自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

コメント・ご連絡はすべてツイッターにお願いします。ツイッターID:@faf40085924 ※アカウント変更しました。
※無断転載を禁じます。

札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~日曜日の宗利音(2022/11) レポート

www.sso.or.jp
今回(2022年11月)の札響名曲シリーズは、若手指揮者の松本宗利音さん(~2021年3月 札響指揮者)によるオールロシアプログラムです。協奏曲のソリストは、6歳からロシアで研鑽を積んだというピアニストの松田華音さん。親しみやすい演目が揃っていたためか、会場は9割ほどの席が埋まっていました。また、今回私は高2の息子を誘い一緒に聴きました。


札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~日曜日の宗利音
2022年11月06日(日)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
松本 宗利音

【ピアノ】
松田 華音

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:会田 莉凡)

【曲目】
バラキレフ:3つのロシア民謡の主題による序曲
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
ソリストアンコール)チャイコフスキー:18の小品op.72より第18曲「踊りの情景(トレパークへの誘い)」

グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲
ムソルグスキーリムスキー=コルサコフ編曲):「ホヴァンシチナ」より"モスクワ川の夜明け"
ボロディン:「イーゴリ公」より"だったん人の踊り"
ハチャトゥリアン:「ガイーヌ」より剣の舞、子守歌
チャイコフスキー:スラヴ行進曲
(アンコール)チャイコフスキー:「弦楽セレナーデ」よりワルツ


松本宗利音さん、おかえりなさい!松本さんが大好きというロシア(スラブ)音楽は、民族色の濃いものから都会的なものまで個性豊か。いずれも気合いの入った演奏でとっても楽しかったです!若きマエストロの里帰りに、札響メンバーもノリノリだったのでは?オケは、金管打楽器の大活躍ぶりに、木管の歌心、そして土台を作る弦の美しさと安定感――奏者の皆様が、帰ってきた私達のシューリヒトの思いをすべてくみ取ろうと、全身全霊で応えていらした好演と私は感じました。また、「ロシア音楽の伝道師」である松田華音さんのピアノは、力強さと音の厚み(ロシアピアニズム?)に加えて、1音1音がキレイ(※素人の感覚的な話で失礼します)で洗練された印象と、特に中間楽章では繊細さも感じられる、とても贅沢なものでした。この布陣でロシア音楽をたっぷり堪能できた私達は幸せです!ロシアによるウクライナへの侵攻が行われている現在、もしかするとオールロシアプログラムの演奏会開催への抵抗感はあったかもしれません。しかし松本さんも仰った通り「芸術に罪はない」ですよね。当初の予定通りで開催し、かつ素晴らしい演奏で客席を沸かせたことに敬意を表します。

今回、耳なじみのある演目が多いこともあってか、うちの高2の息子(※授業以外での音楽経験ナシ)も楽しく聴いたようです。のめり込むように聴きながら、演奏の様子を3階席から双眼鏡で熱心に観察していました。そして終演後は、例えばピアノ協奏曲のピアノのすごさや、"だったん人の踊り"の「異国の雰囲気」など、彼なりに感じたことを私に話してもくれました。私が息子に教えられることは何もありませんが、親子で同じ演奏を聴いてフラットに色々とおしゃべりできたのはうれしかったです。U25のチケット料金はお安く設定されていますし、今回のように聴きやすい名曲が揃った会ならビギナーでも無理なく聴けます。若い人達への門戸を広くしている札響に改めて感謝です。


指揮の松本宗利音さんによるプレトーク。昨年に3年間の任期満了で札響を離れたことと、その札響に戻ってこれたことに感謝している、といったお話から始まりました。札響とのご縁は、2017年に札響から松本さんへFacebookのメッセージャー経由で出演依頼が来たのが始まりだそう。まだ事務所に所属していなかったため直接連絡となったわけですが、最初は「詐欺かと思った」そうです(笑)。その後2018年に北広島でのコンサートに登壇したのが初仕事。プロデビュー後のお仕事としてもまだ2回目だったそうで、その時のプログラムはベートーヴェンの序曲「コリオラン」と交響曲第2番という「玄人向けの選曲をしてしまった」。しかし初仕事以降、当時のコンミス・大平まゆみさんが目をかけてくださって、大平さんにはとても感謝していると仰っていました。2019年に札響指揮者に就任してからは紋別や釧路など様々なところに行き、「美味しい物を食べた」(!)……旅の楽しみはなんといっても食べる事ですよね。わかります!また、コロナ禍で半年ほど仕事が無くて「やべえ」(お若いですね・笑)となったことも。ちなみに持続化給付金を元手にして車を購入したそうですよ。任期満了後も札響とは良い関係でいられて幸せ、と仰る松本さんが今回挑むのは「大好きなロシア(スラブ)の演奏会」。なおプログラムが決まったときはまだ戦争は起きていなかったことと、「芸術に罪はない」とも仰っていました。今回共演するピアニストの松田華音さんについては、小さい頃からロシアで研鑽を積んだことをご紹介くださり、「ロシア音楽の伝道師」である素晴らしい音楽家、と絶賛。演目については、「ロシア五人組の中では比較的マイナーな」バラギレフの作品について、「チャイコフスキーストラヴィンスキー?と思うようなメロディが登場します」と解説。「しゃべりすぎてもいけないので」と、ここで区切り、ごあいさつしてトーク終了となりました。


1曲目は、バラキレフ「3つのロシア民謡の主題による序曲」。パワフルな序奏に続いて登場した主題は、素朴でゆったりした優しい響き。木管が歌うのを支える、高音弦の透明感や弦ピッチカートのパート毎のリレーが印象的でした。次に登場した主題が、チャイ4でも引用されている「野に立つ白樺」でしょうか?クラリネットから始まった素朴な主題が変化しながらテンポ良く流れ、派手な盛り上がりに。弦ピッチカートやシンバルと大太鼓が活躍するところ等、楽しく聴けました。ただ、私はストラヴィンスキーバレエ音楽ペトルーシカ」にも引用された「ピーテル街道に沿って」がどこに登場したかを掴めず(ごめんなさい!)。静かに消え入るラストは木管群、中でもフルートの余韻がとても印象的でした。

ソリスト松田華音さんをお迎えして、チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」。第1楽章、開口一番のカッコ良すぎるホルンとパワフルなオケに続いて、ピアノの登場。なんて華やか!なんて生命力!低音から高音まで自在に駆け抜ける躍動感や音のきらびやかさに、私は瞬時に心掴まれました。ゴージャスなオケの、シーンを変えた金管群の温かな音色が心に染み入り、続くピアノは細かくステップを踏むような前のめりな演奏。また次にシーンを変えた木管群に続いたピアノは切なく美しく歌う演奏と、その変化が素敵でした。そこから厚みを増していくピアノの力強さがインパクト大!弦のピッチカートに乗って細かく音を刻むピアノと、弦の滑らかな流れに乗ってピアノもまた滑らかに奏でる、ここにも表情の変化が。長いピアノ独奏では、キラキラした高音にぐっと深みのある低音といった多彩な音を、緩急つけドラマチックに聴かせてくださいました。オケと一緒に駆け抜けた楽章締めくくりの重厚さがすごい!第2楽章、穏やかな流れで、やわらかなフルート独奏とオーボエ独奏にまず心奪われました。対話するピアノ独奏もまたやわらかな響きで、前楽章とは違う魅力がありました。同じメロディをチェロの2トップが歌ったのも素敵!後半、ホルンの牧歌的な響きに重なるピアノ独奏は、やわらかさだけでなくきらびやかさが加わったと感じ、その繊細な変化がとても印象的でした。第3楽章は、ピアノが奏でる有名なメロディがクールでカッコイイ!輪郭がくっきりと感じられ、舞曲のようなリズム感でも洗練された都会的な印象を受けました。オケとテンポよく掛け合うのが気持ちイイ!オケが沈黙したところでのピアノ独奏は、華やかと力強さそして音の厚みが素晴らしく、圧倒されました。クライマックスでは、壮大なオケと対等な、ピアノの音の多さとパワフルさがすごい!なんて贅沢な音の響き!ロシア音楽の伝道師・松田華音さんと札響によるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。この最高のコラボによる好演はとても清々しく、私は気分爽快になりました。

ソリストアンコールは、チャイコフスキーの18の小品op.72より第18曲「踊りの情景(トレパークへの誘い)」。はじめのうちは休符を挟みながらタッ・タンというリズムで、ダンスする2人が互いに距離感を確かめているようにも感じました。次第にテンポが速くなり、2人がくるくると回って踊るような音楽が楽しい!また私はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」にある「トレパーク」を思い起こし、それと同じリズムを感じられたのもうれしかったです。協奏曲のダイナミックで厚みのあるピアノから、素朴な舞曲の楽しさまで、松田華音さんのピアノの魅力を堪能できました。素晴らしい演奏をありがとうございました!


後半。最初は、グリンカルスランとリュドミラ」序曲。冒頭、弦の高速演奏がすごい!勢いのある華やかな音楽に気分があがりました。独特のリズムが楽しく、一度聴いたら忘れられない元気なメロディ!それを弦が歌うと華やかで、木管が歌うとなんだかかわいらしい感じがしました。また、チェロが優雅に奏でた民謡風のメロディを引き継いだヴァイオリンがふと陰りを見せたのが印象に残っています。金管群が華々しいフィナーレがカッコイイ!

ムソルグスキー「ホヴァンシチナ」より"モスクワ川の夜明け"。今回はムソルグスキーと同じくロシア5人組リムスキー=コルサコフによる編曲版が取り上げられました。ヴィオラ、続いてフルートによる出だしは、穏やかに朝日が差し込んできたかのよう。木管が順番に歌う、美しくどこか哀しいメロディが心に染み入りました。主役の木管を下支えする弦も良い仕事をしていて、高音のトレモロや音階を駆け上る演奏は川のさざ波のよう。壮大なホルンの下で、ティンパニタムタムがごく控えめに入っていたのも印象的でした。ラストのフルートの余韻が素敵!

ボロディンイーゴリ公」より"だったん人の踊り"。個人的には、実家の父が聴いていた合唱入りバージョンの録音でなじんでいましたが、今回のように管弦楽のみでの演奏もとても楽しめました。冒頭の木管群の美しさ!そして、来ましたオーボエ独奏!東洋的なメロディを首席の関さんが艶やかに魅力的に聴かせてくださいました。引き継いだイングリッシュホルン独奏は宮城さん。オーボエより低い音色での歌が音楽に深みを作って素敵でした。北の大地を駆け抜けるような壮大なところを経て、ティンパニの強打からの全員参加の大盛り上がり!打楽器大活躍!音階を一歩ずつ上がるところも、一気に下るところも、重低音が効いたところも、超カッコイイ!ダイナミックな響きに理屈抜きで血が騒ぎます!また低音金管とホルンが個性的なザラザラした音を発して、ある種の不気味さを演出したのもとても良かったです。盛り上がりの谷間での、次を期待させる弦のピッチカート&音を刻む演奏とスピード感ある木管にゾクゾク。冒頭のオーボエのメロディを弦が奏でたところが美しく、ほっと一息つけました。パワフルで明るいフィナーレまで、気合いの入った全力疾走の演奏に、会場の熱気も最高潮に達したようでした。

ハチャトゥリアン「ガイーヌ」より。まずは「剣の舞」。はじめのティンパニ&打楽器陣からガツンと来る、高速大迫力テンションMAXの演奏!否応なしに勢いに飲み込まれました。木琴がキレッキレ!メロディを高速で歌う木管群と金管群の大音量が気持ちイイ!中盤ほんの少し落ち着いたところがあり、チェロとサックスの重なりが素敵でした。続いて「子守歌」は、雰囲気がガラリと変わり穏やかな音楽に。オーボエ独奏から入った、木管群の少し哀しげな歌がとっても素敵!メロディを引き継いだ弦が美しい!鉄琴(演奏は先ほどの木琴と同じく大家さん)が控えめにアクセントを入れたのも印象的でした。ラストの高音でフェードアウトしたフルートが素敵!ちなみに息子は有名な「剣の舞」とのギャップからか、この「子守歌」の演奏がとても印象に残っていると後から言っていました。

プログラム最後の演目は、チャイコフスキー「スラヴ行進曲」。低弦とティンパニによるぐっと重厚な出だしに心掴まれ、ロシアの民謡風の哀愁あるメロディが心に染み入りました。音の数が多い弦楽合奏(この演奏には圧倒されました)は確実に歩みを進めながら徐々にエネルギーを増していき、感情の高まりが頂点に。そこからの壮大な演奏がすごい!金管のパワフルかつ温かな音色と、リズムを刻むパンチの効いた打楽器群。中でも何度もジャーンと鳴るシンバルの存在感!3日前の「新世界より」で一度きりのシンバルを控えめに鳴らした大垣内さんの快演はとても清々しかったです。フィナーレでは、打楽器だけでなく弦も音を刻んで行進曲のリズムを作り、全員参加の大迫力の中、トランペットのファンファーレが超カッコイイ!可憐さ美しさのバレエ音楽とはひと味違う、チャイコフスキーの骨太な魅力が感じられ、最後に思いっきり気分があがりました!

www.sso.or.jp


アンコールは、チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」よりワルツ。優雅で美しい音楽を札響の弦で味わえる幸せ!他の弦が沈黙し、ヴァイオリンだけで奏でたところは天使が舞い降りたかと思うほどの美しさ!そしてチェロが主役となって最初のメロディを奏でた、甘く優しい音色が素敵すぎました。このチェロはヴァイオリンに恋してますよきっと。私はバレエ音楽の華やかなワルツももちろん好きですが、弦のみで穏やかに美しく奏でるワルツも好き!ちなみに息子はこの曲を気に入ったようで、演奏が終わってすぐ「今のは何て曲?」と私に質問。「チャイコちゃんの弦楽セレナーデの第2楽章だと思う」と答えた私は、ホールを出てからロビーでアンコールボードを確認し、ほっとしました。よかった合ってた(笑)。おかげさまで親子で楽しい時間を過ごすことが出来ました。松本宗利音さんと札響の皆様、素敵な演奏をありがとうございました!松本さん、これからも時々は札響に里帰りしてくださいね。既に決まっている2023年年末の第九の指揮、楽しみです!


この日の3日前に聴いた「第19回 北海道信用金庫 札響クラシック&ポップスConcert」(2022/11/03)。尾高忠明さん指揮による定番曲の安心感とジョン・ウィリアムズの映画音楽。ソロ演奏はさすが私達のコンミスと首席!耳なじみある音楽を迫力のサウンドで思いっきり楽しませて頂きました。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

こちらも私は高2の息子と一緒に聴きました。「Kitaraあ・ら・かると きがるにオーケストラ ココロおどるアメリカン・ミュージック」(2022/05/03)。札響を指揮したのは、松本宗利音さんと同期の太田弦さん!角野隼斗さんのピアノは自由な感じで、ソリストもオケもノリノリ♪マエストロのコスプレまで、モリモリMAXな楽しい演奏会でした。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

約1年半前の演奏会になりますが、こちらも息子と一緒に聴きました。「北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー@市民ホール」(2021/03/19)。指揮・松本宗利音さんと札響による、チャイコフスキーバレエ音楽の「いいとこ取り」コンサート。休憩なしの約60分間、親子でずっと夢中になれた演奏会でした。高校受験が終わってほっとしていたこの頃がまるで昨日のことのように感じられるのに、来年はもう大学受験……月日の経つのが早すぎます(苦笑)。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com


最後までおつきあい頂きありがとうございました。