このコンサートの2日前に江別市でブラ1を聴いたばかりなのに、今度はブラ4です。たとえ日程が近すぎても、ブラームス命の私に行かない選択肢はありません!結果として5月末は定期演奏会に始まり3回も札響のコンサートを聴きました。ありがたいことです。
なお、江別のコンサートレビューは以下のリンクからどうぞ。コンマスは今回と同じく田島さんでした。私としてはブラ1からブラ4の流れは気持ちの中で繋がっているので、できましたら江別の方のレビューを先にお読み頂いてからこちらの記事に進んで頂ければと思います。なお、リンク先記事の末尾に、昨年のほくでんファミリーコンサート(メインはブラ1でした)および2019年5月の定期演奏会レポート記事のリンクがあります。それらの記事に興味があるかたは、お手数ですがリンク先の記事から進んで頂くようお願いします。
はじめに告白と謝罪から。実は今回のコンサート、私は抽選に外れました。しかし札響のブラ4ですから、私はどうしてもあきらめきれず、最終的にはネットオークションで整理券を購入しました。本当は転売のチケットを購入してはいけないことは知っています。申し訳ありません。いらない情報かもしれませんが、価格は送料込み1000円でおつりが来ました。
「第521回」という数字が物語るように、北海道電力主催のこの企画は歴史があるようです。今は札幌とその他の地域あわせて年に3回程度行われているようですが、以前は札幌では毎月開催されていて、整理券は街中で誰でも手にすることができたという話を聞いたことがあります。北海道電力さん太っ腹!北海道の地で札響と聴衆を育ててくださり感謝しています。
座席は列に並んだ順に「良い音」の席に案内されます。私は昨年同様、16時から始まる引換にあわせて一度早めに来て並び、座席券をゲットしてからいったん自宅へ戻って家族の夕食を準備し、開演に間に合うよう再びキタラに戻りました。今回の座席はCBブロック後方の中央寄り。音は良かったですがステージは少し遠く、オペラグラスがあればよかったかなと少しだけ思いました。そして会場を見渡すと、わずかですが空席がありました。無料招待とはいえ、せっかく当選したにもかかわらず権利放棄した人が少なからずいたということです。抽選に外れて涙をのんだ人もいるのに…と私は内心複雑でした。企業主催の一般公開されるコンサートには、低価格で販売するものと無料招待のものがあります。個人的にはほぼ確実に行けることからチケット購入する方がありがたいですが、それぞれの企業のお考えやシステム上の都合があるのはわかります。しかし、座席券の引き換えのために並ばせるのでしたら、いっそのこと事前の整理券配布(抽選と郵送にはコストもかかると拝察します)はせずに当日の先着順というスタイルでもよいのでは?とふと思いました。もちろん勝手な思いつきですので軽く流してくださいませ。
では感想に進みます。いつものように素人コメントであることをご了承下さい。またひどい間違いは指摘頂けますと助かります。
第521回ほくでんファミリーコンサート
2019年5月28日(火) 18:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール
【指揮】
熊倉優
【曲目】
まずはツイッターでの速報ツイートを貼り付けておきます。
昨夜はほくでんファミリーコンサートでした。スラブ舞曲にアンコールは弦楽セレナーデと最初と最後はドヴォルザーク。私の愛するブラームスは日曜に1番を聴いたばかりなのに今回は4番!なにこの私得プログラム。指揮の熊倉さん、札響の皆様ありがとうございます。そしてやはりキタラの音は最高です! pic.twitter.com/ZzZy9baI3f
— にゃおん (@nyaon_c) 2019年5月29日
そうなんです。私得プログラム、絶対に聴きたかったんですから!転売のチケットを買った件につきましては平謝りしますし、最終的にちっちゃいバチもあたったので(後述します)、チャラとは言わないまでも片目をつぶって頂ければありがたいです。悩みましたが、ブログ記事にも残すことにしました。
指揮の熊倉優さん。1992年生まれのお若いかたです。プログラムによると、師事した指揮者のお一人には先日江別で指揮をされた梅田俊明さんのお名前が。尾高忠明さんからつながっています!熊倉さん、現在はN響のパーヴォ・ヤルヴィさんのアシスタントをされているそうです。今回の演奏については、私は初めて生演奏で聴いた演目だったこともあり、大いに楽しませて頂きました。しかしネット上の感想には、今回の演目を得意とした偉大なマエストロと比べて物足りなさを感じたとの趣旨の声が。念のためお断りしておきますと、こんな声があがるのは良いことだと私は考えています。いじめたいわけではなく「愛」だとはっきりわかるからです。話を戻すと、私はそのマエストロを直接存じ上げないので正しくはわからないのですが、言ってみれば至極当然だろうなとは思いました。私が好きな落語の世界に「長生きも芸のうち」という言葉があります。年齢と経験を重ねてやっと見えてくることやできることがあるはずです。熊倉さんはお若いんですから、まだまだこれからですよ!最高の音響のキタラで、最高のオケである札響のタクトを振った経験は、大きな糧になったはず。今後のご活躍に期待しています!そして私はまた改めて札響が好きになりました。指揮者によって奏でる音が違うのは、どんな場合でも指揮者に従って演奏している証ですよねきっと。札響の演奏家の皆様は、何度も演奏している曲でよりベターな解釈を知っていても、指揮者の指示を尊重し自分勝手なふるまいはしない人達です。信頼できるオーケストラだと、生意気ですが私はそう思います。
今回のオーケストラメンバーは、先日の江別よりは首席奏者のかたが入っていましたが、首席不在のパートもありました。しかし当然ながら演奏に不安要素はなく、お若い指揮者に寄り添って素晴らしい演奏をしてくださいました。ありがとうございます。カーテンコールのときに、コンマス田島さんが指揮の熊倉さんの襟を直してあげたんですよ。肩に手を回したので、え?ハグなの?チューなの?と私は一瞬混乱したのですが(笑)、その優しさに会場はほっこりしました。
開演前にHBCアナウンサーの司会者が出てきて会の開始を告げました。また昨年のコンサートでは節目節目で指揮者のトークがあったのですが、今回はありませんでした。そのためか多くの人が司会者がいたことを忘れてしまい、アンコール後は席を立って帰りはじめそこに慌てて司会者が出てきてしめくくるという変な進行になりました。昨年は半分がポップスでメインのブラ1も指揮者のトークが先にあったので、ビギナーにもやさしい仕様だったと思います。今年は昨年と違って純粋なクラシック音楽のコンサートだったため、昨年の期待感で来た人はもしかすると戸惑ったかもしれません。
演目に入ります。前半はドヴォルザーク「スラブ舞曲集」から7曲セレクト。ブラームス「ハンガリー舞曲」のヒットで味を占めた出版社が、ドヴォルザークに作曲依頼したのが「スラブ舞曲」。メインのブラームスを意識してのプログラムだったのかもしれません。今回の選曲は有名どころばかりで、私も大体は知っていました。1曲目が勇ましく始まったところで「やっぱりキタラって音がすごくきれい!」と感激。金管楽器も遠慮せず大きな音を出していてうれしい。曲の盛り上がりと同時にテンションも上がります。1曲目の終わりでまばらに拍手が起きるハプニングがありましたが、その後は曲の切れ目や楽章の区切りで拍手が起きることはありませんでした。民族音楽を題材にしているためか、エキゾチックなところや牧歌的な雰囲気のところ等、様々な表情のメロディが次々と出てきて楽しかったです。超有名な46-8や72-2では客席の熱もちょっと上昇したようにも感じました。曲ごとに編成が少しずつ違うのでしょうか?一人のピッコロ奏者のかたがあるタイミングで舞台に入ってきて、出番が終わると退場したのを目撃しました。弦楽器も管楽器も打楽器もそれぞれに活躍の場があるので、私を含め初めてスラブ舞曲の生演奏に触れた人にとっては、目で見て耳で聴いて楽しめた演奏だったと思います。
後半はお待ちかねブラームス「交響曲第4番」です。第1楽章。重々しく始まるブラ1とは違い、ブラ4の冒頭は弱い音から入ります。悲しげな雰囲気のこの冒頭部分が後から何度か形を変えて出てくるのを、私はなんとなく把握しました。弦と木管を中心とした美メロが次々と小出しに出てきますが、個人的には一瞬チェロが主役になるところが一番のツボです。時折心臓の鼓動と呼応するかのように入ってくるティンパニが頼もしく、今回も流れに身を任せようと思えました。続いて教会音楽のようなホルンソロで始まる第2楽章。しばらくはホルンと木管楽器が主役で、私は何とかオーボエ・クラリネット・ファゴットを聞き分けようとしました。フルートはわかるんですが、今まであまり管楽器を意識してこなかったのでまだこのレベルで申し訳ないです。最初ピチカートで寄り添っていた弦が主役になってからのメロディはとても美しくて、ここでもやはりチェロが良いなと感じました。初めのホルンソロのメロディを他の楽器も一緒に奏でて優雅な第2楽章が終わると、この交響曲の中では唯一明るく元気な第3楽章へ。個人的にこの第3楽章は大好きです。「らららクラシック」でも「恋するクラシック」でも飛ばされてしまった第3楽章ですが、これがなくっちゃ続く第4楽章が映えないですって。それに人生は悲劇だとしても、楽しいことが一切無いなんてそれは嘘。トライアングルやトランペットも派手に加わって盛り上がります。私はその楽しさに素直にノリながらも、おそらく休符しか書かれていないであろう楽譜を見てじっと座っておられるトロンボーンのお三方が気になっていました。ブラ1もそうなのですが、今回のブラ4も終楽章までトロンボーンは放置プレイなんですよね…。そして楽章の終わり頃で、今までヴァイオリンがメインで奏でていたメロディを低音の弦が一度だけ演奏するところが個人的に好きです。どこまでも低音の弦楽器が好き。ブラームスは特にコントラバスの下支えがうまいと私は思っています。いよいよ第4楽章。トロンボーンの皆様出番ですよ!他の管楽器とティンパニも一緒だけど、トロンボーンがあってこその荘厳な出だし。そしてほどなく弦楽器の流れるような美メロが!ハンガリー舞曲に少し似ているけどより悲劇的な印象のここが私はとても好きです。何度でも言いますが、ブラームスがメロディメーカーじゃないって言ったのは一体誰なんです?そして来ましたフルートソロ。首席奏者の演奏はさすがの安定感!でもお隣にいらした副首席奏者のかただってすごい演奏家なんですよ。先日の江別のコンサートで、私はこの耳で確かに聴いたんですから。主役を木管楽器とホルンが引き継いでしばらく穏やかなところを経て、トロンボーン再び。その後は悲劇的ではあるんですが、私はただ音色の美しさに聞き入っていました。最後は第4楽章冒頭の荘厳なメロディがパワフルになって締めくくり。明るく終わるブラ1とは違い、ブラ4はハッピーエンドではないです。1番の約10年後に書き上げた4番で、ブラームスがなぜこんな結論を出したのか、私はまだきちんとわかっていないと思います。今は「悲劇的だけど美しい音色ね」程度の聴き方しかできていませんが、今後人生経験を重ね、録音や生演奏に繰り返し触れて、いつか少しでもわかるようになりたいです。
アンコールはドヴォルザーク「弦楽セレナーデ」より第1楽章。弦だけで演奏される曲で、弦楽器スキーの私としてはうれしかったです。主旋律はヴァイオリンだけでなく順番にヴィオラやチェロも担当してくれました。もうチェロがとってもカッコイイです!ドヴォルザークは有名なチェロ協奏曲を生み出した人物ですから、チェロの魅力の引き出し方がうまいのかも。そしてもちろんずっと下支えしてくれるコントラバスも渋くて大好きです。続きも聴きたくてたまらないのに、アンコールは第1楽章のみ。素敵な演奏をありがとうございます!それにしても、札響の弦の音色は本当に美しいですよね、もう。いつもクール&スマートな弦の皆様。実は美しいだけじゃないすごい演奏も披露してくださるってこと、私は知ってい(以下略)。
終演後は、ロビーにいた誰からも構ってもらえていない気の毒なゆるキャラの着ぐるみを横目に、「ドレミの箱」に募金をして会場を後にしました。北電の皆様、素晴らしい企画を続けてくださり、また今年も開催してくださったことに感謝します。そして札響の皆様、つい2日前の地方公演だけでなく、その前の北海道銀行主催のコンサート、さらにその前は定期演奏会と、演奏会が続くハードスケジュールだったにもかかわらず毎回最高の演奏を聴かせてくださりありがとうございます!
そして私は、先輩方が大絶賛されているエリシュカさん指揮・札幌交響楽団演奏のブラームス交響曲全集をネット注文しました!早く聴いてみたいです。届くのが楽しみ♪
以下は蛇足としてあまり愉快じゃないことを書きます。コンサートレビューは感激を覚えておきたいがために書きますが、以下は忘れるために書きました。ご了承頂けるかたのみ以下お進みください。
私はこの日、席が近かったマナーの悪いお客さんに初めて注意しました。後悔はしていません。その人は年の頃は60代位と思われる年配女性で、どうやらお友達に誘われてついて来た様子でした。演奏が始まってもお友達にずっと小声で話しかけていて、相手にされないとわかると手元のプログラムと広告を丸めてずーっとバシバシくしゃくしゃ手混ぜをしてとにかくうるさい。それでも私は前半は我慢していました。休憩時間にこの人が帰ってくれるか、お友達が注意してくれるか、もしくは眠ってくれるかを期待して。しかし後半も同様でした。今その話は不要だろうと思う他愛もないことをお友達に小声で話し続け、やはり休み無くがさごそ手混ぜ。私はついにやめてくれるよう注意したら以降は黙りました。私はクラシック音楽を高尚なものとは思いませんが、微妙な機微を味わう繊細なものだとは思っています。特にブラームスの場合、良い部分はチラ見せなのでちゃんと聴かないと聞き逃してしまうのに、つまらない雑音に邪魔されるなんてイヤです。周りの人達だってきっとそうだと思います。かくいう私も初心者なので、初心者には優しくしたいです。とはいっても聞く意思がないだけでなく非常識な迷惑行為を繰り返す人には寛容になれません。先日の江別では低学年の子供達だってかしこまって聴いていましたよ。その人は結構な年を重ねているにもかかわらず、最高のホールで最高の演奏をしかも無料で聴けるこの恵まれた環境をなんとも思わないのがまず信じられません。演奏をありがたがれとまでは言いませんが、最低限の敬意を払うのは当たり前のことでは?そしてたとえ自分が退屈と感じたしても、人に迷惑をかける行為をしてはいけないことすらわからないならいっそ来ないでほしいと、憤りすら覚えてしまいました。帰宅後も私はこのことを何日も引きずってしまいつらかったです。こんなことになったのは、そのときの私にまったく気持ちに余裕がなかったせいもあるかもしれません。言い訳ですが、連日家族の予定やコンサートが続いて疲れがたまっていたのに加え、その日ショッキングな報道があって精神的に参っていたんですよね。心頭滅却できなかった私は人間ができていないなと反省はしています。色々書きましたが、今更どうこう言っても詮無きこと。転売のチケットを購入したバチがあたったのだと思うことにして、この件は忘れます。
最後までおつきあい頂きありがとうございました。
※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽(https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c