自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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日露交歓コンサート2019 札幌公演(2019/09) ざっくりレポート

日露交歓コンサートは、ネットで申し込んだ先着順で参加できる無料のコンサートです。私は今回初めて参加しました。様々な編成の室内楽がたっぷり聴けて、またロシアご出身のかたが多い出演者の皆様もユーモアたっぷりのかたたちで、とても楽しい時間を過ごすことができました。レポートを書くのが遅くなってしまいましたが、せっかくですので特に印象に残った点だけでもざっくりと書き残しておきます。

いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘くださいますようお願いします。


日露交歓コンサート2019 札幌公演
2019年09月10日(日) 18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール


演目および出演者は添付画像を参照ください。

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日露交歓コンサート2019 札幌公演 演目

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日露交歓コンサート2019 札幌公演 出演者


ツイッターでの速報ツイートは以下。


プログラムによると、どうやら全国各地を回っているらしく、各地で演目は少しずつ異なっているようです。札幌公演では地元の奏者のかたが参加しての演目もありました。ヴィオラには札響副首席奏者の青木晃一さんが。そして第2ヴァイオリンは7月のPMFマスタークラスでライナー・キュッヒルさんに指導を受けた学生さんでした。演目はおなじみシューベルトの「鱒」と、トランペットが華やかなサン=サーンスの七重奏曲。特に後者はめずらしい編成ですし、初めて聴く曲で様々な楽器が活躍する様子を見るのも楽しかったです。あわせる時間は限られていたでしょうに、とても素敵な演奏でした。素晴らしい!

ロシアの薫りが色濃かったのは最初のバラライカとドムラによる演奏。バラライカは三角、ドムラは丸い形をした弦楽器で、いずれもギターのように弦をはじいて音を奏でます。私は実物を見たのは初めてでしたし、当然実演に触れたのも初めてでした。ロシア民謡メドレーでは、よく耳にする旋律がいくつも出てきましたが、私がはっきりわかったのはトロイカくらいでした。

声楽の伴奏(日本人の若い男性奏者)以外のピアノ奏者(いずれも男性)は、個人的な印象ではかなり力強い演奏をなさるかたたちでした。あんなマッチョなショパン、私は初めてだったのでとても新鮮でした。パワフルさはラフマニノフだとむしろハマる印象。司会者が話したわけでもプログラムに書いていたわけでもないので定かではありませんが、これが上半身の体重をかけて演奏するというロシアピアニズムなのかな?とちらっと思ったりもしました。私は専門家ではないため間違っていたら申し訳ありません。

ヴァイオリンのお若い女性奏者は出番が多く、しかも曲ごとに衣装を着替える徹底ぶり。大変美しい音色を奏でるかたで、その演奏にうっとりしました。ただ、おなじみハンガリー舞曲第5番の演奏を拝聴したとき、個人的に「これはきれいに演奏する曲ではないのかも?」と正直思ってしまいました。雑にと言うと語弊がありますが、もっとハッタリかます勢いで弾くほうが乗れる曲なのかもと。もちろんこれは個人的な好みに過ぎませんし、美しい演奏も素敵でした。

ヴァイオリン・チェロ・ピアノによる三重奏曲のワレリー・キクタ「エレジー・トリオ“ある建築家の思い出”」は、この日露交歓コンサートのために作曲された曲のようです。詳細はここでは割愛しますが、プログラムに掲載されたワレリー・キクタさんのメッセージにこの曲が生まれた経緯が書かれてありました。ベースはロシアの教会音楽でありながら日本の「赤とんぼ」のメロディが随所に出てくる曲で、まさに「日露交歓」にぴったり。ここでしか聴けない曲を素敵な演奏で聴かせて頂きました。プログラムの解説によると、元はヴァイオリンではなくオーボエが入る三重奏曲のようです。そういえば今回の出演者には木管奏者がいないことに気付きました。管楽器を弦楽器に置き換えるのは、おそらく原曲アレンジが必要でしょうし、他の曲の準備もある中、大変だったことと思います。ありがとうございます。

そしてチェロ奏者は第8回チャイコフスキー国際コンクールで第1位に輝いた実績があり、現在はモスクワ音楽院で後進の指導にあたっているかたです。演奏はすべて素敵でしたが、私が最も良いなと感じたのは本プログラム最後の曲であるピアソラ「ル・グランタンゴ」です。タンゴ独特のリズムでチェロの低音がぐっと来るのがすごく好き。私はてっきりバンドネオンのための曲をチェロで演奏したのだと思っていたのですが、プログラムの解説によると、チェリストロストロポーヴィチ(!)のために書かれたそうで、最初からチェロでの演奏を想定した曲でした。

私が一番印象に残ったのはソプラノ歌手のかたです。ぱっと見はお人形さんみたいなかわいらしいかたで、淡いピンクのドレスがお似合いのお若い女性。それが1曲目レハール「ジュディエッタより“熱き口づけ”」が始まると、官能的な恋する人妻が瞬時にそこに現れたんです!その妖艶さにゾクッとしました。歌声ひとつでここまでできる表現力にただただ敬服します。さっと黒い扇子を広げて軽く振り付けしながら歌う姿に騙されたわけではないと私は思っています。テノール歌手のかたと共演したヴェルディ「椿姫より“乾杯”」では、間奏の間にお二人でダンス。ダンスの後にテノール歌手のかたが「ありがとうございます」と日本語でおっしゃっておじぎをして、客席から笑いが起きていました。テノール歌手のかたは後進の指導もされておられるようで、そんなかたが若い女性に振り回されているという演出が楽しかったです。テノール歌手のかたは声量があり、ソロでの歌も大変聴きごたえがありました。

アンコールは日本の歌「ふるさと」。ソプラノとテノールのお二人が日本語で歌い、客席にも「ご一緒に」と呼びかけて全員合唱となりました。演奏もピアノ以外は全員参加、ピアノは代表して札幌の谷本聡子さんが演奏されました。カーテンコールではソプラノ歌手のかたのコミカルなふるまいがとにかく楽しくて、会場はとても和やかな雰囲気に。思えばロシアからいらした奏者の皆様は、演奏の合間等で隙あらば笑いを取ろうとしていました。もしかすると日本の聴衆はおとなしすぎるのかもしれませんね。

とにかく盛りだくさんで楽しいコンサートでした。ありがとうございました!曲はいずれも短めで、奏者の皆様もユーモアたっぷりのかたたちばかり。誰もが楽しめる内容だと思います。しかし先着順で無料にもかかわらず、会場は5割ほどの客入りだったのがもったいない。企業主催の無料コンサートには熾烈な抽選があるくらいなので、札幌市民のクラシック音楽への関心は低くないはず。日露交歓コンサートについては、もしかすると宣伝が足りないのかも?ちなみに私は今年たまたまチラシを見つけて知ったのですが、昨年までこのようなコンサートがあることさえ知りませんでした。そして、プログラムと一緒に配布されたクラシック音楽に関するパンフレットの内容も、特に小学生や初心者に向けて書かれた入門書で内容大変充実していました。時間帯を昼間にして、市内の小中学校に声をかけて子供達を招待するテもあるのではないかと少し思いました。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c