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今回の Sound Space クラシックコンサート は、私達の札響コンミス・会田莉凡さんがゲスト出演された、ヴァイオリン&ピアノの演奏会。これは聴き逃せない!と、私は前日の札響伊達公演(会田莉凡さんがソリストとしてご出演!)に引き続き、こちらの演奏会にもうかがいました。札幌市民の期待は大きく、当日の会場はほぼ満席の盛況ぶりでした。
第22回 Sound Space クラシックコンサート ヴァイオリン&ピアノの奏
2024年07月14日(日)18:30~ ザ・ルーテルホール
【企画・プロデュース】
佐藤 洋美
【出演】
会田 莉凡(ヴァイオリン) ※札幌交響楽団コンサートマスター・京都市交響楽団特別客演コンサートマスター
水口 真由(ピアノ)
【曲目】
ドビュッシー:美しき夕暮れ
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調
ラヴェル:ツィガーヌ
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」ヘ長調 op.24
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
(アンコール)
エルガー:夕べの歌
ピアノはスタインウェイでした。
会田莉凡さん、なんてすごいかた……!その引き出しの多さに、音の説得力に、底知れぬお力に驚かされ、とても心打たれた夜でした。技術力や表現力が素晴らしいのはもちろんのこと、なにより会田さんの音そのものに「力」があると私は感じました。物理的に大きな音という意味ではなく、言うなれば「生命力」のある音。気力・体力の次元を超えた、魂が持つ「魂力」とも言えるかもしれません。2つの「夕暮れ」、2つのロマの音楽、2つのソナタという、盛りだくさんなプログラムは、最初から最後まで充実した演奏で素晴らしいものでした。私がとりわけ感銘を受けたのはベートーヴェンです。スプリング・ソナタの魅力は、美メロと優雅さだと私は思っていました。しかし今回の演奏はそこにとどまらず、発する音や表現すべてに生命力が満ちあふれている!私は素直に驚き、同時にベートーヴェン「らしさ」が感じられて、とてもうれしくなりました。もちろん努力の積み重ねがあってこその演奏と存じますが、こんなにも生きる力がわいてくる演奏は、やはり会田さんご自身の「生命力」が強く影響しているのでは?それにしても、会田さんの気力・体力の充実ぶりは半端ないです。この日の会田さんは、札響・京響でのコンミスとしての過密スケジュールに加え、2日連続でソリストとして協奏曲を弾いた直後。しかしまったくお疲れを見せずにモリモリ演奏して、演奏そのもので聴き手の心を動かし、さらにトークでも盛り上げてと、すごすぎます!座って聴いているだけの私でも2連チャンしただけでヘロヘロなのに……もう平服するしかありません!会田さん、札幌に来てくださって、本当にありがとうございます。あちこちに引っ張りだこで超ご多忙とは存じますが、札幌にて室内楽の演奏も可能な限り聴かせてくださいませ。もちろん札響のことも引き続きよろしくお願いいたします!
ピアノの水口真由さんは、今回も共演者と息の合った素晴らしい伴奏にてしっかり土台を作ってくださいました。日本各地を飛び回っている会田さんとは、事前に合わせる機会は限られていたと拝察します。しかし安定のピアノ伴奏はさすがの仕事ぶりで、安心して聴くことができました。Sound Space クラシックコンサートをはじめ、様々な演奏会にて多くの音楽家の皆様と共演を重ねている水口さんもまた、札幌の音楽界にとって大切な音楽家ですね!これからも札幌の音楽シーンをもり立ててくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。そして、会田さんとの再共演もぜひ!
出演者のお2人が会場へ。ヴァイオリンの会田さんは全身スパンコールで覆われたブルーシルバー色のマーメイドラインのドレス姿。大胆な肌見せデザインで大人っぽい!ピアノの水口さんはシフォン素材のスカートがふわっとした、クリーム色のベアトップドレス姿。レモン色の大きな水玉模様やウエストの大きなリボンが可愛らしい!拍手で迎えられ、すぐに演奏開始です。1曲目は、ドビュッシー「美しき夕暮れ」。序奏のピアノはゆったりとして温かく、美しい夕暮れのオレンジ色が見えるようでした。柔らかく始まったヴァイオリンがまた美しく、細やかに強弱を変化させながら、音がゆらぐのが素敵!空が次第に薄暗くなっていくような、繊細な美しさでした。ピアノが沈黙し、ヴァイオリンが独り言のように歌うシーンとその余韻の奥行き!ヴァイオリン&ピアノによる、ゆったりと美しい歌に心癒やされました。
ここで、水口さんからごあいさつと出演者紹介。続いてお2人によるトークがあり、以降も曲の合間に演目解説を含めたトークがありました。楽しいお話しは多岐にわたり、会場は終始和やかな雰囲気。なお、トーク内容すべてはとても書き記せないため、惜しいですが本記事に記載する内容はダイジェスト版といたします事をご了承くださいませ。会田さんは「(水口さんから)いきなり(トークするよう)振られたんですけど」と仰りつつ、来場したお客さん達へのお礼と自己紹介、同年代の(「で、いいよね?」と水口さんに確認を取っていました・笑)水口さんとは初共演です、といったお話しをされて、簡単な曲目解説をしてくださいました。1曲目に取り上げた「美しき夕暮れ」は、前半がフランスものプログラムということで、チラシには掲載していない演目を追加したとのこと。その特徴を「パステル」と表現されていました。そして次に演奏するソナタは、フランス流の「ウィット」。ドビュッシーが晩年に書いた作品で、「2小節毎に変化」するのだそうです。ちなみにドビュッシーのソナタは、会田さんが17歳の時に挑戦した日本音楽コンクール3次予選の課題曲で、その当時はまさかそこまで進めるとは思っておらず一夜漬けで暗譜して臨んだ、というエピソード紹介がありました。その時は残念な結果に終わったそうですが、おそらく会場にいた人達は皆、会田さんがその数年後に日本音楽コンクール第1位の栄冠に輝いた事は承知していたと思います。
ドビュッシー「ヴァイオリン・ソナタ ト短調」。第1楽章 初めの方は歌曲を美麗に歌っているようでした。舞曲のようになってリズミカルに駆け抜けたり、思いっきり情熱的に高音域で強奏したりと、短いスパンで次々と表情が変化。「パステル」ではない、一瞬一瞬が描き出す個性はくっきりハッキリしていて、「千の表情」それぞれの面白さを楽しめました。超高音に吸い込まれそう!ピアノと一緒に頂点に達した後の沈黙にゾクっとさせられ、細かく音を繰り出しながらぐいぐい進んで行くところに、私は(文化圏が異なるにもかかわらず)フラメンコを連想。引っ張りすぎずにスパっと終わったラストが印象的でした。第2楽章 生真面目路線をあえて外してくる、(少なくとも私には)予測不可能なテンポやアクセントに翻弄されました(大歓迎です!)。ピアノに重ねていくピッチカートの凄み!大きな音ではないけれど、ここぞというツボでピッチカートが来るのがカッコ良かったです。ヴァイオリンが神秘的に歌うところの美しさ!加えてここでは、ピアノの左手がメロディで右手が和音だったようで(勘違いでしたらごめんなさい)、ピアノがユニークだなとも感じました。ヴァイオリンは滑らかだったりキレッキレだったりと様々な表情を見せ、ラストはここでも引っ張りすぎずにあっさりと締めくくり。第3楽章 はじめの星が瞬くようなピアノの美しい響きに惹きつけられました。ヴァイオリンはゆったり美しく歌ったかと思うと、加速して一気に駆け抜け(美音で速くて驚愕!)、その後のヴァイオリンとピアノの絡みが面白かったです。お互いに呼吸と鼓動をシンクロさせ、テンポを細かく変化させながら流れを止めずに、一緒に前の方にアクセントが来る演奏だったり、強弱の波を何度も繰り返したり、またヴァイオリンが繰り出すフレーズの終わりにピアノがキララン♪と入ったり。こんなに2人で息ぴったりの勢いある演奏で来られると、何でもアリな音楽にものすごい説得力を感じました。クライマックスでは、ピアノはダイナミックになり、ヴァイオリンの超高音のトリルが華やか!強奏の明るい重音でスパッと締めくくったラストが清々しい!15分ほどの短いソナタで、会田さんのヴァイオリンの「千の表情」と、ぴたっと併走する水口さんのピアノの良さが楽しめました。
会田さんによるトーク。客席から拍手が起きる際に、後ろに下がる水口さんについて「真由ちゃんは謙虚ですよね」。単旋律のヴァイオリンに対し、ピアノはたくさんの音を弾いているため「大変」と、水口さんの事をとても褒めていらっしゃいました。「でも伴奏だと暗譜しなくて済むからラク、って言ってました(!)」……一度持ち上げておいてから落とすスタイル(笑)。しかしこんなぶっちゃけトークができるのは、お2人がすっかり打ち解けていらっしゃる証拠ですよね。また会田さんは、前々日に函館、前日に伊達で開催された札響の演奏会にてソリストとして出演されたことをお話しくださいました。しかも車をご自分で運転しての長距離移動だったそうです。先月には札響で道東に行った事もお話しくださり、東京生まれ・東京育ちの会田さんは道内の色々なところを訪れるのを楽しんでいらっしゃる様子。「札響は今日はまた別の演奏会のリハーサルです」と、札響のハードスケジュールぶりにも触れられました。次の演目の解説では、ラヴェルがロマ(「今は“ジプシー”って言っちゃダメなんだよね?」と水口さんに確認されていました)の音楽を題材に書いた作品、とまず紹介。前半はヴァイオリン独奏にてロマの人達の嘆きを表現し、後半は伴奏(オーケストラのたくさんの音を、今回はピアノ1台で!)が入るとのこと。管弦楽版は様々な楽器が効果的に使われており、面白いのだそうです。「今回の演奏も面白いと思って頂ければ」といった事を仰っていました。
ラヴェル「ツィガーヌ」。ヴァイオリンの最初の1音からものすごい気迫!様々な思いを内に秘めているような、低音の強さに圧倒されました。フレーズの強奏が終わる毎に現れる沈黙の力!超高音のささやきに思わず身震い。ヴァイオリンが歌ったメロディの寂寥感に、私はついコダーイの無伴奏チェロソナタを思い起こしました。弓を勢いよく下に引きながらのピッチカートのインパクト!ピアノが加わってからは、ヴァイオリンとピアノが手を取り合いダンスしているようなリズム感が素敵!ヴァイオリンの、民族楽器を思わせる掠れた音や、ピアノに合わせてリズミカルにピッチカートを繰り出すのがとても魅力的でした。高速演奏や左手ピッチカート等の超絶技巧がすごい!そしてダイナミックなピアノに乗って、情熱的に舞曲を歌うヴァイオリンの妖艶さがたまらなく良かったです!ラストはピアノもヴァイオリンもどんどん加速して、目にも留まらぬ早業に圧倒されました。めちゃくちゃカッコ良かったです!演奏が終わると、水口さんから「15分間の休憩に入ります」とアナウンスがありました。
後半。会田さんが最初に「よく休めましたか?」と会場に問いかけ、会場が和みました。今回のメインとなるソナタについては、お2人で色々と候補を出して話し合い(LINEで!)、「水口さんがまだ名曲スプリング・ソナタを演奏した事が無い」ことから、ぜひやってみましょうと決めたそうです。その時は2月の寒い時期で、爽やかな春の季節にぴったり!と思っていたものの、「今は暑くなってしまって(!)」。しかし、「演奏を聴いて、爽やかな気持ちになって頂ければ」と仰っていました。
ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番『春』ヘ長調 op.24」。第1楽章 春の小川のせせらぎを思われるピアノに乗って、幸せに歌うヴァイオリンが美しい!しかしただ美しいだけではなく、1音1音から湧き上がってくる生命力が感じられたのが素晴らしく、私は静かに感激していました。最初からベートーヴェンらしい音楽にぐっと引き込まれ、同時に会田さんが持つ音の「力」を強く認識。付点のリズムがウキウキした感じで楽しい!ピアノのメロディの下でヴァイオリンがうねうねした音を連ねる等、思いが途切れない流れに身を任せるのは心地よかったです。それでも要所要所で生命力の強さが表れた音と表現にハッとさせられました。例えば、クレッシェンドしながら明るくタンタンタンタン♪と音階を上っていくピアノに乗って、ヴァイオリンが上昇していく波の力強さ、頂点に達した時の覇気に満ちた音!また、ヴァイオリンがタッタッタッタッタン♪と輝かしく上昇するパターンが、少し日が陰ったのかやや暗く変化し、テンポ良い流れの中でさらっとニュアンスの違いが表現されていたのが印象深かったです。ピアノもかわいらしい高音の「せせらぎ」だけでなく、低音で同じメロディを奏でたところがあり、これもベートーヴェンらしさだなと感じました。そんな濁流(?)まで一気に飲み込んで、インパクトある強奏で締めくくったヴァイオリンの明快さ!なんて生命力!第2楽章 優しい響きのピアノと温かな音色のヴァイオリンによる、ゆったり穏やかな音楽が心地よかったです。一辺倒ではなく、時折トリルや跳ねるような音の並びが登場したり、強弱の変化だったりを、細やかに表現。そんな変化は、まるで気持ちの高まりが抑えきれないよう。個人的にはそれもベートーヴェンらしさと思いました。メインとサブを滑らかに交代したり、会話するようだったりの、やりとりの親密さも素敵でした。第3楽章 短い楽章でしたが、遊び心が感じられるダンスが楽しく、とても印象に残っています。ステップのリズムにウキウキ、華やかな音階駆け上りに気分が上がる!ヴァイオリンとピアノの掛け合いが小粋な感じで、テンポ良く進む音楽に、聴いている方は楽しく乗れました。第4楽章 次々と表情が変化する演奏が楽しい!ピアノの流麗なメロディを引き継いだヴァイオリンが明るく華やかに歌い、トリルや付点のリズムで彩ったり、また別のシーンでは3連符が軽やかに繰り出されたり。そんなヴァイオリンの後に続くピアノが、ヴァイオリンの真似っこをするようにトリルや付点のリズムや3連符を繰り出すのが面白かったです。遊び心が楽しい!細かな掛け合いのリズム感が良く、また主役とサブの交代もスムーズで、初共演のお2人が既にデュオとして気持ちを共有しているのがわかりました。最初のメロディを、ヴァイオリンが跳ねるように楽しく演奏したところはまるで舞曲のよう!明るく力強いラストが気分爽快!演奏後、会田さんは「ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタはまだ全曲は弾いたことないけど、今後札幌でも弾いていきたい」と仰って、会場に大きな拍手が起きました。本当に、今回のスプリング・ソナタが素敵すぎたので、ベートーヴェンの他のヴァイオリン・ソナタもぜひ聴かせて頂きたいと、私は強く思います。この際、ブラームスは後回しでもいいので(!)。続けて、会田さんは「ピアニストにとってはたくさんのソナタ作品があり、ヴァイオリニストにとってはコンチェルトもあり弦楽四重奏曲もあり……」と、音楽家にとって目標となる作品がたくさんある事を述べられた上で、「ベートーヴェン先生(『先生』という言い方が『指揮者の広上さんみたい』とセルフツッコミをされていました)は、一生かけてやっていきたい」と決意表明。会場は拍手喝采!札幌市民としても、1曲でも多くの演奏を拝聴したいです!
プログラム最後の演目は、前半ラヴェルと同じくロマの音楽を題材とした、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」。前半ラヴェルと同様、左手ピッチカート等の超絶技巧も多いそうで、「速く弾けるだけでもダメ、歌えるだけでもダメ」。「本日はありがとうございました」と一旦シメのごあいさつをされてから、難曲の演奏へ。ピアノの悲劇的な序奏に続いて登場したヴァイオリンは、最初の深い低音からインパクト大!瞬時に世界を変えるこの音の凄み!音階駆け上りが鮮烈!テンポが少しゆっくりになってからは、ヴァイオリンの歌をたっぷり堪能できました。また演奏の手元をよくよく観察すると、弦を押さえる4本の指が大忙しで動いていたり、弦を押さえながら滑らせて滑らかに音階を移動していたり。様々な技巧を難なく行っていらしたのにホレボレしました(ちなみに私は、全席自由席の会場で前半は後方に座っていたのですが、休憩時間の間に前の方の空いた席へ移動。厚かましくてごめんなさい!でも移動してよかったです)。哀愁あるメロディをじっくり歌うところも、超絶技巧を駆使するところも、聴き所見所しかない演奏にどっぷり浸れました。ピアノのリズミカルな強奏から入った、テンポが速くなってからがまたすごい!細かな音を次々と繰り出しながら高速で歌い、歌いながらキュン♪と超高音をアクセントで入れたり、低音にてぐいぐい歌い進めながらタンタン♪と左手ピッチカートを素早く入れてきたり、目の前で繰り広げられる凄技がすごいことすごいこと。しかしそんな技巧的な面のみならず、ピアノと呼吸を合わせての勢いがとリズムの良さ、歌心もある演奏で、親しみやすいメロディを生き生きとした形で私達に聴かせてくださいました。ラストは思いっきり情熱的に駆け抜け、スパッと切れ味よく締めくくり。最初から最後まですごいものを聴かせて&見せて頂きました!会場は拍手の嵐!
カーテンコールに続き、水口さんからごあいさつ。今回、会田さんへのオファーを「まさか受けて頂けるなんて」と率直に仰っていました。日本各地に飛び回って超ご多忙な会田さんの事を「一体何人いるのかと」(!)。そうですよね。札響と京響のお仕事に加え、各地での室内楽や今回のようなリサイタルまであって、身体がいくつあっても足りなさそう!水口さんは「今回のオファーを受けたために体調崩さないでください」と、会田さんを気遣っていらっしゃいました。しかし「あと1ヶ月くらい」と付け加え、会場はちょっとウケていました。そんなそんな、ずっと元気でいてください!続けて、次回の Sound Space クラシックコンサート(9/29、チェロは札響チェロ奏者の小野木遼さん、ピアノは初出演の成毛涼香さん)と、ヴァイオリンとピアノのデュオコンサート(9/22、ヴァイオリンは城達哉さん、ピアノは水口真由さん)、2つの演奏会の宣伝。なお、ピアノの成毛さんとヴァイオリンの城さんは会場にいらしており、その場で起立を促されお客さん達へ紹介されました。お2人は今回受付にてチケットのもぎりを担当下さっていたかた達でした!また会田さんによると「城さんは私(会田さん)の1つ上の先輩」だそう。学生時代からよく知る間柄のようで、「城さんの美音を楽しんで頂けると思います」と仰っていました。そして会田さんご自身のお話しになり、「今後、札幌でもリサイタルをやっていきたい」「札響もよろしくお願いします」。会場に大きな拍手が起きました。
アンコールはエルガー「夕べの歌」。ドビュッシー「美しき夕暮れ」で始まり、エルガー「夕べの歌」で終わる、粋な計らい!2024年2月の札響定期(※指揮の尾高忠明さんが急病のため、指揮者を藤岡幸夫さんに交代しての開催)にて、管弦楽版が演奏されました。そのリハーサルの時に会田さんは「尾高先生」から「ヴァイオリンとピアノ版は演奏したことある?」と訊ねられ、まだ弾いたことがないのを「ダメだよー」と言われて、今回取り組むことにしたそうです。「ほっこりした気持ちでお帰り頂きたくて」とも仰っていました。ピアノの優しい響きに乗って、ぐっと深い低音で入ったヴァイオリンの味わい深さ!落ち着いた音色でゆったり歌うヴァイオリンの美を堪能できました。中間部はピアノの鼓動が速くなり、ヴァイオリンも切ない表情に。感極まったところでの力強いヴァイオリンに、私は意志の強さを感じました。再びゆったりになってからは、特に沈みゆく低音の深みが印象深かったです。高音で滑らかに歌いながらフェードアウトするラストが素敵!私は高ぶった気持ちが穏やかになり、心癒やされました。
終演後、会田さんと水口さんが舞台衣装のままロビーに出ていらして、お客さん達との歓談に応じていらっしゃいました。前日には協奏曲のソリストとして、この日はピアノとのデュオにて、会田さんの素晴らしい演奏に浸れ、その生命力に驚かされた私は感無量でした。本当にありがとうございます。超ご多忙とは存じますが、体調しっかり整えて、これからも素晴らしい演奏を聴かせてくださいませ。札響のことも引き続きよろしくお願いいたします!
この日の前日に聴いた演奏会です。会田莉凡さんがソリストとしてご出演!また、交響曲はこちらもベートーヴェンの第5番(!)、「運命」でした。「伊達メセナ協会創立30周年記念事業 札幌交響楽団コンサート」(2024/07/13)。札幌からプチ遠征。私達のコンミス・会田莉凡さんのカッコ良すぎるソロとオケの包容力。カワケンさん流「苦悩から歓喜へ」の、突き抜けてパワフルかつ明快な演奏は気分爽快!会う度に素敵なサプライズが待っていて、今までよりもっと好きになる札響サウンドは、この日も私を夢中にさせてくれました!
会田莉凡さんが1stヴァイオリン奏者としてご出演された、弦楽四重奏の演奏会。「リッカ弦楽四重奏団 結成記念コンサート」(2023/12/13)。札幌にスケール桁違いのカルテットが爆誕!熱量高く核心を突く演奏による、ハイドン、ショスタコーヴィチ、ブラームス。ハートに火がついた音楽家たちの本気を目の当たりにした、最高にアツイ夜でした!
最後までおつきあい頂きありがとうございました。