自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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札響名曲シリーズ 森の響フレンド名曲コンサート~ジプシー音楽に魅せられて(2021/08) レポート

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2021-2022シーズン最初の札響名曲シリーズです。今までと同じく、土曜の14時にkitaraで開催。私は「ハンガリー舞曲」だけじゃなく他の演目にも興味があって、演奏会当日を楽しみにしていました。なおこの日は聴きやすい短めの演目が揃っていたためか、会場には親子連れも多かったです。

森の響フレンド名曲コンサート~ジプシー音楽に魅せられて
2021年8月21日(土)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
円光寺雅彦

【ヴァイオリン】
松田理奈

管弦楽
札幌交響楽団(ゲストコンサートマスター森岡聡)

【曲目】


ツィゴイネルワイゼンやチャールダッシュ等と呼ばれる、親しみやすいジプシー音楽の数々。とっても楽しかったです!元の素材は近いものでも作曲家によって切り取り方や料理の仕方が違うのが面白くて、このジャンルは私的に開拓の余地があるなと認識。また普段ピアノ曲やピアノとヴァイオリンの二重奏でなじんでいた曲を管弦楽で聴くのはとても新鮮でした。管弦楽は、重なることでスケールが倍増しお互いに高めあいさらに各パートの個性が際立つのがすごく良いです!私、この生き生きとした「オーケストラの森(byアキラさん)」に浸れる幸せをしみじみと実感しました。また、「カルメン幻想曲」と「ツィガーヌ」そしてアンコールでソリストをつとめられた松田理奈さんの独奏ヴァイオリンがとっても素敵でした。素人の私が大変勝手な思いつきを述べると、この日の演奏は確かな技術と表現力がありながらも優等生路線をあえてほんの少し外すような個性と、重くなりすぎない踊れるような軽やかさもあるように感じました(的外れでしたらごめんなさい)。松田さんの他の演奏(協奏曲でも室内楽でも)もぜひ聴いてみたいです。


1曲目はおなじみビゼーの歌劇「カルメン」第1幕への前奏曲。初めから全力投球のテンションあがる演奏、掴みはバッチリ!また、1曲目の演奏でこの日のテンポが大体わかった気がしました。続いてソリストの松田理奈さんが舞台へ。衣装は背中が大きくあいた鮮やかなピンクのドレスでした。プログラムノートによると、サラサーテカルメン幻想曲」は、オペラ『カルメン』の実演を見て感激したサラサーテがその様々な旋律を小協奏曲のようにまとめた作品なのだそう。はじめのほうで原曲では木管が担当するメロディを独奏ヴァイオリンが演奏し、その超絶技巧と妖艶な音色に魅了されました。低弦の序奏から入る「ハバネラ」の、独奏ヴァイオリンが高音から低音に瞬時に変わるところが印象的。またフルートから入る「セギディーリャ」では、独奏ヴァイオリンに「影のある女性」のようなミステリアスな雰囲気を感じました。クライマックスに向かってだんだんテンポが早くなって、独奏ヴァイオリンはもちろんすごいですが、呼吸を合わせるオケも素晴らしいです。タンバリンがカッコイイ!演奏に引き込まれ、あっという間の約12分でした。

バルトークルーマニア民俗舞曲」。原曲はピアノ組曲で、管弦楽版の編曲はバルトーク自身によるもの。金管オーボエ、一部の打楽器の皆様が退出し、小規模編成による演奏でした。ちなみにこの曲、私はピアノとヴァイオリンの二重奏による演奏に普段なじんでいます。今回の管弦楽版、もう超良かったです!もちろんこの日の演奏は全部良かったのですが、マイベストはこのバルトークにさせてください!まず、冒頭の中低弦の序奏にヴァイオリンが高音のメロディで重なったときの良さ!しびれました。そしてクラリネットソロとピッコロソロそしてコンマスソロの、個性的な踊りのような演奏もインパクト大でした。各パートの個性が生きる管弦楽には、ヴァイオリン独奏とはまた違った良さがありますね。全員参加のラストは、大勢の人が一緒に踊っているような生き生きとした演奏。聴いているこちらの気持ちも高揚しました。そして曲がまだまだ続きそうな感じだった締めくくりが忘れられません。

リスト「ハンガリー狂詩曲 第2番」。原曲はピアノ独奏で、アニメ「トムとジェリー」でも使われた有名な曲ですね。管弦楽版は、実家で父がよくレコードで聴いていた記憶があります。今回の演奏が始まってしばらくして、ん?知っているのとちょっと違う?……休憩時間にプログラムノートで確認したところ、今回は演奏機会が多いドップラー編曲版ではなくミュラー=ベルクハウス編曲版だったようです。ハープが入り、木管金管打楽器が大活躍するミュラー=ベルクハウス編曲版もとっても素敵です。また重厚な前半とにぎやかな後半の大きな変化も楽しめました。


後半最初はJ.シュトラウスⅡ「ジプシー男爵」序曲。明るさにワルツ王「らしさ」を感じました。低めの音の弦をベースに木管大活躍。後半は違和感なくウィンナ・ワルツになっていました。一方、次のJ.シュトラウスⅡ「騎士パズマン」~チャールダーシュは、思いっきりジプシー風。哀愁ただようアンサンブルの中で木管がアクセントに。後半テンポが早くなったところは、少し「ハンガリー舞曲」に似ているかも?と思いました。

続いてワルツ王のお友達の登場です。ブラームスハンガリー舞曲」より第5番、第6番、第3番、第1番の4曲。編曲は5と6がシュメリング、3と1がブラームス自身によるものだそうです。強弱や緩急にメリハリのある演奏で、聴きやすいメロディをより楽しめました。第3番の冒頭の木管、第1番の冒頭の弦が個人的にツボ。ちなみに私は21曲すべて好きですが、中でも特に11番・14番・17番が好きなので、いつか生演奏で聴ける機会があるといいなと思います。もちろん全曲演奏ならもっと大歓迎です!希望は言ってみる!

ラストはソリストの松田理奈さんが再登場。松田さんは黒を基調としたベアトップドレスに衣装替え。ラヴェル「ツィガーヌ」は本来ヴァイオリンとピアノの曲で、ピアノ伴奏をラヴェル自身が管弦楽版に編曲したのだそうです。冒頭は独奏ヴァイオリンの演奏をたっぷりと。音に厚みがあっても重すぎない独奏ヴァイオリンに引き込まれました。ラヴェルパガニーニ「24のカプリース」に刺激を受けてこの曲をブラッシュアップしたそうですから、独奏ヴァイオリンは絶対に難しいと思われますが、そうとは感じさせない見事な演奏でした。やがて美しいハープがシンクロし、オケも参戦。ここからしばらくは個人的に何となく東洋的な雰囲気を感じ(理由はよくわからないのですが)、私が今までなじんでいたハンガリー風の曲とは違っていたのがとても印象に残っています。後半はだんだんテンポが早くなり、チャールダッシュらしい情熱的な演奏で独奏ヴァイオリンとオケが一緒に駆け抜けました。素晴らしいです!

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アンコール
は、モンティ「チャルダッシュ。これも有名な曲ですね。独奏ヴァイオリンの超絶技巧と、包み込むオケのスケールの大きさを堪能。最後の最後までめいいっぱい楽しませて頂きました。アンコールにいたるまで素晴らしい演奏をありがとうございます!



この演奏会の6日前に親子で聴いた「札響夏休みスペシャル2021『アキラさん×札幌交響楽団』」。子供も大人も楽しめる、アキラさんの多彩な作曲・編曲の数々を札響の演奏でめいいっぱい楽しめた、最高の一時間でした!レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。