自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー@市民ホール(2021/3)レポート

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当日券で平日昼間の演奏会を聴いてきました。なんと先日卒業式を終えたばかりの中3の息子とコンサートデートです。この日は高校の指定品を揃えに親子で大通に出てきていました。首尾良く片付き、昼食後に時間が間に合いそうだったため、コンサートに行くことに。息子には先に帰宅してもいいよとも言いましたが、彼は聴いてみると自分で決めてついてきました。おかげさまで第一志望に進学が決まった息子は、期間限定かもしれませんが最近いつもより母親とコミュニケーションとってくれるのが、私はちょっとだけうれしいです。


北海道応援コンサート~親子で聴くチャイコフスキー@市民ホール
2021年3月19日(金)13:30~ カナモトホール(札幌市民ホール

【指揮とおはなし】
松本宗利音

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】
チャイコフスキー

  • バレエ「眠りの森の美女」より
     序奏とリラの精、ワルツ
  • バレエ「白鳥の湖」より
     情景、ワルツ、4羽の白鳥の踊り、ナポリの踊り
  • バレエ「くるみ割り人形」より
     行進曲、金平糖の踊り、アラビアの踊り、中国の踊り、あし笛の踊り、花のワルツ
  • (アンコール)バレエ「くるみ割り人形」より トレパック


休憩なしの約60分間、親子でずっと夢中になれた演奏会でした。チャイコちゃんのバレエ音楽、やっぱりステキですね!2/13の北広島でのオールチャイコフスキーに行けなかった私としては、メロディメーカー・チャイコフスキーの本領発揮の音楽が聴けてとてもうれしかったです。ちなみに息子は多くは語りませんでしたが、キャッチーなメロディの数々を帰宅後も鼻歌で歌っていたくらいですから、きっと彼なりに楽しんだのだと思います。今我が家は進学に関わるやるべきことが目白押しでバタバタしています。そんな中で、この先「大変だった」だけでなく「コンサートデート楽しかった!」と良い思い出が出来たのがよかったです。少なくとも私はそう思っています(笑)。この時期に、親子で気軽に参加できる演奏会を開催してくださったことに感謝です。

私は「お初」のカナモトホール、音の響きはキレイだと感じました。今回は後ろの方の席になりましたが、お隣のhitaruより小さなホールなので舞台は遠くなくて、オペラグラスがなくても演奏の様子はそこそこ見えました。そもそもの席数が少ない上に1席飛ばしでの配席。それを大人1000円・高校生以下500円のリーズナブル価格で、しかも札響の演奏を聴けるなんて!ありがたいやら申し訳ないやら。しかしこの親しみやすい演奏会で、ファン層の裾野が広がったのは確かだと思います。惜しかったのは、「親子で」と銘打っていながら普通に学校がある平日昼間の開催だったこと。春分の日の祝日にあてたつもりがズレたのかも?結果としてお客さんは大人が多かったようでした。しかし小学生くらいの子も何人かはいましたし、卒業式が済んだと思われる大きい子もちらほらいました。

指揮とおはなしは札響指揮者の松本宗利音さん。指揮のときは素顔で、客席を向いてトークする時はマスク着用でした。曲の合間にバレエの歴史や各作品のあらすじ等の様々なお話がありましたが、個人的には「チャイコフスキーワーグナーから影響を受けている」といった趣旨のお話が印象に残っています。また松本さんのお人柄の良さがお話ぶりににじみ出ていたためか、トークのときは客席はリラックスモードでした。また演奏中に変なところで拍手が起きてしまったときには、松本さんは客席に振り返り一礼をしてから演奏に戻るスマートな振る舞いをされました。松本さん、すっかり札響の顔ですね!今月末には怒濤の地方公演ツアーがありますが、各地でもきっと音楽を身近に感じられる演奏を披露してくださることと存じます。ご武運を!雪解けの時期でもありますし、団員の皆様もどうぞ道中お気を付けていってらっしゃいませ。


指揮者が舞台に立つとすぐに演奏開始されました。はじめは「眠りの森の美女」より。「序奏とリラの精」は最初から全員参加のフルスロットル演奏で、聴いているこちらは一気に気分が高揚。続く有名な「ワルツ」はもう豪華で華やかで、私は心の中でペンラ振って声援を送っていました。私はバレエ鑑賞は未経験ですが、こんな贅沢な音楽をバックに華やかなダンスが繰り広げられるのって素敵なんでしょうね。ちょっと見てみたい気持ちにもなりました。演奏の手元が見たい派ではあるので、オーケストラピットも少しは見える席なら両方楽しめるかも?

白鳥の湖」より、まずはこれを知らない人はおそらくいない「情景」。生演奏で聴くと、やはり素晴らしい曲だからこそ超有名になったんだなと実感しました。冒頭の弦のザワザワにまず心を掴まれ、メロディを歌うオーボエ独奏にうっとり。チャイコフスキーはメロディメーカーというだけでなく、各楽器の活かし方もうまいなと思います。そう感じられるのは、もちろん素晴らしい演奏があればこそです。こちらの「ワルツ」も美しく華やかで、緩急や強弱のメリハリがきいた演奏に引き込まれました。トランペットが主役のところが印象的。木管大活躍の「4羽の白鳥の踊り」も素敵でした。そして私は初めて聴いた「ナポリの踊り」が今回のハイライトです。コルネット(小ぶりなトランペット)の独奏がめちゃくちゃカッコイイ!首席トランペット奏者のかたの独奏に全集中して聞き惚れてしまいました。トークで松本さんが「コルネットオーボエも本当に素晴らしい。一緒に演奏出来て幸せ」といった趣旨のことをおっしゃっておられましたが、本当に、奏者の皆様はすごい演奏家ばかりなのだと思います。そして奏者のかたをこのように賞賛できる指揮の松本さんも素晴らしいです。

最後は「くるみ割り人形」より。「行進曲」はメロディ部分の演奏はもちろん良くて、さらに下支えする低弦と金管が個人的にツボです。「金平糖の踊り」はチェレスタのキラキラした音色がとてもキレイ。息子は舞台をきょろきょろ見渡し、舞台の左側に配置されていたチェレスタを見つけて注目していました。この美しい音を奏でる楽器が、鍵盤楽器だとは思っていなかったようです。チェレスタと呼応するクラリネットも、弦のピッチカートも素敵でした。「アラビアの踊り」は他の曲とはちょっと毛色が違う雰囲気。同じ編成・同じ楽器でしかも他の曲と続けて演奏しているにもかかわらず、一瞬で違う世界を作る演奏が素晴らしいです。「中国の踊り」と「あし笛の踊り」は主役のフルートが素敵!後から息子が「フルートのところをファゴットに演奏させてみたい」と変なことを言ってましたが、それは演奏がインパクト大だったからだと思います。超有名な「花のワルツ」は、美しいハープの響きをたっぷり聴けて、その後のホルン→クラリネット→弦の流れが超ステキ。何度でも言いますが、この音を当たり前と思って育つ札幌の子供達がうらやましいです。そして中低弦が少し切ないメロディを奏でたり金管打楽器が華やかに盛り上げたりと、もう聴き所しかない演奏にホレボレ。チャイコフスキー管弦楽の魔術師ですね!

アンコールはバレエ「くるみ割り人形」よりもう1曲「トレパック」、これも超有名ですね。勢いのあるパワフルな演奏。華やかな高音が主役でも、一瞬バスがきいているところが個人的にはツボだったり。そしてタンバリンが激ウマです。最初から最後まで超楽しかったです!「いいとこ取り」の演奏会で、すべての曲を本気モードでの素晴らしい演奏をありがとうございます!


この演奏会の3日前にhitaruで聴いた「音楽日和 札幌公演 in hitaru~JAF会員のための音楽会」のレポートは以下のリンクからどうぞ。聴きたかったシベリウスのカレリア組曲も、ソリスト金川真弓さんの演奏に圧倒されたヴァイオリン協奏曲も、後半のオペラ序曲シリーズも最高でした! 

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小2の娘とkitaraで聴いた「札響夏休みスペシャルコンサート」のレポートは以下のリンクからどうぞ。アキラさんのエンターテイナーぶりが光るショーの楽しさに加え、トランペットのカッコ良さやクラリネットのステキな響き等、我が町のオケによる本物の演奏を親子で楽しみました。 

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チャイコフスキーは華やかでかわいらしいバレエ音楽だけでなく、骨太で男前な交響曲も書いています。2021年2月の「札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第4回」で演奏された交響曲第5番、私は一度聴いただけで好きになりました。チェリスト佐藤晴真さんがお目当てで足を運んだ演奏会でしたが、ノーマークだった他の演目にも夢中になれたのはうれしい誤算でした。レポートへのリンクは以下にあります。 

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2020年12月に無観客で開催された「第21回北洋銀行presentsクラシックコンサート~聖夜の響き~」の無料配信動画でも、札響の「くるみ割り人形」の抜粋演奏が聴けますよ。動画はメインのベト7ほか、たっぷり1時間15分超!動画を以下に貼っておきます。


第21回北洋銀行presentsクラシックコンサート~聖夜の響き~


最後までおつきあい頂きありがとうございました。