークフリート牧歌」。息子(ジークフリート命名)を産んだばかりの妻コジマの誕生日(12/25だそう)に、演奏家を家に集めてサプライズ演奏でプレゼントした曲という紹介がありました。こちら、私にとっても良い意味でサプライズでした。ワーグナーといえば戦闘力高そうな管弦楽作品のイメージなのに、こんな室内楽も書いているなんて驚き!原曲よりは編成が大きいと思われるオケ版でも、打楽器はナシで金管はトランペット1つのみ。弦と木管がメインとなり、やさしい響きを作っていました。冒頭の弦楽アンサンブルから既に素敵!牧歌的なホルンに木管のあたたかな響きが印象的。木管のメロディの中に、時折クリスマスソングのようなメロディ(空耳かも?)が聞こえた気もしました。演奏前に藤岡さんは「眠くなるかも?」と仰っていましたが、とんでもない。ワーグナー「らしくない」穏やかで優しい音楽に、ただただ夢中になりました。

レハールワルツ「金と銀」は、指揮の藤岡さんがぜひ演目に入れたいと希望したのだそう。藤岡さんの解説によると、民族的で濃厚なワルツで、「金」はふくよか、「銀」は硬質とのこと。弦と木管に加え、金管打楽器オールスターズとハープが入った大編成。演奏が始まる前は、ウィンナ・ワルツね箸休め的な……なんて失礼なことを考えていた私。しかし演奏が始まるとそんな浅はかな考えは一瞬で覆りました。箸休めどころか気の利いた主役級の一品。もうなんて素晴らしい演奏なんでしょう!金管打楽器が華やかに盛り上げ、美しいハープやかわいらしいグロッケンシュピールがアクセントに。個人的にはやはり何度か登場した中低弦が主役になってメロディを奏でたところがツボで、その時はズンチャッチャを高音弦と管楽器が担当していたのが印象的でした。そしてこんな大編成でもカオスにならず、各パートが生き生きとしていて、かつ上品に聞こえたのにも良い意味で驚かされました。

クリスマスらしい曲ということで、アンダーソンの作品が2つ続けて演奏されました。超定番曲になっている「そりすべり」は、意外にも本来はクリスマスを想定していなかった作品なのだそう。鈴と木魚のような楽器の軽快なリズムに、楽しく歌う木管、華やかな金管、そして流れるような弦。おなじみの曲をハイクオリティな演奏で聴けてうれしかったです。ムチのパーンという音に、トランペット副首席の鶴田さんによる「馬のいななき」もバッチリキマリました。拍手!シャンシャンやカポカポとずっと盛り上げてくださった打楽器の皆様にも拍手!

おなじみのクリスマスソングの数々がメドレー形式で繰り広げられる「クリスマス・フェスティバル」。よく知るメロディを華やかな演奏で楽しめて、すっかり温まった客席もリラックスして楽しんでいたようでした。パワフル金管で始まる冒頭「もろびとこぞりて」から迫力満点!しかし全体的に強弱のメリハリがはっきりして、飽きさせない演奏でした。また「ひいらぎ飾ろう」は木管、「ゴット・レスト・ジ・メリージェントルマン」は弦、といった感じで次々と主役が交代するのも楽しかったです。ラストは全員参加で華やかに締めくくり。素晴らしいです!

アンコールエルガー「夕べの歌」エルガーワーグナーと同じく愛妻家と紹介がありました。身分違いを乗り越えて結婚したときはエルガー32歳、妻40歳になっていたそうで、有名な「愛の挨拶」は妻へのプレゼントとのお話しも。今回演奏された「夕べの歌」はエルガー自身による管弦楽編曲。この短めの曲、もうとっても素敵でした!金管打楽器はお休みで、弦と木管とハープの編成。あのド派手な「威風堂々」の作曲家の作品とは思えない、ちょっぴり切なくしっとりした美しい響き!またもや「らしくない」曲に、私はたちまち魅了されました。しかしにぎやかな盛り上がりの後、ラストにこんな曲を用意くださる心意気がニクイ!心に残る最高のクリスマスプレゼントを頂きました。ありがとうございました!


この演奏会の2日前にはプロアマ混合オケ・札幌室内管弦楽団によるクリスマスコンサートを聴きました。札幌は音楽の裾野が広く、気軽に生演奏を聴ける機会が多いのは大変ありがたいです。

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企業主催の無料招待コンサート、今年の夏には「ほくでんファミリーコンサート」の札幌公演も2年ぶりに観客入りで開催されました。毎年道民にオーケストラの生演奏に触れる機会を提供くださる、数多の地元企業に改めて感謝です。

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昨年公開した記事「2020年 札幌交響楽団 動画配信および非売品CDについてのまとめ」へのリンクも貼っておきます。今こうしてたくさんの演奏会が開催されているのを大変ありがたく思うと同時に、演奏会が出来なかった頃の取り組みと私達の思いもずっと記憶にとどめておきたいと思います。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。