自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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札幌交響楽団 第633回定期演奏会(土曜昼公演)(2020/12)レポート

札幌交響楽団の第633回定期演奏会(2020/12)は、私にとっては今年2度目の定期演奏会、そして今年最初で最後のブラームス(ピアノ協奏曲第1番)でした。ちなみに、Hitaruでのコンサートは実はまだ2回目!記念すべき1回目は約2年前になる2019年1月のプラハ交響楽団のコンサートで、その時もブラームス(ヴァイオリン協奏曲)を聴いたのでした。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番のソリストゲルハルト・オピッツさん。私はオピッツさんが演奏するブラームス・ピアノ独奏曲全集CDを聴いて以来、大ファンです。クラシック音楽を聴き始めて間もない頃に出会ったため、ブラームスのピアノといえばオピッツさんが基準となっています。海外からの渡航制限がある今、ソリスト変更もありうるかもと思っていたのですが、なんとソリストは変更なし!14日間の隔離期間を受け入れて来日くださったオピッツさんには大感謝です。

なお、札響のサイトにゲルハルト・オピッツさんからのメッセージが掲載されています。

www.sso.or.jp


札幌交響楽団 第633回定期演奏会(土曜昼公演)
2020年12月5日(土)14:00~ 札幌文化芸術劇場 hitaru

【指揮】
広上淳一

【ピアノ】
ゲルハルト・オピッツ
野田清隆(ストラヴィンスキー

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】

※ロビーコンサートとアンコールはありませんでした。
※「ペトルーシュカ」が当初予定されていた1911年版から1947年版に変更された以外は、指揮者もソリストも当初の予定通りでした。


正直に言うと、今回私はまともに聴けていません。あのオピッツが目の前にいてブラームスを弾いている!一生に一度かも!と思っただけで過度に緊張してしまい、演奏を楽しむ余裕は皆無でした。一音たりとも聞き逃すまいとのめり込んだ割に、音は左の耳から右の耳に抜けていったようで、詳細は今まともに思い出せずにいます。私こんなことになるくらいなら、ノーマークの曲や奏者に不意打ちされたほうがまだよかった、なんて色々と棚に上げて思いはじめる始末。音楽は頭でっかちで聴いてはいけませんね。しかも前半で燃え尽きてしまい、後半はぼんやり聴いてしまったのも悔やまれます。このご時世にはるばる来札してくださったオピッツさんにも、後半のソリスト野田さんにも、入念に準備をして本番に臨んだ我が町のオケと指揮・広上さんにも大変失礼なことをしてしまいました。申し訳ありません。今回はレビュー書くのはやめようかとまで思いましたが、内容がないのは今に始まったことではないですし、今の私の思いを記録しておくのもアリだと思い直しました。図太さが私の取り柄。

今回座席は1階席。前も横も適度な余裕があって快適でしたし、奏者の皆様を比較的近くで拝見できてよかったです。2階席の後ろの方だった前回の場合、前後左右ギチギチで押し込まれている感じがした上に、急勾配がコワくて落ち着かず、ソリストだって豆粒大でしか見られませんでした。今後も座席が選べるときは1階席にしようと思います。ホールの音の良し悪しについては今の私にはよくわかりません。


前半はブラームス「ピアノ協奏曲第1番」。超絶技巧のパガニーニやリストがもてはやされた時代にあって、「曲は演奏家の技術を見せびらかす手段ではない」との考えを持つブラームスが、流行のスタイルとは一線を画した協奏曲を20代で発表。発表当初の評判は散々だったそうです。私を含め一般の聴き手は、いかに前評判や周りの評価に弱いかの証拠。自戒を込めて。オピッツさんはマスク着用で登場し、演奏時にはマスクを外されました。第1楽章、頼りにしてますティンパニ!始まってしばらくはオケのターンで、私は特にコントラバスの低音の振動にしびれていました。振動を直に感じるのは生演奏ならでは。ピアノキター!ド派手には聞こえないピアノでも、おそらく弾くのは難しいんですよね。メロディ部分も素敵ですが、やはり低音が良いです。そしてもはや交響曲なんじゃないかと思えるほどのオケは、中でもホルンが印象的で、最終楽章での雄誥びの伏線を張っているのかもと思ったり。まだ渋くなる前のブラームスが聴ける第2楽章、どこか淋しげなピアノは最晩年の小品とは違う良さがあります。そしてオケも美しくて、リアルに鳥肌が。これを我が町のオケの生演奏で聴けたのはうれしかったです。聴き所しかない第3楽章、私は自宅でオピッツさんのCD(C.デイヴィス&バイエルン放送交響楽団)を覚えるほど聴いてきて、それが今目の前で展開されている!と前のめりに。私が聴く限りピアノはCDと完全に一致していました。この曲をオピッツさんは約200回も演奏されてきたそうですが、当たり前とはいえ適当に弾くことはなく完璧な仕事をなさったのですね。ピアノに負けないオケも素晴らしい!ありがとうございます!ただ、非の打ち所が無い演奏を聴かせて頂いたにもかかわらず、私はきちんと受け止められた気がしないのを申し訳なく思います。期待外れでがっかりとは絶対に違うのですが、いわば「期待通り」で驚きがなかったのかも。しかしこれは独奏ピアノの派手さを追求しない曲自体の性格によるものでしょうし、有名なソリストの演奏につい華やかさを求めてしまった私が悪いのだと思います。おそらく私は、ライプツィヒ初演の際にヤジった160年前の聴衆とほぼ同じ。つらいですが。札響が次にブラームスのピアノ協奏曲を取り上げてくださる時は、どなたがソリストであっても私はフラットに聴けるようにしたいです。そうでなきゃもったいない。できれば次は第2番をぜひ。またオピッツさんの演奏は、次はピアノ独奏曲、中でもピアノ・ソナタ3曲をライブで拝聴したいです。親日家でいらして、日本ツアーはよく企画されているようなので、きっと再会できる日が来ると信じています。


後半はストラヴィンスキーペトルーシュカ。2020-2021シーズンのテーマは Fairy Tale(おとぎ話)で、「ロシア版ピノキオ」という「ペトルーシュカ」のほうがメインプログラム。ピアノはオケの真ん中に移動し、多彩な打楽器や木管金管オールスターズに、ハープとチェレスタまで加わった大所帯です。これでも当初予定されていた1911年版よりは編成小さいのですよね?しかし私は前半で燃え尽きてしまい、後半はぼんやり聴いてしまったのが申し訳ないです。もっと編成が小さく打楽器や金管の出番が少ないブラームスとの違いを楽しめればよかったのに……。小柄なマエストロが指揮台の上を所狭しと大きく動いていらしたのに目を奪われ、タンバリンにスネアドラムそしてトランペットがカッコイイ、フルートやヴァイオリンのソロが素敵、弦のザワザワは心地よい感じではないのね、といった浅い感じ方。せっかくのオールスターキャストによる生演奏なのに、演奏を楽しめたとは到底言えません。申し訳ありません。次に演奏を聴く機会があれば、バレエのストーリーも予習した上でしっかり聴きたいと思います。次は1911年版でぜひ。


分散退場の後、2階の図書館にいた息子と一緒に帰宅。個人的には新鮮だったのは、楽器ケースを持って地下鉄駅に向かう奏者のかたを何名かお見かけしたこと。kitaraと違ってhitaruは駐車場が不便ですものね……。団員の皆様も私達も、kitara改修工事中はhitaru通いになりますが、hitaruはhitaruで楽しめたらいいなと思います。話は変わりますが、kitaraは改修ついでにできれば座席数分の無料ロッカーを設置してほしいです。冬は!コートが邪魔!こんな音を吸収するものを全員が座席に持ち込めば音響にとってもマイナスになりますし。殺風景なのは既に設置されている自販機だって同じです。それにクロークに並ばなくて済む分、ロッカーのほうが便利だと個人的には思います。ぜひ前向きにご検討頂きたくお願いします、と直接Webからも要望出しますね。


2020年11月25日発売されたCD2つの紹介記事は以下のリンクからどうぞ。クラリネットの吉田誠さん、ピアノの小菅優さん、そしてチェロの佐藤晴真さん。いずれも日本人の若い演奏家です。私は今年2020年はブラームス室内楽の生演奏は聴けませんでしたが、こんなに素晴らしい録音に出会えてうれしかったです。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。