自由にしかし楽しく!クラシック音楽

クラシック音楽の演奏会や関連本などの感想を書くブログです。「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」の姉妹ブログです。

コメント・ご連絡はすべてツイッターにお願いします。ツイッターID:@faf40085924 ※アカウント変更しました。
※無断転載を禁じます。

森の響フレンド名曲コンサート「ベートーヴェン、皇帝に捧ぐ」(2020/10)レポート

私にとっては本年度(2020年度)初めてにして最後の名曲シリーズになります。10/10名曲シリーズのメインは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。つい先月までほとんど演奏会を聴けなかった私ですが、10月上旬の1週間でなんと3つも札響のベートーヴェンを聴く機会に恵まれました。大変ありがたいことです。

森の響フレンド名曲コンサート「ベートーヴェン、皇帝に捧ぐ」
2020年10月10日(土)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
秋山和慶

【ピアノ】
小山実稚恵

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】

(アンコール)


幼い頃から父のレコードで何度も聴いた「皇帝」。それを地元オケの最高の演奏で聴けるなんて、こんなにうれしいことはありません。マイベスト皇帝はこの日の演奏に決まりです!この4日前に聴いたベト8の爆発的な生命力も素晴らしかったですが、この日の演奏には華やかさや風格が加わって、ベト8とはまた違った良さがありました。4日前の演奏会から続けて登板の指揮・秋山和慶さん、今回も札響の底力を引き出してくださりありがとうございます!当初指揮する予定だったマックス・ポンマーさんに代わってのご出演。海外からの渡航制限がある今、日本国内在住の指揮者の皆様は大忙しですよね。そんな状況でも毎回パワフルでハイクオリティな演奏をしてくださり感謝です。また、ソリスト小山実稚恵さんの堂々とした風格あるピアノが素敵すぎました。モダンピアノの端から端まで自在に動く手と、細い肩と腕から驚くほど力強い音が生み出されるのに、私は目が釘付けに。まったくピアノは弾けない素人のふわっとしたコメントで申し訳ありませんが、パワフルなのに華やかで美しいピアノに聞き惚れましたよ私。小山実稚恵さん、今度はぜひベートーヴェンのピアノ・ソナタでその演奏を拝聴したいです。

こんなに人が多いkitaraは久しぶりです。制限解除後に急遽座席の追加販売があり、その期間が短かったにもかかわらず9割近くの席が埋まっていました。やっぱりみんな大好きベートーヴェン!1階席にいた私の周りも人でぎっしり。こんな密な客席にまだ身体がついていけず、私は人に酔ってしまいましたが(苦笑)。しかしこれは私自身で少しずつ克服していけばよいだけのこと。やはり興行収入を考えればお客さんが多ければ多いほど良いに決まっていますし、奏者の皆様だって張り合いがあると思います。ですので、どうかこのまま座席制限解除の方向で進み、近い日に会場が満員御礼となりますように。


はじめはヘンデル(ハーティー編)「水上の音楽」組曲より3曲。プログラムノートによると、小編成にて船上で演奏された原曲より、大きなオケならではの聴き応えのある編曲になっているとのこと。第1曲の最初からホルン大活躍で、メリハリきいた弦や他の木管も素敵。第2曲は弦の透き通った音と下支えする低音、木管のまるい音を堪能。第6曲アラ・ホーンパイプでは、華やかなトランペットとティンパニもガツンと盛り上げてくれて、変化を楽しめました。メロディそのものも素敵ですが、各楽器の使い方がオリジナルのものかアレンジでそうなったか気になるので、音源を探して原曲と聞き比べてみたいと思います。

トロンボーンやチューバ、打楽器も入り、続いてはメンデルスゾーン真夏の夜の夢より5曲。私は結婚行進曲以外は初めて聴いたのですが、今回演奏された中では変化に富んだ「序曲」が最も好きになりました。「序曲」は全部聴きどころでも、特に弦が小さな音でザワザワするところが個人的にはツボで、全員参加の華やかなところではチューバの低音が効いていました。弦のザワザワは「スケルツォ」でも楽しめて、さらに木管が大活躍。途中で雰囲気ががらっと変化する「間奏曲」と「夜想曲」も素敵と私はその時はぼんやり聴いていて、後からプログラムノートを読んでどんな場面の曲かを把握。やはりこれは先に知ってから聴いたほうがよかったなと少し後悔しました。パパパパーン♪と超おなじみの出だしで「結婚行進曲」が始まると、一気に華やかな雰囲気に。金管とシンバルも加わり、美しくスケール大きい演奏は思いっきり楽しかったです。具体的な結婚式ではないけれど、生演奏を聴いているだけで誰かを祝福したい気持ちに。本来10月は結婚式のハイシーズンですから、それに合わせた選曲だったのかもと私はちらっと思いました。


休憩後は、いよいよベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」ソリスト小山実稚恵さんは、色はボルドーでビロード地のキャミソールロングドレスで登場。暗譜での演奏でした。第1楽章、インパクト大の出だしからピアノが一気に駆け上るのとシンクロしてこちらのテンションもMAXに。弦の美しい音に導かれて壮大な世界が広がるのにワクワクし、少しゆったりするところの木管、とりわけホルンの音が胸に響きました。ベートーヴェンもホルンの使い方が上手いんですね(生意気言ってごめんなさい!)。もちろん素晴らしい演奏があればこそです。ピアノは高音の主旋律が素敵なのに加えて、対する低音の演奏にも私は引き込まれました。改めて、ピアノの低音部分、とても良いですね!私は今後録音を聴く際にもピアノの低音が気になりそうです。またピアノ独奏中にも、秋山さんが小さくタクトを振っていたのを目撃。これはそれぞれの指揮者のスタイルだとは思いますが、秋山さんはおそらくご自身の中でテンポやリズムの流れがずっと続いていて、オケが一時休戦のときでもそこで分断させないかたとお見受けしました。ピアノが控えめになる第2楽章も私は好きで、弦も管も超キレイ!もう札響の皆様大好き!と私はひとり勝手に盛り上がっていました。そしてピアノは比較的おとなしいとはいえ、オケを立てながらも要所要所で存在感のある小さな音を響かせていたのも印象に残っています。ブラームスがピアノの生徒に言ったという「本当に純粋なppなら大きなホールの一番後ろにまで聞こえるはず」が、私は少しわかった気がしました。そのまま続けて第3楽章へ。冒頭、華やかなピアノから気分があがります。そうそう皇帝はこうでなくっちゃ!しかし力強さだけでなく、ピアノもオケもメリハリがあるからこそ、華やかさや少し影のあるところも際立つのかも。音楽がまるで意思を持って生きているみたいで、この楽章はずっと聴いていたいほど。いったん静かになってから駆け上るクライマックスが最高!もう大好きです!演奏終了後、どなたかが「ブラボー!」のかけ声。声出すのは禁止ですよ……でも気持ちはすごくよくわかります。会場にいたお客さん達は最大限の拍手で感激を伝えました。やはり人数が多いと拍手の迫力も違いますね。カーテンコールで何度も舞台に戻ってきてくださった小山さん。今の状況だと握手やハグはできないので、指揮秋山さんやコンマス田島さんとは会釈しあっていました。指揮者とコンマスが肘をあわせる挨拶は何度も見ましたが、女性にもそれに代わる何かがあると良いのかもしれませんね。

アンコールはJ.S.バッハ/グノー編曲「アヴェ・マリア。演奏開始と同時に私が「この曲!」とピンときたのは、つい先日の10/4のコンサートにてソプラノの歌を聴いたばかりだったからです。ソリストアンコールという形ではなく、小山実稚恵さんほどのソリストがピアノ伴奏で参加してくださいました。なんと1番は田島高宏コンマスのヴァイオリンが歌う演奏。ヴァイオリンの音色の美しさに、じわっと涙が出ます。2番はトロンボーン等の金管も入ったオケ全員参加での演奏でした。この演奏会が自粛明け初の札響というお客さんにもきっと喜ばれる、札響の良さをしみじみ味わえる素敵なアンコール。コンマス田島さんの見せ場を用意してくださったのがとてもよかったです。コンマスは一人体制のまま、ずっと札響を牽引してくださっている田島さん。本当にありがとうございます!このところ演奏会が続いていて大変かと存じます。どうぞお身体は大切になさってくださいね。オケの要として頼りにしています!


分散退場の後、大勢の人達が晴れやかな表情で思い思いの感想をお話ししながら地下鉄の駅を目指して歩いていました。公園の中を通るその道を、私も歩きました。そうそう、演奏会はこうでなくっちゃ!私はいつもひとりですが、多くの人と同じ演奏を聴けて、言葉は交わさなくても感激を共有できるのはとてもうれしいです。2021年度の名曲シリーズは、2021年8月からKitaraで開催予定とのこと。どんな企画が揃うのか、今からとても楽しみです!また、札幌コンサートホールKitara大規模修繕工事(2020年11月2日から翌2021年6月30日まで休館)後、どのように生まれ変わるのかも期待して待っています。札響のベートーヴェンとして9/23,24の定期演奏会での「田園」も聴きたかったですが、私は残念ながら都合が合いませんので、そちらは皆様の感想を楽しみにしています。


この4日前に開催された、秋山和慶さん指揮による「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」札幌交響楽団公演(2020/10/6)のレポートもアップしています。よろしければ以下のリンクからどうぞ。生命力あふれるベト8がメインで、他もすごい演奏ばかりでした。皆様、11/22の放送は必見ですよ! 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

おまけ。父がヘビロテしていた「皇帝」のレコード、ソリストルドルフ・ゼルキンでした。ちなみにカップリングは「月光」で、幼い頃に私がベートーヴェンに興味を持ったのはこの「月光」を聴いてからです。私の父は、こう言っては可哀想ですが「クラシック音楽を趣味にしているオレ、カッコイイ」のレベルで、本物のファンの足下にも及びません。それでも娘である私が今こんなふう(?)になっているのは、父自慢のオーディオ機器から流れてくる音楽を聴いて育ったおかげだとは思っています。今の私の最推しであるブラームスのレコードがかかっていた記憶はないのですが(笑)。


最後までおつきあい頂きありがとうございました。

「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」札幌交響楽団公演(2020/10)レポート

ベートーヴェン250プロジェクト」の一環として、NHKが主催する「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」。事前に観覧希望のWeb募集があり、私はありがたいことに札幌交響楽団公演に当選したのです。日本各地のオーケストラがベートーヴェン交響曲と劇音楽「エグモント」を演奏していく企画で、我が町のオケ・札響は交響曲第8番でした。こちらは11月22日(日)のEテレクラシック音楽館」で放送予定とのこと。ぜひご視聴ください。

www.nhk.or.jp

 

f:id:nyaon_c:20201010102258j:plain

ベートーヴェン250プロジェクト

 

「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」札幌交響楽団公演
2020年10月6日(火)19:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
秋山和慶

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】

(アンコール)


もう、もう、とんでもない演奏を聴きました……。我が町のオケ、すごすぎます。ご近所にいて、すぐに会える地元オケ。それが瞬時に今まで経験したことがない異世界へ連れて行ってくれるなんて、夢みたいな本当の出来事を、私はこの日確かに体験しました。私は聴き始めて日が浅い上に音楽の知識もない素人で、きちんと消化できたかどうかはわかりません。しかしこの日の演奏はもはや「事件」だと、その場にいたひとりとして言わせてください!私のこんなありきたりな表現では絶対に伝わらないのがもどかしい。皆様、テレビ放送は必見です!会場の熱量が画面を通して少しでも皆様に伝わりますように。そして札響には私がまだまだ知らない顔があるのだと思います。今回アンコールが「序曲」でしたから、これはきっとさらに飛躍するための第一歩。私、これからの札響の演奏もとても楽しみです!今後できるだけ食わず嫌いはせず、事情が許す限りは何度でも聴きにうかがいます!

指揮の秋山和慶さん、素晴らしい演奏を導いてくださり本当にありがとうございます!やむなく中止となった5月の新定期は、私が大好きなブラ1がメイン、協奏曲はソリスト藤田真央さんによるラフマニノフのピアコン2番で、個人的にとても楽しみにしていたんです。今回の演奏を拝聴して、私はやはり5月の新定期の演目を秋山さんの指揮で聴きたくてたまらなくなりました!秋山さん、いつかきっと札響でブラ1を演奏してください。んん、ベト8のあの生命力をブラ2でも聴きたいです。あとはやはり一番ブラームスらしいブラ3も。でも「乱」組曲のあのうごめく感情をブラ4のクライマックスでもぜひ聴きたい!選べない。いっそブラームス4曲全部お願いします!

私の座席は1階席で、定期ならSS席に相当する場所でした。ここ数年分のクジ運を一度に使い果たした感があります(笑)。ソーシャルディスタンシングとはいえ、P席全部と前数列を空けた上で、基本3席飛ばし(!)になっていてそれすらも空きが目立つ状態でした。本来2000人超の大ホールがこんなにガラガラなんて!おかげですごく良い音が堪能できましたが、もっと多くの人と生演奏を共有できたらいいのにとも正直思いました。しかし、ひっそりとWebのみの公募で、応募自体が少なかったのかもしれません。それに他の会場では無観客で演奏したところもあるようなので、そもそも招待客は極力絞る方針だったのかもしれませんし。とにかく、私はその場にいて目の前で演奏が聴けて、超ラッキーでした。

プログラムによると、今回の演目は「初」がテーマなのだそう。指揮・秋山さんと札響が初共演した際に演奏した「古典交響曲」に、札響が秋山さんとの初の東京・名古屋・大阪ツアーで披露した「乱」組曲、そしてベト8は札響×秋山さん指揮では初めて取り組む曲とのこと。開演前にNHK札幌放送局のかたのお話と、「ベートーヴェン250プロジェクト」アンバサダー・稲垣吾郎さんによる注意事項アナウンス(録音)がありました。


1曲目はプロコフィエフ「古典交響曲。私は2019年のPMFガラコンサートで一度聴いたことがある曲です。今回、出だしから「音がキレイ!」と夢中になり、人が少ないkitara大ホールに響く、弦の透き通った音や木管のあたたかでまるい音やトランペットの華やかさを味わいました。個人の思想や強いイメージを主張しない音楽は、大きな感情の波に引きずられずに済むのが良いですね。ごまかしがきかない分、演奏はむしろ難しいのかもしれませんが。約15分のコンパクトサイズでもちゃんと4楽章構成。それぞれの楽章も古典派のやり方を倣ってはいても、緩急の付け方やリズムやメロディそのものは変化に富んでいて、他のどこにもないプロコフィエフ独自の「古典」交響曲。妖艶なヴァイオリン協奏曲とはまた違い、誰もが受け入れやすい曲だと思います。各パートの個性が光りながらも全体が見事に調和する演奏はとても素敵でした。メインのベト8だけでなく、こちらの古典交響曲もぜひテレビで放送してほしいです。

トロンボーンやハープ、多彩な打楽器が入り、2曲目は武満徹「乱」組曲。もう、すんごい演奏を聴きました……。札響とは縁のある曲だというのは知っていて、映画も一度は観ておきたいなと思いつつも、結局この日は丸腰で臨んだ私。しかし、もし予習してきたとしても同様に強いショックを受けた気がします。今まで聴いたことがない音楽に、私は席でひとり小さく震えていました。甘ちゃんでごめんなさい。日本の戦国時代が舞台になっている映画なのに、音楽には大陸のようなスケールの大きさがありました。そして曲の雰囲気は、こんなこと言っても適切かどうかわからないのですが、死の恐怖と隣り合わせのようなぞっとする感じもあり、そこに目を見開いてなお生きる美しい人がいるようでもあり。同じ武満徹の映画音楽で以前定期演奏会で聴いた「死と再生」でも不気味な雰囲気に鳥肌が立ちましたが、今回はそれ以上。思えば「死と再生」は弦のみの編成で、曲自体の不気味さはありつつも音色はとても美しかったように記憶しています。今回の「乱」では、容赦なかったですよね奏者の皆様。いつもはあんなに心地よい音楽を奏でるかたたちが、その気になればこんな音楽だって演奏できると、失礼ながら大変驚きました。和楽器の横笛(ピッコロかも?)の高く長くのばす音に、小さな鐘のチーンという音が、私はもうコワくてコワくて。そして弦!いつも聴いている心地よさとは別物の、声にならない悲鳴のようなうごめく感情のような、とにかく初めて聴く音。ドンチャカしない金管や打楽器もそれを際立たせていたように感じました。演奏に魂を持って行かれた私は、今自分がどこにいるのかどれくらい時間が経ったのかがあやふやに。お客さんは皆そうだったのか、曲が終わってもしばらくは会場がシーンとなって拍手を忘れていたほどです。この「乱」組曲は絶対に放送するべきと私は思います。全国いや全世界の人達に聴いてほしいと思える演奏でした。日本には武満徹という作曲家がいて、札幌交響楽団というオケが存在すると、多くの人に知って頂きたいです!

いよいよメインプログラムのベートーベン「交響曲第8番」。もう、どえらい演奏を聴いてしまいました……。全人類、本放送を観てください。このあふれる生命力、ものすごい衝撃でしたから!私の素人コメントでは伝わらないのは承知の上で、その場で生演奏を聴けた数少ないひとりとして、恐縮ですが感じたことを少しだけ書いておきます。第1楽章、あのインパクト大の冒頭からものすごい力強さに圧倒されました。少しゆったりするところの木管のあたたかな音も良いですが、弦がパワフルに演奏するところがとにかくすごくて、奏者の皆様が弓を動かすとき肩にぐっと力が入る様子も目の当たりにしました。第2楽章は独特のリズムが心地よく、先日聴いたばかりのベト7とはまた違うリズムを楽しませて頂きました。ずっと同じ感じではなく速さも強弱も細かく変化するので、足並み揃えてクオリティ高い演奏をするのはきっと難しいのですよね。第3楽章はまるでお外でピクニックな印象。美しい弦も、ファゴットとトランペットのスケールの大きさや鳥のさえずりのような木管も、全部良かった上で。特にホルンとクラリネットが会話しているようなところが印象的で、それをチェロとコントラバスが控えめに伴奏しているのがニクイなと思いました。私の場合、伴奏の細かいところまではなかなか録音では気づけないので、細部まで音が聞けて視覚でも確かめられる生演奏はやはり良いです。第4楽章では強弱のメリハリがとても効いていました。ピアニッシモでも身体にしっかり届いて、強い波が押し寄せて来るたびにゾクゾクして、これを肌で感じられるなんて、その場にいた私は幸せ者です。最後は力強く締めくくり。すっごい!私のベト8の生演奏初体験がこの演奏会で本当に良かったです!様々な絶望や困難に遭遇したベートーヴェンが、こんなに生命力あふれる曲を書いたんですね!それを最高の演奏で聴かせてくださった指揮の秋山さんと札響の皆様に大感謝です。昨今の感染症にまつわるあれこれがなくても、生きている限り人生は山あり谷あり色々あります。でも生きてるって素晴らしいし、人間そんなにヤワじゃないんだなと、演奏を聴いてそう感じました。生きてる実感、これが良いと思えるうちは私もまだまだイケル、うん。ベートーヴェン自身が9つの交響曲の中で一番気に入っていたという8番ですから、もっと演奏機会があってもよいですよね。演奏機会がとても多い7番の3回に1回くらいは、8番を代わりにプログラムに入れてほしいと思いました。私はもちろん7番も大好きですよ念のため。

アンコールはおなじみのモーツァルトフィガロの結婚」序曲。こちらも華やかさだけでなく生命力が感じられる演奏で、ベト8の爆発的な生命力あふれる演奏の後でもまったく疲れを感じさせない、パワフルな演奏でした。休憩なしのプログラムで全力投球の演奏を続けて4曲も、素晴らしいです!指揮の秋山さんと札響の底力、ただただ敬服いたします。めちゃくちゃ気分がアガりました!ありがとうございました!


お客さんは少なかったですが、分散退場に。演奏が最高だった上に、人が少ないkitaraでの素晴らしい響き。この日私はとんでもなく贅沢な体験ができました!このところ演奏会が立て込んでいる札響の皆様の圧倒的パワーともちろん演奏のクオリティの高さに、心地よく打ちのめされてうれしかったです。帰宅すればまたいつもの平凡な日常が待っているけれど(もちろんそれは大変幸せなことではあるのですが)、ご近所にこんなにハイクオリティな演奏で非日常の世界へ連れて行ってくれる地元オケがいることと、それを当たり前に聴けることを、私は心底ありがたく思います。今の状況の中、企画段階からの準備や実現にむけての様々なハードルを越えて、この演奏会を開催してくださったすべての皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました!各地のオケの演奏もすべて、必ずテレビで拝見します!

 

f:id:nyaon_c:20201010102553j:plain

10/6 「オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー」札響公演 アンコールボード


ロビーではアンコールボードを久しぶりに見ましたよ。いつもの出口付近にいつものボードと、ホワイエ中央あたりに掲示板を使ったものの2カ所。珍しいので掲示板のアンコールボードの写真を記念に貼っておきます。


この2日前の10/4にベト7を聴いた演奏会のレポートもアップしています。よろしければ以下のリンクからどうぞ。指揮の阪さんは、「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」山形交響楽団での指揮もされていて、メインは5番「運命」。こちらの放送もとても楽しみです。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

Eテレクラシック音楽館」といえば、昨年2019年10月に札幌交響楽団の8月定期演奏会の様子が放送されました。そちらの感想も弊ブログにあります。首席指揮者バーメルトによるブラームス中心のプログラムで、1曲目が武満徹「死と再生」でした。この放送回は多くの人に観て頂きたいので、再放送を切に願います。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。

Kitara北海道を元気にするコンサート~北の大地にエールを~(2020/10) レポート

※2020/12/05 追記

「やっぱり音楽が好き!Kitaraファミリーコンサート」(2020/9)および「Kitara北海道を元気にするコンサート ~北の大地にエールを~」(2020/10、以下のレポート記事の公演です)の2公演が、札幌コンサートホール KitaraYouTubeチャンネルにて配信されています。配信期間は2021年1月3日(日)まで(予定)だそう。動画視聴はお早めに。

www.kitara-sapporo.or.jp

 

10/4の札響の演奏会に行ってきました。定期や名曲シリーズの席が取れないと嘆いていた頃に開催を知り、私は即チケット購入。なおこちらの演奏会は後日一部がネット配信されるそうですので、ぜひご視聴ください。配信開始されましたら、本記事にリンクを追記します。


Kitara北海道を元気にするコンサート~北の大地にエールを~
2020年10月4日(日)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮】
阪哲朗

【ソプラノ】
中江早希

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)


【曲目】

(アンコール)

  • 越谷達之助:初恋
  • 中江早希 作詞/直江香世子 作曲:ポイボスの扉


ベト7や夜の女王のアリア等、よく知る定番曲をおなじみ札響の演奏で聴けてうれしかったです。まるで故郷で口になじんだ味をしみじみ噛みしめている感じでほっとしました。私はまだまだ新参者の部類に入るとは思いますが、札響の音はもはや「故郷の味」。その時々の指揮者によって料理の仕方や味付けが微妙に変化しても、私はやはり「これが食べたい」と思いますし、もとより細かな良し悪しを判断できる程ではありませんのでなんでも美味しく頂けます。私達は、今まで当たり前と思っていたものがなくなってしまう経験をしたばかりですから、より一層心に沁みました。これを1000円で聴けちゃうなんて、ありがたいやら申し訳ないやら。今の大変な状況で、このような演奏会を開催くださったことに感謝いたします。

会場には親子連れもちらほら。託児も利用可能だったようです。全席完売の公演でしたが、座席は1席飛ばしに加えて前から3列ほどとP席全部を空けてあり、収容人数は上限の半数以下に制限されていました。人が少ないとホールの音はとてもキレイに響く上に、私の席は2階CBブロックで、視界も音も申し分の無い良さでした。

奏者の皆様が入場。先頭は、なんとフルートの高橋聖純さん!今年3月末まで19年間にわたり首席フルート奏者をつとめられた高橋さんが、客演で帰って来てくださいました。もちろん今のメンバーでの演奏に何ら不安はないものの、高橋聖純さんがいてくださったら百人力です。なお今回は首席奏者が降り番だったパートは多かったです。またオケの配置がユニークで、第1ヴァイオリンは舞台向かって左側前方の定位置でしたが、そこから時計まわりにチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン。またコントラバスは左側後方でいつもと左右反転した位置にいて、ハープが右側後方に。左右の耳に入ってくる音がいつもと違うのは新鮮でした。

指揮の阪さん、はじめまして。札幌までようこそお越し下さいました。現在、山形交響楽団常任指揮者の阪さんは、Eテレ『オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー』では山形交響楽団にてベートーヴェン交響曲第5番「運命」を振ったようです(9/24に演奏・収録済み)。今回のベト7がとても良かったですし、阪さんと山響による「運命」も楽しみ。テレビで必ず拝見します!


前半はおなじみベートーヴェン交響曲 第7番」。演奏会デビューしてほんの数年の私でも、札響のベト7の演奏は何度もKitaraで聴いています。今回はそんな私なんかより何十回も多く聴いているファン歴長いかたでも、また今回が初めてというかたでも、どなたでも楽しめた演奏だったのではないでしょうか。第1楽章の少しずつ盛り上がっていくところでゾクゾク。さすがのフルートソロ、声量ある“歌”を聴かせてくださいました。私が一番好きな第2楽章は、冒頭ヴィオラ、チェロ、コントラバスの順にリレーしていく低弦の良さにしびれます。雰囲気ががらりと変わる第3楽章も好きです。ただ、個人的にティンパニが少し弱めに感じたのは、私のいた席や私自身のコンディションのせいかもしれませんし、いつもと違う配置で耳に入ってくる音が普段とは違ったからかもしれません。譜めくりの一瞬のお休みを挟んで第4楽章へ。何度聴いても良いですね!すっかり覚えたと思っている曲だって生演奏を聴く度に新鮮で、リズムに素直に乗れます。クライマックスではじわっと涙が。私は、今年最初の定期演奏会でバーメルトさん指揮によるベト7を聴いたのが遠い昔のように感じていました。しかしまだベートーヴェンの生誕250年は終わっていないですし、今まで自粛期間があった分、むしろこれからですよね。個人的にはそんな「帰ってきた感じ」もしてうれしかったです。


20分間の休憩後、後半初めの曲はパッヘルベル「カノン」。弦のみの演奏で、追いかけっこで繋がる美しい音にうっとり。続くJ.S.バッハ/グノー編曲「アヴェ・マリアはハープ、ファゴット、他の木管とメロディを続けていくのもキレイでしたし、この曲では伴奏にまわる弦もまたよかったです。そしてP席のオルガンの前に、シャンパンゴールドのドレスをお召しになったソプラノ中江早希さんのお姿が!なるほどステージ上ではなく、周りに誰もいないオルガンの前で歌うのですね。歌声の美しさに鳥肌が!高い位置にお一人で立つ中江さんは神々しく、この位置で歌うのはアリ!と思いました。3曲目のチャイコフスキー「モーツァルティアーナ」第3曲“祈り”では、目の前の素敵な演奏を味わいながらも、私はついまた以前聴いた定期演奏会を思い出していました。バーメルトさんはじめ、海外にお住まいのマエストロたちと再会できる日が一日も早くきますように。4曲目のヘンデルでは再び中江さんの素敵な歌声が聴けました。後半に透き通るような美しい曲が続いたのは、中江さんの歌声に合わせていたのかなと思ったり。いよいよモーツァルト魔笛ではトランペットとトロンボーンも入り、華やかな「序曲」は札響の安定感あるアンサンブルを安心して聴けました。会場が暗くなり、雷の音(録音)と雷光の演出。黒を基調としたドレスにお着替えした中江さんがオルガンの前に登場し、舞台の女性と何か掛け合いをして、ラストの「夜の女王のアリア」へ。すっごい!うんと高いお声もしっかり届きました。有名曲ですが、私は生演奏で聴いたのは今回が初めて。人の声ってどんな楽器にもない良さがあるなと感じました。今回はソプラノ中江早希さんお一人でしたが、ソリストを増やしたり、もっと言えば合唱団も入れたりできると良いなと個人的には思います。年末の第九がどうなるかは現在のところ不明とはいえ、一日も早く開催実現できる日がくるのを願っています。


アンコールはいずれも中江さんの歌が入る日本語歌詞の曲で、1つめが越谷達之助「初恋」。初めて聴く曲でもどこか懐かしい感じがしました。2つめの前に中江さんがマイクを持ってお話されました。「ポイボスの扉」は、札響のクラウドファンディングが行われるのをきっかけに作られた曲とのこと。中江さんが作詞をし、作曲は直江香世子さん(客席にいらしていて全員から拍手が送られました)。中江さんはさまざまな想いを語ってくださり、歌う際はソプラノの声よりは普段お話される声に近い声で、歌詞の一つ一つをはっきりと歌い上げてくださいました。


ブロック毎の分散退場でホールを後に。まだ明るい時間帯で、チケットセンターの前を通るとチケットを求めるかたが何名も並んでいました。そこに感染症があることに変わりは無いけれど、音楽が聴ける日常が少しずつ戻ってきているのは大変ありがたいこと。不安が消え去り様々なダメージが完全治癒して元気100倍になれるような単純な話ではないけれど、いつもの音楽を聴きたいと思えて実際に聴けるのは希望です。今回の「Kitara北海道を元気にするコンサート~北の大地にエールを~」のパンフレットには「前向けば聞こえてくる いつもの音楽(おと)」と書かれていました。もちろん、これを受け止められるかどうかは個人の事情によるとは思います。それでも私は、今の自分が少し前を向けたことと、そこに「故郷の味」のような音楽があったことを、しみじみとありがたく思えました。演奏を届けてくださったすべての皆様、ありがとうございました!


最後までおつきあい頂きありがとうございました。

ツイッターアカウント変更のお知らせ

突然ですが、ツイッターアカウント変更のお知らせです。

  • 新アカウントは f_a_f( faf40085924 )となります。
  • 今後はブログへのコメント含め、ご用件は新アカウントのほうにお願いします。
  • 旧アカウント にゃおん( nyaon_c )はそのままにしておきます。

なお新アカウントでは積極的なフォロー返しや細かな反応はしないつもりでいます。ですから皆様もフォローや反応等はどうぞお気遣いなく。たまに思い出したときに遠くから眺める程度でも、いっそミュートかけて視界から外して頂いても、文字通りFRBMご自由にどうぞ。私の方もゆるくやっていきます。

残しておきたいものもあるため、旧アカウントは削除せずそのまま置いておきます。ただし、通知を切りログアウトしますので、リプ等を頂いても気づけないため反応しません。ご了承ください。旧アカウントでご縁のあった皆様、今までありがとうございました。楽しかったです!何かありましたら新アカウントの方にお願いします。


ここからはふわっとした言い訳です。興味のあるかたはどうぞ。

何か決定的なことがあったわけではないのです。ただ、やるべきこと・やりたいことを優先しようとしばらくツイッターから離れていたところ、ツイッターがないと心穏やかに暮らせると気付いてしまったんですよね。冷静に考えると、毎日の貴重な自由時間の大半を「溶かして」いたんだなとも。別に自由時間が有意義である必要はないのでしょうが、私の場合は一応TLを見る時間を決めていてもなかなか守れなかったですし、加えて最近はスルースキルがうまく発動できなくなってしまい、結果としてツイッターが息抜きにならない下手な付き合い方をしてしまいました。何か面白いことが転がっていないかとあちこち彷徨い知らない誰かの発信に期待していること、なんだか空気に流されて言わなくても良いことをついつぶやいてしまうこと、うっかりインパクトのあるものを見てしまうとTLを離れても心の片隅から消えず頭の中が支配されてしまうこと、どれも結局は四六時中TLに気持ちを持って行かれている証拠。それが今の私にはなんとなく居心地が悪くなりました。誰も、何も、悪くないです念のため。あえて言うなら、自分のキャパを考えずにのめり込んでしまった私が悪い(笑)。いっそのことスパッとやめることも考えましたが、それはできませんでした。私の場合、ブログのコメント欄の代わりとしてもツイッターを使っている事情があります(ちなみにブログ本体のコメント欄は絶対に開けたくありません・苦笑)。それに、やめるのはいつでもできるので、適切な距離を保ちながらうまく付き合っていけるならそうしたいとも思いました。なんだかんだで私はツイッターが好きみたいです。旧アカウントを大メンテナンスするのも骨が折れますので、この際まっさらな新アカウントを作り、新たな気持ちでもう一度始めることにした次第です。今度はできるだけのめり込まないように気をつけて、そろりそろりとやっていきます。

そして旧アカウントはそのままにして、時が来たら動かしたいと考えています。具体的には、アニメ『クラシカロイド』の新作が出たタイミングで(本来 nyaon_c はそのためのアカウントでした)。そして放置しているアニメレビューブログを再始動するかどうかは、実際に新作を観てから決めます。再始動の際は、過去に色々あった反省から、コンテンツおよびコアなファンの皆様との適度な距離感は大事にしたいです。実はいまだにこちらのクラシック音楽ブログよりもアニメレビューブログの方がアクセス数多いんですよ。更新が止まって何年も経つのに、ありがとうございます!ベートーヴェン生誕250年の今年、旧作はYouTubeEテレで再放送されていますし、このままの盛り上がりで新作が来るといいですね!いちファンとしてずっと心待ちにしています。

それでは、今後ともよろしくお願いします。


おまけ。「やるべきこと」の合間にちょこちょこ進めた「やりたいこと」の一つが、『ブラームス回想録集』のレビュー記事を書くことでした。よろしければ以下のリンクからどうぞ。「やりたいこと」の時間を確保しようと頑張ったおかげで、「やるべきこと」や家庭のことに忙殺されずにすみました。生活にはメリハリ大事!自分の世界に没頭して、遠慮無く愛を語る超長文を書くのはとっても楽しかったです!私っておそらく壊滅的にツイッターに向いていないと自分でも思います。でもいいんです。しょせん趣味の世界、ブログもツイッターも好きなようにやっていきます。

 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

『ブラームス回想録集』全3巻 天崎浩二(編・訳) 関根裕子(共訳) 読みました

今回ご紹介するのは『ブラームス回想録集』全3巻 天崎浩二(編・訳) 関根裕子(共訳) です。2004年2月 音楽之友社。 


作曲家ヨハネス・ブラームス(1833-1897)を直接知る人達による回想録が集められた本、全3巻です。ブラームスが大好きな私にとっては興味津々なお話が次々と出てきて、もう夢中になって読みました。愛読書として一生付き合いたい本に出会えてうれしいです。一次資料が日本語訳で読めるのは、私のような外国語がおぼつかない者には大変ありがたいこと。バラバラに存在する原文を丁寧に調べて集め、訳注を入れながらの翻訳は一大プロジェクトだったことと存じます。『ブラームス回想録集』を世に送り出してくださったすべての皆様にお礼申し上げます。

早速感想に入ります。私の見方はあくまで主観によるものですので参考程度にとどめ、ご自身の見方は必ず本書をお読みになってご自身でお考えください。本当に、私のレビューを斜め読みしただけで本書を読んだ気にならないでくださいね……。私の切り取りはごく一部ですし、特に音楽の専門的な部分はなるほどと思いつつもほとんど拾えなかったのですよ。言うまでもなく、こちらの回想録集は音楽に関する記述は大変充実しており、音楽史や演奏の勉強をしているかたにはお役に立つ記述が満載です。また当時(ロマン派後期)の社会情勢や文化全般についても色々と書かれているので、少しでもクラシック音楽に関心があるかたであれば知りたい情報が盛りだくさん。とにかく、ブラームスのファンであってもなくても、『ブラームス回想録集』はぜひ読むことをおすすめします!かくいう私は「人間ブラームス」を追いかけるオタク的な読み方しかできませんが……。なお、このレビュー記事は全部で31035文字あります。概要だけでしたら4987文字です。長いですから、概要だけでも良いですし、詳細部分は気になる著者の章だけ拾い読みでも、お好きに読んで頂ければと思います。私の方は、自分の備忘録として好き勝手に書いているのをついでにネット公開しているだけですので、もろもろどうぞお気になさらず。

以下、ネタバレが含まれます。ご了承頂けるかたのみ「続きを読む」からお進みください。

続きを読む

札響夏休みスペシャルコンサート~オケパンV「ショウほど素敵な商売はニャー!!」(2020/08) レポート

札響夏休みスペシャルコンサート~オケパンV「ショウほど素敵な商売はニャー!!」

札響夏休みスペシャルコンサート~オケパンV「ショウほど素敵な商売はニャー!!」演目


私にとって自粛明けの初オケは、テレビでおなじみアキラさんによる「オケパン」。約7ヶ月ぶりに我が町のオケ・札幌交響楽団の演奏を聴きに、札幌コンサートホールKitaraへ行ってきました!今回は小2の娘が一緒。私は表向きは付き添いの保護者ですが、その実私に付き合ってくれたのは娘の方です。休憩なしの約1時間の会。お客さんはやはり親子連れがほとんどでしたが、大人のおひとりさまや団体様もちらほらいらしたようでした。


札響夏休みスペシャルコンサート~オケパンV「ショウほど素敵な商売はニャー!!」(午後公演)
2020年8月16日(日)14:30~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮・ピアノ・お話】
宮川彬良

【出演】
黒猫(ピッチカート):miyacawa Ari[出演・振付]
黒猫(レガード):吉岡朋子
ピアニスト他:宮川大典
舞台監督他:松田淳一

構成:新井鴎子
監修:田尾下哲

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:田島高宏)

【曲目】


※今回はツイッターでの速報はありません。

演出も演奏も期待以上で、最高に楽しかったです!今年は夏休みらしい夏休みではなかったけれど、今回の「オケパン」はこの夏一番の忘れられない思い出になりました。自粛明けは座席数を絞っている関係で、札響の定期や名曲シリーズの席がなかなか取れないんですよね。うまく席をゲットできなかった私はしばらくいじけていましたが、気を取り直して今回のオケパンVのチケットを購入して本当によかったです。「0歳からのパントマイム・オーケストラ」の看板は伊達ではなく、ねんねの赤ちゃんから親の背丈を追い越したローティーンまで、会場の子供達は皆楽しそう。なかなかじっとしていられないうちの娘も夢中になって始終にっこにこで、退屈しのぎのお絵かきノートの出番は遂にありませんでした。当然ながら、子供だましや子供にこびた内容では無く(ちなみにそういうのは子供にはわかります)、大人だって大いに楽しい演奏会。思えば自粛期間中、元気の塊のような子供達は家に閉じこもることを余儀なくされつらい思いをしました。そして子供達のケアをしその心に寄り添う親もまた、同じようにしんどかったのです。なので、子供達だけでなく、私の同志とも言えるお母さん達がマスクをしていてもわかるほど皆笑顔だったのが個人的にはすごくうれしかったです。「お母さんえらい!頑張って!」なんて言われると私は引きますが(メンドクサイ・笑)、メッセージ性のない、エンタメに特化したショーを親子で思いっきり楽しめるのはとてもうれしいです。シンプルに「楽しい!」と感情のゲージをプラス方向に振り切れたら、また前を向こうと、私は自分の意思で決めることが出来ます。このようなご時世にもかかわらず、演出内容を一部変更した上で演奏会開催くださったことに感謝です。しかも午前午後の2回公演!特に小さな子の場合はお昼寝のリズムがあるため、親としてはその子にとって機嫌の良い時間帯に参加したい思いがあり、時間帯を選べるのは助かります。それでも出演者と奏者の皆様は間違いなく大変だと思います。私達親子は今回午後公演を聴きましたが、この全力投球を既に午前中に一通りやった後なのが信じられないほど、ショーも演奏も素晴らしいものでした。ありがとうございます!

構成も演出もかなり練られていて、出演者の皆様と何よりアキラさんのエンターテイナーぶりが光るショーでした。そして、その演奏をやれちゃう札響もまた素晴らしい!今年は同じ企画を在京オケともやったようですが、地方オケだと札響のみのようです。「オケパン」は回数を重ねたイベントとはいえ、今の状況において地方都市である札幌での開催が実現したのは相当すごいことだと思います。アキラさんと札響とは強い信頼関係があるのですね。演奏だけでなく、細かな演出にもすべて楽しそうにこたえられるところは、やはり札響の懐の深さだなとしみじみ。もちろん肝心の演奏だってクオリティ高くて、特に小さな子達が初めてのコンサートでこの音楽に出会えるのはものすごく価値があると思います。また、有名曲ばかりとはいえすべてアキラさんの神アレンジが入っていて、演奏はおそらくかなり難しいのでは?慣れた曲をいつも通りに演奏できないため、むしろすべて新しい曲に取り組むような感覚だったのかもしれません。しかも切れ目無く次々と13,4曲!それをクールに見事にしかも楽しそうに演奏してしまう我が町のオケ、さすがです!


半券の裏に名前と連絡先を記入して自分たちでもぎり、プログラムも自分たちで取って入場。見慣れたステージに目をやって私がまず思ったのが「譜面台が多い」。ひとり一台ずつ用意されていました。ただでさえ編曲された曲ばかりが何曲も続くコンサートのため、楽譜の用意は苦労は多かったことと存じます。また指揮台の前に大きなグランドピアノがでんと鎮座していて、かつ楽器の種類が多くオケの編成は比較的大きい印象でした。その状態でソーシャルディスタンシングを守った結果、多彩な打楽器は背面ギリギリのところに配置されていました。管楽器の間にある透明なアクリル板はよく見ないとわからないほど工夫されていましたし、舞台設営はかなり大変だったのでは?そして開演前の放送による注意事項のアナウンスは、以前よりずっと長かったです。

開演に先立ち、宮川彬良さんがマイクを持ってごあいさつ。テレビで拝見した通りのおしゃれさんで、またテレビのイメージよりもずっと人当たりが良い印象を受けました。1席飛ばしを考慮しても空席が目立つ会場だったにもかかわらず、「これくらいがちょうどいいんですよ」とアキラさん。こちらとしては人が少ないほどホールの音は良くなるためありがたいのですが、興行収入を考えるとかなり厳しいですよね…。来年はきっと満員御礼となりますように。

黒猫さん達が登場し、床掃除からはじまりずっとかわいらしい動きをしていて、客席は皆そちらに目が釘付けに。静かにオケメンバーが入場したのに、拍手するタイミングを見失ってしまいごめんなさい!奏者の皆様は、下は黒、上は白の衣装で、マスク着用の人はグレーのマスクで統一。アキラさんに負けずにおしゃれです。黒の燕尾服が基本の皆様が白い上着を着ているのは新鮮でした。懐かしい顔ぶれを拝見していると、私はなんだか夢みたいに思えてきました。皆様お久しぶりです、お元気そうでよかった、会いたかったです!これはネット配信ではないんですよね、生演奏なんですよね同じ会場にいるんですよね?と、演奏が始まる前から私は一人でおかしなテンションに。

演奏開始は「Willkommen」。宮川大典さんのピアノとオケによる演奏でした。ヴァイオリンが美しいメロディを奏でて、チェロとコントラバスがピッチカートで下支えするのを聴いて、そうこの感じ!と私は7ヶ月前に最後に聴いたときの記憶を少しずつ思い出してきました。アキラさんが「マダーム エーンド ムッシュ、ようこそ。音楽で旅してまいりましょう」といろんな言語ごちゃ混ぜのごあいさつをして、パイロットっぽい男性が登場し指さし確認して、音楽の旅のはじまり。金管と打楽器が入る派手なアレンジだったので、最初は何の曲かわからなかったヴィヴァルディ「春」は、娘の方が私より先に曲名がわかりました。娘が通っていた幼稚園のお片付けタイムに必ず流れる曲だったため、よく覚えていたようです。にぎやかに盛り上げるスタイルも楽しくて良いですね。そしてコンマスのソロ(田島さんは立ち上がって演奏)で、私は本気泣き。我が町のオケにもう会えないのではないかと悲観的になった時期もあったので、またお目にかかれて、そしてその音楽を聴けて本当によかったとしみじみ思いました。

オー・ソレ・ミオ」は太陽がさんさんと照る明るいイメージをオケがとても美しい音で聴かせてくださいました。一転、会場が暗くなり雷の音がしたら、「雨に唄えば」の演奏に。傘を持って踊る黒猫さん達のかわいらしいこと。もちろん、カスタネットを手にタップダンスを踊ったアキラさんもカワイイ。

クラリネット奏者のかたお二人が前に出て、オケの演奏をバックに「クラリネットポルカ」の有名なメロディを二重奏。もうクラリネットのあたたかでまるい音が素敵すぎて、人が少ないkitara大ホールでの響きも素晴らしくて、私は静かに感激していました。ああ聴けてよかった。そしてこれを当たり前と思って育つ札幌の子供達がうらやましい!このままクラリネットつながりで、プログラムにはない「クラリネットをこわしちゃった」の演奏が始まりました。愉快な音楽に合わせて、アキラさんが必死に吹いても音が出ないクラリネット(笑)。その壊れたクラリネットからは手品のように花束が出て、「花祭り」の演奏へ。どこか哀しげな音楽に合わせて、黒猫さん達がまく花びらの鮮やかな色が目にしみました。

娘が「鬼のパンツ」として認識していた「フニクリ・フニクラ」は、今回はオリジナルの登山列車が登場するバージョンです。歌の部分は主にトロンボーンが華やかに歌ってくれました。駅員さんのような男性が登場し、黒猫さん達がロープで電車ごっこを始めて、奏者のかたお二人を電車に乗せて舞台袖へ。戻ってきたとき、奏者のお二人はご丁寧に猫耳まで装着していました。そのまま「トランペット吹きの休日」の演奏へ。トランペット奏者の皆様が立ち上がり、おなじみのメロディを高らかに吹いて超カッコイイ!すっごい!これを当たり前と思って育つ札幌の子供達がうらやましい(2回目)。この選曲はおそらく運動会のイメージなんですね。電車で連れ去られたお二人の腕立て伏せ、腕相撲勝負から、勝者と黒猫さん達との組み体操、リンボーダンスと、見た感じでは超ノリノリでやってくださり、会場は静かに大盛り上がり。本来はお父さん達の参加企画のところ、奏者のお二人が代打で頑張ってくださいました。努力して演奏家となり札響に入団したかたが、オケの演奏をバックに、ソリストではなくまさかの運動会をやるなんて!きっとご本人だって思ってもみなかったですよね。盛り上げてくださりありがとうございます!運動の流れで「ラジオ体操」に。アキラさんのピアノとオケによる超贅沢な演奏で、会場は全員座ったままでラジオ体操です。奏者の皆様は演奏しながら出来る範囲で身体を揺らしていました。大きなコントラバスが右に左にと一生懸命動いているのがカワイイ。最後は奏者の皆様も立ち上がり深呼吸。同じ空気を吸ってる実感、ネット配信ではよくわからない一体感が感じられたのがうれしかったです。

マック・ザ・ナイフ」では、アキラさんは鍵盤ハーモニカを手に。私はオケの美しい演奏に夢中でした。雰囲気ががらっと変わった「大脱走マーチ」で、黒猫さん達は初めて客席へ(※その時だけマスク着用する徹底ぶり)。各国の国旗が色鮮やかに広がり、舞台中央にはPEACEの文字が出て、会場からは大拍手。そのまま「ショウほど素敵な商売はない」の演奏になり、会場のテンションは最高潮になって音楽の旅は大団円。耳で、目で、身体全部で楽しい、あっという間の1時間でした。

アンコールの演奏はおなじみ「ジャジャジャジャーン」で始まり、「運命」だわ子供でも知っている超有名曲だしベートーヴェン生誕250年アニバーサリーイヤーだし、札響の演奏はさすがの安定感、8/6の尾高さん指揮の新定期聴きたかったな、それにしても渋い選曲……と私は色々と思いを巡らせながら聴いていましたが、ん?何か変?マンボ?と気付いた瞬間、奏者の皆様が「アー、ウ!」と一斉にかけ声。えええええー!「シンフォニック・マンボNo.5」は「運命」と「マンボNo.5」をグラデーションで行ったり来たりする面白い曲で、深刻な「運命」のハイクオリティ演奏と陽気な「マンボNo.5」の「アー、ウ!」のギャップがすごくて気持ちが忙しい(※褒めてます)。私、本当は客席から一緒にかけ声をしたかったのですが、今のご時世それはできず、ちゃんと大人しく聴いていました。でも客席の熱があがっているのは肌で感じましたよ。うちの娘もこのアンコール曲は気に入ったようで、帰る道すがらずっと鼻歌で歌っていました。ちゃんと行ったり来たりしながら(笑)。

出演者の皆様を最大限の拍手でお見送りしてお開き。分散退場のため席でアナウンスを待ち、ホールを後にしました。音楽も演出も最高で、親子で超満喫しました。楽しかったです。ありがとうございました!アキラさん、来年もきっとまた札響と一緒にオケパンを演奏してくださいね。お待ちしています!


演奏会再開したとはいえ、当面は座席数を半数以下に絞るためチケット収入は激減します。札響にはまだまだ支援が必要です。私はこの先もずっと札響の演奏を聴きたい!以下は私が以前書いた札響支援についてまとめた記事です。ぜひ参考にしてください。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

私が自粛明けに初めて行ったコンサートは、お菓子の「きのとや」さん主催によるアンサンブル演奏会でした。住宅街の小さな集会所でも親子で本格的な演奏に触れられるなんて、札幌は音楽を聴く環境に恵まれていると改めて思います。レビュー記事は以下のリンクからどうぞ。 

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c

きのとやサロンコンサート Vol.65(2020/08) レポート

www.sankakuyama.co.jp

 

私にとって、実に半年ぶりの演奏会です。ネットで偶然知って、きのとやの店舗でチケット購入しました。中3の息子を誘い、無理矢理コンサートデート。休憩なし1時間ほどの演奏会でした。なおこちらの様子は8/22(土)10時から三角山放送局で放送されるそうです。ぜひどうぞ。ちなみに録音と音響を担当されていた放送局スタッフのかたが、ヘッドフォンで音を聴きながら左右に身体をゆらしてノリノリでしたので、きっと良い音で収録できていると思います!

会場の入り口では、本番衣装を着た奏者の皆様がお出迎えしてくださいました。手の消毒を済ませ、名簿に連絡先を記入し、お土産のお菓子を頂いて(「福かしわ」おいしかったです、ありがとうございます!)、私達親子は隅の方のイス席に着席。イスは間隔を空けて配置、窓と扉は開けてあって、小さな会場でしたが密ではなかったです。感染症の心配がなければもっと定員数は増やせるのに、仕方が無いとはいえもったいないなと正直思いました。今回は「夏休みスペシャル!!」ということで、小中学生とその保護者を対象とした会だったようですが、大人のお一人様が比較的多い印象でした。前の方はゴザが敷いてあり、小さなお子さんとその保護者の方々が座っていました。未就学児やハイハイの赤ちゃんもいて、みんな楽しく聴いていましたよ。


きのとやサロンコンサート Vol.65
2020年8月8日(土)11:00~ 琴似会館

【演奏】
アンサンブルグループ 奏楽(そら)
岩崎弘昌(オーボエ) ※札響副首席奏者
長谷川加奈(ヴァイオリン)
石黒怜(ファゴット
前田朋子(ピアノ)

【曲目】

ピアノはヤマハの電子ピアノでした。

※今回はツイッターでの速報はありません。


久しぶりに生演奏を聴けて、なんだかほっとしました。誰しもが多かれ少なかれダメージを受けて疲弊している今、音楽は変わらずに私達に寄り添ってくれたと私は感じたので。実は私、今のこんな状況で何かを学ぼうとかこれを機にあれこれ変えようとか、ご立派だとは思いますが、個人的にはとてもそんな気にはなれません。だから、星の数ほどあるネット配信の演奏でも、「メッセージ性」が強いものは申し訳ないですが苦手です。もちろん感染症とともに生きていかなければならない以上、その存在を無視することはできず、それこそ蜜を避けた会場設営をしたり管楽器の飛沫を配慮したりお客さんの方もマスク着用と手の消毒をしたりと、以前とまったく同じようにはいきません。それでも、私達は音楽を楽しく聴きたいがために足を運んでいるわけですから、せめて演奏を聴くときは何もかも忘れて音楽そのものを楽しみたいと個人的には思っています。今回のアンサンブルグループ奏楽の皆様の演奏は、心を込めた演奏自体はもちろんのこと、選曲や演出でメインターゲットの子供達に楽しんでもらいたいと頑張ってくださっていました。子を持つ親としてはとてもうれしかったですし、何より「子供向け」って言っても子供だましではなく、本物は大人でも子供でも皆楽しめると再確認。奏者の皆様とお客さんの距離が近く、そこにいる人達がお互いに気持ちのやりとりもできるようなアットホームな会、楽しかったです。私は今回が初めてでしたが、「きのとやサロンコンサート」は今回Vol.65ということで、回数を重ねたイベントなんですね。このような会を企画し続けてくださっていることに感謝です。8月から再始動している札響の席が取れないといじけている場合ではないですね私。代替手段としてではなく、むしろ今回のような住宅街の小さな集会所で開催されるイベントにこそ積極的に足を運ぼうと思いました。

ピアノの前田さんとヴァイオリンの長谷川さんはマスクを着用、ファゴットの石黒さんとオーボエの岩崎さんはマスクなしで登場。管楽器の飛沫は50センチ以上離れていれば大丈夫という検証結果が出ているとの説明がありました。曲の合間のトークはピアノの前田さん。アンサンブルグループ奏楽がお客さんの前で演奏会をするのは半年ぶりなのだそうです。ネット配信は続けていたものの、何よりお客さんの顔を見て演奏すること、拍手をもらえることがうれしいとおっしゃっていました。

1曲目、バッハ「主よ人の望みの喜びよ」の冒頭オーボエの音を聴いてもう私は涙が。こんなに心に響く音だったんですね。すぐに緊張はほぐれて、演奏にうっとりできる余裕はできましたが。後から中3の息子も「つかみのバッハが良かった。同じメンバーでバッハの別の曲も聴いてみたい」と言っていました。続く4曲は、各楽器の紹介も兼ねた二重奏およびピアノ独奏。皆様とってもステキでしたが、何と言ってもオーボエが激ウマです。「君をのせて」のメロディでオーボエのあたたかな音色を堪能。トークの楽器紹介でリードだけ吹いたときから良い音でした。ちなみに岩崎さんはリード1本を5分もかからずに作れるのだそうです。子供達の反応が良かったのはやはりディズニーの曲で、「ハイホー」は普段は脇役に徹するファゴットの良さを知りました。モンティ「チャルダッシュ」はヴァイオリンが主役のカッコイイ演奏で、本来入らないオーボエファゴットも良い味を出していました。珍しい編成ですから、この編成用に曲をアレンジするのも、全体を短く圧縮するのも大変かと存じます。シャーマン「小さな世界」は、「世界一周バージョン」と題して、様々な国の音楽の要素が登場。アルゼンチンタンゴだったり、日本の「さくらさくら」だったり、他にも色々。カルメンっぽいところでは岩崎さんがご自分を指さしながら「オレ!」とかけ声。雰囲気に合わせて音を変えられるのは電子ピアノの利点だなと思いました。そして、「プログラムにない曲」として、ジブリの曲を演奏しますとだけ説明があり、演奏開始。演奏が終わると幼稚園児くらいの男の子が「ポニョ」と正解を言いました。もう10年ほど前の作品なのに、今の小さな子も知っているとは、おそるべしジブリ。続くジブリの曲は大人の雰囲気なので、その前に楽しい曲で子供達にサービスしてくださったんですね。ファゴットはお休みで、三重奏による「さよならの夏~コクリコ坂から」は心に染み入りました。歌うオーボエが素敵すぎ。「パイレーツ・オブ・カリビアン」の前に、奏者の皆様は「海賊のイメージで」バンダナや帽子を着用。変装用衣装を探したのだそうですが、ハロウィンの時期ではないためなかったと説明がありました。この小さな編成でゾクゾクする演奏を聴かせてくださいました。個人的に苦手意識があった「パプリカ」は、フラットな気持ちで聴くととても良い曲だなと感じました。踊れる子達が遠慮がちに小さく踊っていたのも、色々な大人の事情は一旦忘れて、素直に良いなと。曲自体に罪はないですよね。パプリカ、演奏はとても大変なのだそうです。アンコールの前に、奏者の皆様はおもむろにアフロヘアーのカツラを取り出し装着(※岩崎さんのみ帽子)。曲名発表で、会場から「あー!」という声が。葉加瀬太郎さんのイメージだったんですね。おなじみ「情熱大陸」はノリノリのカッコイイ演奏で、客席からは自然に手拍子が始まり、小さな会場に一体感が生まれました。楽しかったです!


終演後はアンケートに記入し、退席。奏者の皆様がお見送りもしてくださいました。アンサンブルグループ奏楽の皆様、きのとやさん、そしてスタッフの皆様、楽しい時間をありがとうございました!


自粛前に最後に聴いたコンサートは、ウィステリアホールでの札響首席奏者の吉田さんによるコントラバスのコンサートでした。レビューは以下のリンクからどうぞ。ウィステリアホールさんも、いつも素敵な演奏会を企画・開催してくださっています。お年寄りのための施設内にあるホールのため、不特定多数が出入りするイベント開催は今は難しいのかもしれません。感染症拡大が落ち着いたら、きっと演奏会の再開を。いつまでもお待ちしています。

nyaon-c-faf.hatenadiary.com

 

最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「自由にしかし楽しく!クラシック音楽https://nyaon-c-faf.hatenadiary.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c